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第六章 田中天狼のシリアスな日常・捜査編
田中天狼のシリアスな登校
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奇名部メンバーでカラオケに行った翌日……、
「お――――っす、シリウス! おはよーっ!」
矢的先輩が、登校する俺の背中を思いっ切り叩きながら、鬱陶しいテンションで声を掛けてきた。
俺は、渋い顔をしながらも、オトナの対応で、挨拶を返す。
「や"、や"まどぜんばい"、おばよ"うござい"まず……」
「な、何だその声! ガラガラどころのレベルじゃねえぞ!」
俺の声を聞いて、驚愕する矢的先輩。
俺は、付けていたマスクをずらして、囁くように喋る。なるべく喉の声帯を刺激しない様に……。
「昨日のガラオゲで……喉を潰しちゃっだみたいで……」
「何だよ~、体とおんなじでヒンジャクな喉だなぁ……」
「体とおんなじは余計でず……ゴホッゴホッ!」
俺は、うっかり強く言い返そうとしてしまって、盛大に咳き込んだ。
昨日は、結局10曲近くを歌い上げた。どうせ誰も知らないからと、開き直って持ちネタ以外のマイナー曲に初挑戦してみたり……。慣れない曲を無理やり歌ったのが祟った結果が、この声である。
「オレなんか、全然ヘーキだぜ! 聴けよ、この美声!」
「……頭とおんなじで、バカみだいに頑丈なんでずね……」
矢的先輩は、特撮ものや、ロボットアニメ主題歌を歌いまくっていた。どれも、ハイトーンボイスありの、アップテンポなシャウト系の曲ばかりだったのだが、見事に歌いこなしていた……相変わらずしつこくて、絡みつくようなキモい歌い方だったけど……。
あんな歌い方して、喉を潰していないのは、素直に感服する。
……歌い方はキモいけど。
「ところで、お前も部活棟に行くのか?」
「あ、はい"……。ネゴにエザをやりに……って、『お前も』?」
俺は、矢的先輩の言葉に引っかかった。
「矢的先輩も、部活棟に用事が?」
「うん、そう。ちょっと置き勉を取りにな」
しれっと言い放つ矢的先輩。驚いて、彼を改めて見ると、確かに手ぶらだ。
「……部室に私物置いてるんでずか? 部室の私的使用は止めてくだざいよ……」
「はいはーい! 以後善処しまーす!」
「……善処って……それ絶対にまたする気マンマンなヤツじゃないでずか……」
「おっはよー! アンディ先輩、シリウスくーん!」
背後から、元気な声がかけられた。
春夏秋冬が、ニコニコ笑いながら、小走りでやってきた。
「お! おはよーっ、アクア!」
「お……おばよう、ひどどぜ……」
「うわっ! 酷い声……シリウスくん、風邪でもひいたの?」
春夏秋冬も、俺の声にビックリする。
「昨日のカラオケで喉潰したんだってさ」
「あ、そうなんだ。大丈夫? あ、そうだ!」
春夏秋冬は、ポケットから小さな包みを取り出して、俺の前に差し出した。
「はい、のど飴! 1つしか無いんだけど、良かったら」
「え! い、いいの……?」
俺は、ビックリして……ドキドキした。
女の子に物を貰うというのも、俺にとってはスペシャルレアイベントだったし、昨日の出来事が脳裏を過ったのもある。
「ポケットから飴玉出して……て、まるで大阪のオバちゃんだなぁ、お前」
「アンディ先輩、ヒドーい! 誰がオバちゃんよぉ!」
「ほ、ホントでずよ! しづれいでずよ、ヤマドゼンバい"……グオっ、ゴホッ! ゴホッ!」
「あー、ちょっと! シリウスくん、ホントに大丈夫?」
結局、春夏秋冬も、「ネコちゃんに会いたい~!」と言って、部活棟までついてくる事になった。
俺たち3人は、職員室で丘元先生から部室の鍵を受け取り、部室棟に向かう。
「そういえば、なでしこ先輩はどうしたの?」
道すがら、春夏秋冬が尋ねる。
「んー? ナデシコなら、柔道部の朝練に行ったよ。今度、県大ベスト4の逍遥館高校と練習試合するんだと」
「へぇ~。最近、柔道部のみんな、頑張ってるよねえ」
「そうだな。ウチのクラスの柔道部員の面構えも、前とは全然違ってきてるよな。目が血走って、頬が痩けて精悍な顔つきになってきたし……時々、授業中に絶叫したりな」
……いや、それはあまり良い傾向では……明らかに精神にキてる人の様な気が……。
俺たちは、部活棟の階段を登り、2階の突き当たりにある、213号室……奇名部の部室に向かう。
「……あれ?」
部室のドアの鍵を取り出し、鍵穴に挿そうとした矢的先輩の手が止まった。
しゃがみ込み、鍵穴の辺りをじっくりと観察し、立ち上がった矢的先輩は、俺たちを手招きした。
「…………ちょっと、これを見てみろ……」
俺と春夏秋冬は、言われるままにドアの鍵穴を覗き込み、
「「――――――――!」」
顔を見合わせ、絶句した。
213号室の、取り替えたばかりの新しい鍵穴の周りには、昨日までは無かった、無数の引っかき傷が付いていた――!
「お――――っす、シリウス! おはよーっ!」
矢的先輩が、登校する俺の背中を思いっ切り叩きながら、鬱陶しいテンションで声を掛けてきた。
俺は、渋い顔をしながらも、オトナの対応で、挨拶を返す。
「や"、や"まどぜんばい"、おばよ"うござい"まず……」
「な、何だその声! ガラガラどころのレベルじゃねえぞ!」
俺の声を聞いて、驚愕する矢的先輩。
俺は、付けていたマスクをずらして、囁くように喋る。なるべく喉の声帯を刺激しない様に……。
「昨日のガラオゲで……喉を潰しちゃっだみたいで……」
「何だよ~、体とおんなじでヒンジャクな喉だなぁ……」
「体とおんなじは余計でず……ゴホッゴホッ!」
俺は、うっかり強く言い返そうとしてしまって、盛大に咳き込んだ。
昨日は、結局10曲近くを歌い上げた。どうせ誰も知らないからと、開き直って持ちネタ以外のマイナー曲に初挑戦してみたり……。慣れない曲を無理やり歌ったのが祟った結果が、この声である。
「オレなんか、全然ヘーキだぜ! 聴けよ、この美声!」
「……頭とおんなじで、バカみだいに頑丈なんでずね……」
矢的先輩は、特撮ものや、ロボットアニメ主題歌を歌いまくっていた。どれも、ハイトーンボイスありの、アップテンポなシャウト系の曲ばかりだったのだが、見事に歌いこなしていた……相変わらずしつこくて、絡みつくようなキモい歌い方だったけど……。
あんな歌い方して、喉を潰していないのは、素直に感服する。
……歌い方はキモいけど。
「ところで、お前も部活棟に行くのか?」
「あ、はい"……。ネゴにエザをやりに……って、『お前も』?」
俺は、矢的先輩の言葉に引っかかった。
「矢的先輩も、部活棟に用事が?」
「うん、そう。ちょっと置き勉を取りにな」
しれっと言い放つ矢的先輩。驚いて、彼を改めて見ると、確かに手ぶらだ。
「……部室に私物置いてるんでずか? 部室の私的使用は止めてくだざいよ……」
「はいはーい! 以後善処しまーす!」
「……善処って……それ絶対にまたする気マンマンなヤツじゃないでずか……」
「おっはよー! アンディ先輩、シリウスくーん!」
背後から、元気な声がかけられた。
春夏秋冬が、ニコニコ笑いながら、小走りでやってきた。
「お! おはよーっ、アクア!」
「お……おばよう、ひどどぜ……」
「うわっ! 酷い声……シリウスくん、風邪でもひいたの?」
春夏秋冬も、俺の声にビックリする。
「昨日のカラオケで喉潰したんだってさ」
「あ、そうなんだ。大丈夫? あ、そうだ!」
春夏秋冬は、ポケットから小さな包みを取り出して、俺の前に差し出した。
「はい、のど飴! 1つしか無いんだけど、良かったら」
「え! い、いいの……?」
俺は、ビックリして……ドキドキした。
女の子に物を貰うというのも、俺にとってはスペシャルレアイベントだったし、昨日の出来事が脳裏を過ったのもある。
「ポケットから飴玉出して……て、まるで大阪のオバちゃんだなぁ、お前」
「アンディ先輩、ヒドーい! 誰がオバちゃんよぉ!」
「ほ、ホントでずよ! しづれいでずよ、ヤマドゼンバい"……グオっ、ゴホッ! ゴホッ!」
「あー、ちょっと! シリウスくん、ホントに大丈夫?」
結局、春夏秋冬も、「ネコちゃんに会いたい~!」と言って、部活棟までついてくる事になった。
俺たち3人は、職員室で丘元先生から部室の鍵を受け取り、部室棟に向かう。
「そういえば、なでしこ先輩はどうしたの?」
道すがら、春夏秋冬が尋ねる。
「んー? ナデシコなら、柔道部の朝練に行ったよ。今度、県大ベスト4の逍遥館高校と練習試合するんだと」
「へぇ~。最近、柔道部のみんな、頑張ってるよねえ」
「そうだな。ウチのクラスの柔道部員の面構えも、前とは全然違ってきてるよな。目が血走って、頬が痩けて精悍な顔つきになってきたし……時々、授業中に絶叫したりな」
……いや、それはあまり良い傾向では……明らかに精神にキてる人の様な気が……。
俺たちは、部活棟の階段を登り、2階の突き当たりにある、213号室……奇名部の部室に向かう。
「……あれ?」
部室のドアの鍵を取り出し、鍵穴に挿そうとした矢的先輩の手が止まった。
しゃがみ込み、鍵穴の辺りをじっくりと観察し、立ち上がった矢的先輩は、俺たちを手招きした。
「…………ちょっと、これを見てみろ……」
俺と春夏秋冬は、言われるままにドアの鍵穴を覗き込み、
「「――――――――!」」
顔を見合わせ、絶句した。
213号室の、取り替えたばかりの新しい鍵穴の周りには、昨日までは無かった、無数の引っかき傷が付いていた――!
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