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エピソード16 魔王と円卓の勇士たち
姫と肉餅挟み込みパンと照り焼きバーガー
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アルトゥーとファミィの結婚が許された事で、おめでたい雰囲気で満ちた大広間の大扉が、突然大きく開け放たれた。
「は――い! みんなぁ、お・ま・た・せ♪」
そんな艶っぽいハンサムボイスを上げながら入って来たのは、いつもの黒のボディスーツの上に花柄のエプロンをかけたマッツコーだった。
「メインディッシュのご登場よぉ~ん♪」
そう高らかに宣いながら進む彼の後ろから、こちらも可愛らしいクマさん柄のエプロンを窮屈そうに胸にかけたイータツが、大きなクローシュが被せられた銀盆がいくつも載ったワゴンカートを押して続く。
そして――さらにその後ろから、
「みんな、出来たよ~!」
と、ピンクのロングドレスの上にフリルの付いた白のエプロンを着けたサリアが、満面の笑みを浮かべながら入ってきた。
「わぁ~っ! 待ってましたぁ!」
彼女たちが入ってくるのを見たジェレミィアが、目を輝かせながら歓声を上げる。
「……!」
円卓に座っていたシュータも、入ってきたサリアの姿を見て、思わず口元を緩めた。
そんな彼に向けて軽く手を振ったサリアは、イータツが押してきたワゴンカートの上の銀盆を運び、イータツとマッツコーと一緒になって円卓の上に並べる。
クローシュを並べ終えたサリアは、エプロンの前で両手を重ね、席についた一同に向けて深々と一礼した。
そして、顔を上げた彼女は、はにかみ笑いを浮かべながら、「えーと……」と話し始める。
「あの……今日は、サリアの無事をお祝いする為に集まってもらって……そして、サリアとつーちゃんの為に頑張ってくれて、本当にありがとうございました! そんなみんなに少しでも恩返しをしようと思って、頑張って作ったので、いっぱい食べて下さい!」
その彼女の言葉に合わせるように、マッツコーとイータツが銀盆に被せられたクローシュを一斉に開けた。
露わになった銀盆の上に山盛りで載っていたのは――紙で包まれた、いくつもの丸い何かだった。
「うわぁ~! 美味しそう~!」
それを見たジェレミィアが、思わず口の端から涎を滴らせる。
と、そんな彼女の肩を、横に座ったファミィがつついた。
「……ん? どうしたの?」
「ジェレミィア……これは、一体何だ……?」
訊き返すジェレミィアに、ファミィが声を潜めて尋ねる。
「私が見た事の無い料理? ……なのだけれど……知ってるか?」
「あぁ、そういえば、ファミィはまだ食べた事が無いんだったな」
銀盆からその丸いものをふたつ取り、ひとつを彼女に渡しながら、アルトゥーが答えた。
「これが、この前話した、“肉餅挟み込みパン”だ」
「あぁ……!」
アルトゥーの言葉に、いつぞや森の中で交わした会話を思い出したファミィは、渡された紙包みに目を落とす。
「確か……パンの中に肉餅や野菜を挟んだ、サリアの料理――」
「……あれ?」
と、ファミィの言葉を遮るように声を上げたのは、スウィッシュだった。
彼女は、開いた紙包みの中から覗く“肉餅挟み込みパン”を見て、訝しげに首を傾げる。
「確かに似てるけど……微妙にアヴァーシで食べたものとは違ってるような……」
「えへへー。スーちゃん、気付いた?」
スウィッシュの呟きを聞いたサリアが、したり顔で言った。
彼女は、スウィッシュが取った方の銀盆を指さしながら、「実はね……」と言葉を継ぐ。
「こっちのお盆の方は、サリアが作ったんじゃないの!」
「え、そうなんですか?」
サリアの答えに、スウィッシュは目を丸くし、更に尋ねた。
「じゃあ……一体誰が――」
「――ウチだよ」
スウィッシュの問いに答えたサリアの声は、まるで人が変わったかのよう……いや、変わっていた。
「そっちの盆に載ってる方は、サリアじゃなくてウチが作った、ホンモノのミックの味を忠実に再現した“照り焼きバーガー”さ!」
「あ……あなたは――!」
彼女の声を聞いたスウィッシュが、上ずった声で叫んだ。
「つ、ツカサっ?」
「ふふふ、何を驚いてるんだい?」
驚くスウィッシュの反応に、サリア……もとい、ツカサ・カドヤ改め、ツカサ・ギャレマスは満足げにクスクス笑う。
「たった一日で忘れちまったのかい? この体には、サリアとウチのふたつの人格が同居してるって」
「い、いや……それは知ってるけど……!」
ツカサの言葉に、スウィッシュは頬を膨らませた。
「だからって、いきなり交代しないでよ! ビックリするじゃない!」
「――えへへ、ごめんなさい、スーちゃん。ちょっとビックリさせたくって……」
「って……こ、今度はサリア様の方なんですかッ? だ、だから……急に代わらないで下さいって……」
瞬時に入れ替わり、困り笑いを浮かべながら謝るサリアを前にしてたじたじとなるスウィッシュ。
そんなふたりのやり取りを微笑みながら見ていたギャレマスは、ゴホンと咳払いをして、サリアに尋ねた。
「では……この、もうひとつの銀盆に載っている方が、サリアの作った“肉餅挟み込みパン”という事か?」
「はい!」
ギャレマスの問いかけに嬉しそうな顔で答えたサリアは、腕を伸ばして自分が作った“肉餅挟み込みパン”を取り、父に手渡す。
そして、自慢げに胸を反らしながら高らかに言った。
「サリアが作ったこの“肉餅挟み込みパン”と、つーちゃんが作った“てりやきばあがあ”……同じようで結構違ってるので、是非、ふたつを食べ比べてみて下さいねっ!」
「は――い! みんなぁ、お・ま・た・せ♪」
そんな艶っぽいハンサムボイスを上げながら入って来たのは、いつもの黒のボディスーツの上に花柄のエプロンをかけたマッツコーだった。
「メインディッシュのご登場よぉ~ん♪」
そう高らかに宣いながら進む彼の後ろから、こちらも可愛らしいクマさん柄のエプロンを窮屈そうに胸にかけたイータツが、大きなクローシュが被せられた銀盆がいくつも載ったワゴンカートを押して続く。
そして――さらにその後ろから、
「みんな、出来たよ~!」
と、ピンクのロングドレスの上にフリルの付いた白のエプロンを着けたサリアが、満面の笑みを浮かべながら入ってきた。
「わぁ~っ! 待ってましたぁ!」
彼女たちが入ってくるのを見たジェレミィアが、目を輝かせながら歓声を上げる。
「……!」
円卓に座っていたシュータも、入ってきたサリアの姿を見て、思わず口元を緩めた。
そんな彼に向けて軽く手を振ったサリアは、イータツが押してきたワゴンカートの上の銀盆を運び、イータツとマッツコーと一緒になって円卓の上に並べる。
クローシュを並べ終えたサリアは、エプロンの前で両手を重ね、席についた一同に向けて深々と一礼した。
そして、顔を上げた彼女は、はにかみ笑いを浮かべながら、「えーと……」と話し始める。
「あの……今日は、サリアの無事をお祝いする為に集まってもらって……そして、サリアとつーちゃんの為に頑張ってくれて、本当にありがとうございました! そんなみんなに少しでも恩返しをしようと思って、頑張って作ったので、いっぱい食べて下さい!」
その彼女の言葉に合わせるように、マッツコーとイータツが銀盆に被せられたクローシュを一斉に開けた。
露わになった銀盆の上に山盛りで載っていたのは――紙で包まれた、いくつもの丸い何かだった。
「うわぁ~! 美味しそう~!」
それを見たジェレミィアが、思わず口の端から涎を滴らせる。
と、そんな彼女の肩を、横に座ったファミィがつついた。
「……ん? どうしたの?」
「ジェレミィア……これは、一体何だ……?」
訊き返すジェレミィアに、ファミィが声を潜めて尋ねる。
「私が見た事の無い料理? ……なのだけれど……知ってるか?」
「あぁ、そういえば、ファミィはまだ食べた事が無いんだったな」
銀盆からその丸いものをふたつ取り、ひとつを彼女に渡しながら、アルトゥーが答えた。
「これが、この前話した、“肉餅挟み込みパン”だ」
「あぁ……!」
アルトゥーの言葉に、いつぞや森の中で交わした会話を思い出したファミィは、渡された紙包みに目を落とす。
「確か……パンの中に肉餅や野菜を挟んだ、サリアの料理――」
「……あれ?」
と、ファミィの言葉を遮るように声を上げたのは、スウィッシュだった。
彼女は、開いた紙包みの中から覗く“肉餅挟み込みパン”を見て、訝しげに首を傾げる。
「確かに似てるけど……微妙にアヴァーシで食べたものとは違ってるような……」
「えへへー。スーちゃん、気付いた?」
スウィッシュの呟きを聞いたサリアが、したり顔で言った。
彼女は、スウィッシュが取った方の銀盆を指さしながら、「実はね……」と言葉を継ぐ。
「こっちのお盆の方は、サリアが作ったんじゃないの!」
「え、そうなんですか?」
サリアの答えに、スウィッシュは目を丸くし、更に尋ねた。
「じゃあ……一体誰が――」
「――ウチだよ」
スウィッシュの問いに答えたサリアの声は、まるで人が変わったかのよう……いや、変わっていた。
「そっちの盆に載ってる方は、サリアじゃなくてウチが作った、ホンモノのミックの味を忠実に再現した“照り焼きバーガー”さ!」
「あ……あなたは――!」
彼女の声を聞いたスウィッシュが、上ずった声で叫んだ。
「つ、ツカサっ?」
「ふふふ、何を驚いてるんだい?」
驚くスウィッシュの反応に、サリア……もとい、ツカサ・カドヤ改め、ツカサ・ギャレマスは満足げにクスクス笑う。
「たった一日で忘れちまったのかい? この体には、サリアとウチのふたつの人格が同居してるって」
「い、いや……それは知ってるけど……!」
ツカサの言葉に、スウィッシュは頬を膨らませた。
「だからって、いきなり交代しないでよ! ビックリするじゃない!」
「――えへへ、ごめんなさい、スーちゃん。ちょっとビックリさせたくって……」
「って……こ、今度はサリア様の方なんですかッ? だ、だから……急に代わらないで下さいって……」
瞬時に入れ替わり、困り笑いを浮かべながら謝るサリアを前にしてたじたじとなるスウィッシュ。
そんなふたりのやり取りを微笑みながら見ていたギャレマスは、ゴホンと咳払いをして、サリアに尋ねた。
「では……この、もうひとつの銀盆に載っている方が、サリアの作った“肉餅挟み込みパン”という事か?」
「はい!」
ギャレマスの問いかけに嬉しそうな顔で答えたサリアは、腕を伸ばして自分が作った“肉餅挟み込みパン”を取り、父に手渡す。
そして、自慢げに胸を反らしながら高らかに言った。
「サリアが作ったこの“肉餅挟み込みパン”と、つーちゃんが作った“てりやきばあがあ”……同じようで結構違ってるので、是非、ふたつを食べ比べてみて下さいねっ!」
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