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第8章 のろのろ帰還と運命の再会?
第020話 笑顔が怖い?
しおりを挟む1日で12階層まで戻って来た。時折オーガの様な強個体が出て来たがレイク達によって一蹴されている。エミリアーナがレイク達の実力を知りたがったのだ。
17階層で危機に陥っていた時に駆け付け、レイク1人で蹴散らしたと言う武勇を騎士達から聞いていて興味を持ったのだった。
「他の仲間も凄いがレイクは桁違いだな! 我が国一番の使い手と言われているブレンドン少将よりも上に見えるぞ! こんな使い手が在野に隠れて居ようとは思わなかったぞ!!」
12階層まで来ればオーガは出て来ない。エミリアーナと白銀騎士隊のメンバーだけでも危険無く対処出来る階層まで来た為、緊張も解けてテンションが上がってしまっている様だった。
更に翌日十階層まで戻り、築かれた拠点で一泊してから地上を目指す事になった。
「さあレイク! 手合わせしてくれ!!」
しかし昼前に辿り着いた為に夜まで時間が出来てしまった様で、暇を持て余したエミリアーナがレイクに模擬戦を申し込んでいた。
そしてアイリスもナージャとヴェルンにミリアーナを連れて狩りに出ていた。此処まで来て漸く許可が出たのだ。
全く、まるで子供扱いされてる気分だぞ。
『『えっ!?』』「クルゥ!?」驚愕
「オーク2体! ミリアーナ行けますか!?」
「任せて! 右を貰うわ!」
「アイリスちゃん左行きますよ! 相手の攻撃は躱して下さいね!?」
「ん!」
オークは2m近くある巨体だけどオーガに比べると一回り小さい。それに力は同レベルらしいけど素早さはかなり劣るらしい。見た目も筋骨粒々のオーガに比べて太って見える。
林の中、木々を縫ってドスドスと走って来るオークは体の重さの所為か確かに遅い。背の高さはレイクと余り変わらないけど武器も持っていないし見るからに鈍重な動きはレイクと比べると確かに威圧感を感じない。
でも歩幅が大きいし俺の全力疾走よりは速そうなんだよなあ。横幅もあるから大岩が迫って来てる様な怖さがあるんだよ?
まあレイクとの模擬戦の方が怖いしリリィとネネェの結界があるしな。ここで引いたら大人の男としては駄目だろう。
『『……』今さらなのー』ジト目
「プルゥ」
リリィ達を信じて分厚い手で掴み掛かって来るのをヒラリと躱しながら、脇を抜ける様にして魔力を纏わせた精霊剣で斬り付けてみる。――あれ? 切れないよ?
『纏わすだけでは駄目なのじゃ! 切り裂くイメージを持つのじゃ!!』
切り裂く、切り裂く、――切り裂くイメージと言えばやっぱりレイクが魔物を両断していったイメージかな?
再度オークの攻撃を躱しながら魔力を纏わせてイメージしていく。――念の為さっきの倍以上の魔力を込めておこうかな。
切り裂くイメージ、再び掴み掛かって来る腕をレイクの様に両断するイメージで斬り付けていく。先程と違って手首から肘まで大きく斬り裂かれていく。
おお、レイク程じゃないけど凄い!
『ボサッとするでない! 追撃なのじゃ!!』
はっ!? 余りの違いにびっくりしてオークの腕を見入ってしまった。
「ぐぎゃああああーーー!!」
数瞬遅れてオークも痛みに叫びを上げる。俺は後ろに回っていて同じ様に足を切り裂いて膝を付かせてから首に突きを放つ。そしてそのまま横凪に切り裂いて距離を取った。
腕、足、首と傷をつけたが、まだ致命傷には程遠い。痛みからか無茶苦茶に暴れまわるオークに対し、タイミングを見計らって更に傷を増やしていくと次第に動きが鈍くなっていき遂には動かなくなった。
『よし! 完勝なのじゃ!!』
『やったぁなのー!』
「プルルゥ!『リリちゃん頑張ったー!』」
ミリアーナの方を見ると既にヴェルンとオークを倒していた様で、遠巻きに此方を観戦していた様だった。
「アイリスちゃんやりましたね! オークを1人で倒せる様になっていただなんて思いもしませんてしたよ!?」
「そうねぇ。危なげなかったし良かったんじゃないかしら。ねえヴェルン?」
「そうですね」
うーん、でもレイクの様にはいかなかったな。俺の技量が悪いのか単に腕力が足りないのか。
剣の性能では上回っている筈なんだから俺の所為なんだろうな。
『腕力はもうどうしようも無いのじゃ! 魔力で極めれば出来るのじゃ!!』
『結局魔法なのー?』コテリ
『けっ、剣で戦えば剣士でええのじゃ!!』
その後もオークや黒狼等と戦闘を続けてから拠点に戻って行った。
オークは人型だからか鍛練が活きた様に感じたけど、黒狼とかは飛び掛かりや噛み付きとか瞬発力が怖かった。――動きを読める様になる為にも慣れが必要かな。
「ああ、アイリスさん。皆さんも帰られたんですね。無事で良かったです」
中継地に戻るとにこやかに出迎えるレイク、しかし周りにはリックとトマソン、更にエミリアーナ姫含む白銀騎士隊の面々が倒れ伏し、死屍累々とした光景が広がっていた。
「――な、にをしているのですか?」
「姫様達に鍛練を挑まれましてね。数が多いのでリックとトマソンも参加させたんですよ。まあ此処に待機している傭兵達が居たから迷宮内で鍛練なんて出来たんだけどね」
ヴェルンさんの問いにレイクは彼等には感謝です。と木剣を手に爽やかな笑顔で迎えて来た。
挑まれたからと言って一国の姫様を相手にやる事じゃない。ヴェルンは倒れたままのエミリアーナ姫にどう対応すれば良いのか分からず、顔面蒼白になり頭を抱えるのだった。
イヤ皆んな倒れて動かないじゃん! こんな惨状生み出しておいて爽やか笑顔って何なのこの人? 怖っ!?
「ちょっと近寄らないで下さい! アイリスちゃんが怯えているじゃないですか!!」
「えっ!?」
レイクの驚く声が聞こえるけど俺は思わずナージャさんにしがみついてしまってたんだよ? だってレイクが何でか俺の方を見て来るんだもん! メッチャ怖いんだよ!?
『何時も通りなのー』ジト目
『……先程までの剣士っぷりが、消えてもうたのじゃ~』苦い顔
う、うるさいわ!
大きな怪我をしている人は居なかったけど小さな怪我は割りと居たので治療をしていく。続いてバブルクリーンで綺麗に、服や防具が一緒より別々の方がやり易いので別々にしてもらった。
テントの中に入るだけ女の人を詰め込んで次々洗っていく。服も纏めて洗っていく。やっぱりこの方が効率が良い。防具は自分達で後で手入れする様なので更に楽になった。
夕飯を食べてから就寝、今日は精霊剣で戦ったけどもっと使い慣れれば切れ味も増すんだろうか。
『するのじゃ! リリィ達はあんなモンじゃないのじゃ!!』
『ネネェもなのー』
「プルルゥ!『今度はキーちゃんも一緒に戦うのー!』」
まあ確かに初めてでも手応え感じたからなあ。でもガッツリ戦闘職になるのは怖いんだよなあ。
「うあぁああああああ!! だからっ! 俺はっ! 姫を迷宮に行かせるのは反対だったんだよおおおおおおお!!!」
「貴方、今更そんな事を言って何になるのです。結局呑んだのは貴方でしょう?」
レンリート伯爵邸ではビアンカの予想通り父親のグランツが頭を抱えて絶叫していた。ビアンカの母親であるエウレカも居る。
「姫様相手に断れるかよ! くそー!! 何で次から次へと俺が居る所で大問題が起こるんだよおおおおーーっ!!!」
「起こる時は起きます。往生際が悪いですよ?」
「俺に死ねと!?」
「みっともなく騒ぎ立てるなと言っているのです。落ち着いて対処なさいませ」
「ぐうっ、……しかし王城に居た時だって(次男の)ラウレスとエミリアーナ姫との婚約だとかで、他の貴族に色々絡まれたりして大変だったんだぞ!? 気の休まる暇が無いんだよ!!」
「私も居ましたけどね」
「俺が居ない所で起きてくれよ! 頼むからよー、理不尽だろー!?」
「まるでだだっ子ですね。子供達が見たらどう思うか。ビアンカに幻滅されなければ良いですね?」
「おま、……それは卑怯だろう?」
取り敢えず兵は出したしやれる事はやったんだ。後は報告を待つしかない状況だ。
場合によっては責任を取って長男のレシュレートに爵位を譲るしか無いかも知れない。
「……いや、寧ろその方が政治から離れられるのかも知れん。父上も俺にシャルロッテ案件を丸投げして隠居したしな」
「――ふっ」
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「隠居した程度であのシャルロッテから逃げられるとお思いですか? 随分お可愛いらしい事をおっしゃるのね?」
えっ? 何? 嫁の笑顔にゾワッと来たんだけど!?
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