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二章
37 妖精の勘違い①
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サントリナは女性だ。
それはわかっている。わかってはいるが、目から入ってくる情報はどうやっても美青年で、手を握られてつい胸が高鳴った。
冬の国の姫が恋に落ちるのも、わかる気がする。面食いであるペリーウィンクルもまた、彼女の魅力に屈しそうになっていたから。
浮ついた気持ちを落ち着けるべく、着替えてからお茶を出すまでの行動を考えながら自室へと急ぐ。
パタンと扉を閉めたペリーウィンクルは、安心したように息を吐いた。
「……サントリナが好きなのか?」
「ぴゃあっ!」
突然、脇から影が落ちる。
見上げるよりも早く耳元でささやかれて、ペリーウィンクルは心臓が止まるかと思った。
そうでなくとも、サントリナからの過剰な接触のせいで胸が騒いだままだったというのに、不意打ちで吐息混じりの艶っぽい声を出されてはたまったものじゃない。
(いつも淡々とした声しか出さないくせに。こんな時ばっかり、もう!)
耳に当たった吐息のせいで不本意にもゾクゾクと体を震わせてしまい、ペリーウィンクルはいたたまれなさについ、逆切れするように睨みつけた。
親のようにも、兄のようにも思っていた人物が、大人の雰囲気を持ち出してきたのだ。強制的に意識させられて、恥ずかしさのあまり彼女が八つ当たりするのは、仕方のないことだろう。
「なにするのよ、ヴィアベル!」
「なに、とはこちらが聞きたい。さきほどのあれは何だ」
「は? あれってなに」
「手を握って見つめ合っていたではないか」
睨みつけた先に無表情の顔を認めて、ペリーウィンクルは眉を寄せた。
相変わらずの人外じみた美貌だ。整っているからこそ、無表情だと現実味がなくて恐ろしさを覚える。
(人の姿をした妖精が綺麗なのって、整った顔が一番楽だからって言っていたっけ)
味のある顔を作るのは、コストがかかるらしい。
不細工を作るのは難しいことなのだと、ずっと昔にヴィアベルが言っていたのを聞いたことがある。
(いや、今はそれよりも……)
あまりの怖さについ、頭が現実逃避をしてしまったらしい。
ただ静かに様子を窺っているらしいヴィアベルに、ペリーウィンクルはどうしたものかと思案する。
あるかなしかの笑みを浮かべて、目に揶揄うような色を滲ませているのが、通常のヴィアベルだ。
だというのに、今日の彼はらしくもなく苛ついてるらしい。
たちの悪いいたずらを仕掛けてきたのも、そのせいに違いない。
(そうじゃなきゃ、ヴィアベルがあんな声を出すわけがないもの)
あんな声、とうっかり思い出してしまい、ペリーウィンクルの頬が赤らむ。
だが、ガラス玉のような目に映っていた、情けない自分の表情が目に入り、すぐさま冷静さを取り戻した。
それはわかっている。わかってはいるが、目から入ってくる情報はどうやっても美青年で、手を握られてつい胸が高鳴った。
冬の国の姫が恋に落ちるのも、わかる気がする。面食いであるペリーウィンクルもまた、彼女の魅力に屈しそうになっていたから。
浮ついた気持ちを落ち着けるべく、着替えてからお茶を出すまでの行動を考えながら自室へと急ぐ。
パタンと扉を閉めたペリーウィンクルは、安心したように息を吐いた。
「……サントリナが好きなのか?」
「ぴゃあっ!」
突然、脇から影が落ちる。
見上げるよりも早く耳元でささやかれて、ペリーウィンクルは心臓が止まるかと思った。
そうでなくとも、サントリナからの過剰な接触のせいで胸が騒いだままだったというのに、不意打ちで吐息混じりの艶っぽい声を出されてはたまったものじゃない。
(いつも淡々とした声しか出さないくせに。こんな時ばっかり、もう!)
耳に当たった吐息のせいで不本意にもゾクゾクと体を震わせてしまい、ペリーウィンクルはいたたまれなさについ、逆切れするように睨みつけた。
親のようにも、兄のようにも思っていた人物が、大人の雰囲気を持ち出してきたのだ。強制的に意識させられて、恥ずかしさのあまり彼女が八つ当たりするのは、仕方のないことだろう。
「なにするのよ、ヴィアベル!」
「なに、とはこちらが聞きたい。さきほどのあれは何だ」
「は? あれってなに」
「手を握って見つめ合っていたではないか」
睨みつけた先に無表情の顔を認めて、ペリーウィンクルは眉を寄せた。
相変わらずの人外じみた美貌だ。整っているからこそ、無表情だと現実味がなくて恐ろしさを覚える。
(人の姿をした妖精が綺麗なのって、整った顔が一番楽だからって言っていたっけ)
味のある顔を作るのは、コストがかかるらしい。
不細工を作るのは難しいことなのだと、ずっと昔にヴィアベルが言っていたのを聞いたことがある。
(いや、今はそれよりも……)
あまりの怖さについ、頭が現実逃避をしてしまったらしい。
ただ静かに様子を窺っているらしいヴィアベルに、ペリーウィンクルはどうしたものかと思案する。
あるかなしかの笑みを浮かべて、目に揶揄うような色を滲ませているのが、通常のヴィアベルだ。
だというのに、今日の彼はらしくもなく苛ついてるらしい。
たちの悪いいたずらを仕掛けてきたのも、そのせいに違いない。
(そうじゃなきゃ、ヴィアベルがあんな声を出すわけがないもの)
あんな声、とうっかり思い出してしまい、ペリーウィンクルの頬が赤らむ。
だが、ガラス玉のような目に映っていた、情けない自分の表情が目に入り、すぐさま冷静さを取り戻した。
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