8 / 19
08 誘拐
しおりを挟む
テレビでは、今日もニューフェイスの活躍を報道していた。
ニューフェイスの五人を迎え、流血の無い範囲でテレビでも戦闘の状況が流されている。
「僕は、大きくなったらニューフェイスになるんだぁ」
「クーちゃんには難しいかも知れないわね。クーちゃんの子供はニューフェイスに成れるかも知れないけど」
「嫌だ!絶対にニューフェイスになるんだい!」
「親の言うことが聞けない悪い子がニューフェイスになれるとは思わないけどねぇ」
「だって、だって、」
テレビを見ていた子供を、母親がなだめていた。
実際には、どんなに願っても努力しても、掴めない夢はある。
先天的な差異が無くとも人は環境が違い、努力しているのは自分だけではないからだ。
『諦めなければ夢は叶う』と叫ぶ企業に踊らされ、他人の事など考えないエゴイストや知能が低いものほど、競争して他者を不幸にしていく。
テレビの報道は続く。
「これで、行方不明者の救出7件、誘拐の阻止5件と大活躍のニューフェイスですが、実はこちらの山梨 貴子さんの父親である、山梨 淳一郎博士も誘拐されたそうですね?」
「そうなんです。実に残念ですが、相手は複数の同時誘拐を行ないだして、我々五人だけでは完全阻止が難しくなってきました。犯人達は組織力を使って我々に対抗しようとしています」
司会者の質問に、狭山 暁が答えた。
組織犯罪ならば当然の成り行きだと言える。
犯罪者側に人手が足りないのでなければ、テレビの様に一人のヒーローに一件の事件など、現実には有り得ないのだ。
「私としては、父の安否が心配ですが、誘拐されて心配なのは皆さんも同じ。いくらニューフェイスと言えども身内を優先するわけにはいきませんから」
山梨 貴子が、暗い表情で心情を告げた。
「山梨博士は、生命工学。特に遺伝子組み替えの第一人者で、ニューフェイス計画実践者の一人でもあります。このままでは、日本のニューフェイス計画は大打撃を受けるでしょう」
司会者が、山梨博士のプロフィールを簡単に説明する。
「日本のニューフェイス計画は、いまだ試験運用の状態です。日本でニューフェイスを作らないと決まれば、父の価値は高くないでしょう。それに、救出の優先順位は、我々が決めている訳ではありませんから」
「ニューフェイスは、あくまで警察の支援と言うのが法的な制約でしたね」
貴子は、ニューフェイスの現状を語り、司会者が彼等の不自由さを告げた。
「仮に日本でニューフェイスを作らないと決めても、高い日本の技術を欲しがる者は、誘拐を辞めないでしょう」
「確かに、それは言えるでしょうね。それに誘拐犯は海外のニューフェイスとの情報があります。実際に現行の警察。いや、人間では対応が難しいでしょうね」
暁の判断に、司会者は同意する。
実際に過去の日本では、隣国が日本国民を拉致した歴史が実在する。
今回の誘拐は国外への拉致は成功していないのだが、それは漁船で海外へ連れ出そうとした者を、海上保安庁と協力して優先的に救助したからでもある。
技術者達に埋め込まれた発信器は、ニューフェイスが開発したもので、存在も電波も感知されにくいものらしい。
これらの報道は明確なプロバガンダたが、筋道は通っており否定はできない。
話題の山梨博士は、暗い部屋で椅子に縛り付けられている。
彼の目前にはテレビモニターが有り、先の報道がながされていた。
「貴子ちゃんの御父様は、見捨てられた様だな?」
ニュース画面が【Sound Only】という表示に切り替わり、男の声が流れた。
「誰だ?どうやって私を!」
博士の記憶では、有人タクシーに乗って寝落ちした感覚だった。確かに、ハードな仕事が続いてはいたが。
「俺が分からないとは悲しいね。タクシーの運転手を脅迫してガスを使ったのだ。家族を誘拐された彼を責めないでやってくれ」
モニターの表示が変わり、液体に半身を浮かべる奇怪な姿が浮かび上がった。
頭は山羊、身体は人間で黒い翼が有り、下半身は太い蛇の姿だ。
「まさか、666号か?」
「正式には【実験体2666号】だよ御父さん。番号が特殊だからって面白半分に作られた、貴方の息子の一人だよ」
山梨火博士は顔を歪めた。
「嘘だ!生きている筈がない!画像合成してるのは、当時の研究者の誰かだな?顔を見せろ!」
今時は、3D映像をAIで動かす事など雑作もない。
「そう思うだろうな?生命力重視で作られたとは言え、廃棄区画に落とされては、飢え死ぬのが普通だからな。だが、兄弟達の死体を喰って粘っていたら、意外な天使が現れたのさ」
モニターの背後の壁が開き、ガラスの水槽が現れた。
中にはモニターに映っていたモンスターが、確かに居たのだ。
「馬鹿な!生きていたのか?」
身体の各所には生命維持装置らしき物が食い込み、ケーブルやチューブが外の機械と繋がっている。
「同じ貴方の子供なのに、彼女とは扱いが違い過ぎないかねぇ?やはり息子達より娘の方が可愛いのかね?」
当時の実験体は、博士の細胞を遺伝子組み替えして実験していたので、全てが【男性】だった。
「だが、見捨てられた俺達を天使であるルシファー様は助けて下さり、日本人への復讐の機会を与えて下さった。御父さんには、その手伝いを頼みたい」
「【ルシファー】?凝った偽名だが、外国のスパイだろう?誰が協力なんかするものか!」
既にニューフェイス計画は、彼が居なくとも大丈夫な様に、博士は仲間や貴子達に情報共有していた。
山梨博士が死んでも、今後に支障はない様にしてあったのだ。
「断っても良いのか?俺が生きていると言うことは、例の研究所の記録もサルベージされているという事だぜ」
モニターには、手書きのドキュメントや、実験の記録映像が写し出された。
「こんな物を掘り出して、脅す気か?」
「そうだよ、御父さん。ニューフェイスの基礎理論が、違法で残酷な人体実験の成果だと知れれば、日本のニューフェイス計画は頓挫か一新されるだろう。勿論だが御父さんも牢獄入りになる。貴子達も無事では済まない。それでも嫌がるなら麻薬を使うだけだが」
「・・・・・・・」
山梨博士の顔が歪む。
数多くの実験や失敗無くして、完成品は生まれない。
国連での承認以前から研究をしていなければ、抜きん出る事は不可能だったろうし、その方法が合法的なものとは限らない。
外国が日本の技術を欲しがる理由も、その先進技術に有るのだ。
「私に何をさせたいんだ?」
それに、麻薬を使われて禁断症状に苦しんで協力させられるのも、ゾッとしない。
「話が早いじゃないか?お母さんの復活だよ。研究所から持ち出して調べ、複製を試みたんだけど、上手くいかなくてね?」
「【御母さん】?お前達に母親は居ないぞ」
受精卵に遺伝子組み替えを施し、母親の子宮で育てた貴子達とは違い、実験体はクローンを遺伝子組み替えしたものだったので、山梨博士の遺伝子が元になっている。
「分からないかなぁ?人工子宮だよ、俺達を作るのに使った。コレも違法な物だが今さらだろう?牛や大型犬を使って兵士を作ってはみたが、どうも制限が多くて使いものに成るのが産み出せなくてね」
極端に遺伝子が違う物は、子宮と言えども拒否反応を示す。
その点、機械である人工子宮には拒否反応が無い。
だがコレも、女性の人件を侵害するものとして、国際的に違法扱いになっている。
「なぁに。当時の関係者は全員口を塞いであるし、同じ様な技術が海外で開発されていたとしても、昨今では不思議じゃないだろう?」
「やはり、お前達の仕業だったのか?」
実験体の研究を知る者の多くが、誘拐や失踪、事故死している事が、誘拐事件発生後の調査で山梨博士の耳にも入っていた。
「最終的には私も殺すのか?」
「ルシファー様と我々の目的が、情報の収集と、現在の日本人を殲滅する事だからねぇ。肉体と名誉も死ぬか?名誉は残って肉体だけ死ぬか?好きな方を選べば良いよ、御父さん」
山梨博士は、発信器を埋め込んでいる。
時間さえ稼げば、ニューフェイスが救出してくれる可能性がある。
「近隣国の征服利益と、お前達を産み出した日本への復讐が目的なんだな?選択肢は少ないが、科学者はプライドが高いんだよ。せめて名声くらいは残したいもんだ」
「不肖の息子の為に親らしい事をするのも悪くないだろ?」
実験体2666は、壁の向こうに姿を消し、犬顔の兵士達が数人現れた。
「使いものに成らないとか言って、なかなか知能が有るじゃないか?」
「ワレワレハ、AIノバックアップヲウケテ、コウドウシテイル」
「コンピュータと動物脳を繋いだのか?私の技術だけじゃないって訳か」
山梨博士は兵士達に連れられて、研究室へと引き摺られていった。
ニューフェイスの五人を迎え、流血の無い範囲でテレビでも戦闘の状況が流されている。
「僕は、大きくなったらニューフェイスになるんだぁ」
「クーちゃんには難しいかも知れないわね。クーちゃんの子供はニューフェイスに成れるかも知れないけど」
「嫌だ!絶対にニューフェイスになるんだい!」
「親の言うことが聞けない悪い子がニューフェイスになれるとは思わないけどねぇ」
「だって、だって、」
テレビを見ていた子供を、母親がなだめていた。
実際には、どんなに願っても努力しても、掴めない夢はある。
先天的な差異が無くとも人は環境が違い、努力しているのは自分だけではないからだ。
『諦めなければ夢は叶う』と叫ぶ企業に踊らされ、他人の事など考えないエゴイストや知能が低いものほど、競争して他者を不幸にしていく。
テレビの報道は続く。
「これで、行方不明者の救出7件、誘拐の阻止5件と大活躍のニューフェイスですが、実はこちらの山梨 貴子さんの父親である、山梨 淳一郎博士も誘拐されたそうですね?」
「そうなんです。実に残念ですが、相手は複数の同時誘拐を行ないだして、我々五人だけでは完全阻止が難しくなってきました。犯人達は組織力を使って我々に対抗しようとしています」
司会者の質問に、狭山 暁が答えた。
組織犯罪ならば当然の成り行きだと言える。
犯罪者側に人手が足りないのでなければ、テレビの様に一人のヒーローに一件の事件など、現実には有り得ないのだ。
「私としては、父の安否が心配ですが、誘拐されて心配なのは皆さんも同じ。いくらニューフェイスと言えども身内を優先するわけにはいきませんから」
山梨 貴子が、暗い表情で心情を告げた。
「山梨博士は、生命工学。特に遺伝子組み替えの第一人者で、ニューフェイス計画実践者の一人でもあります。このままでは、日本のニューフェイス計画は大打撃を受けるでしょう」
司会者が、山梨博士のプロフィールを簡単に説明する。
「日本のニューフェイス計画は、いまだ試験運用の状態です。日本でニューフェイスを作らないと決まれば、父の価値は高くないでしょう。それに、救出の優先順位は、我々が決めている訳ではありませんから」
「ニューフェイスは、あくまで警察の支援と言うのが法的な制約でしたね」
貴子は、ニューフェイスの現状を語り、司会者が彼等の不自由さを告げた。
「仮に日本でニューフェイスを作らないと決めても、高い日本の技術を欲しがる者は、誘拐を辞めないでしょう」
「確かに、それは言えるでしょうね。それに誘拐犯は海外のニューフェイスとの情報があります。実際に現行の警察。いや、人間では対応が難しいでしょうね」
暁の判断に、司会者は同意する。
実際に過去の日本では、隣国が日本国民を拉致した歴史が実在する。
今回の誘拐は国外への拉致は成功していないのだが、それは漁船で海外へ連れ出そうとした者を、海上保安庁と協力して優先的に救助したからでもある。
技術者達に埋め込まれた発信器は、ニューフェイスが開発したもので、存在も電波も感知されにくいものらしい。
これらの報道は明確なプロバガンダたが、筋道は通っており否定はできない。
話題の山梨博士は、暗い部屋で椅子に縛り付けられている。
彼の目前にはテレビモニターが有り、先の報道がながされていた。
「貴子ちゃんの御父様は、見捨てられた様だな?」
ニュース画面が【Sound Only】という表示に切り替わり、男の声が流れた。
「誰だ?どうやって私を!」
博士の記憶では、有人タクシーに乗って寝落ちした感覚だった。確かに、ハードな仕事が続いてはいたが。
「俺が分からないとは悲しいね。タクシーの運転手を脅迫してガスを使ったのだ。家族を誘拐された彼を責めないでやってくれ」
モニターの表示が変わり、液体に半身を浮かべる奇怪な姿が浮かび上がった。
頭は山羊、身体は人間で黒い翼が有り、下半身は太い蛇の姿だ。
「まさか、666号か?」
「正式には【実験体2666号】だよ御父さん。番号が特殊だからって面白半分に作られた、貴方の息子の一人だよ」
山梨火博士は顔を歪めた。
「嘘だ!生きている筈がない!画像合成してるのは、当時の研究者の誰かだな?顔を見せろ!」
今時は、3D映像をAIで動かす事など雑作もない。
「そう思うだろうな?生命力重視で作られたとは言え、廃棄区画に落とされては、飢え死ぬのが普通だからな。だが、兄弟達の死体を喰って粘っていたら、意外な天使が現れたのさ」
モニターの背後の壁が開き、ガラスの水槽が現れた。
中にはモニターに映っていたモンスターが、確かに居たのだ。
「馬鹿な!生きていたのか?」
身体の各所には生命維持装置らしき物が食い込み、ケーブルやチューブが外の機械と繋がっている。
「同じ貴方の子供なのに、彼女とは扱いが違い過ぎないかねぇ?やはり息子達より娘の方が可愛いのかね?」
当時の実験体は、博士の細胞を遺伝子組み替えして実験していたので、全てが【男性】だった。
「だが、見捨てられた俺達を天使であるルシファー様は助けて下さり、日本人への復讐の機会を与えて下さった。御父さんには、その手伝いを頼みたい」
「【ルシファー】?凝った偽名だが、外国のスパイだろう?誰が協力なんかするものか!」
既にニューフェイス計画は、彼が居なくとも大丈夫な様に、博士は仲間や貴子達に情報共有していた。
山梨博士が死んでも、今後に支障はない様にしてあったのだ。
「断っても良いのか?俺が生きていると言うことは、例の研究所の記録もサルベージされているという事だぜ」
モニターには、手書きのドキュメントや、実験の記録映像が写し出された。
「こんな物を掘り出して、脅す気か?」
「そうだよ、御父さん。ニューフェイスの基礎理論が、違法で残酷な人体実験の成果だと知れれば、日本のニューフェイス計画は頓挫か一新されるだろう。勿論だが御父さんも牢獄入りになる。貴子達も無事では済まない。それでも嫌がるなら麻薬を使うだけだが」
「・・・・・・・」
山梨博士の顔が歪む。
数多くの実験や失敗無くして、完成品は生まれない。
国連での承認以前から研究をしていなければ、抜きん出る事は不可能だったろうし、その方法が合法的なものとは限らない。
外国が日本の技術を欲しがる理由も、その先進技術に有るのだ。
「私に何をさせたいんだ?」
それに、麻薬を使われて禁断症状に苦しんで協力させられるのも、ゾッとしない。
「話が早いじゃないか?お母さんの復活だよ。研究所から持ち出して調べ、複製を試みたんだけど、上手くいかなくてね?」
「【御母さん】?お前達に母親は居ないぞ」
受精卵に遺伝子組み替えを施し、母親の子宮で育てた貴子達とは違い、実験体はクローンを遺伝子組み替えしたものだったので、山梨博士の遺伝子が元になっている。
「分からないかなぁ?人工子宮だよ、俺達を作るのに使った。コレも違法な物だが今さらだろう?牛や大型犬を使って兵士を作ってはみたが、どうも制限が多くて使いものに成るのが産み出せなくてね」
極端に遺伝子が違う物は、子宮と言えども拒否反応を示す。
その点、機械である人工子宮には拒否反応が無い。
だがコレも、女性の人件を侵害するものとして、国際的に違法扱いになっている。
「なぁに。当時の関係者は全員口を塞いであるし、同じ様な技術が海外で開発されていたとしても、昨今では不思議じゃないだろう?」
「やはり、お前達の仕業だったのか?」
実験体の研究を知る者の多くが、誘拐や失踪、事故死している事が、誘拐事件発生後の調査で山梨博士の耳にも入っていた。
「最終的には私も殺すのか?」
「ルシファー様と我々の目的が、情報の収集と、現在の日本人を殲滅する事だからねぇ。肉体と名誉も死ぬか?名誉は残って肉体だけ死ぬか?好きな方を選べば良いよ、御父さん」
山梨博士は、発信器を埋め込んでいる。
時間さえ稼げば、ニューフェイスが救出してくれる可能性がある。
「近隣国の征服利益と、お前達を産み出した日本への復讐が目的なんだな?選択肢は少ないが、科学者はプライドが高いんだよ。せめて名声くらいは残したいもんだ」
「不肖の息子の為に親らしい事をするのも悪くないだろ?」
実験体2666は、壁の向こうに姿を消し、犬顔の兵士達が数人現れた。
「使いものに成らないとか言って、なかなか知能が有るじゃないか?」
「ワレワレハ、AIノバックアップヲウケテ、コウドウシテイル」
「コンピュータと動物脳を繋いだのか?私の技術だけじゃないって訳か」
山梨博士は兵士達に連れられて、研究室へと引き摺られていった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
輿乗(よじょう)の敵 ~ 新史 桶狭間 ~
四谷軒
歴史・時代
【あらすじ】
美濃の戦国大名、斎藤道三の娘・帰蝶(きちょう)は、隣国尾張の織田信長に嫁ぐことになった。信長の父・信秀、信長の傅役(もりやく)・平手政秀など、さまざまな人々と出会い、別れ……やがて信長と帰蝶は尾張の国盗りに成功する。しかし、道三は嫡男の義龍に殺され、義龍は「一色」と称して、織田の敵に回る。一方、三河の方からは、駿河の国主・今川義元が、大軍を率いて尾張へと向かって来ていた……。
【登場人物】
帰蝶(きちょう):美濃の戦国大名、斎藤道三の娘。通称、濃姫(のうひめ)。
織田信長:尾張の戦国大名。父・信秀の跡を継いで、尾張を制した。通称、三郎(さぶろう)。
斎藤道三:下剋上(げこくじょう)により美濃の国主にのし上がった男。俗名、利政。
一色義龍:道三の息子。帰蝶の兄。道三を倒して、美濃の国主になる。幕府から、名門「一色家」を名乗る許しを得る。
今川義元:駿河の戦国大名。名門「今川家」の当主であるが、国盗りによって駿河の国主となり、「海道一の弓取り」の異名を持つ。
斯波義銀(しばよしかね):尾張の国主の家系、名門「斯波家」の当主。ただし、実力はなく、形だけの国主として、信長が「臣従」している。
【参考資料】
「国盗り物語」 司馬遼太郎 新潮社
「地図と読む 現代語訳 信長公記」 太田 牛一 (著) 中川太古 (翻訳) KADOKAWA
東浦町観光協会ホームページ
Wikipedia
【表紙画像】
歌川豊宣, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる