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二章 一年目あきの月
20 あきの月5日、出荷業を営む少女③
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そんな日の、夕方のこと。
シルキーに頼んで早めに昼寝から起こして貰ったイーヴィンは、今朝収穫したホウレンソウとサツマイモを出荷用の木箱に入れて、出荷業を営む人の訪れを待っていた。
午後四時半。
荷馬車に乗って、彼女はやって来た。
落ち着いたグリーンのワンピースにエプロンをつけた、ふくよかな体は柔らかそうだ。特に胸の豊かな膨らみは、あまり豊かではないイーヴィンにとって憧れのものである。
(さ、触りたい……!)
さっと背に隠した手がワキワキとしている様は、まるでスケベジジィのようだった。
そんなイーヴィンの内心を悟ってか、シルキーは端正な顔にほんの少し苦いものを滲ませる。
ペタリと真っ平らな自分の胸に手を当てているのを見るに、イーヴィンの熱烈な視線を浴びるものに嫉妬しているのかもしれない。
「あらあら。シルキーは男性型なのだから、胸は難しいのでは?」
そんなシルキーにおっとりと笑いかけた少女は、豊かな胸を見せつけるようにウフフと胸を張ってみせた。
彼女はイーヴィンへ向き直ると、愛想良く笑いかけながらこう言った。
「はじめまして。私は、モア。出荷業を営んでいるわ。あなたが出荷してくれたものを買い取るのが主な仕事だけれど、欲しいものがあれば取り寄せることも請け負っているの。何かあれば遠慮なく言ってくださいな」
よろしく、と差し出された握手の手に、イーヴィンは慌てて隠していた手を出して握り返した。
モアは、ゲームで見ていたよりもグラマーだ。コロコロと鈴が鳴るように笑いそうだと思っていた彼女の声は、予想に反して、ちょっと低めでボーイッシュな雰囲気があった。
ふんわりとしたショートボブの濃いブラウンの髪は、彼女のおっとりした雰囲気に合っている。緑色の目は、宝石みたいにキラキラと生気に満ちていた。
「はじめまして。私はイーヴィンです。これから色々ご迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願いします。あの……早速なんですが、今日、初めて野菜を収穫しまして。買い取りをお願いしても良いですか?」
「もちろん!」
そう言って差し出した木箱を見て、モアは目をまん丸にしていた。
キラキラと金色に輝くホウレンソウとサツマイモは、どれも文句なしのAランクだ。
「あらまぁ。これ、本当にあなたが?この牧場の畑で?」
「あー……えっと、はい」
彼女の戸惑いは当然だ。素人のイーヴィンが作った野菜が、全てAランクなんてとんでもない偉業だからだ。
まさか女神に貸しがありまして、なんて言えず、イーヴィンは曖昧に笑う。
「どれも素晴らしい出来ですね。ホウレンソウもサツマイモも、全部Aランク!初めてなので多少色をつけようと思っていましたが、必要なさそう……では、こちらは全て買い取りでよろしいですか?」
モアの声に、シルキーは待ったをかけた。ホウレンソウとサツマイモをそれぞれ一つ取り上げて、大事そうに抱える。
それを見たモアは、あらあらと苦笑した。
「初めて収穫したお野菜、味見したいのかしら?」
コクリと頷くシルキーに、モアは「イーヴィンが大好きなのねぇ」と笑った。
健気なシルキーにイーヴィンはまたしても抱き着きたい衝動に駆られたが、モアの前では少々気恥ずかしく、「ありがとう」と伝えるだけにしておいた。
その日の夕食は、キノコとサツマイモのスープだった。
今まで食事を一切取っていなかったシルキーも、イーヴィンが収穫したものだからか、サツマイモを美味しそうに食べていた。
翌日の夕飯には、サーモンとホウレンソウのクリーム煮が出た。
噛みしめるようにイーヴィンの作った野菜を食べるシルキーに、彼女はますますやる気を出したのだった。
シルキーに頼んで早めに昼寝から起こして貰ったイーヴィンは、今朝収穫したホウレンソウとサツマイモを出荷用の木箱に入れて、出荷業を営む人の訪れを待っていた。
午後四時半。
荷馬車に乗って、彼女はやって来た。
落ち着いたグリーンのワンピースにエプロンをつけた、ふくよかな体は柔らかそうだ。特に胸の豊かな膨らみは、あまり豊かではないイーヴィンにとって憧れのものである。
(さ、触りたい……!)
さっと背に隠した手がワキワキとしている様は、まるでスケベジジィのようだった。
そんなイーヴィンの内心を悟ってか、シルキーは端正な顔にほんの少し苦いものを滲ませる。
ペタリと真っ平らな自分の胸に手を当てているのを見るに、イーヴィンの熱烈な視線を浴びるものに嫉妬しているのかもしれない。
「あらあら。シルキーは男性型なのだから、胸は難しいのでは?」
そんなシルキーにおっとりと笑いかけた少女は、豊かな胸を見せつけるようにウフフと胸を張ってみせた。
彼女はイーヴィンへ向き直ると、愛想良く笑いかけながらこう言った。
「はじめまして。私は、モア。出荷業を営んでいるわ。あなたが出荷してくれたものを買い取るのが主な仕事だけれど、欲しいものがあれば取り寄せることも請け負っているの。何かあれば遠慮なく言ってくださいな」
よろしく、と差し出された握手の手に、イーヴィンは慌てて隠していた手を出して握り返した。
モアは、ゲームで見ていたよりもグラマーだ。コロコロと鈴が鳴るように笑いそうだと思っていた彼女の声は、予想に反して、ちょっと低めでボーイッシュな雰囲気があった。
ふんわりとしたショートボブの濃いブラウンの髪は、彼女のおっとりした雰囲気に合っている。緑色の目は、宝石みたいにキラキラと生気に満ちていた。
「はじめまして。私はイーヴィンです。これから色々ご迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願いします。あの……早速なんですが、今日、初めて野菜を収穫しまして。買い取りをお願いしても良いですか?」
「もちろん!」
そう言って差し出した木箱を見て、モアは目をまん丸にしていた。
キラキラと金色に輝くホウレンソウとサツマイモは、どれも文句なしのAランクだ。
「あらまぁ。これ、本当にあなたが?この牧場の畑で?」
「あー……えっと、はい」
彼女の戸惑いは当然だ。素人のイーヴィンが作った野菜が、全てAランクなんてとんでもない偉業だからだ。
まさか女神に貸しがありまして、なんて言えず、イーヴィンは曖昧に笑う。
「どれも素晴らしい出来ですね。ホウレンソウもサツマイモも、全部Aランク!初めてなので多少色をつけようと思っていましたが、必要なさそう……では、こちらは全て買い取りでよろしいですか?」
モアの声に、シルキーは待ったをかけた。ホウレンソウとサツマイモをそれぞれ一つ取り上げて、大事そうに抱える。
それを見たモアは、あらあらと苦笑した。
「初めて収穫したお野菜、味見したいのかしら?」
コクリと頷くシルキーに、モアは「イーヴィンが大好きなのねぇ」と笑った。
健気なシルキーにイーヴィンはまたしても抱き着きたい衝動に駆られたが、モアの前では少々気恥ずかしく、「ありがとう」と伝えるだけにしておいた。
その日の夕食は、キノコとサツマイモのスープだった。
今まで食事を一切取っていなかったシルキーも、イーヴィンが収穫したものだからか、サツマイモを美味しそうに食べていた。
翌日の夕飯には、サーモンとホウレンソウのクリーム煮が出た。
噛みしめるようにイーヴィンの作った野菜を食べるシルキーに、彼女はますますやる気を出したのだった。
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