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エピソード6 勇魔同舟
勇者と照り焼きバーガーとマヨネーズ
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「間違いねえ、コイツは――“照り焼きバーガー”だ……!」
「……え?」
呆然としながらシュータが口走った言葉に、エラルティスはキョトンとした表情を浮かべた。
「何ですの? その……てり……“てりやきばーがー”って……?」
「……」
シュータは、聞き返すエラルティスの声も聞こえない様子で、真剣な表情で手に持った“肉餅挟み込みパン”に鼻を近付けて匂いを嗅いだり、肉餅に絡んだ焦げ茶色のタレをペロリと舐めてみたりしている。
そして、再び大きく口を開けて、残った肉餅挟み込みパンを一気に押し込んだ。
と、そんな彼の事を気づかわしげに見ていたサリアが、おずおずと声をかけてきた。
「ええと……味はどう、シューくん?」
「……」
サリアの問いかけにも応えず、しばしの間、神妙な表情で咀嚼していたシュータだったが、ごくんと喉を鳴らして嚥下すると、「むぅ……」と唸る。
「……あんまり美味しくなかった?」
「あ……いや……美味くなくはねえけど……その……」
重ねてかけられたサリアの問いに対し、シュータは小さく首を横に振るものの、どこか煮え切らない様子だ。
曖昧なシュータの答えに不安を覚えたのか、サリアは表情を曇らせると、自分も肉餅挟み込みパンをひとつ手に取り、一口齧ってみた。
そして、小さく首を傾げる。
「……やっぱりそうだよねぇ。美味しいんだけど……何となくもう一押しが足りないっていうか……。そう……何かこってりしてて、ちょっと酸っぱいような感じの味が要るような気がするん――」
「それだよそれ!」
サリアの呟きに、シュータは弾かれたように反応した。
彼は、爛々と目を光らせながら、興奮して捲し立てる。
「何か足りねーと思ったら……そうだよ! マヨネーズだ! マヨネーズの酸味と舌触りが足りねえんだよ、この照り焼きバーガーには!」
「ま……まよねーず?」
シュータの口から飛び出した聞き慣れない名詞に、ギャレマスは戸惑いの表情を浮かべた。
「何だ? その“まよねーず”とかいうものは?」
「知らねえのかよ! ……って、そういや、この世界には無かったんだっけか……」
ギャレマスの言葉に、呆れ声を上げかけたシュータだったが、自分の世界ではお馴染みだった調味料が、この世界には存在していなかった事を思い出し、気を落ち着けた。
そして、大きく息を吐いてから、ギャレマスたちに向かって口を開く。
「マヨネーズっていうのは、俺が居た世界――地球でメジャーだった調味料だよ。生玉子の黄身と油と酢を、ドロドロになるまでかき混ぜて作るんだ」
「へぇ……。そんな作り方、初めて聞くわね……」
シュータの説明を聞いたスウィッシュが、興味深げに声を上げる。
一方、エラルティスは露骨に顔を顰めた。
「うええ……生玉子ですって? 火も通していない生の玉子を使うなんて、衛生的じゃありませんわ。絶対にお腹を壊しちゃいそうですわね……」
「でも、お酢を入れるんでしょ? だったら、結構長持ちするんじゃないかな?」
エラルティスの言葉に、ジェレミィアが首を傾げる。
と、
「……って! マヨネーズの作り方なんて、今はどうでもいいんだよ!」
シュータが苛立ちながら声を荒げた。
そして、テーブルの上に残っていたパンを指さしながら、サリアに詰め寄る。
「おい! ……何で、この世界の住人のはずのお前が、照り焼きバーガーの事を知ってるんだよ!」
「え?」
シュータの問いかけに、サリアはキョトンとした表情で首を傾げた。
「てりやきばーがー? ううん、違うよ。これは、サリアが考えたオリジナル料理の肉餅挟み込みパンだよー」
「オリジナルぅ? んな訳ねえだろ!」
サリアの答えに納得いかない様子で、シュータは激しく首を左右に振る。
「これは絶対に照り焼きバーガーだよ! しかも、ロッチリヤやモフバーガーじゃない、一番美味いミックジャガルドの照り焼きバーガーのタレの味だ!」
「みっく……じゃがるど……?」
興奮して捲し立てるシュータの剣幕に気圧されながら、サリアは目をパチクリさせた。
そして、先ほどと同じように頭を振る。
「ごめん……知らない名前だよ。――でも、そこの“てりやきばーがー”っていう名前の料理と、サリアの肉餅挟み込みパンが似てるって事なんだねぇ」
「お、おう! そうなんだよ!」
「へぇ~……」
シュータが勢いよく頷くのを見たサリアは、その形の良い顎に指を当てて、少し考え込み――ニッコリと微笑んだ。
「それは……すごい偶然だね~」
「偶然……なのか、コレ?」
サリアの答えを聞いたシュータは、思わず戸惑いの声を上げる。
すると――サリアがおもむろに、自分が持っていた肉餅挟み込みパンをシュータの前に差し出した。
「はい! 良かったら、サリアの分も食べていいよー」
「え……?」
シュータは呆気に取られて、目の前の肉餅挟み込みパンとサリアの顔をまじまじと見る。
「い……いいのか?」
「もちろん! あ、一口だけ食べちゃったから、それでも良ければだけど」
そう答えて、屈託の無い笑みを見せるサリア。
彼女の笑顔を前に目を瞬かせたシュータだったが、無言でコクンと頷くと、おずおずと手を伸ばして肉餅挟み込みパンを受け取り、躊躇いがちに一口頬張った。
「……」
「どう? 美味しい?」
無言のまま、もぐもぐと咀嚼するシュータにニッコリと微笑みかけながら尋ねるサリア。
彼女の問いかけに、シュータは小さく頷いた。
「……うん。美味え」
「そっか! 良かったよー!」
シュータの答えを聞いたサリアが、零れんばかりの笑みを浮かべる。
その笑顔を無言で見つめていたシュータは、思い出したように手に持っていた肉餅挟み込みパンを口の中に押し込むと、ゆっくりと味わってから飲み込んだ。
そして、指についたタレを舌で舐め取り、ズボンに擦りつけて拭くと、ゴホンと咳払いをして、
「……あの……さ」
と、微妙に目線を逸らしながら口を開く。
その声に、サリアは怪訝そうな表情を浮かべて、ちょこんと首を傾げた。
「なに~?」
「え……ええと……その、さ」
サリアに聞き返されて、シュータは何故か言い淀みながら、キョロキョロと視線を中空に彷徨わせる。
そして、意を決したように息を吸うと、サリアの顔を真っ直ぐに見据え、声を上ずらせながら叫んだ。
「あの! 狂運むす……いや、サリア! お前も“伝説の四勇士”にならないかッ?」
「……え?」
呆然としながらシュータが口走った言葉に、エラルティスはキョトンとした表情を浮かべた。
「何ですの? その……てり……“てりやきばーがー”って……?」
「……」
シュータは、聞き返すエラルティスの声も聞こえない様子で、真剣な表情で手に持った“肉餅挟み込みパン”に鼻を近付けて匂いを嗅いだり、肉餅に絡んだ焦げ茶色のタレをペロリと舐めてみたりしている。
そして、再び大きく口を開けて、残った肉餅挟み込みパンを一気に押し込んだ。
と、そんな彼の事を気づかわしげに見ていたサリアが、おずおずと声をかけてきた。
「ええと……味はどう、シューくん?」
「……」
サリアの問いかけにも応えず、しばしの間、神妙な表情で咀嚼していたシュータだったが、ごくんと喉を鳴らして嚥下すると、「むぅ……」と唸る。
「……あんまり美味しくなかった?」
「あ……いや……美味くなくはねえけど……その……」
重ねてかけられたサリアの問いに対し、シュータは小さく首を横に振るものの、どこか煮え切らない様子だ。
曖昧なシュータの答えに不安を覚えたのか、サリアは表情を曇らせると、自分も肉餅挟み込みパンをひとつ手に取り、一口齧ってみた。
そして、小さく首を傾げる。
「……やっぱりそうだよねぇ。美味しいんだけど……何となくもう一押しが足りないっていうか……。そう……何かこってりしてて、ちょっと酸っぱいような感じの味が要るような気がするん――」
「それだよそれ!」
サリアの呟きに、シュータは弾かれたように反応した。
彼は、爛々と目を光らせながら、興奮して捲し立てる。
「何か足りねーと思ったら……そうだよ! マヨネーズだ! マヨネーズの酸味と舌触りが足りねえんだよ、この照り焼きバーガーには!」
「ま……まよねーず?」
シュータの口から飛び出した聞き慣れない名詞に、ギャレマスは戸惑いの表情を浮かべた。
「何だ? その“まよねーず”とかいうものは?」
「知らねえのかよ! ……って、そういや、この世界には無かったんだっけか……」
ギャレマスの言葉に、呆れ声を上げかけたシュータだったが、自分の世界ではお馴染みだった調味料が、この世界には存在していなかった事を思い出し、気を落ち着けた。
そして、大きく息を吐いてから、ギャレマスたちに向かって口を開く。
「マヨネーズっていうのは、俺が居た世界――地球でメジャーだった調味料だよ。生玉子の黄身と油と酢を、ドロドロになるまでかき混ぜて作るんだ」
「へぇ……。そんな作り方、初めて聞くわね……」
シュータの説明を聞いたスウィッシュが、興味深げに声を上げる。
一方、エラルティスは露骨に顔を顰めた。
「うええ……生玉子ですって? 火も通していない生の玉子を使うなんて、衛生的じゃありませんわ。絶対にお腹を壊しちゃいそうですわね……」
「でも、お酢を入れるんでしょ? だったら、結構長持ちするんじゃないかな?」
エラルティスの言葉に、ジェレミィアが首を傾げる。
と、
「……って! マヨネーズの作り方なんて、今はどうでもいいんだよ!」
シュータが苛立ちながら声を荒げた。
そして、テーブルの上に残っていたパンを指さしながら、サリアに詰め寄る。
「おい! ……何で、この世界の住人のはずのお前が、照り焼きバーガーの事を知ってるんだよ!」
「え?」
シュータの問いかけに、サリアはキョトンとした表情で首を傾げた。
「てりやきばーがー? ううん、違うよ。これは、サリアが考えたオリジナル料理の肉餅挟み込みパンだよー」
「オリジナルぅ? んな訳ねえだろ!」
サリアの答えに納得いかない様子で、シュータは激しく首を左右に振る。
「これは絶対に照り焼きバーガーだよ! しかも、ロッチリヤやモフバーガーじゃない、一番美味いミックジャガルドの照り焼きバーガーのタレの味だ!」
「みっく……じゃがるど……?」
興奮して捲し立てるシュータの剣幕に気圧されながら、サリアは目をパチクリさせた。
そして、先ほどと同じように頭を振る。
「ごめん……知らない名前だよ。――でも、そこの“てりやきばーがー”っていう名前の料理と、サリアの肉餅挟み込みパンが似てるって事なんだねぇ」
「お、おう! そうなんだよ!」
「へぇ~……」
シュータが勢いよく頷くのを見たサリアは、その形の良い顎に指を当てて、少し考え込み――ニッコリと微笑んだ。
「それは……すごい偶然だね~」
「偶然……なのか、コレ?」
サリアの答えを聞いたシュータは、思わず戸惑いの声を上げる。
すると――サリアがおもむろに、自分が持っていた肉餅挟み込みパンをシュータの前に差し出した。
「はい! 良かったら、サリアの分も食べていいよー」
「え……?」
シュータは呆気に取られて、目の前の肉餅挟み込みパンとサリアの顔をまじまじと見る。
「い……いいのか?」
「もちろん! あ、一口だけ食べちゃったから、それでも良ければだけど」
そう答えて、屈託の無い笑みを見せるサリア。
彼女の笑顔を前に目を瞬かせたシュータだったが、無言でコクンと頷くと、おずおずと手を伸ばして肉餅挟み込みパンを受け取り、躊躇いがちに一口頬張った。
「……」
「どう? 美味しい?」
無言のまま、もぐもぐと咀嚼するシュータにニッコリと微笑みかけながら尋ねるサリア。
彼女の問いかけに、シュータは小さく頷いた。
「……うん。美味え」
「そっか! 良かったよー!」
シュータの答えを聞いたサリアが、零れんばかりの笑みを浮かべる。
その笑顔を無言で見つめていたシュータは、思い出したように手に持っていた肉餅挟み込みパンを口の中に押し込むと、ゆっくりと味わってから飲み込んだ。
そして、指についたタレを舌で舐め取り、ズボンに擦りつけて拭くと、ゴホンと咳払いをして、
「……あの……さ」
と、微妙に目線を逸らしながら口を開く。
その声に、サリアは怪訝そうな表情を浮かべて、ちょこんと首を傾げた。
「なに~?」
「え……ええと……その、さ」
サリアに聞き返されて、シュータは何故か言い淀みながら、キョロキョロと視線を中空に彷徨わせる。
そして、意を決したように息を吸うと、サリアの顔を真っ直ぐに見据え、声を上ずらせながら叫んだ。
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