カテキン

おか

文字の大きさ
1 / 1

一番茶

しおりを挟む
 コンビニで弁当とペットボトルのお茶を買って家に帰る。薄暗いリビングの照明を付け、唐揚げ弁当をレンジに放り込んでタイマーをセット。クルクルと弁当が回転するのを確認したら、ソファに腰をおろしてテレビをつける。

 コンビニ袋に入ったままのペットボトルのお茶を取り出してキャップを回すと、カリッと乾いた音がして、蓋が開いた。

ピンポーン

 チャイムが鳴る。ペットボトルの飲み口に口をつけず、テーブルの上に置くと、玄関に向かった。
 ドアを開けると、風呂敷をもったしずくが微笑んでいた。

「こんばんは、アキラくん」
「こんばんは、晩飯なら買ってきてるけど」
「どうせ、コンビニ弁当でしょ」
「ほら、これ」
 どっしりと重さを感じる風呂敷を胸に押し付けてきた。
「朝御飯にすればいいでしょ」
 そう言って帰って行った。

 毎度のことながら、嵐のようだと思う。
 しずくの母特製の飯は、確かに美味しいのだが……
 包みを開くと、大きめのタッパーに卵焼きやウインナーが入れられていたので、卵焼きをひととつかみして、口の中に放り込んだ。
「ん、まい」味が染み込んでいてジューシーだ。明日の朝に食べようと、タッパーを冷蔵庫へ入れた。
 チンとレンジが鳴ったので、唐揚げ弁当を取りだし、ソファに座り、弁当の蓋を開ける。熱気が鼻孔を通り抜け、眼鏡が曇る。
 テレビでは、近所の美術館で開催されてる日本刀展を特集していた。
「……」
 まるで興味がないのでチャンネルを変える。
 芸人がネタを披露していたので、チャンネルを変える手を止め、唐揚げを頬張る。
 手は自然にペットボトルのお茶へ向く。キャップを開け、飲み口に口をつける。

 その瞬間。
 目の前が激しく揺れ、
閃光が部屋中を照らした。

 何が起きたか、理解できず、激しく混乱するなかで、僕は唇に妙にやわらかい感触を感じていた。
 光はだんだんと弱まっていき、目の前には女の子が……

「わっ、ぺっ」
 ソファから転げ落ちた。
「お怪我はないか」美少女は、心配そうな表情でこちらをのぞき込む。
「!:\「\-_:_「_「!!!!!!」
 ぼくは、言葉にならない声を上げる。そりゃあそうだ、さっきまで、この子とキスしてたんだから!
 腰には木刀。まるで時代劇から飛び出してきたような格好。黒髪を後ろ手一本に束ね、瞳は透明な硝子玉のように輝いている。肌は雪のように白く、それでも健康的な美しい肌色で、頬は少し紅色していた。
 森の中から流れ込む清純な空気をはらんだような、凛とした佇まいに思わず見とれる。
「汝か、我が主であるな」
 品定めするように、彼女はぼくの瞳を見つめる。
「まあ、混乱するのも無理はない」
彼女はそう言って、まだ起き上がることもできないぼくに言った。
「だが、主よ。とりあえず座ってはいかがか?」

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...