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第一章 サンクトルは燃えているか?
巨人と契約
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――そして、部屋に集結した傭兵達を掻き分け、一人の巨漢が現れた。
その男はあまりに巨大だった。周囲の屈強な傭兵達がまるで子供のよう。ゆうに頭二つ分は飛びぬけている。
彼の筋肉は異常なほど発達し、大樹の如き太い腕に厚い胸板――正に筋肉の鎧をまとっていると言う表現がぴったりだ。
そして、無骨な顔面から指の先まで、到る所に大小さまざまな傷が刻み込まれているその姿は、まるで太古の石像が仮初の命を得て動き出したかの様だ。
横に細長く伸び、先が尖っている両耳は、彼が人間種ではないことを明確に示している。
――人間種ではなく、しかしながら、その身体的特徴が、どの亜人種にも当てはまらない彼は、その存在自体が異常で異様だった。
そんな彼の放つ圧倒的で不気味なオーラに、歴戦の兵たちは気圧されて、無言でただただ道を開けるだけ。
まるで地割れのように、傭兵たちが道を開ける中、巨漢は不敵な笑みを浮かべながら、扉の前まで悠然と進み出る。
「き……キサマは、ヒース!」
巨漢の存在感に気圧され、地下室が静寂に包まれる中、ひとり驚愕の声を上げたのは、ギルド長だった。彼は腫れ上がった眼を大きく見開き、驚きを隠そうともしない。
ヒースと呼ばれた巨漢は振り返ると、その顔に兇悪な笑みを浮かべた。
「よう、ギルド長さんよ、久しぶりじゃねえかい? 元気そう……でもないか? 酷い有様だな。早く手当てしないと、その性根だけじゃなくて、顔も歪んだままになっちまうぜ?」
「キサマ! 裏切りおったな! 傭兵団の手先になるなど……この恩知らずが!」
「オイオイ、言いがかりは止めて欲しいもんだな」
ヒースは肩を竦めた。
「裏切るも何も、俺は傭兵だぜ。俺の行動の全ては、契約によってのみ為される。――それだけさ」
「な、なんだと? しかし……」
「まあ、確かに俺とアンタは契約関係……だったぜ、3日前までは」
「な――!」
「だが、アンタは俺との契約更新を断った。だから、今の俺はフリーだ。つまり……アンタとは何の関係も無いって事だ」
「つ・ま・り、アタシが彼を個人的に雇っても問題ないって訳」
ヒースの言葉を、チャーが引き継いだ。
「な――では、お前、この男に雇われ……」
「まだ本契約じゃないけどな」
「ついさっきスカウトしたのよん。やたらガタイが良くて強いのが、酒場でウチの連中相手に暴れてるって。話を聞いてみたら、失職してヤケ酒中だっていうから、雇ってあげようかなぁって」
チャーはクスクス笑いながら言った。
「でも、アンタもバカよねぇ。彼をクビになんかしなければ、こんなにカンタンにこの街は陥ちなかったわよん。アタシたちにとってはラッキーだったケド♪」
「くっ……」
歯噛みするギルド長。
と、その頭にある考えが閃いた。
「……待て、ヒース」
ギルド長は、一縷の望みに縋り、必死で巨漢に詰め寄る。
「今、お前は『まだ本契約じゃない』と言ったな……」
「――ああ」
「な、ならば、今、私がお前と『再契約』する余地はまだあるんだな?」
「ん――、そうだな」
ヒースはにんまりと微笑んで、こくりと頷く。
「アリ、だな」
「……え? ちょっとちょっと! 何を言い出しているの? ヒースちゃん?」
思いもかけない話の流れに声を裏返らせるチャー。
その姿を横目に、ヒースは涼しい顔。
「だってよ、俺はまだ契約書にサインした覚えは無いぜ?」
そう言って、彼は鎧の隠しから一枚の紙切れを取り出した。
「ちなみに、これが俺の要求する労働条件と最低賃金だ。契約書作成の参考にしてくれや。――もっとも、コレ以下の条件は呑めねえからヨロシク」
「フン、ナニを偉そうな事をほざいてるのよ。そんな要求が出来るような身分だとでも思ってるの? プータローの分際で!」
チャーは仏頂面で、引っ手繰る様に紙切れを受け取ると、紙面に目を走らせる。
そして、飛び出さんばかりに目を見開いた。
「な――、何よ、コレ!」
興奮のあまり、垂れ下がった頬肉をぶよんぶよんと痙攣させる。
「日給20万エィンン? 9時-18時勤務? 残業手当は20%増し? さらに3食保証? ……ふ――」
チャーは憤怒の表情で、紙を破り捨てた。
「ふざけんじゃないわよ! 何よコレ? こんな無茶苦茶な要求、タダの傭兵一人に赦される訳無いでしょ! アタシを虚仮にするのもいい加減にしなさい!」
「あらら? ダメだったかい? これでも結構まけてやってるんだけどなぁ」
「ド・コ・ガ!」
気が治まらないのか、足元の紙切れをわざわざ拾い上げて、グシャグシャに丸めた上で、改めて地面に叩き付けるチャー。
と、足元から、かすれた声が上がった。
「――これは、交渉決裂という事かの? ヒース」
「みたいだなぁ、残念だが。――で、ギルド長さん。アンタはどうするかい?」
地面に押さえつけられたままの老人に目を移すヒース。
「この条件、呑めるかい?」
「…………日給12万エィン。あと、残業手当は5%。3食は保証しよう。それならば――」
「おいおい、ギルド長さん。アンタ、まだボケるような年齢じゃねえだろ」
呆れた様子で苦笑する傭兵。
「俺はコレを『労働条件と最低賃金』だと言った筈だぜ。今並べたアンタの条件じゃ、全く釣り合わねえ。改めて言うまでも無えと思っていたんだが、今のアンタの状況は、『交渉』できる立場じゃ無いんだがねぇ」
「グヌヌ……しかし、お前の条件は法外も甚だしい……」
「そうよ! 幾らなんでも足元見過ぎよ!」
思わずギルド長に同調するチャー。
敵同士であるはずの二人から抗議された格好になったヒースは――肩を竦めて皮肉気に嗤った。
「あーはいはい、解ったよ、じゃ、この話は無かった事にしようや。俺は帰るぜ。後は、金庫を自力で開けるなり、この包囲を突破するなり――勝手にやんな」
「な――!」
「ぐ――!」
それぞれに痛いところを衝かれ、絶句する二人。
「じゃあな~」
と、涼しい顔で地下室を出ようとするヒース。
「……ま、待――」
「待ちなさい! い、いや、お待ちになって!」
「――何だい? 副団長閣下?」
ヒースはチャーの方に振り返った。
チャーはまん丸な顔を憤怒で真赤にしながら、吐き捨てるように言った。
「……解ったわよ、解りましたわよ! アンタのその条件、呑んであげるわよ! その代わり!」
ビシィっと指を奥の扉に突きつける。
「まず、あのブッサイクな金庫をブチ破ってからよ。あれを開けられたら契約でも何でもしてあげるわよ! でも、出来なかったら、その命を以ってアタシ達を虚仮にしてくれた償いをしてもらうからね!」
「了~解~♪」
チャーの言質を取った瞬間、くるりと踵を返し、自信溢れる足取りで鉄扉に歩み寄るヒース。その野卑溢れる顔には自信が満ち溢れている。
周りを取り巻く傭兵達の間に、ひそひそと声が交わされる。
「……マジかよ、日給20万エィンって……」
「俺達の何倍、いや、何十倍だ?」
「でもよぉ、この金庫を開けないとチャラなんだろ? 無理じゃねえの?」
「まあ、あの人豚も、そう思ってけしかけてんだろうがよ」
「でも、あいつのあの筋肉はすげえぜ。人間じゃねえ!」
「確かに……あの筋肉の発達っぷりは、私が昔戦ったドワーフ族のそれに似ておるが……」
「ドワーフ族じゃないんじゃない? あの身長の高さは巨人族……」
「いや、そっちの方が無いだろう! あの分厚い筋肉の付き方は、絶対に巨人族じゃ……」
「おい、そんな事はどうでもいいから、賭けようぜ」
「あのデカ物が金庫を開けられるか、か?」
「俺は開ける方に2千エィン!」「いや、無理だろ。失敗に5千」「私は……成功に、奮発して2万!」
「……やめとけ、勝負になんねーよ」
そう言うと、ジザスは新しいシケモクを口に咥えた。
「ありゃ、お前らが考えてるより、遙かに厄介な代物だ。さっきいじってよーく分かったぜ。論理的に破ろうとしても無理。錠前をいじっても脈無し。ましてや力ずくなんて……成程、アイツのガタイはすげえよ……でも、それだけじゃ、とてもとてもあの扉は破れない。それはお前らも身に沁みて分かってるんじゃないのか?」
「いいねえ、いいねえ、そういう難攻不落感! やる気出てきたぜ、俺」
ジザスの言葉に答えたのは、鉄扉の前でストレッチを始めているヒースだった。
「その様子だと、力ずくで行くようだな」
「ああ、そのつもりだが?」
ジザスの問いにしれっと答えるヒース。
「それとも、俺がまともに錠前いじって金庫破ろうって感じに見えるのかい?」
「フフ、確かにな……。まあ、頑張りな。だが、どうせやるなら」
と、ジザスは鉄扉の鍵穴を指差した。
「ココら辺を狙え。多分、ココが一番脆い……あくまで、全体の強度と比較して、だがな」
「おう、そうか。参考にするぜ――スマねえな、有難うよ」
「礼なんて言うな。俺はただ、中のお宝に早くありつきたいからアドバイスしてやってるだけだ。さっさとこのムカつく扉を叩き壊してくれ」
「了解」
ニヤリと笑うと、ヒースは担いでいた、人の身長ほどの大きさのある巨大な棍棒を手に取った。
ビュオンと風を切る音をさせて、軽々とそれを振り回す。
そして、大きく振りかぶると、大上段に構え、一瞬停止する。
辺りの全ての人間が固唾を呑む。
ヒースの巨木のような腕に、モリモリと音を立てて血管が浮き上がり、
「んんおおおオオおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!」
古代竜の雄叫びもかくやという絶叫と共に、ヒースは棍棒を振り下ろした!
その男はあまりに巨大だった。周囲の屈強な傭兵達がまるで子供のよう。ゆうに頭二つ分は飛びぬけている。
彼の筋肉は異常なほど発達し、大樹の如き太い腕に厚い胸板――正に筋肉の鎧をまとっていると言う表現がぴったりだ。
そして、無骨な顔面から指の先まで、到る所に大小さまざまな傷が刻み込まれているその姿は、まるで太古の石像が仮初の命を得て動き出したかの様だ。
横に細長く伸び、先が尖っている両耳は、彼が人間種ではないことを明確に示している。
――人間種ではなく、しかしながら、その身体的特徴が、どの亜人種にも当てはまらない彼は、その存在自体が異常で異様だった。
そんな彼の放つ圧倒的で不気味なオーラに、歴戦の兵たちは気圧されて、無言でただただ道を開けるだけ。
まるで地割れのように、傭兵たちが道を開ける中、巨漢は不敵な笑みを浮かべながら、扉の前まで悠然と進み出る。
「き……キサマは、ヒース!」
巨漢の存在感に気圧され、地下室が静寂に包まれる中、ひとり驚愕の声を上げたのは、ギルド長だった。彼は腫れ上がった眼を大きく見開き、驚きを隠そうともしない。
ヒースと呼ばれた巨漢は振り返ると、その顔に兇悪な笑みを浮かべた。
「よう、ギルド長さんよ、久しぶりじゃねえかい? 元気そう……でもないか? 酷い有様だな。早く手当てしないと、その性根だけじゃなくて、顔も歪んだままになっちまうぜ?」
「キサマ! 裏切りおったな! 傭兵団の手先になるなど……この恩知らずが!」
「オイオイ、言いがかりは止めて欲しいもんだな」
ヒースは肩を竦めた。
「裏切るも何も、俺は傭兵だぜ。俺の行動の全ては、契約によってのみ為される。――それだけさ」
「な、なんだと? しかし……」
「まあ、確かに俺とアンタは契約関係……だったぜ、3日前までは」
「な――!」
「だが、アンタは俺との契約更新を断った。だから、今の俺はフリーだ。つまり……アンタとは何の関係も無いって事だ」
「つ・ま・り、アタシが彼を個人的に雇っても問題ないって訳」
ヒースの言葉を、チャーが引き継いだ。
「な――では、お前、この男に雇われ……」
「まだ本契約じゃないけどな」
「ついさっきスカウトしたのよん。やたらガタイが良くて強いのが、酒場でウチの連中相手に暴れてるって。話を聞いてみたら、失職してヤケ酒中だっていうから、雇ってあげようかなぁって」
チャーはクスクス笑いながら言った。
「でも、アンタもバカよねぇ。彼をクビになんかしなければ、こんなにカンタンにこの街は陥ちなかったわよん。アタシたちにとってはラッキーだったケド♪」
「くっ……」
歯噛みするギルド長。
と、その頭にある考えが閃いた。
「……待て、ヒース」
ギルド長は、一縷の望みに縋り、必死で巨漢に詰め寄る。
「今、お前は『まだ本契約じゃない』と言ったな……」
「――ああ」
「な、ならば、今、私がお前と『再契約』する余地はまだあるんだな?」
「ん――、そうだな」
ヒースはにんまりと微笑んで、こくりと頷く。
「アリ、だな」
「……え? ちょっとちょっと! 何を言い出しているの? ヒースちゃん?」
思いもかけない話の流れに声を裏返らせるチャー。
その姿を横目に、ヒースは涼しい顔。
「だってよ、俺はまだ契約書にサインした覚えは無いぜ?」
そう言って、彼は鎧の隠しから一枚の紙切れを取り出した。
「ちなみに、これが俺の要求する労働条件と最低賃金だ。契約書作成の参考にしてくれや。――もっとも、コレ以下の条件は呑めねえからヨロシク」
「フン、ナニを偉そうな事をほざいてるのよ。そんな要求が出来るような身分だとでも思ってるの? プータローの分際で!」
チャーは仏頂面で、引っ手繰る様に紙切れを受け取ると、紙面に目を走らせる。
そして、飛び出さんばかりに目を見開いた。
「な――、何よ、コレ!」
興奮のあまり、垂れ下がった頬肉をぶよんぶよんと痙攣させる。
「日給20万エィンン? 9時-18時勤務? 残業手当は20%増し? さらに3食保証? ……ふ――」
チャーは憤怒の表情で、紙を破り捨てた。
「ふざけんじゃないわよ! 何よコレ? こんな無茶苦茶な要求、タダの傭兵一人に赦される訳無いでしょ! アタシを虚仮にするのもいい加減にしなさい!」
「あらら? ダメだったかい? これでも結構まけてやってるんだけどなぁ」
「ド・コ・ガ!」
気が治まらないのか、足元の紙切れをわざわざ拾い上げて、グシャグシャに丸めた上で、改めて地面に叩き付けるチャー。
と、足元から、かすれた声が上がった。
「――これは、交渉決裂という事かの? ヒース」
「みたいだなぁ、残念だが。――で、ギルド長さん。アンタはどうするかい?」
地面に押さえつけられたままの老人に目を移すヒース。
「この条件、呑めるかい?」
「…………日給12万エィン。あと、残業手当は5%。3食は保証しよう。それならば――」
「おいおい、ギルド長さん。アンタ、まだボケるような年齢じゃねえだろ」
呆れた様子で苦笑する傭兵。
「俺はコレを『労働条件と最低賃金』だと言った筈だぜ。今並べたアンタの条件じゃ、全く釣り合わねえ。改めて言うまでも無えと思っていたんだが、今のアンタの状況は、『交渉』できる立場じゃ無いんだがねぇ」
「グヌヌ……しかし、お前の条件は法外も甚だしい……」
「そうよ! 幾らなんでも足元見過ぎよ!」
思わずギルド長に同調するチャー。
敵同士であるはずの二人から抗議された格好になったヒースは――肩を竦めて皮肉気に嗤った。
「あーはいはい、解ったよ、じゃ、この話は無かった事にしようや。俺は帰るぜ。後は、金庫を自力で開けるなり、この包囲を突破するなり――勝手にやんな」
「な――!」
「ぐ――!」
それぞれに痛いところを衝かれ、絶句する二人。
「じゃあな~」
と、涼しい顔で地下室を出ようとするヒース。
「……ま、待――」
「待ちなさい! い、いや、お待ちになって!」
「――何だい? 副団長閣下?」
ヒースはチャーの方に振り返った。
チャーはまん丸な顔を憤怒で真赤にしながら、吐き捨てるように言った。
「……解ったわよ、解りましたわよ! アンタのその条件、呑んであげるわよ! その代わり!」
ビシィっと指を奥の扉に突きつける。
「まず、あのブッサイクな金庫をブチ破ってからよ。あれを開けられたら契約でも何でもしてあげるわよ! でも、出来なかったら、その命を以ってアタシ達を虚仮にしてくれた償いをしてもらうからね!」
「了~解~♪」
チャーの言質を取った瞬間、くるりと踵を返し、自信溢れる足取りで鉄扉に歩み寄るヒース。その野卑溢れる顔には自信が満ち溢れている。
周りを取り巻く傭兵達の間に、ひそひそと声が交わされる。
「……マジかよ、日給20万エィンって……」
「俺達の何倍、いや、何十倍だ?」
「でもよぉ、この金庫を開けないとチャラなんだろ? 無理じゃねえの?」
「まあ、あの人豚も、そう思ってけしかけてんだろうがよ」
「でも、あいつのあの筋肉はすげえぜ。人間じゃねえ!」
「確かに……あの筋肉の発達っぷりは、私が昔戦ったドワーフ族のそれに似ておるが……」
「ドワーフ族じゃないんじゃない? あの身長の高さは巨人族……」
「いや、そっちの方が無いだろう! あの分厚い筋肉の付き方は、絶対に巨人族じゃ……」
「おい、そんな事はどうでもいいから、賭けようぜ」
「あのデカ物が金庫を開けられるか、か?」
「俺は開ける方に2千エィン!」「いや、無理だろ。失敗に5千」「私は……成功に、奮発して2万!」
「……やめとけ、勝負になんねーよ」
そう言うと、ジザスは新しいシケモクを口に咥えた。
「ありゃ、お前らが考えてるより、遙かに厄介な代物だ。さっきいじってよーく分かったぜ。論理的に破ろうとしても無理。錠前をいじっても脈無し。ましてや力ずくなんて……成程、アイツのガタイはすげえよ……でも、それだけじゃ、とてもとてもあの扉は破れない。それはお前らも身に沁みて分かってるんじゃないのか?」
「いいねえ、いいねえ、そういう難攻不落感! やる気出てきたぜ、俺」
ジザスの言葉に答えたのは、鉄扉の前でストレッチを始めているヒースだった。
「その様子だと、力ずくで行くようだな」
「ああ、そのつもりだが?」
ジザスの問いにしれっと答えるヒース。
「それとも、俺がまともに錠前いじって金庫破ろうって感じに見えるのかい?」
「フフ、確かにな……。まあ、頑張りな。だが、どうせやるなら」
と、ジザスは鉄扉の鍵穴を指差した。
「ココら辺を狙え。多分、ココが一番脆い……あくまで、全体の強度と比較して、だがな」
「おう、そうか。参考にするぜ――スマねえな、有難うよ」
「礼なんて言うな。俺はただ、中のお宝に早くありつきたいからアドバイスしてやってるだけだ。さっさとこのムカつく扉を叩き壊してくれ」
「了解」
ニヤリと笑うと、ヒースは担いでいた、人の身長ほどの大きさのある巨大な棍棒を手に取った。
ビュオンと風を切る音をさせて、軽々とそれを振り回す。
そして、大きく振りかぶると、大上段に構え、一瞬停止する。
辺りの全ての人間が固唾を呑む。
ヒースの巨木のような腕に、モリモリと音を立てて血管が浮き上がり、
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