18 / 106
新しい生活4
しおりを挟む
贅沢なファヒータを食べた後はデザートだ。フランはメキシカンの硬めのプリンのことなんだけど、砂糖の代わりに練乳を使っているので味が濃厚だ。普段はそんなに甘いものを食べる方ではないけれど、こうやって食事に来るとデザートを頼むことがある。
陸さんはデザートとかって食べるんだろうか? フルーツは甘めのもの、酸味の強いものどちらも食べているから甘い物が好きなのか苦手なのかがわからない。陸さんと会っていたお正月だとおせちだったからよくわからないんだ。
今度家でなにか作ってみようか。それこそプリンあたりが甘すぎずいいかもしれない。それでさりげなく勧めたら好きかどうかわかる。
こうやって考えてみると陸さんのことをなにも知らないんだと思う。子供の頃は年に2回会っていたけれど、陸さんが中学生になった辺りから会うのは年に1回になった。大きくなって陸さんへの気持ちに気づいた頃には年に1回しか会っていないから陸さんのことはよくわからなくて。そしてそのまま結婚した。
陸さんのことをよく知らないと思うと寂しいけれど、これから知る楽しみがあるんだと気持ちを切り替えた。
「なに考えてる? じーっとフラン見つめて」
「あぁ、うん。陸さんって甘いもの好きなのかどうなのか知らないなと思って。ほんと知ってるようで知らないんだ」
「今まで知らなかったなら、これから知っていけばいいじゃん」
「そっか。知る機会があるといいな」
「機会は作るんだよ」
機会は作るものか。それならプリンでも作って勧めてみよう。いや、甘いものだけじゃなくてその他のことも知っていけばいいのか。
「西賀は前向きだよね」
「そうか? 普通だよ」
「じゃあ僕が後ろ向き?」
「普通だろ。でも陸さんのことになると気弱になる気がするけど」
陸さんのことになるとか……。それはあるかもしれない。
「今度プリンでも作って勧めてみる」
「そうだな。その反応で好きか苦手かわかるもんな。少しずつ知っていけるって楽しみだよな」
「うん、そうだね」
うん。西賀と話してると前向きになれて楽しいから、やっぱり大事な友だちだと思う。
そんな風に西賀に感謝しながらフランを食べ、お酒を飲みながら色々な話しをした。
陸さんには好きな人がいるんじゃないかと思ってから、少し遠慮気味になっていた。それは仕方ないのかもしれないけど、人間としてどうなのかもわからない。僕が陸さんに対して抱いている気持ちは子供の頃からなので大人になってからというのがよくわからない。だから、少しずつ知っていこう。そう思った。
「今日は楽しかったな。また会おうぜ」
「うん。今日はありがとうね。また連絡する」
「おう。俺も連絡するよ。じゃ、おやすみ」
そう言って別々の路線に乗り家に帰る。時計を見ると22時30分。家に着くのは23時前くらいかな。陸さんはもう帰っているだろうか。もし帰っていたとしたら真っ暗な家は寂しいだろうな。今まで明るい家に帰っていたからなおさら感じるだろう。そう考えると早く帰りたいと思ってしまう。もしもう帰っているのなら、僕が今さら焦ったって意味がないけれど、気持ちはせいてしまう。
あ、プリンを作る材料を買っていこうかな。確か下のスーパーは24時間やってた気がする。帰りに買っていけば明日作れると考えて、明日は陸さんの実家にお土産を渡しに顔を見せに行く日だったと思い出す。そして明後日はうちの実家。プリンを作れるのは週明けになりそうだ。
明日、明後日はきっと僕たちを心配しているであろう両親に顔を見せよう。プリンはそれからでも全然遅くない。
陸さんはデザートとかって食べるんだろうか? フルーツは甘めのもの、酸味の強いものどちらも食べているから甘い物が好きなのか苦手なのかがわからない。陸さんと会っていたお正月だとおせちだったからよくわからないんだ。
今度家でなにか作ってみようか。それこそプリンあたりが甘すぎずいいかもしれない。それでさりげなく勧めたら好きかどうかわかる。
こうやって考えてみると陸さんのことをなにも知らないんだと思う。子供の頃は年に2回会っていたけれど、陸さんが中学生になった辺りから会うのは年に1回になった。大きくなって陸さんへの気持ちに気づいた頃には年に1回しか会っていないから陸さんのことはよくわからなくて。そしてそのまま結婚した。
陸さんのことをよく知らないと思うと寂しいけれど、これから知る楽しみがあるんだと気持ちを切り替えた。
「なに考えてる? じーっとフラン見つめて」
「あぁ、うん。陸さんって甘いもの好きなのかどうなのか知らないなと思って。ほんと知ってるようで知らないんだ」
「今まで知らなかったなら、これから知っていけばいいじゃん」
「そっか。知る機会があるといいな」
「機会は作るんだよ」
機会は作るものか。それならプリンでも作って勧めてみよう。いや、甘いものだけじゃなくてその他のことも知っていけばいいのか。
「西賀は前向きだよね」
「そうか? 普通だよ」
「じゃあ僕が後ろ向き?」
「普通だろ。でも陸さんのことになると気弱になる気がするけど」
陸さんのことになるとか……。それはあるかもしれない。
「今度プリンでも作って勧めてみる」
「そうだな。その反応で好きか苦手かわかるもんな。少しずつ知っていけるって楽しみだよな」
「うん、そうだね」
うん。西賀と話してると前向きになれて楽しいから、やっぱり大事な友だちだと思う。
そんな風に西賀に感謝しながらフランを食べ、お酒を飲みながら色々な話しをした。
陸さんには好きな人がいるんじゃないかと思ってから、少し遠慮気味になっていた。それは仕方ないのかもしれないけど、人間としてどうなのかもわからない。僕が陸さんに対して抱いている気持ちは子供の頃からなので大人になってからというのがよくわからない。だから、少しずつ知っていこう。そう思った。
「今日は楽しかったな。また会おうぜ」
「うん。今日はありがとうね。また連絡する」
「おう。俺も連絡するよ。じゃ、おやすみ」
そう言って別々の路線に乗り家に帰る。時計を見ると22時30分。家に着くのは23時前くらいかな。陸さんはもう帰っているだろうか。もし帰っていたとしたら真っ暗な家は寂しいだろうな。今まで明るい家に帰っていたからなおさら感じるだろう。そう考えると早く帰りたいと思ってしまう。もしもう帰っているのなら、僕が今さら焦ったって意味がないけれど、気持ちはせいてしまう。
あ、プリンを作る材料を買っていこうかな。確か下のスーパーは24時間やってた気がする。帰りに買っていけば明日作れると考えて、明日は陸さんの実家にお土産を渡しに顔を見せに行く日だったと思い出す。そして明後日はうちの実家。プリンを作れるのは週明けになりそうだ。
明日、明後日はきっと僕たちを心配しているであろう両親に顔を見せよう。プリンはそれからでも全然遅くない。
60
あなたにおすすめの小説
僕はあなたに捨てられる日が来ることを知っていながらそれでもあなたに恋してた
いちみやりょう
BL
▲ オメガバース の設定をお借りしている & おそらく勝手に付け足したかもしれない設定もあるかも 設定書くの難しすぎたのでオメガバース知ってる方は1話目は流し読み推奨です▲
捨てられたΩの末路は悲惨だ。
Ωはαに捨てられないように必死に生きなきゃいけない。
僕が結婚する相手には好きな人がいる。僕のことが気に食わない彼を、それでも僕は愛してる。
いつか捨てられるその日が来るまでは、そばに居てもいいですか。
俺の好きな人は誰にでも優しい。
u
BL
「好きなタイプは?」と聞かれて世界で一番多く答えられているのは間違いなく「優しい人」だろう。
相手の優しいところに惹かれ、気づいた時には引き返せないところまで恋に落ちている。
でも次第に気付くのだ。誰だってみんな「優しい人」ではなく「"自分だけに"優しい人」が好きなのだと。
ロランは、"誰にでも優しい男"、フィリオンに恋をしてしまい、地獄のような日々に身を焼かれていた。
そんなとある日「この恋、捨てたいな…」と溢したら「それ、捨てようとすんの、やめてくんね?オレ、あんたがアイツを見る視線に興奮すっからさ」と遊び人で有名な男、ヒューゴに言われる。
彼は、自分を好きな人間には興味がなく、別の誰かに恋い焦がれている人間の目が好きな変態らしい。
そんな身勝手な遊び人とちょくちょく話すようになってからというもの、フィリオンの様子はどんどんおかしくなっていく。
恋を捨てたい男と、恋を捨てるなと言う男と、優しさが狂い始めていく男の話。
※作者の意思ではなくキャラの意思で結末が決まります。ご要望は受け付けられませんのでどちらとくっついても美味しいと思う方のみお読みください。
※中世ヨーロッパ風学園ものです。
※短編(10万文字以内)予定ですが長くなる可能性もあります。
※完結までノンストップで毎日2話ずつ更新。
泡にはならない/泡にはさせない
玲
BL
――やっと見つけた、オレの『運命』……のはずなのに秒でフラれました。――
明るくてお調子者、だけど憎めない。そんなアルファの大学生・加原 夏樹(かはらなつき)が、ふとした瞬間に嗅いだ香り。今までに経験したことのない、心の奥底をかき乱す“それ”に導かれるまま、出会ったのは——まるで人魚のようなスイマーだった。白磁の肌、滴る水、鋭く澄んだ瞳、そしてフェロモンが、理性を吹き飛ばす。出会った瞬間、確信した。
「『運命だ』!オレと『番』になってくれ!」
衝動のままに告げた愛の言葉。けれど……。
「運命論者は、間に合ってますんで。」
返ってきたのは、冷たい拒絶……。
これは、『運命』に憧れる一途なアルファと、『運命』なんて信じない冷静なオメガの、正反対なふたりが織りなす、もどかしくて、熱くて、ちょっと切ない恋のはじまり。
オメガバースという世界の中で、「個」として「愛」を選び取るための物語。
彼が彼を選ぶまで。彼が彼を認めるまで。
——『運命』が、ただの言葉ではなくなるその日まで。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる