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序章
06 マルベリーのお茶①
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社交界で、小さな噂が流れている。
デュパンセ公爵家の娘、ローズマリー・デュパンセを助けた少女は、その功績を称えられて男爵家の庭師から公爵家の庭師へ昇進した、と。
まるで、濁流に飲まれた令嬢を颯爽と助け出したヒーローのような言われようだったが、実際はそこまでの一大事ではない。
あの場にいる誰もがローズマリーを助けられたはずなのにそれをしなかったのは、意地悪な彼女を疎ましく思っていたから。ちょっとくらい意地悪してやろうと、そんな気持ちだったに違いない。
(まぁ今は……悔い改めたみたいだし。そのうち、メイドたちも気づく……かなぁ?)
とはいえ、公爵家の庭師として雇われたペリーウィンクルは、現在ローズマリーの専属庭師ということになっている。
専属庭師、というとヴィヴァルディ以外の国ではなんのこっちゃとなるものだが、この国ではよくあることだ。
妖精が立ち寄りたくなる庭。
それを造るために、ヴィヴァルディでは庭師が重宝されている。
妖精と契約するためにはまず、妖精と出会わなくては始まらない。
その第一歩となるのが、妖精が立ち寄りたくなる庭、というわけだ。
さて、ではどんな庭が妖精たちに気に入られるのか。
一般的には、自然美を生かした田舎風の庭は植物系の妖精、幾何学的な庭は食べ物系の妖精、石を多用した庭は宝石や道具系の妖精が気にいる傾向にあるとされている。
ペリーウィンクルが得意とするのは、田舎風の庭だ。
ハーブをたくさん植えた実用的な庭が好きで、前世でも箱庭パートではハーブガーデンを作っていた。
普通は、狙っている攻略キャラの好みに合わせた箱庭を作るものだが、前世のペリーウィンクルは理想の箱庭を求めるあまり、攻略キャラ好みの箱庭を作ることはついぞなかった。
ちなみに、ローズマリーの妖精は食べ物系、ソレル王子の妖精は宝石系である。
妖精使いになることは、一種のステータスだ。
特に、高位の貴族は必須だと言っても過言ではない。
王族の場合、生まれた時に祝福しに来てくれた妖精の中から、もっとも相性の良い妖精が契約してくれる。
王弟を祖父に持つローズマリーも、生まれた時には妖精たちが祝福に来てくれたと言う。
祝福を受けられない貴族たちは、必死だ。
妖精と契約できた者こそ真の貴族だとされ、平民が妖精と契約しようものなら、彼らはこぞって養子縁組をしたがった。
ヒロインが平民であるにも関わらず次期国王であるソレルと結婚できるのは、そのおかげである。
強い妖精と契約することは、それだけの価値があることなのだ。
デュパンセ公爵家の娘、ローズマリー・デュパンセを助けた少女は、その功績を称えられて男爵家の庭師から公爵家の庭師へ昇進した、と。
まるで、濁流に飲まれた令嬢を颯爽と助け出したヒーローのような言われようだったが、実際はそこまでの一大事ではない。
あの場にいる誰もがローズマリーを助けられたはずなのにそれをしなかったのは、意地悪な彼女を疎ましく思っていたから。ちょっとくらい意地悪してやろうと、そんな気持ちだったに違いない。
(まぁ今は……悔い改めたみたいだし。そのうち、メイドたちも気づく……かなぁ?)
とはいえ、公爵家の庭師として雇われたペリーウィンクルは、現在ローズマリーの専属庭師ということになっている。
専属庭師、というとヴィヴァルディ以外の国ではなんのこっちゃとなるものだが、この国ではよくあることだ。
妖精が立ち寄りたくなる庭。
それを造るために、ヴィヴァルディでは庭師が重宝されている。
妖精と契約するためにはまず、妖精と出会わなくては始まらない。
その第一歩となるのが、妖精が立ち寄りたくなる庭、というわけだ。
さて、ではどんな庭が妖精たちに気に入られるのか。
一般的には、自然美を生かした田舎風の庭は植物系の妖精、幾何学的な庭は食べ物系の妖精、石を多用した庭は宝石や道具系の妖精が気にいる傾向にあるとされている。
ペリーウィンクルが得意とするのは、田舎風の庭だ。
ハーブをたくさん植えた実用的な庭が好きで、前世でも箱庭パートではハーブガーデンを作っていた。
普通は、狙っている攻略キャラの好みに合わせた箱庭を作るものだが、前世のペリーウィンクルは理想の箱庭を求めるあまり、攻略キャラ好みの箱庭を作ることはついぞなかった。
ちなみに、ローズマリーの妖精は食べ物系、ソレル王子の妖精は宝石系である。
妖精使いになることは、一種のステータスだ。
特に、高位の貴族は必須だと言っても過言ではない。
王族の場合、生まれた時に祝福しに来てくれた妖精の中から、もっとも相性の良い妖精が契約してくれる。
王弟を祖父に持つローズマリーも、生まれた時には妖精たちが祝福に来てくれたと言う。
祝福を受けられない貴族たちは、必死だ。
妖精と契約できた者こそ真の貴族だとされ、平民が妖精と契約しようものなら、彼らはこぞって養子縁組をしたがった。
ヒロインが平民であるにも関わらず次期国王であるソレルと結婚できるのは、そのおかげである。
強い妖精と契約することは、それだけの価値があることなのだ。
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