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1 竜の墓場
暗い岩肌とすえた臭いの染み付いた岩穴。それがこの世の世界の全てに感じる。城の中の暮らしが嘘のようだ。サリューの世話を焼いてくれていた側仕えが岩穴の奥で動かない肉塊になると、何もなくなった。
空腹に岩穴を出ると木々に囲まれて草が短くはえた広場に出た。そこで一週間、腐った物や固くて食べられない物を学んだ。
そしてここが竜の墓場だと知ったのは、随分後になってからだ。
「赤竜が来た」
白と黒しか感じない世界の中での鮮やかな赤。口の中が赤く光るのは、炎を吐く証だ。せっかくの着衣は臭い炎で焦げている。世話をしてくれた侍従二人は岩穴に入ってこようとしていた飛ぶ竜から逃げて絶命した。
「今日こそは」
サリューの片手には赤い剣がある。それを必死で構えた。すぐに赤く発光し、同時に胸の奥でガンガンと早鐘音がする。
身体の中に溜まる力を解放するたびに、胸の真ん中が痛い。まだ光剣に慣れていないからだ。でも竜は剣を使わなくては殺せない。
赤竜のサイズは人の頭ほど。口から火を吐くより早く、大きく手を振るうと距離を狭めて打ち込む。
「ふっ!」
大きく息を吐いて吸い込むと、小さな赤飛竜の下腹に剣を当てた。赤飛竜の咆哮火が髪を少し焼くが、構いはしない。死を意識したら負ける。
そんな意味では、この赤飛竜も同じなんだろうと、サリューは思った。目前の赤飛竜は痩せてパサついた鱗を開いて身体を大きく見せていた。羽は穴が空きボロボロだ。片方は折れていたが、こいつは昨日ここに来て知らないうちに側仕えを食っていた。
あれは家族に返さなければならない死体だ。右手をそのまま突き上げ
「なぎ払う」
と呟くと、赤飛竜は甲高い悲鳴と咆哮火を細くたなびかせ、宙から草の大地に落ちた。
詰めていた息を大きく吐くと両目を瞑り礼をする。
「お前の命をもらう」
サリューは小さな竜を剣で割いて胸の真ん中から赤い珠の塊を取り出すと、剣の柄の中心に当てた。珠は剣の中心の小さな珠と融合し、赤い光剣の刀身が伸びた。魔導石と同じ力をもつ竜珠リュージュだ。竜の中にしかない物で、これがなければ光剣は使えない。
「お腹が減った…」
赤飛竜は不味いが二日ぶりの食事だ。育ち盛りのサリューにとって空腹は耐え難く、皮を剥いた生の両足を手にして、岩穴へ戻って行った。
岩穴に入って側仕えの死体を見ながら、生で不味い肉をかじる。火で焼けば旨いのだろうが、火を付けるための魔導具はない。
死体はもう何日もたっているからか、目の奥が痛むような臭いがした。
もうじき日が昇る。
そうすれば誰か助けに来るかもしれない。そんなことを思いながら一週間が過ぎた。
早過ぎた狩りだったのは分かっていた。
岩穴の入り口に寝転ぶと、改めて剣を見た。
赤の光剣。
二人の兄は緑の光剣の適性がある。現王である父もまた赤の適性で、サリューは喜んだ。これがいけなかったのかもしれない。
サリュー付きになったばかりの側仕え騎士見習いたちが、竜狩りに行こうと言い出したのだ。赤の光剣は赤飛竜を倒すことが出来る。竜狩りでの最大の獲物だと。地を這う地竜や水の中を行く水竜よりずっと格好がいいと。
そんな同じ年頃の数人の側仕えに押し負けて、光剣練習の隙間を縫い、城から抜け出すと馬を飛ばして南の森に入った直後、赤飛竜に襲われた。後から探しに来た年上の側仕えに守られて迷いながら着いたのが、この竜の墓場だった。
若い竜は腐肉しか食べない。
死んだ竜や死んだ人の肉を好んで食べるのだ。だからサリューが襲われるのはごく稀で、竜は側仕えの死体を目掛けてやって来た。それを追い払いながら助けを待っている。
しかしだ。
そもそも助けに来る気がないのかもしれない。サリューは国王が外の女と実らせた子だ。村に視察に来た王が母を見染めた。たった一夜の恋だったが、母は村の宿り木にサリューを実らせた。サリュー自身はそれを知らず、三つまでは村の子供だったのだ。うっすら覚えているが、働き者の元気な母と祖父が突然死んで、新しい村長に呼び寄せられた時、父のことを知り王城に引き取られた。
二人の兄と義母である王妃は金髪碧眼で、濃い灰がかった髪色の巻毛に茶色の瞳のサリューを良くは思っていない。無様な見苦しい色を持つ子供と笑われた。妾腹の子には似合いだとも言われていた。
父とは数度くらいしか会っていないが、五歳の誕生日にサリューが赤の光剣の適正があると知った時、父の使っていた赤の光剣を渡された。父は光剣を新しくするとのことだったから、気まぐれだったのだと思うのだが、義母の逆鱗は凄まじく、義母嫌がらせを、又それぞれの兄付きの側仕えからも受けていた。
僕は必要とされていない。
いつもそう思っていた。
赤飛竜を倒して得た肉で小腹を満たすと眠くなった。生肉で何度か下痢をしたが、生きている。
日差しは傾き、夜が来る。夜になると竜が活発になる。昼間寝ておけば夜は起きていられる。これで死んだ側仕えを守ることができる。彼を置いていくことは出来ない。
夕暮れは色が違う。夜とも昼とも違うそれは、森を染める。
岩穴を出て歩くと、空の上から高く澄んだ咆哮が聞こえた。大きな赤飛竜だ。どこへ行くのか分からないが…あれは腐肉を喰らいはしない。人を…餌場になる町や村を探しているのだろう。
目を地に向けると、月に隠された曇りの暗闇で動く何かがいた。岩穴を覆うほどの大きな硬い外殻は甲羅。灰緑色の手足と、長い尾と首。緑地竜の成獣だ。あんな大きなのは見たことなかった。
右手を伸ばすと、そのまま光剣を翳してみる。相手がこちらに気づかなければ、大丈夫だ。
長い首を伸ばして岩穴の中に入れて何度も首を振る。鈍い音がして嫌な音もした。
まさか。
「はあっ!」
赤の光剣は緑地竜の甲羅を刻むだけで、全く役に立たない。緑の光剣でなければ致命傷を与えられない。
成獣のくせに、あれは岩穴の側仕えを喰う気だ。どうしたらいい。では腹は?腹なら突き刺せる。
「アクセルブラスト!」
光剣は近衛隊長に教わっていた。技名を口端に乗せることで、竜騎士は技を形取り剣技を結ぶ。頭の中でイメージする形になるのだ。光剣が赤い光を纏い、岩穴の狭さを利用して風圧で回転させると、竜の腹に剣を突き刺した。
「ガアアア…」
と鈍い悲鳴の後、腹を出した緑地竜が手足をせわしなく宙を掻いて、動かなくなる。
相手が弱っているから、なんとか戦えたのだ。戦っている間に朝日が差し込んで来る。今から岩穴に入っても死体は無事だろうか。
「おいおい、嘘だろう。未成体を子ども一人で」
「……誰です」
朝の光にふわりとした長い若葉色の髪が見えた。それが晴れの朝の若芽のようで、光に透けて、凍える心を溶かすかのようだった。光が、色が鮮やかに戻って来る。もう何年も色を感じられなかったのに。
「小さいのに素晴らしいな。俺がお前くらいなら、小便チビって泣き出してるところだ」
瞳も緑でこめかみから一周編み上げた髪から、精霊のような長く横に出た耳を持っている。背は今年成人になる長兄よりやや低くく、かなり若く見える。黒い着衣と緑のフードコートの上からでも、かなり華奢な感じがした。何より亡き母や女官の誰よりも美しく、サリューは見惚れてしまった。
細い鼻筋が真っ直ぐに通り、秀麗な眉は形もいい。華奢な様子から女的に見えるが、動きや声は間違いなく男だ。
「お前がサリューだろ?探し人の依頼で探しに来た。俺はミクウ」
「ミクウ?依頼……?」
逃げ延びた騎士見習いが依頼したのかもしれない。
「たしかに僕はサリューです。探してくれたのですね。礼を言います」
「中を見てくるけれど、来るか?」
緑地竜の首は奥深くにあるが、なんとなく行けないでいて、首を横に振るとミクウが岩穴に入り、しばらくしてから布に包んだ何かを差し出してきた。
「これだけしかなくて悪い…」
白に赤がこびりつく骨数本を手にしてミクウが出てくる。ほとんどが喰われたんだと理解した。
「お前の親か?」
白い布に包まれたすえた臭いのする骨がミクウに大切そうに抱えられている。
「……いえ、よく世話をしてくれました」
「そうか。ここには死ぬために竜がやってくる竜の墓場だ。この洞窟に逃げ込んだのはまずかったな。墓には腐肉がある。だから腐肉を喰らう若い竜は墓場を狙うんだよ」
ミクウが再び口を開いたのは、サリューが手の中にある骨を茫然と見下ろしていたからだ。
「大切な人達だったんだな。骨を持ち帰ってやろう。彼を故郷に埋めてやるために」
ミクウが骨を布に包むと、サリューに渡してくれた。必死で守った側仕えの死体はたった数個の骨になってしまったのだ。
「力不足です……僕はなんて小さい」
「そう、お前はまだ小さい。少しずつ力を得ていけばいい。さてと、行くぞ」
そんなことを当たり前のように話すミクウに驚いて、サリューは驚いた。心臓を鷲掴みにされた気持ちがした。サリューを一人の小人として扱ってくれる大人は初めてだ。
疲れただろうと手を引いてくれたその白い手を握り返す。嬉しかった。ただ、嬉しかった。
それがこの世界で唯一の妖精族ミクウとの出会い、十年前のことだ。
空腹に岩穴を出ると木々に囲まれて草が短くはえた広場に出た。そこで一週間、腐った物や固くて食べられない物を学んだ。
そしてここが竜の墓場だと知ったのは、随分後になってからだ。
「赤竜が来た」
白と黒しか感じない世界の中での鮮やかな赤。口の中が赤く光るのは、炎を吐く証だ。せっかくの着衣は臭い炎で焦げている。世話をしてくれた侍従二人は岩穴に入ってこようとしていた飛ぶ竜から逃げて絶命した。
「今日こそは」
サリューの片手には赤い剣がある。それを必死で構えた。すぐに赤く発光し、同時に胸の奥でガンガンと早鐘音がする。
身体の中に溜まる力を解放するたびに、胸の真ん中が痛い。まだ光剣に慣れていないからだ。でも竜は剣を使わなくては殺せない。
赤竜のサイズは人の頭ほど。口から火を吐くより早く、大きく手を振るうと距離を狭めて打ち込む。
「ふっ!」
大きく息を吐いて吸い込むと、小さな赤飛竜の下腹に剣を当てた。赤飛竜の咆哮火が髪を少し焼くが、構いはしない。死を意識したら負ける。
そんな意味では、この赤飛竜も同じなんだろうと、サリューは思った。目前の赤飛竜は痩せてパサついた鱗を開いて身体を大きく見せていた。羽は穴が空きボロボロだ。片方は折れていたが、こいつは昨日ここに来て知らないうちに側仕えを食っていた。
あれは家族に返さなければならない死体だ。右手をそのまま突き上げ
「なぎ払う」
と呟くと、赤飛竜は甲高い悲鳴と咆哮火を細くたなびかせ、宙から草の大地に落ちた。
詰めていた息を大きく吐くと両目を瞑り礼をする。
「お前の命をもらう」
サリューは小さな竜を剣で割いて胸の真ん中から赤い珠の塊を取り出すと、剣の柄の中心に当てた。珠は剣の中心の小さな珠と融合し、赤い光剣の刀身が伸びた。魔導石と同じ力をもつ竜珠リュージュだ。竜の中にしかない物で、これがなければ光剣は使えない。
「お腹が減った…」
赤飛竜は不味いが二日ぶりの食事だ。育ち盛りのサリューにとって空腹は耐え難く、皮を剥いた生の両足を手にして、岩穴へ戻って行った。
岩穴に入って側仕えの死体を見ながら、生で不味い肉をかじる。火で焼けば旨いのだろうが、火を付けるための魔導具はない。
死体はもう何日もたっているからか、目の奥が痛むような臭いがした。
もうじき日が昇る。
そうすれば誰か助けに来るかもしれない。そんなことを思いながら一週間が過ぎた。
早過ぎた狩りだったのは分かっていた。
岩穴の入り口に寝転ぶと、改めて剣を見た。
赤の光剣。
二人の兄は緑の光剣の適性がある。現王である父もまた赤の適性で、サリューは喜んだ。これがいけなかったのかもしれない。
サリュー付きになったばかりの側仕え騎士見習いたちが、竜狩りに行こうと言い出したのだ。赤の光剣は赤飛竜を倒すことが出来る。竜狩りでの最大の獲物だと。地を這う地竜や水の中を行く水竜よりずっと格好がいいと。
そんな同じ年頃の数人の側仕えに押し負けて、光剣練習の隙間を縫い、城から抜け出すと馬を飛ばして南の森に入った直後、赤飛竜に襲われた。後から探しに来た年上の側仕えに守られて迷いながら着いたのが、この竜の墓場だった。
若い竜は腐肉しか食べない。
死んだ竜や死んだ人の肉を好んで食べるのだ。だからサリューが襲われるのはごく稀で、竜は側仕えの死体を目掛けてやって来た。それを追い払いながら助けを待っている。
しかしだ。
そもそも助けに来る気がないのかもしれない。サリューは国王が外の女と実らせた子だ。村に視察に来た王が母を見染めた。たった一夜の恋だったが、母は村の宿り木にサリューを実らせた。サリュー自身はそれを知らず、三つまでは村の子供だったのだ。うっすら覚えているが、働き者の元気な母と祖父が突然死んで、新しい村長に呼び寄せられた時、父のことを知り王城に引き取られた。
二人の兄と義母である王妃は金髪碧眼で、濃い灰がかった髪色の巻毛に茶色の瞳のサリューを良くは思っていない。無様な見苦しい色を持つ子供と笑われた。妾腹の子には似合いだとも言われていた。
父とは数度くらいしか会っていないが、五歳の誕生日にサリューが赤の光剣の適正があると知った時、父の使っていた赤の光剣を渡された。父は光剣を新しくするとのことだったから、気まぐれだったのだと思うのだが、義母の逆鱗は凄まじく、義母嫌がらせを、又それぞれの兄付きの側仕えからも受けていた。
僕は必要とされていない。
いつもそう思っていた。
赤飛竜を倒して得た肉で小腹を満たすと眠くなった。生肉で何度か下痢をしたが、生きている。
日差しは傾き、夜が来る。夜になると竜が活発になる。昼間寝ておけば夜は起きていられる。これで死んだ側仕えを守ることができる。彼を置いていくことは出来ない。
夕暮れは色が違う。夜とも昼とも違うそれは、森を染める。
岩穴を出て歩くと、空の上から高く澄んだ咆哮が聞こえた。大きな赤飛竜だ。どこへ行くのか分からないが…あれは腐肉を喰らいはしない。人を…餌場になる町や村を探しているのだろう。
目を地に向けると、月に隠された曇りの暗闇で動く何かがいた。岩穴を覆うほどの大きな硬い外殻は甲羅。灰緑色の手足と、長い尾と首。緑地竜の成獣だ。あんな大きなのは見たことなかった。
右手を伸ばすと、そのまま光剣を翳してみる。相手がこちらに気づかなければ、大丈夫だ。
長い首を伸ばして岩穴の中に入れて何度も首を振る。鈍い音がして嫌な音もした。
まさか。
「はあっ!」
赤の光剣は緑地竜の甲羅を刻むだけで、全く役に立たない。緑の光剣でなければ致命傷を与えられない。
成獣のくせに、あれは岩穴の側仕えを喰う気だ。どうしたらいい。では腹は?腹なら突き刺せる。
「アクセルブラスト!」
光剣は近衛隊長に教わっていた。技名を口端に乗せることで、竜騎士は技を形取り剣技を結ぶ。頭の中でイメージする形になるのだ。光剣が赤い光を纏い、岩穴の狭さを利用して風圧で回転させると、竜の腹に剣を突き刺した。
「ガアアア…」
と鈍い悲鳴の後、腹を出した緑地竜が手足をせわしなく宙を掻いて、動かなくなる。
相手が弱っているから、なんとか戦えたのだ。戦っている間に朝日が差し込んで来る。今から岩穴に入っても死体は無事だろうか。
「おいおい、嘘だろう。未成体を子ども一人で」
「……誰です」
朝の光にふわりとした長い若葉色の髪が見えた。それが晴れの朝の若芽のようで、光に透けて、凍える心を溶かすかのようだった。光が、色が鮮やかに戻って来る。もう何年も色を感じられなかったのに。
「小さいのに素晴らしいな。俺がお前くらいなら、小便チビって泣き出してるところだ」
瞳も緑でこめかみから一周編み上げた髪から、精霊のような長く横に出た耳を持っている。背は今年成人になる長兄よりやや低くく、かなり若く見える。黒い着衣と緑のフードコートの上からでも、かなり華奢な感じがした。何より亡き母や女官の誰よりも美しく、サリューは見惚れてしまった。
細い鼻筋が真っ直ぐに通り、秀麗な眉は形もいい。華奢な様子から女的に見えるが、動きや声は間違いなく男だ。
「お前がサリューだろ?探し人の依頼で探しに来た。俺はミクウ」
「ミクウ?依頼……?」
逃げ延びた騎士見習いが依頼したのかもしれない。
「たしかに僕はサリューです。探してくれたのですね。礼を言います」
「中を見てくるけれど、来るか?」
緑地竜の首は奥深くにあるが、なんとなく行けないでいて、首を横に振るとミクウが岩穴に入り、しばらくしてから布に包んだ何かを差し出してきた。
「これだけしかなくて悪い…」
白に赤がこびりつく骨数本を手にしてミクウが出てくる。ほとんどが喰われたんだと理解した。
「お前の親か?」
白い布に包まれたすえた臭いのする骨がミクウに大切そうに抱えられている。
「……いえ、よく世話をしてくれました」
「そうか。ここには死ぬために竜がやってくる竜の墓場だ。この洞窟に逃げ込んだのはまずかったな。墓には腐肉がある。だから腐肉を喰らう若い竜は墓場を狙うんだよ」
ミクウが再び口を開いたのは、サリューが手の中にある骨を茫然と見下ろしていたからだ。
「大切な人達だったんだな。骨を持ち帰ってやろう。彼を故郷に埋めてやるために」
ミクウが骨を布に包むと、サリューに渡してくれた。必死で守った側仕えの死体はたった数個の骨になってしまったのだ。
「力不足です……僕はなんて小さい」
「そう、お前はまだ小さい。少しずつ力を得ていけばいい。さてと、行くぞ」
そんなことを当たり前のように話すミクウに驚いて、サリューは驚いた。心臓を鷲掴みにされた気持ちがした。サリューを一人の小人として扱ってくれる大人は初めてだ。
疲れただろうと手を引いてくれたその白い手を握り返す。嬉しかった。ただ、嬉しかった。
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