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エピソード2 魔王はつらいよ
魔王と娘と空気
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「大丈夫ですか、お父様!」
颯爽と上空から降下してきて、ちょうどギャレマスを護るかのようにシュータの前に立ち塞がったサリアは、地に伏した父へ背中越しに声をかけた。
「な……何をしておるのだ、サリアよ!」
だが、ギャレマスは、娘の問いかけに答える代わりに、焦燥で声を上ずらせながら叱責した。
「何故、空から降りて来た! 危険だから、遠くで見ておれと申しておったであろう! よりにもよって、この状況で……」
「この状況だからこそです!」
ギャレマスの言葉に、サリアは眉を吊り上げ、興奮した様子で反駁する。
「お父様が勇者相手に苦戦なさっているというのに、安全なところで大人しく見ていられる程、サリアは愚かでも臆病でもございませぬ!」
「……っ!」
「このサリア・ギャレマス――お父様の娘としてではなく、ひとりの魔族の戦士として、魔王陛下をお助けいたします!」
「さ……サリア……っ!」
凛とした声で言い放ったサリアを見上げながら、ギャレマスは地面にのめり込んだまま、思わず咽び泣いた。いつまで経っても子どもだと思っていた愛娘が、いつの間にか一人前の口を利くようになっていた事が、この上なく嬉しい。
出来る事なら、今すぐ立ち上がって、娘の身体を固く抱きしめてやりたい――そんな衝動に駆られる。
だが――、
「や……やはりイカン! お前の言葉は頼もしく、喜ばしくもあるが、今は相手が悪すぎる!」
衝動とは裏腹に、超重力によって身じろぎも出来ない己の身体と、サリアと対峙している黒髪の勇者の姿が視界に入った瞬間、ギャレマスは現実を思い出し、必死に声を張り上げた。
「余の事は捨て置け! お前は、攻め上ってくるイータツとスウィッシュの元に行き、速やかに退却するよう伝えるのだ!」
「そ……そんな! そんな……お父様を見捨てるような真似、サリアはもちろん、スーちゃんやイータツも出来るはずがないでしょう!」
「だ、だが……このままでは――」
「……おい」
興奮しながら捲し立てるギャレマスとサリアの会話を、押し殺した低い声が遮った。
「「――ッ!」」
ギャレマスとサリアが、ハッとした表情を顔に浮かべて、声の主の方に視線を向ける。
「テメエら……俺の事をガン無視して、勝手に話をしてるんじゃねえよ……!」
「しゅ、シュータ……!」
シュータの眉間に刻まれた深い皺を見たギャレマスは、彼が明らかに機嫌を損ねている事を察して、その顔を青ざめさせる。
だが、サリアの方は、その紅玉の如き瞳をギラギラと輝かせながらシュータの事を睨みつけ、激情を抑えるようにゆっくりと口を開いた。
「勇者シュータ――」
「……おう……何だよ?」
サリアに睨みつけられたシュータは、険しい表情を更に厳しくさせながら、静かな声で応じる。
ふたりの間の空気が、みるみる絹糸のように張りつめていく。
――と、その時、
「――はじめまして。真誓魔王国王イラ・ギャレマスの娘にして第一王女、サリア・ギャレマスと申します。どうぞ、お見知りおき下さいませ」
「お、おおおおぉっ?」
おもむろにローブの裾を摘まみ、まるで舞踏会のダンスの誘いを受けるようにちょこんとお辞儀をしたサリアを前に、シュータは思わずズッコケた。
「……あら? どうかなさいました?」
そんな彼のリアクションに、サリアは怪訝そうに首を傾げる。
「ど……『どうかなさいました』じゃ、ねえよ!」
慌てて足を踏ん張り、体勢を持ち直したシュータは、顔を引き攣らせながら声を荒げた。
「ど、どう考えても、これからガチのシリアスシーンにいく感じの空気だっただろうが! それを、なに呑気に挨拶してんだよ、お前は!」
「え? だって……」
シュータの抗議の声に、サリアはキョトンとした顔で目をパチクリさせながら答える。
「それは……『初対面の人と会ったら、まずは丁寧にご挨拶しなさい』って、お母様から言われていたので……」
「……はぁ?」
緊迫した戦場の空気とはあまりにもかけ離れた答えに、シュータの目は点になった。
彼は、困った様な顔でボリボリと頭を掻くと、地べたに埋もれたままのギャレマスを睨みつける。
「……ちょっとさあ! この娘のせいで、シリアスな雰囲気とかが色々台無しなんですけどぉっ! この空気、どうしてくれるんですかねぇ、責任者としてさぁ~?」
「あ……」
シュータにクレームをぶつけられたギャレマスも、困惑の表情を浮かべた。
突然のサリアの行動に戸惑っていたのは、ギャレマスもまた同じではあったのだが、それを“宿敵”である勇者からなじられる事に、些か理不尽さを感じなくもない。
だが……、
「ええと……その……すまぬ」
取り敢えず、“責任者”……いや、“親”として、ギャレマスは謙虚に謝罪の言葉を述べた。これが、オトナの対応である。
「はぁ~……」
ギャレマスの詫びに、シュータは再び頭を掻きながら、大きな溜息を吐いた。
――と、
「……ん?」
シュータは、何かに思い当たったような表情を浮かべると、
「つうか――」
と呟きながら、ギャレマスとサリアの顔を交互に指さしながら首を傾げた。
「あれ? 娘……? 第一王女? じゃ、お前ら……親子なの?」
「そうですけど、それが何か?」
「あ、いや……」
頷くサリアと地面に埋まったギャレマスのふたりをしげしげと眺めたシュータは、ぼそりと呟く。
「本物の魔王の娘って、日本で読んでたラノベとは違って、ごっつい系で強面の筋肉女が出て来るオチなんだろうなぁって想像してたんだけど、まさかラノベそのまんまな感じのが出てくるとは逆に思ってなくってさ。ちょっとビックリした」
「らのべ……?」
「あぁ……こっちには無いのか、ラノベ。――俺が元々いた世界で流行ってた小説のジャンルだよ」
そう言うと、シュータはサリアのローブ姿を頭からつま先まで見て、残念そうに言葉を続けた。
「もっとも、ラノベの方の“魔王の娘”は、そんな暑苦しい服装の奴はほとんど居なかったな。もっと際どい……下着一枚みたいなエロい格好してるキャラが多かったぜ」
「し……下着一枚ッ?」
シュータの言葉に、裏返った声を上げたのはギャレマスだった。
彼は、目を飛び出さんばかりにひん剥きながら、シュータに向かって怒りの声を上げる。
「し、下着一枚などという破廉恥な格好を、自分の娘にさせる親が居るか! き、キサマの居た世界は、どこまで卑猥で野蛮で非常識なのだ!」
「だーっ! 勘違いすんな! それはあくまでも架空の物語の中での話だよ! 現実でじゃねえっ!」
取り乱す魔王を苛立ちながら一喝したシュータは、再びサリアの方に目を移す。
シュータの視線を感じた瞬間、サリアは怯えた表情を浮かべて、固くその身を縮こませた。
「きゃっ、そんないやらしい目で見ないで下さい! サリアは、ちゃんと服を着ていますからぁっ!」
「だっ、だーかーらーっ! 勘違いするなってんだよ! 俺はただ、お前のステータスを確認してやろうとしてるだけだよ!」
恥じらうサリアに辟易しながら、シュータは目を眇める。
先ほどと同じように、彼の瞳が金色に輝き始めた。
「ほら、見えてきた見えてき――」
「きゃああああっ! 何が見えてきたんですか? ……も、もしかして、ローブの中身を透視して、サリアのあんな所やこんな所を……!」
「なッ! しゅ、シュータぁ! 余の娘に妙な真似をしてみろ! この魔王ギャレマス、命に代えてもキサマを――」
「あ―ッ! うっせえな、この似た者親子! さすがに俺も、透視チートまでは持ってねえよ! もしも持ってたら、とっくに使いまくっとるわ!」
「えぇ……」
「……最ッ低ですわね……」
シュータの正直すぎる発言に、味方であるはずのファミィとエラルティスすらドン引きする。
その非難の声を耳にしたシュータが、地団駄を踏みながら逆ギレする。
「あーもうッ! 俺はステータスを確認してるだけだっつってんだろうがぁ! どいつもこいつも、気が散るから黙ってろぉ!」
「「「「はい、すみませんでした」」」」
シュータの激しい剣幕に、思わず四人は声を合わせて謝罪した。
ようやく静かになった事を確認したシュータは、苛立たしげに大きく溜息を吐くと、金色に変わった瞳で、サリアの頭の上を凝視する。
と、すぐにその顔に失笑を浮かべた。
「……何だよ。魔王の娘だって言うから、どれほどの力を秘めてるんだと思ったら、全然大した事ねえじゃねえかよ。MPだけはそこそこ多いが、HPや攻撃力は一般の魔族と同じか、むしろ一段劣るぐらい……」
サリアの頭上に目を凝らしながら、そんな事をブツブツ呟いていたシュータだったが、
「……ん?」
ふと、その声が止まる。
そして、「……ウソだろ?」と呟きながら、眉間に皺を寄せ、もっとよく見ようとするように、その身を乗り出した。
「……何だ? どうした?」
シュータの様子の変化に気付いたギャレマスが、訝しげに尋ねかける。
だが、シュータは魔王の声が聞こえていない様子で、サリアの頭上に表示されているらしい表示に向けて目を凝らした。
そして――突然、その顔が驚愕で歪む。
「な――ッ?」
シュータは、目を飛び出さんばかりに見開きながら、無意識に後ずさりし、呆然とした表情でサリアの顔を凝視した。
「何だよお前……、そのステータスは……ッ!」
「え……?」
言葉の意味が解らず、キョトンとした表情を浮かべるサリア。
そんな彼女に向けて、信じられないものを見たかのような顔をしたシュータは、激しく取り乱しながら叫ぶ。
「う……『うんのよさ』999と『うんのわるさ』864って……? な、何だよ、その両極端で桁違いな数値はよおぉぉッ?」
颯爽と上空から降下してきて、ちょうどギャレマスを護るかのようにシュータの前に立ち塞がったサリアは、地に伏した父へ背中越しに声をかけた。
「な……何をしておるのだ、サリアよ!」
だが、ギャレマスは、娘の問いかけに答える代わりに、焦燥で声を上ずらせながら叱責した。
「何故、空から降りて来た! 危険だから、遠くで見ておれと申しておったであろう! よりにもよって、この状況で……」
「この状況だからこそです!」
ギャレマスの言葉に、サリアは眉を吊り上げ、興奮した様子で反駁する。
「お父様が勇者相手に苦戦なさっているというのに、安全なところで大人しく見ていられる程、サリアは愚かでも臆病でもございませぬ!」
「……っ!」
「このサリア・ギャレマス――お父様の娘としてではなく、ひとりの魔族の戦士として、魔王陛下をお助けいたします!」
「さ……サリア……っ!」
凛とした声で言い放ったサリアを見上げながら、ギャレマスは地面にのめり込んだまま、思わず咽び泣いた。いつまで経っても子どもだと思っていた愛娘が、いつの間にか一人前の口を利くようになっていた事が、この上なく嬉しい。
出来る事なら、今すぐ立ち上がって、娘の身体を固く抱きしめてやりたい――そんな衝動に駆られる。
だが――、
「や……やはりイカン! お前の言葉は頼もしく、喜ばしくもあるが、今は相手が悪すぎる!」
衝動とは裏腹に、超重力によって身じろぎも出来ない己の身体と、サリアと対峙している黒髪の勇者の姿が視界に入った瞬間、ギャレマスは現実を思い出し、必死に声を張り上げた。
「余の事は捨て置け! お前は、攻め上ってくるイータツとスウィッシュの元に行き、速やかに退却するよう伝えるのだ!」
「そ……そんな! そんな……お父様を見捨てるような真似、サリアはもちろん、スーちゃんやイータツも出来るはずがないでしょう!」
「だ、だが……このままでは――」
「……おい」
興奮しながら捲し立てるギャレマスとサリアの会話を、押し殺した低い声が遮った。
「「――ッ!」」
ギャレマスとサリアが、ハッとした表情を顔に浮かべて、声の主の方に視線を向ける。
「テメエら……俺の事をガン無視して、勝手に話をしてるんじゃねえよ……!」
「しゅ、シュータ……!」
シュータの眉間に刻まれた深い皺を見たギャレマスは、彼が明らかに機嫌を損ねている事を察して、その顔を青ざめさせる。
だが、サリアの方は、その紅玉の如き瞳をギラギラと輝かせながらシュータの事を睨みつけ、激情を抑えるようにゆっくりと口を開いた。
「勇者シュータ――」
「……おう……何だよ?」
サリアに睨みつけられたシュータは、険しい表情を更に厳しくさせながら、静かな声で応じる。
ふたりの間の空気が、みるみる絹糸のように張りつめていく。
――と、その時、
「――はじめまして。真誓魔王国王イラ・ギャレマスの娘にして第一王女、サリア・ギャレマスと申します。どうぞ、お見知りおき下さいませ」
「お、おおおおぉっ?」
おもむろにローブの裾を摘まみ、まるで舞踏会のダンスの誘いを受けるようにちょこんとお辞儀をしたサリアを前に、シュータは思わずズッコケた。
「……あら? どうかなさいました?」
そんな彼のリアクションに、サリアは怪訝そうに首を傾げる。
「ど……『どうかなさいました』じゃ、ねえよ!」
慌てて足を踏ん張り、体勢を持ち直したシュータは、顔を引き攣らせながら声を荒げた。
「ど、どう考えても、これからガチのシリアスシーンにいく感じの空気だっただろうが! それを、なに呑気に挨拶してんだよ、お前は!」
「え? だって……」
シュータの抗議の声に、サリアはキョトンとした顔で目をパチクリさせながら答える。
「それは……『初対面の人と会ったら、まずは丁寧にご挨拶しなさい』って、お母様から言われていたので……」
「……はぁ?」
緊迫した戦場の空気とはあまりにもかけ離れた答えに、シュータの目は点になった。
彼は、困った様な顔でボリボリと頭を掻くと、地べたに埋もれたままのギャレマスを睨みつける。
「……ちょっとさあ! この娘のせいで、シリアスな雰囲気とかが色々台無しなんですけどぉっ! この空気、どうしてくれるんですかねぇ、責任者としてさぁ~?」
「あ……」
シュータにクレームをぶつけられたギャレマスも、困惑の表情を浮かべた。
突然のサリアの行動に戸惑っていたのは、ギャレマスもまた同じではあったのだが、それを“宿敵”である勇者からなじられる事に、些か理不尽さを感じなくもない。
だが……、
「ええと……その……すまぬ」
取り敢えず、“責任者”……いや、“親”として、ギャレマスは謙虚に謝罪の言葉を述べた。これが、オトナの対応である。
「はぁ~……」
ギャレマスの詫びに、シュータは再び頭を掻きながら、大きな溜息を吐いた。
――と、
「……ん?」
シュータは、何かに思い当たったような表情を浮かべると、
「つうか――」
と呟きながら、ギャレマスとサリアの顔を交互に指さしながら首を傾げた。
「あれ? 娘……? 第一王女? じゃ、お前ら……親子なの?」
「そうですけど、それが何か?」
「あ、いや……」
頷くサリアと地面に埋まったギャレマスのふたりをしげしげと眺めたシュータは、ぼそりと呟く。
「本物の魔王の娘って、日本で読んでたラノベとは違って、ごっつい系で強面の筋肉女が出て来るオチなんだろうなぁって想像してたんだけど、まさかラノベそのまんまな感じのが出てくるとは逆に思ってなくってさ。ちょっとビックリした」
「らのべ……?」
「あぁ……こっちには無いのか、ラノベ。――俺が元々いた世界で流行ってた小説のジャンルだよ」
そう言うと、シュータはサリアのローブ姿を頭からつま先まで見て、残念そうに言葉を続けた。
「もっとも、ラノベの方の“魔王の娘”は、そんな暑苦しい服装の奴はほとんど居なかったな。もっと際どい……下着一枚みたいなエロい格好してるキャラが多かったぜ」
「し……下着一枚ッ?」
シュータの言葉に、裏返った声を上げたのはギャレマスだった。
彼は、目を飛び出さんばかりにひん剥きながら、シュータに向かって怒りの声を上げる。
「し、下着一枚などという破廉恥な格好を、自分の娘にさせる親が居るか! き、キサマの居た世界は、どこまで卑猥で野蛮で非常識なのだ!」
「だーっ! 勘違いすんな! それはあくまでも架空の物語の中での話だよ! 現実でじゃねえっ!」
取り乱す魔王を苛立ちながら一喝したシュータは、再びサリアの方に目を移す。
シュータの視線を感じた瞬間、サリアは怯えた表情を浮かべて、固くその身を縮こませた。
「きゃっ、そんないやらしい目で見ないで下さい! サリアは、ちゃんと服を着ていますからぁっ!」
「だっ、だーかーらーっ! 勘違いするなってんだよ! 俺はただ、お前のステータスを確認してやろうとしてるだけだよ!」
恥じらうサリアに辟易しながら、シュータは目を眇める。
先ほどと同じように、彼の瞳が金色に輝き始めた。
「ほら、見えてきた見えてき――」
「きゃああああっ! 何が見えてきたんですか? ……も、もしかして、ローブの中身を透視して、サリアのあんな所やこんな所を……!」
「なッ! しゅ、シュータぁ! 余の娘に妙な真似をしてみろ! この魔王ギャレマス、命に代えてもキサマを――」
「あ―ッ! うっせえな、この似た者親子! さすがに俺も、透視チートまでは持ってねえよ! もしも持ってたら、とっくに使いまくっとるわ!」
「えぇ……」
「……最ッ低ですわね……」
シュータの正直すぎる発言に、味方であるはずのファミィとエラルティスすらドン引きする。
その非難の声を耳にしたシュータが、地団駄を踏みながら逆ギレする。
「あーもうッ! 俺はステータスを確認してるだけだっつってんだろうがぁ! どいつもこいつも、気が散るから黙ってろぉ!」
「「「「はい、すみませんでした」」」」
シュータの激しい剣幕に、思わず四人は声を合わせて謝罪した。
ようやく静かになった事を確認したシュータは、苛立たしげに大きく溜息を吐くと、金色に変わった瞳で、サリアの頭の上を凝視する。
と、すぐにその顔に失笑を浮かべた。
「……何だよ。魔王の娘だって言うから、どれほどの力を秘めてるんだと思ったら、全然大した事ねえじゃねえかよ。MPだけはそこそこ多いが、HPや攻撃力は一般の魔族と同じか、むしろ一段劣るぐらい……」
サリアの頭上に目を凝らしながら、そんな事をブツブツ呟いていたシュータだったが、
「……ん?」
ふと、その声が止まる。
そして、「……ウソだろ?」と呟きながら、眉間に皺を寄せ、もっとよく見ようとするように、その身を乗り出した。
「……何だ? どうした?」
シュータの様子の変化に気付いたギャレマスが、訝しげに尋ねかける。
だが、シュータは魔王の声が聞こえていない様子で、サリアの頭上に表示されているらしい表示に向けて目を凝らした。
そして――突然、その顔が驚愕で歪む。
「な――ッ?」
シュータは、目を飛び出さんばかりに見開きながら、無意識に後ずさりし、呆然とした表情でサリアの顔を凝視した。
「何だよお前……、そのステータスは……ッ!」
「え……?」
言葉の意味が解らず、キョトンとした表情を浮かべるサリア。
そんな彼女に向けて、信じられないものを見たかのような顔をしたシュータは、激しく取り乱しながら叫ぶ。
「う……『うんのよさ』999と『うんのわるさ』864って……? な、何だよ、その両極端で桁違いな数値はよおぉぉッ?」
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