26 / 65
それぞれのお料理模様
しおりを挟む
「あれお兄さん、冷蔵庫漁ってどうしたの?」
「あ、もふお。ちょっと小腹空いちゃって。でも夕飯までまだ時間あるし、もふおに何か作ってもらうのは悪いしお菓子でもないかな~と思って」
「あー、じゃあ僕もちょうど小腹減ってたし、何か簡単なおやつでも作るよ」
「え、いいの?でもクッキーとかは大変だし、本当に無理しなくて良いよ」
「うん、僕も貧乏時代はお菓子なんて滅多に作れなかったけどお菓子作りは嫌いじゃないし。ちょうど今お菓子作りたい気分だったしいいよ。簡単なのだけどね」
「わー、ありがとねもふお。嬉しいよ。でも今バターとかあったっけ」
「うん、バターとか無しでありもので作るから大丈夫だよ」
そう言ってもふおもキッチンに入って来て、冷蔵庫からいくつかの材料を取り出した。
「え、バナナは分かるけど春巻きの皮使うんだ?しかも材料これだけ?」
「うん、これだけで大丈夫。簡単でしょ」
そうしてもふおはバナナを何分割かにし、切ったそれに砂糖を振って手際よく春巻きの皮で巻いた。
「はい、後は油で揚げるだけ。カロリーと糖質ヤバいから僕はやらないけどバニラアイスとか添えても美味しいと思う」
「わー、確かに美味しそうだね」
そうして少し後、程よいきつね色に揚がったバナナの春巻きをもふおが皿に盛り付けて持って来てくれた。
「はい、召し上がれ。お茶はジャスミン茶淹れたから一緒にどうぞ」
「わー、ありがとねもふお。うん、外はサクサク中はトロトロで美味しいよ」
「うん、これは貧乏時代にも作れる数少ないおやつだったから。それでも当時は春巻きの皮安く買えた時しか作れなかったし、バナナもおつとめ品の熟しまくってるやつだったけどね」
「うわー、お気の毒に。それでもおやつ自炊してたのはえらいね」
「あとは貧乏レシピで有名だけど、パン屋さんでパンの耳だけ安く買ったりもらってきて揚げてラスクみたいにしたりね」
「あー、でもそれも美味しいよね。うん、美味しかったよもふお。ありがとねー」
「どういたしまして。僕もたまにはお菓子作るの楽しいし。それでエスニック繋がりになるけど、今日の夕飯カオマンガイの予定だけど良い?」
「うん、全然いいよー。エスニックも作れるとかもふお本当すごいよね。あ~夕飯も楽しみだな~」
「…えーっと、厨房こっちだったっけ」
「んー、主人に黙って夜中になにやってんの、ヤツフサ」
「うわ、部屋からついて来てたのかよ。…いや、ちょっと小腹空いて目が覚めちゃって。でもメイドさんやコックさんこんな深夜に起こすの申し訳ないから自分で厨房行って何か簡単なものでも作ろうかと思ってさ。…でも基本料理持って来てもらってばっかだから厨房の場所わかんなくてさ」
「あー、そういう事ね。仕事なんだから別に料理人達起こしたって構わないのに。まあお前のそういう謙虚というか小市民的なところも好きだけどさ」
「今に始まった事じゃないけどお前は本当に性格アレだよな…」
「はい、厨房ここね。それで材料は腐るほどあるけど何食べるの、またシュールストレミングの缶詰とか?」
「いや缶詰はともかくアレは二度と食べたくないっての、アレ適切な処理しないとまともに食べられないらしいし」
「うん、僕も流石にそれは冗談だから真に受けるなよ。キャビアやフォアグラの缶詰とかもあるけどどうする?」
「…いや、そういうのじゃなくて。卵かけご飯が食べたい」
「はあ?」
「…はあじゃなくて。いや俺貧乏では無いけど普通の家庭育ちだったからさ。ここ来て毎日豪華な食事ばっか食べてたらたまには質素というか素朴な物が食べたくなってさ。それでお茶づけとか卵かけご飯とかが食べたいなーって思ってさ」
「…あー、そういう事ね。本当に小市民的だなー。まあいいや、珍しいしたまには付き合ってやるよ」
「ありがと。…えーっと卵はあるし、ご飯はパックご飯チンすればいいか」
「パックご飯とか万が一ガス使えなくなった時とか防災用に一応あるけど、僕生まれてこの方ほとんど食べた事ないなー」
「うっわー、嫌味な発言。…まあいいか。じゃあ醤油と味の素と隠し味にごま油ちょっとかけてっと。おし、できた。…あー、こんな貧民メシお前の口には合わないかもだけど食べる?」
「うん、食べる」
「え、絶対断ると思ってたのに意外。まーいいか。じゃあはい、どーぞ」
「…ん、いただきます」
「いただきまーす。うん、たまに食べるとやっぱ美味しい」
「うんまあ、パックご飯もだし卵は超高級な烏骨鶏卵使ってるし、調味料も最高級のもの揃えてるから不味くなりようが無いだろうね」
「わー、それじゃ実質貧民メシじゃないかも。確かにこの卵、生でも超美味しいな」
「んー、卵かけご飯とか生まれて初めて食べたけど結構悪くないじゃん」
「…うっわー、お前それ外では絶対言うなよ。友達無くすぞ」
「うん、これでも外面は最大限気を付けてるから大丈夫だって。外では品行方正で気さくなご令息で通ってるし」
「…ど、どーだかなあ」
「うん、美味しかった。ご馳走様」
「ごちそーさまっと。美味しくてもう一杯行けちゃいそうだけど明日の朝食入らなくなりそうだし我慢しとこ。残したらコックさん達に申し訳無いし」
「ん、じゃあさっさと部屋戻ろ」
「あー待って、食器片づけてくから。お前先に帰ってて良いよ」
「いや、大して時間かからないだろうし待ってる」
「え、そうなの?まー良いけど。いつもなら俺置いてさっさと帰りそうなもんなのに珍しいな」
「…友達や恋人の手料理食べるの初めてだから、嬉しかった」
「え、今なんて?ごめん洗い物してて聞こえなかった」
「いや、何でもない。今度の夜食はもうちょっとちゃんとした物作れよなー。せめておにぎりとか」
「えー、夜食のおにぎりも嫌いじゃないけど何で俺が作る前提なんだよ」
「そこはほら、お前僕のペットでしもべだしさ」
「あ、睡蓮くん。今日は私休みだから何かお夕飯作るけど、カレーで良い?」
「うん、いいよ。…でもお姉さん、平日はずっとお仕事してるから疲れてない?たまにはレトルトとか出前でもいいよ?」
「気を遣ってくれてありがとうね。うん、今日は元気あるし、お料理したい気分だから大丈夫だよ」
「そっか。…じゃあお姉さん、僕もう猫風だけど義肢付いて大体の事は出来るし、お料理作るの手伝ってもいい?」
「うん、いいよ。じゃあ夕方六時くらいになったら作り始めようか」
そうして六時になり。
「じゃあ睡蓮くん、悪いけどこのじゃがいもと人参洗ってピーラーで皮剥いてくれないかな。出来そう?」
「うん、そのくらいなら出来ると思う。…あ、じゃがいもの芽って毒があるから取り除いた方が良いんだよね?」
「そうそう。少しくらいなら残ってても大丈夫だけどね。そのピーラーの側面についてる部分でくり抜いてね」
「うん、分かった」
「はい、皮むけたよ」
「ありがとね。じゃあ具材切るのは少し危ないから私がやるからね。…あ、冷蔵庫からローリエ出してもらってもいい?あれ入れると臭みが抜けて美味しくなる気がするから」
「分かった、はい」
「ありがとね。あとはしばらく休んでて良いからね」
そうしてお姉さんが手際よく食材を切り寸胴鍋に入れ煮込み、火が通ったらカレールーを入れ良い匂いが立ち込めた。
「あー、やっぱりカレーって少し手間だけど自分で作るのも良いよね」
「…うん、そうだね」
「…あれ、どうしたの睡蓮くん。少し辛そうだよ。どこか具合悪い?」
「…ううん、ごめんねお姉さん。…僕が捕まって売られちゃった日、先生から夜にはカレーを皆で作ろうって言われてて。それがすごく楽しみだったのをちょっと思い出しちゃったんだ」
「…ああ、そうだったんだ。辛い事思い出させてごめんね。大丈夫?」
「…うん、大丈夫。お姉さん何も悪く無いし。こっちこそ気を遣わせちゃってごめんね」
お姉さんは鍋をかき回す手を止め心配そうに僕に語り掛ける。
「…あのさ睡蓮くん。ちゃんとした義肢をまずは最優先で買ってあげたいけど、君を騙して酷い事した人私も許せないし。お金的にすぐには無理かもしれないけど、ヤミッチさんの伝手を頼って仕事人さんを雇って、その先生に仕返ししても良いよ」
「…ありがとうお姉さん。…でも大丈夫だよ。僕もあの人の事許す事は出来ないけど、ある意味アレされたおかげで親と離れてお姉さんに会えた訳だし。それにお姉さんにこれ以上余計なお金使わせたくないから、それは大丈夫だよ」
「…そっか。でも、もし本気でその人の事許せなくなったらいつでも言ってね。…睡蓮くんがこれ以上辛そうなところなんて見たくないから」
「…うん、ありがとうお姉さん。ちょっとだけ辛かったけど、今度は本当にカレー作れて良かった」
そうして睡蓮くんが少し落ち着いた後、ちょうどカレーが煮詰まったので一緒に食べる事にした。
「いただきます。睡蓮くん、たくさん食べてね」
「いただきまーす。ありがとう。…うん、美味しい」
「そっか、お口に合ったようで良かった。隠し味に仕上げにウスターソースとインスタントコーヒーを入れてあるからね」
「ふーん、そんな物を入れても良いんだ。…学校の勉強では分からないから、そういうの知れるの楽しいな」
「ふふ、睡蓮くん元気になってくれて良かった。またお休みの日は一緒に色んなもの作ろうね」
「うん、楽しみ」
「…おい童子よ、儂を騙しおったな」
「えー何ですかミカ様怖い顔して。騙すとは人聞きの悪い」
「とぼけるでないわ、お主しょっちゅう出してくるかっぷぬーどるを手間のかかって高価な料理と言っておったが実際は簡単に出来るというではないか。参拝客から聞いたぞ」
「あー、ついに知られちゃったかー」
「ついにでは無いわ、毎食あのぎょうざとかいう包み焼とかかれえと言う煮込みみたいに凝った物を作らんか」
(あー、そっちの方はまだバレて無いのね)「はーい、申し訳ございません。でもミカ様カップヌードルお好きですしたまにはお出ししても良いでしょ」
「…た、確かに美味くて好きじゃが熱い湯を入れて待つくらい儂でも出来るぞ。兎に角今夜は手の込んで豪勢な物を作らんか。手抜き出来ないよう今日は見張らせてもらう」
(ちっ面倒だな)「はーい、畏まりました~」
そしてその日の夜、普段は全く立ち入らない厨房にミカ様は入ってきて仰った。
「ではそろそろ腹が空いて来たから、かっぷぬーどる以外で手の込んだ手料理を作るのじゃ」
「はいはい。じゃあ久々に実家で作ってたアレにしようかな」
「…はいは一回で良い。何を作るか知らんが、手抜きはするなよ」
「はーい。じゃあネギとかまぼこを細切りにして、割り下作って鍋で温めてっと。煮詰まってきたら揚げ玉を入れて、その後溶き卵を入れて卵が半熟になったらご飯にかけて出来上がりっと」
「…えーっと、結構あっという間に出来たが。それは何という馳走じゃ」
「はい、これはハイカラ丼です」
「は、はいからどん?」
「別名たぬき丼とも言いますが。(ミカ様が封印された時代では)高価なかまぼこと卵をふんだんに使い、揚げ玉も入った豪勢な料理です」
「…た、確かに蒲鉾と卵は高価じゃが、何とはなしにまた騙されている気がするのじゃが気のせいか」
「気のせいですって。しかもこのかまぼこと揚げ玉はトップバ〇ュの商品ですよ」
「と、とっぷ〇りゅとは何じゃ」
「外来語ですがその名の通り最高品質の代物という意味のブランドです。ただでさえ高いかまぼこの中でも最高品質の物を使っているのですよ。もう手抜きとは言えないでしょう。さあ冷めないうちに召し上がれ」
「…わ、分かったわい。頂くとしよう。…うむ、確かに美味いな。誉めて遣わす」
「はい、ありがたき幸せ~」(あー何とかごまかせたー、僕はあとでお寿司食べよっと)
「あ、もふお。ちょっと小腹空いちゃって。でも夕飯までまだ時間あるし、もふおに何か作ってもらうのは悪いしお菓子でもないかな~と思って」
「あー、じゃあ僕もちょうど小腹減ってたし、何か簡単なおやつでも作るよ」
「え、いいの?でもクッキーとかは大変だし、本当に無理しなくて良いよ」
「うん、僕も貧乏時代はお菓子なんて滅多に作れなかったけどお菓子作りは嫌いじゃないし。ちょうど今お菓子作りたい気分だったしいいよ。簡単なのだけどね」
「わー、ありがとねもふお。嬉しいよ。でも今バターとかあったっけ」
「うん、バターとか無しでありもので作るから大丈夫だよ」
そう言ってもふおもキッチンに入って来て、冷蔵庫からいくつかの材料を取り出した。
「え、バナナは分かるけど春巻きの皮使うんだ?しかも材料これだけ?」
「うん、これだけで大丈夫。簡単でしょ」
そうしてもふおはバナナを何分割かにし、切ったそれに砂糖を振って手際よく春巻きの皮で巻いた。
「はい、後は油で揚げるだけ。カロリーと糖質ヤバいから僕はやらないけどバニラアイスとか添えても美味しいと思う」
「わー、確かに美味しそうだね」
そうして少し後、程よいきつね色に揚がったバナナの春巻きをもふおが皿に盛り付けて持って来てくれた。
「はい、召し上がれ。お茶はジャスミン茶淹れたから一緒にどうぞ」
「わー、ありがとねもふお。うん、外はサクサク中はトロトロで美味しいよ」
「うん、これは貧乏時代にも作れる数少ないおやつだったから。それでも当時は春巻きの皮安く買えた時しか作れなかったし、バナナもおつとめ品の熟しまくってるやつだったけどね」
「うわー、お気の毒に。それでもおやつ自炊してたのはえらいね」
「あとは貧乏レシピで有名だけど、パン屋さんでパンの耳だけ安く買ったりもらってきて揚げてラスクみたいにしたりね」
「あー、でもそれも美味しいよね。うん、美味しかったよもふお。ありがとねー」
「どういたしまして。僕もたまにはお菓子作るの楽しいし。それでエスニック繋がりになるけど、今日の夕飯カオマンガイの予定だけど良い?」
「うん、全然いいよー。エスニックも作れるとかもふお本当すごいよね。あ~夕飯も楽しみだな~」
「…えーっと、厨房こっちだったっけ」
「んー、主人に黙って夜中になにやってんの、ヤツフサ」
「うわ、部屋からついて来てたのかよ。…いや、ちょっと小腹空いて目が覚めちゃって。でもメイドさんやコックさんこんな深夜に起こすの申し訳ないから自分で厨房行って何か簡単なものでも作ろうかと思ってさ。…でも基本料理持って来てもらってばっかだから厨房の場所わかんなくてさ」
「あー、そういう事ね。仕事なんだから別に料理人達起こしたって構わないのに。まあお前のそういう謙虚というか小市民的なところも好きだけどさ」
「今に始まった事じゃないけどお前は本当に性格アレだよな…」
「はい、厨房ここね。それで材料は腐るほどあるけど何食べるの、またシュールストレミングの缶詰とか?」
「いや缶詰はともかくアレは二度と食べたくないっての、アレ適切な処理しないとまともに食べられないらしいし」
「うん、僕も流石にそれは冗談だから真に受けるなよ。キャビアやフォアグラの缶詰とかもあるけどどうする?」
「…いや、そういうのじゃなくて。卵かけご飯が食べたい」
「はあ?」
「…はあじゃなくて。いや俺貧乏では無いけど普通の家庭育ちだったからさ。ここ来て毎日豪華な食事ばっか食べてたらたまには質素というか素朴な物が食べたくなってさ。それでお茶づけとか卵かけご飯とかが食べたいなーって思ってさ」
「…あー、そういう事ね。本当に小市民的だなー。まあいいや、珍しいしたまには付き合ってやるよ」
「ありがと。…えーっと卵はあるし、ご飯はパックご飯チンすればいいか」
「パックご飯とか万が一ガス使えなくなった時とか防災用に一応あるけど、僕生まれてこの方ほとんど食べた事ないなー」
「うっわー、嫌味な発言。…まあいいか。じゃあ醤油と味の素と隠し味にごま油ちょっとかけてっと。おし、できた。…あー、こんな貧民メシお前の口には合わないかもだけど食べる?」
「うん、食べる」
「え、絶対断ると思ってたのに意外。まーいいか。じゃあはい、どーぞ」
「…ん、いただきます」
「いただきまーす。うん、たまに食べるとやっぱ美味しい」
「うんまあ、パックご飯もだし卵は超高級な烏骨鶏卵使ってるし、調味料も最高級のもの揃えてるから不味くなりようが無いだろうね」
「わー、それじゃ実質貧民メシじゃないかも。確かにこの卵、生でも超美味しいな」
「んー、卵かけご飯とか生まれて初めて食べたけど結構悪くないじゃん」
「…うっわー、お前それ外では絶対言うなよ。友達無くすぞ」
「うん、これでも外面は最大限気を付けてるから大丈夫だって。外では品行方正で気さくなご令息で通ってるし」
「…ど、どーだかなあ」
「うん、美味しかった。ご馳走様」
「ごちそーさまっと。美味しくてもう一杯行けちゃいそうだけど明日の朝食入らなくなりそうだし我慢しとこ。残したらコックさん達に申し訳無いし」
「ん、じゃあさっさと部屋戻ろ」
「あー待って、食器片づけてくから。お前先に帰ってて良いよ」
「いや、大して時間かからないだろうし待ってる」
「え、そうなの?まー良いけど。いつもなら俺置いてさっさと帰りそうなもんなのに珍しいな」
「…友達や恋人の手料理食べるの初めてだから、嬉しかった」
「え、今なんて?ごめん洗い物してて聞こえなかった」
「いや、何でもない。今度の夜食はもうちょっとちゃんとした物作れよなー。せめておにぎりとか」
「えー、夜食のおにぎりも嫌いじゃないけど何で俺が作る前提なんだよ」
「そこはほら、お前僕のペットでしもべだしさ」
「あ、睡蓮くん。今日は私休みだから何かお夕飯作るけど、カレーで良い?」
「うん、いいよ。…でもお姉さん、平日はずっとお仕事してるから疲れてない?たまにはレトルトとか出前でもいいよ?」
「気を遣ってくれてありがとうね。うん、今日は元気あるし、お料理したい気分だから大丈夫だよ」
「そっか。…じゃあお姉さん、僕もう猫風だけど義肢付いて大体の事は出来るし、お料理作るの手伝ってもいい?」
「うん、いいよ。じゃあ夕方六時くらいになったら作り始めようか」
そうして六時になり。
「じゃあ睡蓮くん、悪いけどこのじゃがいもと人参洗ってピーラーで皮剥いてくれないかな。出来そう?」
「うん、そのくらいなら出来ると思う。…あ、じゃがいもの芽って毒があるから取り除いた方が良いんだよね?」
「そうそう。少しくらいなら残ってても大丈夫だけどね。そのピーラーの側面についてる部分でくり抜いてね」
「うん、分かった」
「はい、皮むけたよ」
「ありがとね。じゃあ具材切るのは少し危ないから私がやるからね。…あ、冷蔵庫からローリエ出してもらってもいい?あれ入れると臭みが抜けて美味しくなる気がするから」
「分かった、はい」
「ありがとね。あとはしばらく休んでて良いからね」
そうしてお姉さんが手際よく食材を切り寸胴鍋に入れ煮込み、火が通ったらカレールーを入れ良い匂いが立ち込めた。
「あー、やっぱりカレーって少し手間だけど自分で作るのも良いよね」
「…うん、そうだね」
「…あれ、どうしたの睡蓮くん。少し辛そうだよ。どこか具合悪い?」
「…ううん、ごめんねお姉さん。…僕が捕まって売られちゃった日、先生から夜にはカレーを皆で作ろうって言われてて。それがすごく楽しみだったのをちょっと思い出しちゃったんだ」
「…ああ、そうだったんだ。辛い事思い出させてごめんね。大丈夫?」
「…うん、大丈夫。お姉さん何も悪く無いし。こっちこそ気を遣わせちゃってごめんね」
お姉さんは鍋をかき回す手を止め心配そうに僕に語り掛ける。
「…あのさ睡蓮くん。ちゃんとした義肢をまずは最優先で買ってあげたいけど、君を騙して酷い事した人私も許せないし。お金的にすぐには無理かもしれないけど、ヤミッチさんの伝手を頼って仕事人さんを雇って、その先生に仕返ししても良いよ」
「…ありがとうお姉さん。…でも大丈夫だよ。僕もあの人の事許す事は出来ないけど、ある意味アレされたおかげで親と離れてお姉さんに会えた訳だし。それにお姉さんにこれ以上余計なお金使わせたくないから、それは大丈夫だよ」
「…そっか。でも、もし本気でその人の事許せなくなったらいつでも言ってね。…睡蓮くんがこれ以上辛そうなところなんて見たくないから」
「…うん、ありがとうお姉さん。ちょっとだけ辛かったけど、今度は本当にカレー作れて良かった」
そうして睡蓮くんが少し落ち着いた後、ちょうどカレーが煮詰まったので一緒に食べる事にした。
「いただきます。睡蓮くん、たくさん食べてね」
「いただきまーす。ありがとう。…うん、美味しい」
「そっか、お口に合ったようで良かった。隠し味に仕上げにウスターソースとインスタントコーヒーを入れてあるからね」
「ふーん、そんな物を入れても良いんだ。…学校の勉強では分からないから、そういうの知れるの楽しいな」
「ふふ、睡蓮くん元気になってくれて良かった。またお休みの日は一緒に色んなもの作ろうね」
「うん、楽しみ」
「…おい童子よ、儂を騙しおったな」
「えー何ですかミカ様怖い顔して。騙すとは人聞きの悪い」
「とぼけるでないわ、お主しょっちゅう出してくるかっぷぬーどるを手間のかかって高価な料理と言っておったが実際は簡単に出来るというではないか。参拝客から聞いたぞ」
「あー、ついに知られちゃったかー」
「ついにでは無いわ、毎食あのぎょうざとかいう包み焼とかかれえと言う煮込みみたいに凝った物を作らんか」
(あー、そっちの方はまだバレて無いのね)「はーい、申し訳ございません。でもミカ様カップヌードルお好きですしたまにはお出ししても良いでしょ」
「…た、確かに美味くて好きじゃが熱い湯を入れて待つくらい儂でも出来るぞ。兎に角今夜は手の込んで豪勢な物を作らんか。手抜き出来ないよう今日は見張らせてもらう」
(ちっ面倒だな)「はーい、畏まりました~」
そしてその日の夜、普段は全く立ち入らない厨房にミカ様は入ってきて仰った。
「ではそろそろ腹が空いて来たから、かっぷぬーどる以外で手の込んだ手料理を作るのじゃ」
「はいはい。じゃあ久々に実家で作ってたアレにしようかな」
「…はいは一回で良い。何を作るか知らんが、手抜きはするなよ」
「はーい。じゃあネギとかまぼこを細切りにして、割り下作って鍋で温めてっと。煮詰まってきたら揚げ玉を入れて、その後溶き卵を入れて卵が半熟になったらご飯にかけて出来上がりっと」
「…えーっと、結構あっという間に出来たが。それは何という馳走じゃ」
「はい、これはハイカラ丼です」
「は、はいからどん?」
「別名たぬき丼とも言いますが。(ミカ様が封印された時代では)高価なかまぼこと卵をふんだんに使い、揚げ玉も入った豪勢な料理です」
「…た、確かに蒲鉾と卵は高価じゃが、何とはなしにまた騙されている気がするのじゃが気のせいか」
「気のせいですって。しかもこのかまぼこと揚げ玉はトップバ〇ュの商品ですよ」
「と、とっぷ〇りゅとは何じゃ」
「外来語ですがその名の通り最高品質の代物という意味のブランドです。ただでさえ高いかまぼこの中でも最高品質の物を使っているのですよ。もう手抜きとは言えないでしょう。さあ冷めないうちに召し上がれ」
「…わ、分かったわい。頂くとしよう。…うむ、確かに美味いな。誉めて遣わす」
「はい、ありがたき幸せ~」(あー何とかごまかせたー、僕はあとでお寿司食べよっと)
2
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる