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序章
04 悪役令嬢も転生者②
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「王子の幼少期、ありがとうございまぁす! でも、悪役令嬢だなんてイヤァァァ!」
とは、起きざまに叫んだローズマリーの言葉である。
絶叫とともに飛び起きた彼女は、頭を抱えていた。「嫌だ、嫌だ」と呟く姿は、錯乱した精神障害者のようにも見える。
助けてくれた恩人へのお礼に──とメイドに言われたが、おそらく「助けたからには最後まで面倒みてよね」というのが本音だ──と、ローズマリーの自室でお茶とケーキをごちそうになっていたペリーウィンクルは、そんな彼女の絶叫を聞く羽目になった。
つい数時間前までメイドに威張り散らし、勢い余って池に落ちた彼女は、その弾みで前世の記憶を取り戻したらしい。
発せられた第一声は、わかりすぎた。
無意識にペリーウィンクルは「わかるわぁ」と深く頷いていたらしい。
「え……」
「ん?」
「もしかして」
「もしかして?」
「あなたも同じなの?」
「ああ、はい。たぶん、そうです」
ローズマリーは、前世の記憶を取り戻したことによる混乱からか、見知らぬ女が部屋にいたにも関わらず、警戒することなく歩み寄る。
対するペリーウィンクルも、まさか同じ転生者と出会えるとは思ってもみなくて、この奇跡に驚きつつ歩み寄った。
二人は無言でかたく握手を交わす。
そして次の瞬間にはもう、熱く語り合っていた。
それはまるで、マイナージャンルをさまようオタク同士が奇跡の出会いを果たしてしまったような独特の空気感であったと、のちに二人は語る。
すっかり話し終えてみると、二人の境遇はよく似ていることがわかった。
違うのは、今世での立場。
ペリーウィンクルがなんのしがらみもないモブであることに対し、ローズマリーはしがらみだらけの悪役令嬢なのだ。
「あぁぁぁ……なんてこと……ああ、ローズマリー。どうしてあなたはローズマリーなの……本当に、どうしてよ。どうして私が悪役令嬢なわけ? 私、めっちゃ頑張ったよ⁈ 前世は社畜としてあんなにも頑張ったっていうのに、まだ頑張れって言うの⁉︎ せめて今世はゆっくり生きたかった。ローズマリーじゃ、幸せになれないじゃない!」
その通り、とペリーウィンクルは頷いた。
ローズマリーは幼い頃から、ソレルとの結婚を約束されている。
子供らしい遊びをする暇があったら妃教育を受けろと、前世と同じように多忙な日々を送ってきたのだろう。
(今の彼女がゲームと違って子ブタちゃんなのは、転生者だからなのかもなぁ)
無意識下に、ストレスの吐け口を食欲に求めていたに違いない。
社畜として前世を終えて、今世でなお多忙を極めるなんてどんな地獄だと、ペリーウィンクルは哀れみに満ちた目でローズマリーを見た。
ローズマリーはふくよかな体を揺らし、ドスドスと足を踏み鳴らしていた。
やおらポケットからビスケットを取り出すと、ムシャムシャと食べ出す。
三枚ほどぺろりと完食すると、大仰なため息を吐いてベッドへ横になってしまった。
(ひえぇぇぇ……公爵令嬢としてどうなの、これ……)
わからなくもないが、ペリーウィンクルは残念で仕方がない。
(だって、本当はすごくかわいいのに)
ゲームでのローズマリーは性格が悪いが、見た目は本当に小動物のように愛らしかった。
だからこそ、前世のペリーウィンクルはローズマリー派だったというのに。
とは、起きざまに叫んだローズマリーの言葉である。
絶叫とともに飛び起きた彼女は、頭を抱えていた。「嫌だ、嫌だ」と呟く姿は、錯乱した精神障害者のようにも見える。
助けてくれた恩人へのお礼に──とメイドに言われたが、おそらく「助けたからには最後まで面倒みてよね」というのが本音だ──と、ローズマリーの自室でお茶とケーキをごちそうになっていたペリーウィンクルは、そんな彼女の絶叫を聞く羽目になった。
つい数時間前までメイドに威張り散らし、勢い余って池に落ちた彼女は、その弾みで前世の記憶を取り戻したらしい。
発せられた第一声は、わかりすぎた。
無意識にペリーウィンクルは「わかるわぁ」と深く頷いていたらしい。
「え……」
「ん?」
「もしかして」
「もしかして?」
「あなたも同じなの?」
「ああ、はい。たぶん、そうです」
ローズマリーは、前世の記憶を取り戻したことによる混乱からか、見知らぬ女が部屋にいたにも関わらず、警戒することなく歩み寄る。
対するペリーウィンクルも、まさか同じ転生者と出会えるとは思ってもみなくて、この奇跡に驚きつつ歩み寄った。
二人は無言でかたく握手を交わす。
そして次の瞬間にはもう、熱く語り合っていた。
それはまるで、マイナージャンルをさまようオタク同士が奇跡の出会いを果たしてしまったような独特の空気感であったと、のちに二人は語る。
すっかり話し終えてみると、二人の境遇はよく似ていることがわかった。
違うのは、今世での立場。
ペリーウィンクルがなんのしがらみもないモブであることに対し、ローズマリーはしがらみだらけの悪役令嬢なのだ。
「あぁぁぁ……なんてこと……ああ、ローズマリー。どうしてあなたはローズマリーなの……本当に、どうしてよ。どうして私が悪役令嬢なわけ? 私、めっちゃ頑張ったよ⁈ 前世は社畜としてあんなにも頑張ったっていうのに、まだ頑張れって言うの⁉︎ せめて今世はゆっくり生きたかった。ローズマリーじゃ、幸せになれないじゃない!」
その通り、とペリーウィンクルは頷いた。
ローズマリーは幼い頃から、ソレルとの結婚を約束されている。
子供らしい遊びをする暇があったら妃教育を受けろと、前世と同じように多忙な日々を送ってきたのだろう。
(今の彼女がゲームと違って子ブタちゃんなのは、転生者だからなのかもなぁ)
無意識下に、ストレスの吐け口を食欲に求めていたに違いない。
社畜として前世を終えて、今世でなお多忙を極めるなんてどんな地獄だと、ペリーウィンクルは哀れみに満ちた目でローズマリーを見た。
ローズマリーはふくよかな体を揺らし、ドスドスと足を踏み鳴らしていた。
やおらポケットからビスケットを取り出すと、ムシャムシャと食べ出す。
三枚ほどぺろりと完食すると、大仰なため息を吐いてベッドへ横になってしまった。
(ひえぇぇぇ……公爵令嬢としてどうなの、これ……)
わからなくもないが、ペリーウィンクルは残念で仕方がない。
(だって、本当はすごくかわいいのに)
ゲームでのローズマリーは性格が悪いが、見た目は本当に小動物のように愛らしかった。
だからこそ、前世のペリーウィンクルはローズマリー派だったというのに。
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