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エピソード15 MAOH WORLD!
転生姫と父親と相似
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「しゅ、シュータか……!」
ギャレマスは、四散した雷球から皮肉げな薄笑みを浮かべている勇者シュータの顔へと目を移しながら、上ずった声を上げた。
彼は、安堵の息を吐きながら、耳に小指を突っ込んでほじっている勇者に向けて頭を下げる。
「ふう……助かったぞ、シュータ。危うく、ツカサがケガをするところであった――」
「何だよ、それッ!」
シュータに礼を言うギャレマスに突っかかったのは、ツカサだった。
険しい表情を浮かべた彼女は、ギャレマスの顔を睨みつけながら叫ぶ。
「今のウチは、アンタの敵だよ! それなのに、何でウチがケガをする事を心配してんのさッ?」
「いや……敵って……。そもそも、余はお主の事をて――」
「くくく……反抗期まっ盛りかよ、お姫様」
シュータが、ギャレマスの声を遮るように皮肉げに嗤った。
ツカサは、その嗤い声にムッとした表情を浮かべる。
自分の事を睨みつける彼女に向け、シュータはわざとらしく肩を竦めてみせた。
「おいおい、せっかく危ういところを助けてやったっていうのに、お礼の言葉ひとつ無しにガンをつけるのがヤンキー風なのか? 『特攻の〇』にも、そんな無礼な奴はいなかったような気がするけど、『BADB〇YS』とかいうマンガの方じゃ普通なのか、ええ?」
「……うっさいな!」
からかうようなシュータの言葉に怒声で返したツカサだったが、つと目を逸らすと、拗ねたような顔でぼそりと言葉を続ける。
「で、でも……まあ……助かったよ。サンキュな」
「ぷっ! 案外と素直にお礼が言えたじゃねえかよ」
ツカサが小さな声で告げたお礼の言葉に、シュータはたまらず噴き出した。
「見た目はイキッてるクセに、根っこはガチのお人好しなのが透けて見えてるぜ。そういうところ、お前の親父にそっくりだ」
「はぁッ? ……ふざけんなっ! そんな事、あってたまるかよッ!」
シュータのからかい混じりの言葉に、ツカサは異常なほどに激昂し、声を荒げる。
「あんな奴……仕事もロクにしないパチンカスのくせに女遊びにばっかり熱心で、酒を飲む度にウチやママに暴力を振るって、そのせいでママに愛想を尽かされて出て行かれちまうようなクズオヤジとウチがそっくりだなんて……そんな事、絶対に無いッ! ふざけた事を言うんじゃないよッ!」
「うわぁ……」
ツカサの金切り声を聞いたエラルティスは、思わず顔を顰めた。
「正直、最近は思っていたよりも無害な男なのかもと思いかけていましたが……結局、外では善人の仮面を被って、見えないところでは家族に手を上げるようなクソ野郎だったようですねぇ。やっぱり、品性劣悪な魔族の元締めである魔王に相応しいクズだったようで……」
「そんな事、ある訳ないでしょ!」
エラルティスの呟きに眉を吊り上げたのは、スウィッシュだった。
「誓って言うけど、陛下がサリア様やルコーナ様に向けて暴力を振るった事なんて、タダの一度も無いわ! 魔王としての激務もキチンとこなしていらっしゃるし……あの子が言うようなクズなんかじゃ断じて無いわよ!」
「……そうだな」
ファミィも、スウィッシュの言葉に同意を示す。
「私が魔王と行動を共にしていたのは、トータルでも二ヶ月あるかないかくらいだが……そんなひどい事をするような男には思えなかった。少なくとも、サリアに暴力を振るうどころか、過剰なくらいに甘やかしている、上に超が二つ三つ付くレベルの親バカだと思うぞ」
「うん、たしかに!」
ジェレミィアも、ファミィの言葉に苦笑しながら頷き、「それに……」と続けた。
「『女遊びにばっかり熱心で』っていうのもおかしいよね。だって魔王さん、めっちゃウブだもん。結局、昨日まで一緒に旅をしてたアタシに、指一本触れようとしなかったしね」
「っ!」
スウィッシュは、目を飛び出さんばかりに大きく見開きながら、ジェレミィアに問い質す。
「そ、そういえば! さっきもそんな事をチラッと言ってたけど……ホントにホントなのっ?」
「う、うん、ホントだよ……」
血相を変えて詰め寄ってくるスウィッシュに些か辟易しながら、ジェレミィアはコクンを頷いた。
「ホントに、ビックリするくらい何もしてこなかったよ、魔王さん。……実は、ちょっと残念だったりして」
「って、オォォイッ! 最後の一言、なに? 聞き捨てならないわよッ!」
「それはそれで、男としてはどうなのかと思わんでもないがのう……」
血相を変えて声を荒げるスウィッシュをよそに、ヴァートスは羨望と嫉妬と呆れが入り混じった表情を浮かべる。
そして、ふと難しい顔になり、顎髭をしごきながら言葉を継いだ。
「恐らく……今、あの転生者のお嬢ちゃんが口にした“クズオヤジ”というのは、ギャレの字とは別の者の事じゃろうな」
「別の者? ……あっ!」
ヴァートスの言葉を聞いたスウィッシュが、ハッとした顔をして小さく声を上げた。
「それってつまり……ツカサがこの世界に転生する前に生きていた世界で父親だった人……ですか?」
「多分な」
スウィッシュの答えに、ヴァートスは小さく頷き、それからフッと表情を曇らせた。
「女好きにパチンコ狂いに家庭内暴力の満貫毒父か……そりゃ、グレるのも当たり前じゃのう……」
そう呟いた老エルフは、小さく嘆息する。
「どうやら……毒親のせいで恵まれなかった前世の分まで今世では報われたいと希う強い気持ちが、今の転生者のお嬢ちゃんの人格を支える原動力になっておるようじゃのう……」
ヴァートスは、しきりに白髯をしごきながら、難しい顔をして考え込んだ。
「ふむ……これは思っていた以上に、お嬢ちゃんを取り戻すのは骨が折れそうじゃぞ、ギャレの字よ……」
ギャレマスは、四散した雷球から皮肉げな薄笑みを浮かべている勇者シュータの顔へと目を移しながら、上ずった声を上げた。
彼は、安堵の息を吐きながら、耳に小指を突っ込んでほじっている勇者に向けて頭を下げる。
「ふう……助かったぞ、シュータ。危うく、ツカサがケガをするところであった――」
「何だよ、それッ!」
シュータに礼を言うギャレマスに突っかかったのは、ツカサだった。
険しい表情を浮かべた彼女は、ギャレマスの顔を睨みつけながら叫ぶ。
「今のウチは、アンタの敵だよ! それなのに、何でウチがケガをする事を心配してんのさッ?」
「いや……敵って……。そもそも、余はお主の事をて――」
「くくく……反抗期まっ盛りかよ、お姫様」
シュータが、ギャレマスの声を遮るように皮肉げに嗤った。
ツカサは、その嗤い声にムッとした表情を浮かべる。
自分の事を睨みつける彼女に向け、シュータはわざとらしく肩を竦めてみせた。
「おいおい、せっかく危ういところを助けてやったっていうのに、お礼の言葉ひとつ無しにガンをつけるのがヤンキー風なのか? 『特攻の〇』にも、そんな無礼な奴はいなかったような気がするけど、『BADB〇YS』とかいうマンガの方じゃ普通なのか、ええ?」
「……うっさいな!」
からかうようなシュータの言葉に怒声で返したツカサだったが、つと目を逸らすと、拗ねたような顔でぼそりと言葉を続ける。
「で、でも……まあ……助かったよ。サンキュな」
「ぷっ! 案外と素直にお礼が言えたじゃねえかよ」
ツカサが小さな声で告げたお礼の言葉に、シュータはたまらず噴き出した。
「見た目はイキッてるクセに、根っこはガチのお人好しなのが透けて見えてるぜ。そういうところ、お前の親父にそっくりだ」
「はぁッ? ……ふざけんなっ! そんな事、あってたまるかよッ!」
シュータのからかい混じりの言葉に、ツカサは異常なほどに激昂し、声を荒げる。
「あんな奴……仕事もロクにしないパチンカスのくせに女遊びにばっかり熱心で、酒を飲む度にウチやママに暴力を振るって、そのせいでママに愛想を尽かされて出て行かれちまうようなクズオヤジとウチがそっくりだなんて……そんな事、絶対に無いッ! ふざけた事を言うんじゃないよッ!」
「うわぁ……」
ツカサの金切り声を聞いたエラルティスは、思わず顔を顰めた。
「正直、最近は思っていたよりも無害な男なのかもと思いかけていましたが……結局、外では善人の仮面を被って、見えないところでは家族に手を上げるようなクソ野郎だったようですねぇ。やっぱり、品性劣悪な魔族の元締めである魔王に相応しいクズだったようで……」
「そんな事、ある訳ないでしょ!」
エラルティスの呟きに眉を吊り上げたのは、スウィッシュだった。
「誓って言うけど、陛下がサリア様やルコーナ様に向けて暴力を振るった事なんて、タダの一度も無いわ! 魔王としての激務もキチンとこなしていらっしゃるし……あの子が言うようなクズなんかじゃ断じて無いわよ!」
「……そうだな」
ファミィも、スウィッシュの言葉に同意を示す。
「私が魔王と行動を共にしていたのは、トータルでも二ヶ月あるかないかくらいだが……そんなひどい事をするような男には思えなかった。少なくとも、サリアに暴力を振るうどころか、過剰なくらいに甘やかしている、上に超が二つ三つ付くレベルの親バカだと思うぞ」
「うん、たしかに!」
ジェレミィアも、ファミィの言葉に苦笑しながら頷き、「それに……」と続けた。
「『女遊びにばっかり熱心で』っていうのもおかしいよね。だって魔王さん、めっちゃウブだもん。結局、昨日まで一緒に旅をしてたアタシに、指一本触れようとしなかったしね」
「っ!」
スウィッシュは、目を飛び出さんばかりに大きく見開きながら、ジェレミィアに問い質す。
「そ、そういえば! さっきもそんな事をチラッと言ってたけど……ホントにホントなのっ?」
「う、うん、ホントだよ……」
血相を変えて詰め寄ってくるスウィッシュに些か辟易しながら、ジェレミィアはコクンを頷いた。
「ホントに、ビックリするくらい何もしてこなかったよ、魔王さん。……実は、ちょっと残念だったりして」
「って、オォォイッ! 最後の一言、なに? 聞き捨てならないわよッ!」
「それはそれで、男としてはどうなのかと思わんでもないがのう……」
血相を変えて声を荒げるスウィッシュをよそに、ヴァートスは羨望と嫉妬と呆れが入り混じった表情を浮かべる。
そして、ふと難しい顔になり、顎髭をしごきながら言葉を継いだ。
「恐らく……今、あの転生者のお嬢ちゃんが口にした“クズオヤジ”というのは、ギャレの字とは別の者の事じゃろうな」
「別の者? ……あっ!」
ヴァートスの言葉を聞いたスウィッシュが、ハッとした顔をして小さく声を上げた。
「それってつまり……ツカサがこの世界に転生する前に生きていた世界で父親だった人……ですか?」
「多分な」
スウィッシュの答えに、ヴァートスは小さく頷き、それからフッと表情を曇らせた。
「女好きにパチンコ狂いに家庭内暴力の満貫毒父か……そりゃ、グレるのも当たり前じゃのう……」
そう呟いた老エルフは、小さく嘆息する。
「どうやら……毒親のせいで恵まれなかった前世の分まで今世では報われたいと希う強い気持ちが、今の転生者のお嬢ちゃんの人格を支える原動力になっておるようじゃのう……」
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