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二章
49 庭師モブ子のハーブ講座②
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「これらは、傷の治療に使います。ニゲラ様は剣の鍛錬もされますよね? 機会はあまりないかもしれませんが、もしもけがをした時は……セントジョンズワートの軟膏を塗るのです!」
テテーンと満を持して取り出したのは、ナッツ油にセントジョンズワートを漬け込んだ浸出油である。
ペリーウィンクルは、ビーカーの中に浸出油とミツロウを入れると、鍋に湯を入れてビーカーを浸した。
ヘラでかき混ぜながらミツロウを溶かし、ビーカーを鍋から引き上げてさらにかき混ぜる。
完全に固まる前に容器へ入れたら、セントジョンズワートの軟膏の完成だ。
手際良く作業をするペリーウィンクルに、ローズマリーとサントリナは拍手喝采である。
「すごいね、ペリーウィンクルさん。この浸出油というのは、どれくらい漬け込んでおけば作れるものなのだろうか?」
「そうですね、二週間くらいがベストです」
「結構かかるものなのだね」
「でも、一度作れば三カ月ほどは保存できますから。便利ですよ?」
「ニゲラは武芸に秀でているが、守ることが苦手でね。攻撃が最大の防御だと言って聞かないんだ。ボクとの鍛錬ではいつも、切り傷の一つ二つついてしまう。だから、この軟膏があると、とても助かるよ」
そう言って微笑むサントリナは、思わずペリーウィンクルとローズマリーが言葉を忘れてしまったくらい、聖母のような神々しさがあった。
ペリーウィンクルなんて、無意識に手を合わせて拝んでしまったほどである。
「二人とも、おかしな顔をしてどうしたんだい?」
「サントリナ様は本当に、ニゲラ様がお好きなのだなぁと思っただけですわ。ねぇ、ペリー?」
「ええ、そうですとも。ここはぜひ、軟膏の作り方を覚えて帰っていただいて、浸出油から手作りすると尚良いかと思います!」
「そ、そうかな?」
「「そうですとも!」」
息ぴったりに言い切る二人に、サントリナは一瞬キョトンと目を瞬かせて、それから弾けたようにカラカラと笑った。
「そうそう、忘れるところでした。軟膏を塗ったあとは、エキナセアとローズヒップのお茶がおすすめです。エキナセアには感染症の予防と治癒作用がありますから」
「そうなのか。ローズヒップはいろいろ使えるのだね。今度、ボクの箱庭に植えてみようかな」
「でしたら、ロサ・カニーナを植えてみてください。一重に咲いたピンクがかった花は、とてもかわいらしいですよ」
「ピンクか……ボクの箱庭に似合うだろうか」
それはまるで、彼女自身がピンク色は似合わないと諦めているようで、ペリーウィンクルは寂しく思った。
どう言えば、彼女は諦めないでくれるのだろう。
ペリーウィンクルが何も言えずにただ立ったままになっていると、ローズマリーはさっとサントリナの手を握った。
「似合いますわ! ねぇ、サントリナ様。わたくし思っていたのですけれど、本当はかわいいものがお好きなのではありませんか?」
「えっと……」
「見た目が王子様みたいだからと言って、王子様になる必要はございませんわ! サントリナ様は中性的なだけで、男性的ではありませんもの。ドレスもお化粧も、もちろんピンク色だって、似合わないはずがないのです。お一人が心細いなら、わたくしたちがお手伝いいたしますわ。だから、ね? 女の子を楽しみましょう?」
「あ……」
その時、コロリと。サントリナの目から、雫が落ちた。
瞬きをするたびに、それは何個も落ちてくる。
ころり、ころり。
まるで真珠のようなそれに、ペリーウィンクルは目を離せなくなる。
「ずっと我慢していらしたの? もう、大丈夫ですわ。わたくしたちが全力で、サントリナ様をかわいらしくしてみせますから」
背伸びをしながら、ローズマリーがよしよしとサントリナの頭を撫でる。
こくんこくんと頷きながら涙を零すサントリナは、か弱い女の子にしか見えなかった。
テテーンと満を持して取り出したのは、ナッツ油にセントジョンズワートを漬け込んだ浸出油である。
ペリーウィンクルは、ビーカーの中に浸出油とミツロウを入れると、鍋に湯を入れてビーカーを浸した。
ヘラでかき混ぜながらミツロウを溶かし、ビーカーを鍋から引き上げてさらにかき混ぜる。
完全に固まる前に容器へ入れたら、セントジョンズワートの軟膏の完成だ。
手際良く作業をするペリーウィンクルに、ローズマリーとサントリナは拍手喝采である。
「すごいね、ペリーウィンクルさん。この浸出油というのは、どれくらい漬け込んでおけば作れるものなのだろうか?」
「そうですね、二週間くらいがベストです」
「結構かかるものなのだね」
「でも、一度作れば三カ月ほどは保存できますから。便利ですよ?」
「ニゲラは武芸に秀でているが、守ることが苦手でね。攻撃が最大の防御だと言って聞かないんだ。ボクとの鍛錬ではいつも、切り傷の一つ二つついてしまう。だから、この軟膏があると、とても助かるよ」
そう言って微笑むサントリナは、思わずペリーウィンクルとローズマリーが言葉を忘れてしまったくらい、聖母のような神々しさがあった。
ペリーウィンクルなんて、無意識に手を合わせて拝んでしまったほどである。
「二人とも、おかしな顔をしてどうしたんだい?」
「サントリナ様は本当に、ニゲラ様がお好きなのだなぁと思っただけですわ。ねぇ、ペリー?」
「ええ、そうですとも。ここはぜひ、軟膏の作り方を覚えて帰っていただいて、浸出油から手作りすると尚良いかと思います!」
「そ、そうかな?」
「「そうですとも!」」
息ぴったりに言い切る二人に、サントリナは一瞬キョトンと目を瞬かせて、それから弾けたようにカラカラと笑った。
「そうそう、忘れるところでした。軟膏を塗ったあとは、エキナセアとローズヒップのお茶がおすすめです。エキナセアには感染症の予防と治癒作用がありますから」
「そうなのか。ローズヒップはいろいろ使えるのだね。今度、ボクの箱庭に植えてみようかな」
「でしたら、ロサ・カニーナを植えてみてください。一重に咲いたピンクがかった花は、とてもかわいらしいですよ」
「ピンクか……ボクの箱庭に似合うだろうか」
それはまるで、彼女自身がピンク色は似合わないと諦めているようで、ペリーウィンクルは寂しく思った。
どう言えば、彼女は諦めないでくれるのだろう。
ペリーウィンクルが何も言えずにただ立ったままになっていると、ローズマリーはさっとサントリナの手を握った。
「似合いますわ! ねぇ、サントリナ様。わたくし思っていたのですけれど、本当はかわいいものがお好きなのではありませんか?」
「えっと……」
「見た目が王子様みたいだからと言って、王子様になる必要はございませんわ! サントリナ様は中性的なだけで、男性的ではありませんもの。ドレスもお化粧も、もちろんピンク色だって、似合わないはずがないのです。お一人が心細いなら、わたくしたちがお手伝いいたしますわ。だから、ね? 女の子を楽しみましょう?」
「あ……」
その時、コロリと。サントリナの目から、雫が落ちた。
瞬きをするたびに、それは何個も落ちてくる。
ころり、ころり。
まるで真珠のようなそれに、ペリーウィンクルは目を離せなくなる。
「ずっと我慢していらしたの? もう、大丈夫ですわ。わたくしたちが全力で、サントリナ様をかわいらしくしてみせますから」
背伸びをしながら、ローズマリーがよしよしとサントリナの頭を撫でる。
こくんこくんと頷きながら涙を零すサントリナは、か弱い女の子にしか見えなかった。
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