107 / 423
エピソード5 マオー来訪者
魔王と憤怒と悶絶
しおりを挟む
「な、何だとッ?」
宿屋に帰ったスウィッシュから今日の顛末の報告を受けたギャレマスは、憤怒で顔を赤黒くさせながら、寝そべっていたソファから跳ね起きた。
「す……スウィッシュが、人間族の無頼どもに拐かされそうになっただと……ッ!」
「申し訳ございません、陛下……!」
目を飛び出さんばかりに剥き出し、激しい怒りを露わにするギャレマスに恐れ戦きながら、スウィッシュは深々と頭を下げる。
「あたしが付いていながら……この失態に対するどのような罰でも、甘んじてお受けいたします……」
「お父様っ! スーちゃんの事を責めないで下さい!」
顔を青ざめさせながらも、神妙にギャレマスの裁きを受けようとするスウィッシュを庇うように立ったサリアが、目を潤ませながら必死に父親へ訴えかける。
「元々、サリアが悪いのです! スーちゃんに動かないで待っているように言われていたのに、あの男の人に騙されてホイホイ後をついていってしまったから……。だから、罰を受けるのは、スーちゃんじゃなくてサリアの方なんです! お父様、どうぞサリアに厳しい処罰を!」
「いえ! そんな事ダメです! これは、臣下としてサリア様をお守りできなかったあたしが――」
「ううん! スーちゃんは全然悪くないもの! 悪いのは、サリアだよっ!」
「いいえ! お心遣いは嬉しいんですが、これはやっぱりあたしの……!」
「ダメダメーッ! とにかく、スーちゃんは悪くない!」
「あ……いや……ちょ、ちょっと落ち着け、ふたりとも!」
互いを庇い合って、激しく口論をし始めたふたりを、慌てて制止するギャレマス。
そして、ふたりの顔を順々に見回しながら、静かに言った。
「あのな……別に、余はお主らを罰するつもりなど無いぞ」
「え……?」
「本当ですか、お父様……?」
「本当だとも」
目を丸くする二人に向かって、大きく頷くギャレマス。そして、少しだけ厳しい表情を浮かべながら「まあ……」と言葉を継ぐ。
「確かに、落ち度がなかったとは言えぬがな。主をひとりで置き去りにしたまま、町の聞き込みに没頭してしまったスウィッシュは不用心であったし、怪しい男の誘いに乗せられて、その後をついていってしまったサリアも迂闊であった」
「……申し訳ございません」
「ごめんなさい……」
ギャレマスの厳しい言葉に、スウィッシュとサリアはしょげ返って、力無く俯いた。
そんなふたりの様子を見て小さな溜息をついたギャレマスは、「……だが」と言葉を続ける。
「それは、お互いの事を思い遣っての行動であったのだからな。であれば、その行為を注意はしても、罰する事など出来ようはずもない。……まあ、次からはくれぐれも気を付けよ。――以上」
「へ、陛下……」
「――お父様……っ!」
ギャレマスの言葉に、パッと顔を輝かせるふたり。
――と、
「……だが」
再び憤怒の表情を浮かべた魔王が、低い声で言った。
「だが……罰するべき者は他に居る」
「え……?」
ギャレマスの言葉に、怪訝な表情を浮かべるスウィッシュ。
彼女は、おずおずと魔王に尋ねる。
「へ……陛下? そ、それは……“罰するべき者”とは、一体……?」
「そんなの、決まっておろう!」
スウィッシュの問いに、ギャレマスは眦を決して吼えた。
そして、ギリギリと音を立てて歯噛みしながら、怒気と殺気を孕んだ声で続ける。
「よりにもよって、余の娘であるサリアを拐かし、いかがわしい輩へ売りつけようとしおった、愚劣極まる人間族のゴロツキどもよ!」
ギャレマスはそう言うと、絶えずバチバチと火花を散らし始めた拳を固く握りしめた。
「おのれ! 小癪で愚昧で悪辣な人間族め! 必ずや見つけ出し、我が娘を傷モノにしかけた報いを受けさせてやろうぞ! そう、この極龍雷撃呪術で――!」
「わ――――ッ!」
ギャレマスが、青白く帯電した両拳を高々と天に突き上げようとしたのを見て、スウィッシュが血相を変えて叫んだ。
「へ、陛下ッ、お気持ちは分かりますが、どうか御心を静めて下さいッ! こんな所で極龍雷撃呪術なんて超大技を放ったりしたら……!」
「分かっておるわ! 放つのは、にっくき人間族のチンピラどもに向けて――」
「極龍雷撃呪術を普通の人間族なんかに放ったら、当人たちはもちろん、ここら一帯がまとめて消し炭になりますッ!」
「ええいっ! 止めるなスウィッシュ! 我が愛しの娘に斯様な狼藉を働いておいて、余が無事に明日の朝日を拝ませると思うたか! 否! 断じて否ァッ!」
そう、いたく興奮して叫びながら、スウィッシュの事を強引に押し退けたギャレマスは、ローテーブルの上に置いてあった牛獣人の覆面を引っ掴むと、大股で歩き出そうとした――その時、
不意に彼の身体が大きくバランスを崩した。
「あ……あがががががががァっ!」
ギャレマスは、大きく目を剥くや苦悶の声を上げ、うっすらと埃の積もった床の上にくずおれると、右脚のふくらはぎを押さえ、額に大粒の脂汗を浮かべながらのたうち回り始める。
「へっ、陛下ッ? ど、どうなされたのですかッ?」
「お、お父様ァッ?」
突然のギャレマスの変調に驚き、スウィッシュとサリアが狼狽の声を上げる。
だが、脚を押さえて悶絶するギャレマスには、彼女たちの声にこたえる余裕は無いようだった。
「い、一体、何が……?」
「ま、まさか……陛下を魔王だと知った人間族の手の者が、密かに毒を……?」
取り敢えず、苦しみ喘ぐギャレマスの背中を支え起こしながら、最悪の想像を思い浮かべたスウィッシュが顔を強張らせる。
その言葉を聞いて、サリアの顔色が真っ白になった。
「ど……毒? そ、そんな……! お父様が……死んじゃう……?」
「と、とにかく! 今すぐに医者か解毒師を呼んで――!」
「……ふたりとも、ちょっとそこをどけ」
狼狽するふたりの耳朶を、低い男の声が打った。
ハッとした表情を浮かべたふたりは、慌てて後ろを振り向く。
そこには、それまで完全に気配を消していた(本人に気配を消す意図は無いのだが)アルトゥーが忽然と立っていた。
「わ! あ、アル……? そ、そういえば、居たんだっけ、アナタ?」
「……もう、魔王国に帰っていいか、己?」
「あ、ゴメン……」
さすがにムスッとした表情を浮かべるアルトゥーに、スウィッシュは慌てて謝る。そして、縋りつく様な目で彼の顔を見上げた。
「ね、ねえ……アル? もしかして、あなたなら――?」
「アルくん……! 何か、いい方法が……?」
「……」
焦燥に駆られるふたりの視線を浴びながら、おもむろにギャレマスの足元に屈みこんだアルトゥーは、無言で彼の脚を持ち上げると、そのつま先を掴んで彼の身体側に引っ張る。
すると、
「アアアアアアア――ッ! あああああぁ! ……あぁああ……あぁ……はぁ……はぁ……」
驚いた事に、ギャレマスの苦悶の声は徐々に小さくなり、それに伴って彼の顔も穏やかになっていき、やがて収まった。
その様子を固唾を呑んで見守っていたサリアとスウィッシュは、ギャレマスが落ち着いた事に安堵しながらも、怪訝な表情を浮かべてアルトゥーに尋ねる。
「ね、ねえ……アル? 今のは?」
「アルくん……どうやって、毒にやられたお父様の事を治したの?」
「……毒?」
ふたりの問いかけに、訝しげに眉根を寄せたアルトゥーは、小さく首を横に振りながら答えた。
「毒なんかじゃないぞ、今のは」
「へ? 違うの?」
「当然だ」
キョトンとするサリアに頷くと、アルトゥーはギャレマスの脚を一瞥し、ぼそりと言う。
「だって、これは――単に足が攣っただけなんだからな」
「「……はい?」」
意外な答えに、思わず目を点にするサリアとスウィッシュ。
そんなふたりの反応に対し、大きな溜息を吐いたアルトゥーは、目尻に涙の粒を浮かべながら自分の脚を擦っているギャレマスに声をかけた。
「――そうだろう? 王よ」
「……う、うむ」
アルトゥーに問いかけられたギャレマスは、バツ悪げな表情を浮かべながら不承不承と言った様子で頷く。
「じ……実はな。今日は一日中追いかけられて、全速力で町中を逃げ回っておってな。そのせいで脚の筋肉の疲労が溜まっていたようで、さっき歩き出そうとしたタイミングで、こう、バチンと……」
「お、追いかけられたァ?」
ギャレマスの言葉を聞いて、サリアが素っ頓狂な声を上げた。
一方のスウィッシュは、表情を緊張させながら、おずおずと魔王に尋ねる。
「まさか……“追いかけられた”というのは、人間族の刺客とか――?」
「あ……いや」
ギャレマスは、スウィッシュの問いかけに小さく頭を振ってみせた。
「そういう……物騒な手合ではない。――いや、ある意味何よりも物騒だったとも言えるか……」
「……何ですか、それは?」
要領を得ない魔王の答えに、スウィッシュはキョトンとした顔で首を傾げる。他の二人も、同じような表情を浮かべて、ギャレマスの更なる言葉を待っている。
「だから……つまり……」
ギャレマスは、三人を前にしてたじろぎながら、しぶしぶといった様子で言葉を継ぐ。
「ちょ、ちょっと……余の角と覆面に一目惚れして発情した牛獣人の女子に……な」
「「「……は?」」」
予想のはるか斜め上をいく言葉を聞かされた三人の口から思わず洩れた当惑の声は、それはそれは見事にハモったのだった……。
宿屋に帰ったスウィッシュから今日の顛末の報告を受けたギャレマスは、憤怒で顔を赤黒くさせながら、寝そべっていたソファから跳ね起きた。
「す……スウィッシュが、人間族の無頼どもに拐かされそうになっただと……ッ!」
「申し訳ございません、陛下……!」
目を飛び出さんばかりに剥き出し、激しい怒りを露わにするギャレマスに恐れ戦きながら、スウィッシュは深々と頭を下げる。
「あたしが付いていながら……この失態に対するどのような罰でも、甘んじてお受けいたします……」
「お父様っ! スーちゃんの事を責めないで下さい!」
顔を青ざめさせながらも、神妙にギャレマスの裁きを受けようとするスウィッシュを庇うように立ったサリアが、目を潤ませながら必死に父親へ訴えかける。
「元々、サリアが悪いのです! スーちゃんに動かないで待っているように言われていたのに、あの男の人に騙されてホイホイ後をついていってしまったから……。だから、罰を受けるのは、スーちゃんじゃなくてサリアの方なんです! お父様、どうぞサリアに厳しい処罰を!」
「いえ! そんな事ダメです! これは、臣下としてサリア様をお守りできなかったあたしが――」
「ううん! スーちゃんは全然悪くないもの! 悪いのは、サリアだよっ!」
「いいえ! お心遣いは嬉しいんですが、これはやっぱりあたしの……!」
「ダメダメーッ! とにかく、スーちゃんは悪くない!」
「あ……いや……ちょ、ちょっと落ち着け、ふたりとも!」
互いを庇い合って、激しく口論をし始めたふたりを、慌てて制止するギャレマス。
そして、ふたりの顔を順々に見回しながら、静かに言った。
「あのな……別に、余はお主らを罰するつもりなど無いぞ」
「え……?」
「本当ですか、お父様……?」
「本当だとも」
目を丸くする二人に向かって、大きく頷くギャレマス。そして、少しだけ厳しい表情を浮かべながら「まあ……」と言葉を継ぐ。
「確かに、落ち度がなかったとは言えぬがな。主をひとりで置き去りにしたまま、町の聞き込みに没頭してしまったスウィッシュは不用心であったし、怪しい男の誘いに乗せられて、その後をついていってしまったサリアも迂闊であった」
「……申し訳ございません」
「ごめんなさい……」
ギャレマスの厳しい言葉に、スウィッシュとサリアはしょげ返って、力無く俯いた。
そんなふたりの様子を見て小さな溜息をついたギャレマスは、「……だが」と言葉を続ける。
「それは、お互いの事を思い遣っての行動であったのだからな。であれば、その行為を注意はしても、罰する事など出来ようはずもない。……まあ、次からはくれぐれも気を付けよ。――以上」
「へ、陛下……」
「――お父様……っ!」
ギャレマスの言葉に、パッと顔を輝かせるふたり。
――と、
「……だが」
再び憤怒の表情を浮かべた魔王が、低い声で言った。
「だが……罰するべき者は他に居る」
「え……?」
ギャレマスの言葉に、怪訝な表情を浮かべるスウィッシュ。
彼女は、おずおずと魔王に尋ねる。
「へ……陛下? そ、それは……“罰するべき者”とは、一体……?」
「そんなの、決まっておろう!」
スウィッシュの問いに、ギャレマスは眦を決して吼えた。
そして、ギリギリと音を立てて歯噛みしながら、怒気と殺気を孕んだ声で続ける。
「よりにもよって、余の娘であるサリアを拐かし、いかがわしい輩へ売りつけようとしおった、愚劣極まる人間族のゴロツキどもよ!」
ギャレマスはそう言うと、絶えずバチバチと火花を散らし始めた拳を固く握りしめた。
「おのれ! 小癪で愚昧で悪辣な人間族め! 必ずや見つけ出し、我が娘を傷モノにしかけた報いを受けさせてやろうぞ! そう、この極龍雷撃呪術で――!」
「わ――――ッ!」
ギャレマスが、青白く帯電した両拳を高々と天に突き上げようとしたのを見て、スウィッシュが血相を変えて叫んだ。
「へ、陛下ッ、お気持ちは分かりますが、どうか御心を静めて下さいッ! こんな所で極龍雷撃呪術なんて超大技を放ったりしたら……!」
「分かっておるわ! 放つのは、にっくき人間族のチンピラどもに向けて――」
「極龍雷撃呪術を普通の人間族なんかに放ったら、当人たちはもちろん、ここら一帯がまとめて消し炭になりますッ!」
「ええいっ! 止めるなスウィッシュ! 我が愛しの娘に斯様な狼藉を働いておいて、余が無事に明日の朝日を拝ませると思うたか! 否! 断じて否ァッ!」
そう、いたく興奮して叫びながら、スウィッシュの事を強引に押し退けたギャレマスは、ローテーブルの上に置いてあった牛獣人の覆面を引っ掴むと、大股で歩き出そうとした――その時、
不意に彼の身体が大きくバランスを崩した。
「あ……あがががががががァっ!」
ギャレマスは、大きく目を剥くや苦悶の声を上げ、うっすらと埃の積もった床の上にくずおれると、右脚のふくらはぎを押さえ、額に大粒の脂汗を浮かべながらのたうち回り始める。
「へっ、陛下ッ? ど、どうなされたのですかッ?」
「お、お父様ァッ?」
突然のギャレマスの変調に驚き、スウィッシュとサリアが狼狽の声を上げる。
だが、脚を押さえて悶絶するギャレマスには、彼女たちの声にこたえる余裕は無いようだった。
「い、一体、何が……?」
「ま、まさか……陛下を魔王だと知った人間族の手の者が、密かに毒を……?」
取り敢えず、苦しみ喘ぐギャレマスの背中を支え起こしながら、最悪の想像を思い浮かべたスウィッシュが顔を強張らせる。
その言葉を聞いて、サリアの顔色が真っ白になった。
「ど……毒? そ、そんな……! お父様が……死んじゃう……?」
「と、とにかく! 今すぐに医者か解毒師を呼んで――!」
「……ふたりとも、ちょっとそこをどけ」
狼狽するふたりの耳朶を、低い男の声が打った。
ハッとした表情を浮かべたふたりは、慌てて後ろを振り向く。
そこには、それまで完全に気配を消していた(本人に気配を消す意図は無いのだが)アルトゥーが忽然と立っていた。
「わ! あ、アル……? そ、そういえば、居たんだっけ、アナタ?」
「……もう、魔王国に帰っていいか、己?」
「あ、ゴメン……」
さすがにムスッとした表情を浮かべるアルトゥーに、スウィッシュは慌てて謝る。そして、縋りつく様な目で彼の顔を見上げた。
「ね、ねえ……アル? もしかして、あなたなら――?」
「アルくん……! 何か、いい方法が……?」
「……」
焦燥に駆られるふたりの視線を浴びながら、おもむろにギャレマスの足元に屈みこんだアルトゥーは、無言で彼の脚を持ち上げると、そのつま先を掴んで彼の身体側に引っ張る。
すると、
「アアアアアアア――ッ! あああああぁ! ……あぁああ……あぁ……はぁ……はぁ……」
驚いた事に、ギャレマスの苦悶の声は徐々に小さくなり、それに伴って彼の顔も穏やかになっていき、やがて収まった。
その様子を固唾を呑んで見守っていたサリアとスウィッシュは、ギャレマスが落ち着いた事に安堵しながらも、怪訝な表情を浮かべてアルトゥーに尋ねる。
「ね、ねえ……アル? 今のは?」
「アルくん……どうやって、毒にやられたお父様の事を治したの?」
「……毒?」
ふたりの問いかけに、訝しげに眉根を寄せたアルトゥーは、小さく首を横に振りながら答えた。
「毒なんかじゃないぞ、今のは」
「へ? 違うの?」
「当然だ」
キョトンとするサリアに頷くと、アルトゥーはギャレマスの脚を一瞥し、ぼそりと言う。
「だって、これは――単に足が攣っただけなんだからな」
「「……はい?」」
意外な答えに、思わず目を点にするサリアとスウィッシュ。
そんなふたりの反応に対し、大きな溜息を吐いたアルトゥーは、目尻に涙の粒を浮かべながら自分の脚を擦っているギャレマスに声をかけた。
「――そうだろう? 王よ」
「……う、うむ」
アルトゥーに問いかけられたギャレマスは、バツ悪げな表情を浮かべながら不承不承と言った様子で頷く。
「じ……実はな。今日は一日中追いかけられて、全速力で町中を逃げ回っておってな。そのせいで脚の筋肉の疲労が溜まっていたようで、さっき歩き出そうとしたタイミングで、こう、バチンと……」
「お、追いかけられたァ?」
ギャレマスの言葉を聞いて、サリアが素っ頓狂な声を上げた。
一方のスウィッシュは、表情を緊張させながら、おずおずと魔王に尋ねる。
「まさか……“追いかけられた”というのは、人間族の刺客とか――?」
「あ……いや」
ギャレマスは、スウィッシュの問いかけに小さく頭を振ってみせた。
「そういう……物騒な手合ではない。――いや、ある意味何よりも物騒だったとも言えるか……」
「……何ですか、それは?」
要領を得ない魔王の答えに、スウィッシュはキョトンとした顔で首を傾げる。他の二人も、同じような表情を浮かべて、ギャレマスの更なる言葉を待っている。
「だから……つまり……」
ギャレマスは、三人を前にしてたじろぎながら、しぶしぶといった様子で言葉を継ぐ。
「ちょ、ちょっと……余の角と覆面に一目惚れして発情した牛獣人の女子に……な」
「「「……は?」」」
予想のはるか斜め上をいく言葉を聞かされた三人の口から思わず洩れた当惑の声は、それはそれは見事にハモったのだった……。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収
ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。
彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。
だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。
自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。
「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」
契約解除。返還されたレベルは9999。
一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。
対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。
静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。
「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」
これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。
(本作品はAIを活用して構成・執筆しています)
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる