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エピソード12 誰が魔王を殺したか
父親と愛娘と恋愛
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「な、な、何だとぉ……?」
ギャレマスは、顎が外れんばかりに大きく開いたまま、うわ言のように呟いた。
「しゅ、シュータが……シュータが、サリアの事を好き……ほ、惚れている……だと……?」
「いや……何で気付かないかなぁ?」
ジェレミィアは、愕然としているギャレマスに白けた目を向けながら、肩を竦める。
「シュータ、だいぶ見え見えだったと思うんだけど。……って言っても、あの場に居たスッチーも分かってなかったみたいだし、シュータ自身も自分の気持ちにハッキリ気付いてないっぽいから、単にアタシの勘が鋭いだけなのかもね」
そう言うと、彼女は意味深に親指を立て、片目を瞑ってみせた。
「でも、アタシの狼獣人としての……ううん、女としての勘に間違いは無いと思うよ」
そう言って自信満々に頷いたジェレミィアは、満足げに頷く。
「うん。いいんじゃない? 確かにシュータは性格がちょっと……っていうか、かなりアレなのは確かだけど、最近はちょっと丸くなってきたと思うし、サッちゃんもシュータと話してて満更でも無い感じだったし」
「……」
「サッちゃんののんびりしたところとかが、意外とシュータの性格に合うんじゃないかなって。案外とお似合いのカップルになるかも――」
「そんな訳あるかああああああああああああッ!」
ジェレミィアの言葉に、ギャレマスは目を飛び出さんばかりに剥き出しながら、激しく声を荒げた。
「しゅ、シュータとサリアがお似合いのかかかかかカップルだとッ? そ、そんな事、許せぬ! 断じて許さんぞおおおおおおっ!」
「ちょっとちょっと、落ち着きなよ、魔王さん!」
顔を朱に染め、憤然と捲し立てるギャレマスを宥めながら、ジェレミィアは苦笑を浮かべる。
「まあ、サッちゃんのお父さんとして、心配になる魔王さんの気持ちも分かるけどさ。だからって、親が子の恋愛に口出すのは無しだよ。やっぱり、ここはサッちゃん自身の気持ちを一番に考えてさ……」
「そ、それはそうかもしれぬが……だが! シュータは……あやつだけは絶対にダメだ!」
ジェレミィアの正論に一瞬揺らぎかけたギャレマスだったが、すぐさま我に返って激しく頭を振った。
「あやつの性格は、何度も嬲られ……戦った余が一番良く知っておる! あんな腐った性根の男に、我が最愛の娘を預けようなど――余が生きている内は絶対に赦さぬ! そんな事になるくらいだったら、余が自ら命を絶って、あやつを転移目的達成で強制的に元の世界に戻してやった方がマシだ!」
「命を絶つって、そんな大げさな……」
「全く大袈裟ではないわ! ……というか!」
呆れ顔のジェレミィアに血走った目を向け、ギャレマスは更に言葉を続ける。
「そもそもおかしいとは思わぬかッ? そもそも、サリアとシュータは、魔王の娘と、魔王の命を狙う勇者だぞ! 立場が違うどころの騒ぎでは無い!」
「まあ……確かにそうだけどさ……」
「それに、サリアは魔族で、シュータは人間族だ! 違う種族のふたりが結ばれたとしても、決して幸せには――」
「あれ? 魔王さんは、異種族婚に反対な感じなの?」
「あ、いや……そういう訳では無いが……」
ジェレミィアに訊き返されたギャレマスは、少し戸惑うように言葉を濁すが、すぐに眉間に皺を寄せ、険しい表情を浮かべた。
「ひゅ、人間族と魔族では、寿命が全く違うではないか! 平均寿命が三百年ほどの魔族に対して、人間族は百年も生きられぬ。普通に考えて、魔族は人間族の死を見届ける事になるのだ……」
そう言うと、彼はとても寂しげな表情を浮かべて俯く。
「愛する人に先立たれるのは、その……辛いんだぞ……」
「あ……」
唇を噛んで口ごもったギャレマスの顔を見て、彼が妻に先立たれた男やもめだった事を思い出したジェレミィアは、慌てて頭を下げた。
「その、ゴメン……。ちょっと無神経だったよ、アタシ……」
「……いや、気にするな」
弱々しい微笑を浮かべてジェレミィアに軽く手を振ったギャレマスだったが、その前の会話を思い出し、すぐに目を吊り上げる。
「……そ、それはともかく! 余は、シュータがサリアの婿になる事など、絶ッ対に許さぬ! あやつに“義父上”だの“お義父さん”だのと呼ばれるなどとても想像できぬし、考えるだけでゾッとするわ!」
「うん、確かにそうかもね……」
身をブルリと震わせるギャレマスに、ジェレミィアもうんうんと頷いた。
「シュータが、魔王さんの事をそんな風に呼ぶなんて、ありそうもないよね」
「う、うむ。そうであろう?」
「うん!」
同意を求める魔王に大きく頷いたジェレミィアは、ニッコリと笑って言葉を継ぐ。
「シュータだったら、絶対に“クソ義父”呼びだよね、絶対!」
「そ、そういう意味ィィィィッ?」
ジェレミィアの答えに、ギャレマスは大きく仰け反りながら、悲痛な叫び声を上げた。
そんな彼の事を苦笑混じりの顔で見ながら、ジェレミィアはふと思うのだった。
(……そうは言ってても、いざサッちゃんが本気でシュータと一緒になりたいって言ったら、何だかんだでオッケーしちゃうんだろうなぁ……。この親バカ魔王さんは――)
ギャレマスは、顎が外れんばかりに大きく開いたまま、うわ言のように呟いた。
「しゅ、シュータが……シュータが、サリアの事を好き……ほ、惚れている……だと……?」
「いや……何で気付かないかなぁ?」
ジェレミィアは、愕然としているギャレマスに白けた目を向けながら、肩を竦める。
「シュータ、だいぶ見え見えだったと思うんだけど。……って言っても、あの場に居たスッチーも分かってなかったみたいだし、シュータ自身も自分の気持ちにハッキリ気付いてないっぽいから、単にアタシの勘が鋭いだけなのかもね」
そう言うと、彼女は意味深に親指を立て、片目を瞑ってみせた。
「でも、アタシの狼獣人としての……ううん、女としての勘に間違いは無いと思うよ」
そう言って自信満々に頷いたジェレミィアは、満足げに頷く。
「うん。いいんじゃない? 確かにシュータは性格がちょっと……っていうか、かなりアレなのは確かだけど、最近はちょっと丸くなってきたと思うし、サッちゃんもシュータと話してて満更でも無い感じだったし」
「……」
「サッちゃんののんびりしたところとかが、意外とシュータの性格に合うんじゃないかなって。案外とお似合いのカップルになるかも――」
「そんな訳あるかああああああああああああッ!」
ジェレミィアの言葉に、ギャレマスは目を飛び出さんばかりに剥き出しながら、激しく声を荒げた。
「しゅ、シュータとサリアがお似合いのかかかかかカップルだとッ? そ、そんな事、許せぬ! 断じて許さんぞおおおおおおっ!」
「ちょっとちょっと、落ち着きなよ、魔王さん!」
顔を朱に染め、憤然と捲し立てるギャレマスを宥めながら、ジェレミィアは苦笑を浮かべる。
「まあ、サッちゃんのお父さんとして、心配になる魔王さんの気持ちも分かるけどさ。だからって、親が子の恋愛に口出すのは無しだよ。やっぱり、ここはサッちゃん自身の気持ちを一番に考えてさ……」
「そ、それはそうかもしれぬが……だが! シュータは……あやつだけは絶対にダメだ!」
ジェレミィアの正論に一瞬揺らぎかけたギャレマスだったが、すぐさま我に返って激しく頭を振った。
「あやつの性格は、何度も嬲られ……戦った余が一番良く知っておる! あんな腐った性根の男に、我が最愛の娘を預けようなど――余が生きている内は絶対に赦さぬ! そんな事になるくらいだったら、余が自ら命を絶って、あやつを転移目的達成で強制的に元の世界に戻してやった方がマシだ!」
「命を絶つって、そんな大げさな……」
「全く大袈裟ではないわ! ……というか!」
呆れ顔のジェレミィアに血走った目を向け、ギャレマスは更に言葉を続ける。
「そもそもおかしいとは思わぬかッ? そもそも、サリアとシュータは、魔王の娘と、魔王の命を狙う勇者だぞ! 立場が違うどころの騒ぎでは無い!」
「まあ……確かにそうだけどさ……」
「それに、サリアは魔族で、シュータは人間族だ! 違う種族のふたりが結ばれたとしても、決して幸せには――」
「あれ? 魔王さんは、異種族婚に反対な感じなの?」
「あ、いや……そういう訳では無いが……」
ジェレミィアに訊き返されたギャレマスは、少し戸惑うように言葉を濁すが、すぐに眉間に皺を寄せ、険しい表情を浮かべた。
「ひゅ、人間族と魔族では、寿命が全く違うではないか! 平均寿命が三百年ほどの魔族に対して、人間族は百年も生きられぬ。普通に考えて、魔族は人間族の死を見届ける事になるのだ……」
そう言うと、彼はとても寂しげな表情を浮かべて俯く。
「愛する人に先立たれるのは、その……辛いんだぞ……」
「あ……」
唇を噛んで口ごもったギャレマスの顔を見て、彼が妻に先立たれた男やもめだった事を思い出したジェレミィアは、慌てて頭を下げた。
「その、ゴメン……。ちょっと無神経だったよ、アタシ……」
「……いや、気にするな」
弱々しい微笑を浮かべてジェレミィアに軽く手を振ったギャレマスだったが、その前の会話を思い出し、すぐに目を吊り上げる。
「……そ、それはともかく! 余は、シュータがサリアの婿になる事など、絶ッ対に許さぬ! あやつに“義父上”だの“お義父さん”だのと呼ばれるなどとても想像できぬし、考えるだけでゾッとするわ!」
「うん、確かにそうかもね……」
身をブルリと震わせるギャレマスに、ジェレミィアもうんうんと頷いた。
「シュータが、魔王さんの事をそんな風に呼ぶなんて、ありそうもないよね」
「う、うむ。そうであろう?」
「うん!」
同意を求める魔王に大きく頷いたジェレミィアは、ニッコリと笑って言葉を継ぐ。
「シュータだったら、絶対に“クソ義父”呼びだよね、絶対!」
「そ、そういう意味ィィィィッ?」
ジェレミィアの答えに、ギャレマスは大きく仰け反りながら、悲痛な叫び声を上げた。
そんな彼の事を苦笑混じりの顔で見ながら、ジェレミィアはふと思うのだった。
(……そうは言ってても、いざサッちゃんが本気でシュータと一緒になりたいって言ったら、何だかんだでオッケーしちゃうんだろうなぁ……。この親バカ魔王さんは――)
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