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歩み寄り5
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俺が週末のお昼も作って貰うようになって、いちいち食べに行く手間が減った。外に行くのはいいけれど、毎週末外で食べるとなると数件のお店をローテーションで食べることになり結構飽きていたのも事実で、だから千景が作ってくれるのは正直助かる。
それに千景は結構料理が上手い。少なくとも俺の口には合っているようで、今日は何が出てくるんだろうかと密かに楽しみにしている。
そして俺が楽しみにしているだけでなく、作っている千景も楽しそうに作っている。作るのなんて面倒じゃないんだろうか。俺は料理はしないけれど、見ていると面倒くさそうだ。少なくとも楽しいものとは思えない。なのに千景は楽しそうなので、俺はそれが不思議だった。
そんな日曜日の今日、お昼を食べ終わると千景が声をかけてきた。
「陸さん、僕、買い物に行ってきますね」
買い物に行くのに声をかけてくるのは珍しいなと思った。スーパーは1階にあるので、買いに行ったとしたってすぐに帰ってくる。だから千景も一々声をかけてはこない。それなのに今日に限って声をかけてきた。なんでだろうと不思議でそれが口に出た。
「スーパーなんてすぐだろ」
「あ、今日はスーパーだけじゃなくてちょっとコーヒー豆が欲しくて。もう後少ししかないから」
「それはどこなんだ」
「隣の駅です。ただ、川崎なので時間はかかりますけど。でも、珈琲の専門店で色々な豆が売ってるんです」
「今まで買ってたところより美味しいのか?」
「今飲んでいるものですよ」
俺はコーヒーは好きなので結構味に拘っている方だ。実家にいたときも良い豆を使っていて、茜さんの淹れてくれるコーヒーは美味しかったし、千景と暮らすようになってから飲んでいるコーヒーも美味しいと思って飲んでいた。いつもコーヒー豆のために電車に乗って買いに行ってくれていたのか。
「車を出す」
「え?」
「川崎なら時間がかかるし大変だろう。だから車を出す」
車を出すと言った俺に千景は目を丸くする。それはそうだろう。結婚して数ヶ月経つけれど一緒に買い物に行ったこともないし、車を出したこともない。いや、その前にこんなに会話をしたことがないかもしれない。そんなだったから千景は驚いたんだろう。
「もう出れるか?」
「え? あ、はい」
「じゃあ行くぞ」
「はい!」
驚いた顔をした後はなんだか嬉しそうな顔をしているけれど、俺は恥ずかしくて見て見ぬふりをした。
「その店にはよく行くのか?」
「美味しいコーヒーが飲みたくなると行ってます。コーヒー豆を買えるのもそうですけど、カフェにもなっているから店内で飲むこともできるんです」
コーヒーの美味しい店で店内でも飲めるのなら、お店で飲んで帰るのもいいなと思う。
「なら、飲んで帰るか」
「え? いいんですか?」
「いいから言ったんだろうが」
「そうですけど」
「嫌ならやめよう」
「嫌じゃないです! 嬉しいです」
横目でチラリと見た千景の顔は、とても嬉しそうな表情をしていた。コーヒーを飲んで行くかと誘ったのがそんなに嬉しいのか? その表情はちょっとしたときに見せるものだ。なにがそんなに嬉しいのだろうと思う。それでも結婚する前からそういう表情をすることがあったから、俺が話すことが嬉しいのだろうか。でも、俺たちは恋愛結婚じゃない。なのに、そんなに嬉しいのだろうか。
鍵を持って地下駐車場へ行き、車に乗り込んだ。
それに千景は結構料理が上手い。少なくとも俺の口には合っているようで、今日は何が出てくるんだろうかと密かに楽しみにしている。
そして俺が楽しみにしているだけでなく、作っている千景も楽しそうに作っている。作るのなんて面倒じゃないんだろうか。俺は料理はしないけれど、見ていると面倒くさそうだ。少なくとも楽しいものとは思えない。なのに千景は楽しそうなので、俺はそれが不思議だった。
そんな日曜日の今日、お昼を食べ終わると千景が声をかけてきた。
「陸さん、僕、買い物に行ってきますね」
買い物に行くのに声をかけてくるのは珍しいなと思った。スーパーは1階にあるので、買いに行ったとしたってすぐに帰ってくる。だから千景も一々声をかけてはこない。それなのに今日に限って声をかけてきた。なんでだろうと不思議でそれが口に出た。
「スーパーなんてすぐだろ」
「あ、今日はスーパーだけじゃなくてちょっとコーヒー豆が欲しくて。もう後少ししかないから」
「それはどこなんだ」
「隣の駅です。ただ、川崎なので時間はかかりますけど。でも、珈琲の専門店で色々な豆が売ってるんです」
「今まで買ってたところより美味しいのか?」
「今飲んでいるものですよ」
俺はコーヒーは好きなので結構味に拘っている方だ。実家にいたときも良い豆を使っていて、茜さんの淹れてくれるコーヒーは美味しかったし、千景と暮らすようになってから飲んでいるコーヒーも美味しいと思って飲んでいた。いつもコーヒー豆のために電車に乗って買いに行ってくれていたのか。
「車を出す」
「え?」
「川崎なら時間がかかるし大変だろう。だから車を出す」
車を出すと言った俺に千景は目を丸くする。それはそうだろう。結婚して数ヶ月経つけれど一緒に買い物に行ったこともないし、車を出したこともない。いや、その前にこんなに会話をしたことがないかもしれない。そんなだったから千景は驚いたんだろう。
「もう出れるか?」
「え? あ、はい」
「じゃあ行くぞ」
「はい!」
驚いた顔をした後はなんだか嬉しそうな顔をしているけれど、俺は恥ずかしくて見て見ぬふりをした。
「その店にはよく行くのか?」
「美味しいコーヒーが飲みたくなると行ってます。コーヒー豆を買えるのもそうですけど、カフェにもなっているから店内で飲むこともできるんです」
コーヒーの美味しい店で店内でも飲めるのなら、お店で飲んで帰るのもいいなと思う。
「なら、飲んで帰るか」
「え? いいんですか?」
「いいから言ったんだろうが」
「そうですけど」
「嫌ならやめよう」
「嫌じゃないです! 嬉しいです」
横目でチラリと見た千景の顔は、とても嬉しそうな表情をしていた。コーヒーを飲んで行くかと誘ったのがそんなに嬉しいのか? その表情はちょっとしたときに見せるものだ。なにがそんなに嬉しいのだろうと思う。それでも結婚する前からそういう表情をすることがあったから、俺が話すことが嬉しいのだろうか。でも、俺たちは恋愛結婚じゃない。なのに、そんなに嬉しいのだろうか。
鍵を持って地下駐車場へ行き、車に乗り込んだ。
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