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一章
14 かわいい担当テディベア系令息③
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むくりと上半身を起こした少女の目は、転んでどこか痛めたのか、涙目になっている。
うるうるとしたその瞳は、薔薇石英のような色をしていた。
(へぇ、さすがヒロイン。ピンク色の目ですか)
ゲームでは顔のなかったヒロインだが、現実となればそうもいかない。
少女の顔はなかなかに、愛らしい顔立ちをしていた。そう、中の中、だ。
(お嬢様ほどではありません)
ペリーウィンクルは間違っても、悔し紛れに思っているわけじゃない。
彼女は心から、ローズマリーの容姿が一番だと思っていた。
「わぁ、痛そう。キミ、大丈夫?」
ぼんやりと様子見する二人の前で、一人の少年がひょこりと現れる。
ふわふわのピンクブロンドの髪に、まだ幼さが抜けきれていない柔らかそうな輪郭。コロンとした淡い茶色の大きな目は、愛らしいテディベアを彷彿とさせる。
(ヒィィィ! お嬢様と並べたいッッ!)
小動物系お嬢様とこぐま系男子。薄紫とピンクのパステルカラーで、とても良い。
並べてベンチに座らせておいたら、絵になりそうだ。
絶対にかわいい。間違いなく、眼福だ。
ペリーウィンクルは持っていたトランクを落としそうになりながら、うっとりと二人を見比べた。
「起こしてあげるから、掴まって?」
身を屈めてヒロインへ手を差し伸べるのは、乙女ゲームにおいてヒロインと最初に出会う王道の王子様──ではなく、妖精使い養成学校・スルスで学校長を務める妖精を父に持つ、半妖精のシナモンだ。
(一番初めに出会うから王子かと誤解しそうになるけど、そうじゃないんだよねぇ)
あっちもこっちも王族だったらソレル王子の魅力が半減しちゃうもんね、とゲームプレイ中に思ったものだ。
ソレルが残念王子だと認識している今は、ますますその思いが強くなる。
「ねぇ、ペリー。あの子がヒロインよね?」
「そうだと思います」
「わたくし、上手にいじめられるかしら?」
「どうでしょう。いざとなったら私がやりますし、お嬢様はそのままで良いのでは?」
二人の目の前で、シナモンに助け起こされたヒロインは、モジモジと「あっ、ありがとうございます」と礼を言っている。
だけど、ペリーウィンクルは知っている。
この時点でシナモンは、とある令嬢に恋をしていて、ヒロインなんて意識していないことを。
「さて。ヒロインは無事に見つけましたし、そろそろ行きましょうか、お嬢様?」
「ええ」
歩き出したローズマリーの後ろにつき、ペリーウィンクルも歩き出す。
二人分のトランクは地味に重い。
これはなるべく早く寮に着かなければと思いながら、ペリーウィンクルはトランクを抱え直した。
まさかそんな二人の後ろで、ヒロインがシナモンに、
「わたし、誰かに足を引っ掛けられて転んじゃったんです!」
と涙目で訴えかけていたとは、知る由もなかった。
うるうるとしたその瞳は、薔薇石英のような色をしていた。
(へぇ、さすがヒロイン。ピンク色の目ですか)
ゲームでは顔のなかったヒロインだが、現実となればそうもいかない。
少女の顔はなかなかに、愛らしい顔立ちをしていた。そう、中の中、だ。
(お嬢様ほどではありません)
ペリーウィンクルは間違っても、悔し紛れに思っているわけじゃない。
彼女は心から、ローズマリーの容姿が一番だと思っていた。
「わぁ、痛そう。キミ、大丈夫?」
ぼんやりと様子見する二人の前で、一人の少年がひょこりと現れる。
ふわふわのピンクブロンドの髪に、まだ幼さが抜けきれていない柔らかそうな輪郭。コロンとした淡い茶色の大きな目は、愛らしいテディベアを彷彿とさせる。
(ヒィィィ! お嬢様と並べたいッッ!)
小動物系お嬢様とこぐま系男子。薄紫とピンクのパステルカラーで、とても良い。
並べてベンチに座らせておいたら、絵になりそうだ。
絶対にかわいい。間違いなく、眼福だ。
ペリーウィンクルは持っていたトランクを落としそうになりながら、うっとりと二人を見比べた。
「起こしてあげるから、掴まって?」
身を屈めてヒロインへ手を差し伸べるのは、乙女ゲームにおいてヒロインと最初に出会う王道の王子様──ではなく、妖精使い養成学校・スルスで学校長を務める妖精を父に持つ、半妖精のシナモンだ。
(一番初めに出会うから王子かと誤解しそうになるけど、そうじゃないんだよねぇ)
あっちもこっちも王族だったらソレル王子の魅力が半減しちゃうもんね、とゲームプレイ中に思ったものだ。
ソレルが残念王子だと認識している今は、ますますその思いが強くなる。
「ねぇ、ペリー。あの子がヒロインよね?」
「そうだと思います」
「わたくし、上手にいじめられるかしら?」
「どうでしょう。いざとなったら私がやりますし、お嬢様はそのままで良いのでは?」
二人の目の前で、シナモンに助け起こされたヒロインは、モジモジと「あっ、ありがとうございます」と礼を言っている。
だけど、ペリーウィンクルは知っている。
この時点でシナモンは、とある令嬢に恋をしていて、ヒロインなんて意識していないことを。
「さて。ヒロインは無事に見つけましたし、そろそろ行きましょうか、お嬢様?」
「ええ」
歩き出したローズマリーの後ろにつき、ペリーウィンクルも歩き出す。
二人分のトランクは地味に重い。
これはなるべく早く寮に着かなければと思いながら、ペリーウィンクルはトランクを抱え直した。
まさかそんな二人の後ろで、ヒロインがシナモンに、
「わたし、誰かに足を引っ掛けられて転んじゃったんです!」
と涙目で訴えかけていたとは、知る由もなかった。
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