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第3章
40・騎士様不在の一日②
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「ボクとジェラルド様の出会いは、六年前の夜会だ。王家主催のもので、多くの貴族が招待されたんだ。十歳だったボクも姉さんと一緒に参加していた」
十歳くらいのエミールくんか……。
今でさえ天使のような見た目なのだから、さぞかしかわいかったんだろうと私は想像してしまった。
「おい、余計なことを考えてるんじゃないだろうな!」
どうやら聡いエミールくんにはバレてしまったらしい。
機嫌を損ねてしまって話してくれなくなったら嫌だ。
私はさっと妄想を打ち消した。
「ご、ごめんごめん、続けて」
エミールくんはやれやれとでも言いたそうに息を吐くと、続きを口にした。
「ったく……。で、その夜会の最中に、不審者が侵入してきたんだよ。参加者に紛れてな。しかも運が悪いことに、ボクを人質にしようとした」
「え、それどうなったの?」
「その夜会にジェラルド様も出席されていたからボクは助かったんだ! ジェラルド様は、警備が対応するよりも早くボクを助けて、不審者を捕らえたんだ。すごいだろ? 一瞬だったんだ」
確かにそれは、エミールくんがジェラルドに憧れるのもわかる気がする。
当時を思い出してか、エミールくんの瞳がキラキラと輝いていた。それになんだかいつもより饒舌だ。
「確かにそれはかっこいいね……!」
六年前、というとジェラルドは15歳だろうか。
当時からその強さとは、さすがジェラルドだ。
「ボクはその時からジェラルド様に憧れているんだ。その後、神殿騎士になられたジェラルド様を追っかけて、ボクも入団をしたというわけだ!」
――あれ?
エミールくんの話の中で、ふと引っかかるものを感じて私ははたと動きを止めた。
――王家主催の、貴族が招待された夜会にジェラルドも出席していたの?
なんだか、違和感を感じる。
私が顎に手を当てて、違和感の正体について考えていたその時、遠くの方から走ってくる姿が見えた。
「……ジ、ジェラルド!?」
ジェラルドだ。
あっという間に目の前までやってきたジェラルドは、息一つ乱さずに微笑んだ。
「神子様、こちらにいらしたのですね」
「う、うん、おかえり……?」
「はい、ただいま戻りました」
ジェラルドはなんだかとてもすっきりした顔をしている。
笑顔が眩しい。
一体どうしたというのだろうか。
「神子様、お願いがあります」
「な、なに?」
ジェラルドの突然の言葉に、私は身構えてしまった。
エミールくんはというと、ジェラルドが来たからか「またな」と言って鍛錬場へ向かっていく。
――え、エミールくん、待って。ジェラルドと二人きりは緊張するから。
「俺に……、付き合ってください」
ジェラルドのその一言は、私の時を止めるのに十分な威力を持っていた。
「はっ!? え、な……っ!?」
――付き合う!?
それはつまり恋人的なお付き合いということ!? と混乱する私に、ジェラルドはにこにことした笑顔で言葉を付け足した。
「街の奥に、とても美しい花畑があると教えていただきまして。穴場で人も少ないようですし、ご一緒にいかがかと……」
――あ、ああ! そういう『付き合って』ね!
意味を理解した私は思わず脱力してしまう。
ずいぶんとベタな勘違いをしてしまった。
「花畑か……。行ってみたいな。ありがとう、ジェラルド」
私が言葉を返すと、ジェラルドは嬉しそうにする。
「良かった。では早速明日、行きましょうか」
「うん」
きっとこの騎士様は、私がここ数日落ち込んだり泣いたりしていたから、気分転換に誘ってくれたのだろう。
だけど、私はもう自分の気持ちに気づいてしまった。
どうしてもウキウキしてしまう。
十歳くらいのエミールくんか……。
今でさえ天使のような見た目なのだから、さぞかしかわいかったんだろうと私は想像してしまった。
「おい、余計なことを考えてるんじゃないだろうな!」
どうやら聡いエミールくんにはバレてしまったらしい。
機嫌を損ねてしまって話してくれなくなったら嫌だ。
私はさっと妄想を打ち消した。
「ご、ごめんごめん、続けて」
エミールくんはやれやれとでも言いたそうに息を吐くと、続きを口にした。
「ったく……。で、その夜会の最中に、不審者が侵入してきたんだよ。参加者に紛れてな。しかも運が悪いことに、ボクを人質にしようとした」
「え、それどうなったの?」
「その夜会にジェラルド様も出席されていたからボクは助かったんだ! ジェラルド様は、警備が対応するよりも早くボクを助けて、不審者を捕らえたんだ。すごいだろ? 一瞬だったんだ」
確かにそれは、エミールくんがジェラルドに憧れるのもわかる気がする。
当時を思い出してか、エミールくんの瞳がキラキラと輝いていた。それになんだかいつもより饒舌だ。
「確かにそれはかっこいいね……!」
六年前、というとジェラルドは15歳だろうか。
当時からその強さとは、さすがジェラルドだ。
「ボクはその時からジェラルド様に憧れているんだ。その後、神殿騎士になられたジェラルド様を追っかけて、ボクも入団をしたというわけだ!」
――あれ?
エミールくんの話の中で、ふと引っかかるものを感じて私ははたと動きを止めた。
――王家主催の、貴族が招待された夜会にジェラルドも出席していたの?
なんだか、違和感を感じる。
私が顎に手を当てて、違和感の正体について考えていたその時、遠くの方から走ってくる姿が見えた。
「……ジ、ジェラルド!?」
ジェラルドだ。
あっという間に目の前までやってきたジェラルドは、息一つ乱さずに微笑んだ。
「神子様、こちらにいらしたのですね」
「う、うん、おかえり……?」
「はい、ただいま戻りました」
ジェラルドはなんだかとてもすっきりした顔をしている。
笑顔が眩しい。
一体どうしたというのだろうか。
「神子様、お願いがあります」
「な、なに?」
ジェラルドの突然の言葉に、私は身構えてしまった。
エミールくんはというと、ジェラルドが来たからか「またな」と言って鍛錬場へ向かっていく。
――え、エミールくん、待って。ジェラルドと二人きりは緊張するから。
「俺に……、付き合ってください」
ジェラルドのその一言は、私の時を止めるのに十分な威力を持っていた。
「はっ!? え、な……っ!?」
――付き合う!?
それはつまり恋人的なお付き合いということ!? と混乱する私に、ジェラルドはにこにことした笑顔で言葉を付け足した。
「街の奥に、とても美しい花畑があると教えていただきまして。穴場で人も少ないようですし、ご一緒にいかがかと……」
――あ、ああ! そういう『付き合って』ね!
意味を理解した私は思わず脱力してしまう。
ずいぶんとベタな勘違いをしてしまった。
「花畑か……。行ってみたいな。ありがとう、ジェラルド」
私が言葉を返すと、ジェラルドは嬉しそうにする。
「良かった。では早速明日、行きましょうか」
「うん」
きっとこの騎士様は、私がここ数日落ち込んだり泣いたりしていたから、気分転換に誘ってくれたのだろう。
だけど、私はもう自分の気持ちに気づいてしまった。
どうしてもウキウキしてしまう。
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