【第二章開幕】男子大学生は二度召喚される

皇める

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第一章 一度目の異世界

15.許さない※

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※残酷な表現があります。

ユリウスside

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「ユリ、ウス………だいすきだよ」

 その言葉を最後にシュウが動かなくなった。

「シュウ……?」

 カツカツと音を立てて僕らに近づいてくる。

「おや?死にましたか。 でも大丈夫ですよ。すぐに同じところへお送りいたします」

 男はニタニタ笑いながら構えた。

「………ない」

「ん?」

「ゆるさないっ」

 その時体の奥底から何かが溢れて、暴走した。

「これは! ぎゃあ”ああああああああああああっ」

「ぐあ”ああああああああああああっ」

「わあ”ああああああああああああっ」

 男と影2体は強大な力に飲み込まれた。

「ゆるさない……ゆるさない」

 ユリウスは一歩、また一歩と男に近づく。その体から膨大な魔力が溢れ出ている。

「くっ、まさかこれ程までの力とは……どうやらアナタを見くびっていたみたいですね」

 影2体は跡形もなく消え去ったが、男だけは直前に防御魔法を発動し、防いでいた。

「ゆるさい、ゆるさない……お前だけは絶対にゆるさない」

 ユリウスはぶつぶつとつぶやく。まるで壊れた人形のように

「しかし、所詮は子ども。 あの方のために死ねっ 洗練たる水の濁流スプレットスクリュー!!」

 パッン!

 まるで何事もなかったように男が放った魔法は綺麗に消え去った。

「なっ!」

 ユリウスは右手を前に突き出して立っていた。その周りにキラキラと金色の光が舞っていた。

「ま、まさか それは神聖魔法・・・・!? 何故お前が使えるっ!それはお前が持っていいものではないっ」

「だまれ」

 ユリウスの魔法は男の首を掴み、そのまま持ち上げた。

「ぐっ、はなせっ」

 男は逃れようと抵抗するが

「うるさい」

 グキッ

「ぎゃあ”あ”ああああああああああああああああああっ」

 男の右手が逆方向に曲がっていた。

「……」

 バキッ

「あ”あ”あ”あああああああああああああああああああっ」

 左脚の骨が砕け散った。

「………」

 それか、両手の指を順番に斬り落とし、足の爪を剥ぎ、内臓と目をえぐり、舌を知り落とした。

 ユリウスは無表情のまま男の体を壊していった。

〈ユ、ユリウス……〉

 シュウの側でルルが震えてそれを見ていた。止めなきゃいけないのに、ルルは体が動かなかった。今、目の前にいるユリウスはルルが知っている甘えん坊のユリウスではなかった。


「ひゃっ、ひゃめてくだはい……おへがいひましゅ」

 男は遂に赦しを乞う。
 ユリウスは男を見据えたまま、右手を男に近づけ、男の体が金の光に包まれた。

 するとズタズタにされた男の体が綺麗に治っていた。

「は? なんで?」

 男は混乱した。何故治したのか、意味がわからなかった。しかし、その理由はすぐに分かった。

「もう一度だ」

 その声に感情はない。聞くだけで心まで冷えそうな声で残酷な言葉を紡ぐ。

「そう簡単に死ねると思うなよ。お前のせいでかあさまは死んだ。そしてシュウまでも……っ」

「恐怖と絶望の中で永遠に苦しみ続けろっ」

「!!!!?? い、嫌だっ! 頼む、やめてくれっ お願いだ!いや、お願いしますっ」

 それからユリウスは男を何度も何度も壊していた。





◇◆◇




 ガチャガチャと鎧が擦れる音が近づいてくる。

「これは、一体どういう事なのだ?」

 先頭に立つ50後半のシルバーグレーの髪を撫でつけた男とその後ろを3人の騎士が、ユリウスの後ろにやって来た。

 地面と壁には血が飛び散り、ユリウスの足元には人だったものが転がっていた。

 ユリウスは振り返った。

「っ!」

 ユリウスの目には光はなく、何も写っていなかった。

「っ……ユリウ〈止まりなさい〉

 ルルが男の前に立ちはだかる。

「妖精か」

〈そういうアナタたちは獣人ね。命が欲しかったらそれ以上進まないことね。一歩でも近づけば死ぬわよ〉

 ユリウスの周りにはまだ金の光が舞っていた。

「神聖魔法……そして金色の瞳、やはり」

 男は確信した顔でそれ以上近づかなった。
 ルルはユリウスに近づいた。

〈ユリウス、もう大丈夫よ。あの人たちは敵じゃない。だから力をおさめて、シュウのところへ……〉

 しばらくしてユリウスは力をおさめ、シュウのところへ駆け寄った。

「シュウっ!」

 ヒュー…ヒュー……と、浅くだがまだ息はあったが黒いものがシュウの体を侵食していく。

 ユリウスはシュウを必死に救おうとしていた。しかし

「なんで?なんで消えないのっ!! このままじゃシュウがっ」

 ユリウスは泣き叫んだ。

 そんなユリウスの姿をみた男は何もできない自分が情けなかった。

「あれは呪詛……なんという事だ。 妖精よ、今助けようとされているあの方は?」

〈ユリウスの大事な人よ。でもこのままじゃ……〉

「シュウ、シュウっ!お願いだから目を覚ましてっ」

 僕は涙を流してながらシュウに抱きついた。その時シュウの体が白金色の光に包まれて消えた。

「シュウっ!」

 “ユリウス、このままだとシュウは死んでしまう。だからシュウを元の世界に帰す”

 妖精王の声が聞こえた。

「シュウを帰す? 嫌だっ!シュウを返してっ!!」

 “……ユリウス。大丈夫だ、私を信じてくれ。シュウとは———”

 その続きを妖精王が僕にだけ聞こえる声で言った。


「………………っ、わかった」






◇◆◇





 先程の男と騎士たちがユリウスに近づいてきた。そして

 スッと、一斉に膝をついた。

「お初にお目にかかります。私はセドブル・マフティーと申します。後ろの騎士たちはガルシアン国の精鋭騎士たちでございます」

「…………」

「あのお方の命で、私たちは貴方様をずっとお探しておりました。まずはご無事でなによりであります」

(無事……無事ねぇ、はっ)

「………それで?僕をどうしたいの?」

「っ、私たちと一緒に国にお帰り願いますでしょうか?」

「帰ってどうするの?」

「実は、貴方様のお父上のお命が残りわずかなのです」

「それで僕に戻って役に立てってことか」

「いいえっ!違いますっ!あの方は……陛下は、貴方様にただ会いたいだけなのです! ユリウス殿っ!!!」


 セドブルが涙目で訴えてくる。

「……………わかった」


 僕は父の元に帰る事にした。今、自分には力がない。だからこれから力を手に入れる、シュウのために。

 あの時妖精王は言った



 “ユリウス。大丈夫だ、私を信じてくれ。シュウとは必ず再会出来る、だから
それまでに力をつけるのだ、そして時が来たらするんだ————” と








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これにて第一章は完結です。

ついにユリウスが力と闇が覚醒させました。
気になった方も居たと思いますが、覚醒したユリウスの口調は幼くなくなりました。
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