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直生と神宮寺が一緒に食事をするようになってどのくらいが経つだろうか。神宮寺からの甘い言葉も甘い表情にも最近は慣れてきた。いや、慣れてきただけで進展があったりするわけではないけれど。ただ、神宮寺ははっきりと言葉にはしないし、返事を求められているわけではない。だから、その雰囲気を軽く流しながら会話をするようにしている。嫌いではないのだ。それだけははっきりしている。ただ、そういった意味で好きか、と問われると言葉に詰まる。だから今はそんなことは抜きに食事を楽しみたい、と思う。
「一週間お疲れ様」
そう言ってビールで乾杯する。
少し忙しくなってきた金曜日。にも関わらず今日は一時間ほどの残業で帰ることができた直生は、神宮寺に連絡をし、神宮寺の家で食事をすることにしたのだ。
今週は神宮寺が接待があったりと仕事が忙しく、直生も出荷ラッシュでひたすらインボイスやパッキングリストを作っていた。そんなこんなで今日は一週間ぶりに顔を合わせたのた。
「そう言えば、美味しいメキシコ料理の店ができたの知ってるか?」
唐揚げにレモンを絞りながら神宮寺が訊く。
「え、どこにですか?」
「ネオン街の外れのカフェの近くに。空きが一軒あっただろう。そこだ」
「あそこか。メキシコ料理って珍しいな」
「今度行ってみるか?」
「行ってみたい! あまり食べたことないんですよね」
「店自体少ないからな。じゃあ、次はそこに行ってみよう」
二人とも食べるのが好きなので、新しい店の情報や食べ物の話をする。神宮寺にいたっては料理が趣味のひとつでもあるようで、時間があれば手料理を振る舞ってくれる。今日はそれほど時間がなかったらしく、惣菜は買ってきて、神宮寺が作ったのはサラダとスープ、クリームチーズとクルトンのおつまみだけだが、一度は時間があったと言ってフランス料理を振る舞われてびっくりした記憶がある。
神宮寺いわく、気分転換に料理はいいらしい。精神的に詰まったときに料理をすると無心になれていい、と言う。料理自体を面倒くさいと思い、忙しさにかまけて手抜きばかりしている直生には理解できないことだが。
一週間ぶりに会ったということで、最近の出来事などを話す。と言っても数日のことなので、それほどたくさんあるわけではないけれど。大体、直生は話を振るのはあまり上手くない。話題があり、訊かれれば答えるが、自分からというのは苦手だ。しかし、そこは神宮寺が上手いので話が途切れることはない。そして直生も神宮寺も騒ぐのが好きなわけではないので、酒を呑みながらゆっくりと話す。そんな時間の過ごし方が直生は好きだった。
「今日はクルトンいっぱいですね」
「今日はパンから作ったからな。好きだよな?」
「カリカリしてて好きです」
「手抜きをしたからな。だからせめてクルトンだけでもと思って。ただ作りすぎてしまったから、おつまみまでクルトンになってしまったが」
「大丈夫ですよ、好きなんで」
「明日は何か作るよ」
「やった! 楽しみ」
神宮寺は直生の好みを把握していて、直生好みの料理を作ってくれたり、好みの味付けにしてくれる。明日は土曜日だし、時間もあるのだろう。明日も神宮寺の手作りを食べられるのは楽しみだ。どうしても食べたいものがあるときはリクエストするが、基本的にリクエストはしない。それは、直生が思いもしないようなものが出てくることもあるし、旬の食材を使った料理が出てくるからだ。食べたことがないようなものが出てくることもあり、それが楽しみなのもあって、リクエストしないのだ。明日は何が出てくるか今から楽しみだ。
「もう少し呑みたいな。つまみもまだあるし」
「俺もビールもう一本呑もうかな、明日休みだし。神宮寺さんは何呑みます?」
「俺もビールでいい」
「じゃ、取ってきます」
勝手知ったる他人の家。冷蔵庫にビールを取りに行く。そのとき、少し足元にきていることに気づいた。それを神宮寺も気づいたようだ。
「その一本で終わりにした方がいい。足にきてるだろう」
「これで最後にします」
そう言ってビールを手にリビングに戻ったとき、よろけて転び、神宮寺を押し倒す形になってしまった。
――ヤバい! ヒート起こす!
「一週間お疲れ様」
そう言ってビールで乾杯する。
少し忙しくなってきた金曜日。にも関わらず今日は一時間ほどの残業で帰ることができた直生は、神宮寺に連絡をし、神宮寺の家で食事をすることにしたのだ。
今週は神宮寺が接待があったりと仕事が忙しく、直生も出荷ラッシュでひたすらインボイスやパッキングリストを作っていた。そんなこんなで今日は一週間ぶりに顔を合わせたのた。
「そう言えば、美味しいメキシコ料理の店ができたの知ってるか?」
唐揚げにレモンを絞りながら神宮寺が訊く。
「え、どこにですか?」
「ネオン街の外れのカフェの近くに。空きが一軒あっただろう。そこだ」
「あそこか。メキシコ料理って珍しいな」
「今度行ってみるか?」
「行ってみたい! あまり食べたことないんですよね」
「店自体少ないからな。じゃあ、次はそこに行ってみよう」
二人とも食べるのが好きなので、新しい店の情報や食べ物の話をする。神宮寺にいたっては料理が趣味のひとつでもあるようで、時間があれば手料理を振る舞ってくれる。今日はそれほど時間がなかったらしく、惣菜は買ってきて、神宮寺が作ったのはサラダとスープ、クリームチーズとクルトンのおつまみだけだが、一度は時間があったと言ってフランス料理を振る舞われてびっくりした記憶がある。
神宮寺いわく、気分転換に料理はいいらしい。精神的に詰まったときに料理をすると無心になれていい、と言う。料理自体を面倒くさいと思い、忙しさにかまけて手抜きばかりしている直生には理解できないことだが。
一週間ぶりに会ったということで、最近の出来事などを話す。と言っても数日のことなので、それほどたくさんあるわけではないけれど。大体、直生は話を振るのはあまり上手くない。話題があり、訊かれれば答えるが、自分からというのは苦手だ。しかし、そこは神宮寺が上手いので話が途切れることはない。そして直生も神宮寺も騒ぐのが好きなわけではないので、酒を呑みながらゆっくりと話す。そんな時間の過ごし方が直生は好きだった。
「今日はクルトンいっぱいですね」
「今日はパンから作ったからな。好きだよな?」
「カリカリしてて好きです」
「手抜きをしたからな。だからせめてクルトンだけでもと思って。ただ作りすぎてしまったから、おつまみまでクルトンになってしまったが」
「大丈夫ですよ、好きなんで」
「明日は何か作るよ」
「やった! 楽しみ」
神宮寺は直生の好みを把握していて、直生好みの料理を作ってくれたり、好みの味付けにしてくれる。明日は土曜日だし、時間もあるのだろう。明日も神宮寺の手作りを食べられるのは楽しみだ。どうしても食べたいものがあるときはリクエストするが、基本的にリクエストはしない。それは、直生が思いもしないようなものが出てくることもあるし、旬の食材を使った料理が出てくるからだ。食べたことがないようなものが出てくることもあり、それが楽しみなのもあって、リクエストしないのだ。明日は何が出てくるか今から楽しみだ。
「もう少し呑みたいな。つまみもまだあるし」
「俺もビールもう一本呑もうかな、明日休みだし。神宮寺さんは何呑みます?」
「俺もビールでいい」
「じゃ、取ってきます」
勝手知ったる他人の家。冷蔵庫にビールを取りに行く。そのとき、少し足元にきていることに気づいた。それを神宮寺も気づいたようだ。
「その一本で終わりにした方がいい。足にきてるだろう」
「これで最後にします」
そう言ってビールを手にリビングに戻ったとき、よろけて転び、神宮寺を押し倒す形になってしまった。
――ヤバい! ヒート起こす!
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