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第2章 ゆるゆる逃避行は蚊帳の外?
第024話 ザイガスの街、会談
しおりを挟む気付いたら10分以上祈りを捧げていたらしく危うく敬虔な信者にされる所だった。
検証した結果魔力の盾、短距離転移の魔力はそこまで相性は悪くなかった。ただ魔力消費が大きく精霊剣の持つ清浄な魔力が大量に体を駆け巡る事で気分が悪くなった。
回復魔法は魔力消費が少なくても気分が悪くなるし、結局どちらも使い勝手が悪い。――まあ分かってたけどな!
『なんじゃ、いざと言う時の手段が増えたのじゃから良いではないか!』
まあそうなんだけど……、因みに魔力の盾は俺からは半透明の盾に見えて他人には見えない。短距離転移はゲートを潜って転移するのとその場で転移する2種類がある。
ゲートを潜る場合は他の人も一緒に転移出来るみたいだ。……けど10m程度が限界なんだよな、微妙に使えん。
『うぬぬ、それで命を救われたら絶対謝らせてやるのじゃ!』
リリィがプンプン怒って空中で地団駄を踏んでいる。
まあ悪かったよ、俺自身が弱いからバンバン使えるなら最前線で戦えたのにって思っちゃったんだよ。つまらん夢を見ちまったぜ。
『それはそれでムカつくのじゃ! お主が強くなれば良いのじゃ!! もっとやる気を出すのじゃ!!』
おおぅ、どのみち怒らせてしまったようだ。でも期待がデカ過ぎるんと思うんだよね?
それから5日、美味しいご飯を堪能しながら1つの村と2つの町を経由して人口10万人程の大きな街に着いた。この街の規模にも驚いたけどそれより驚いたのが村だ。
ライハルト子爵領の村に比べて農地が3・4倍はありそうだった。村人に聞いたら精霊神社の指導で農耕に馬を使っているそうだ。昔の農業に比べたら農地が広がっても楽になってるらしい。
流石に収穫は傭兵ギルドに依頼してやるらしいけど農家は収入が増えて今人気の職業だそうだ。ライハルト子爵領じゃ考えられないな。
魔物の被害も柵や塀もライハルト子爵領に比べて高くて立派だし傭兵ギルドは魔物の生態調査に積極的だから被害は余り聞かないって事も大きいらしい。
それから休憩したり泊まった村や町や街で治癒院や精霊神社で回復魔法を施していった。と言っても時間が少ないから数も熟せないしそこまで大変じゃない。まあ小遣い稼ぎには丁度良いくらいか。
因みにレンリート伯爵領に入ってからはレイク達や馬への回復魔法は止めている。危険が少なくなって急がなくて良くなったって事だろう。
けど女性陣には続けさせられてるんだよな。まあねぇねには良いんだよ? 相当心労が溜まってたみたいだから俺の方が積極的に勧めたくらいだし。
でもそれを見てた女性陣に迫られてね、怖かったよ。結局回復魔法と外魔力循環の同時使用は避けられなかったって事だ、解放されると思ったのに。
『自業自得じゃの』ヤレヤレ
「シャルロッテ様、ザイガス準男爵がお呼びです」
何時ものようにギルドの一室を借りて休んでいると職員の女性が来た。ザイガスって言うのはこの街の名前でもある。伯爵にこの街を任された人らしい。
「ザイガス準男爵? 何かしら?」
「アイリス様と一緒にと言う事です」
俺も!? 俺が会うのは伯爵だけで良いんじゃなかったっけ!?
「そう、……お断りして頂戴」
貴族に呼ばれた事に恐怖を感じてるとシャルロッテさんがあっさり断った。男前ー! シャルロッテさん頼り甲斐あるわー。
「それがその、既にギルド長室に来ていまして……」
職員の女性が言い辛そうにお願いして来た。けどシャルロッテさんの前では無力だよ? シャルロッテさんの方を見ると笑顔を向けてきた、安心だね。
「わかったわ、行きましょう。ナージャ、念の為レイク達を連れて行くわ。貴方達はアネモネさん達をお願いするわね」
うええっ、行くの!?
騙された気になってシャルロッテさんを見ると何故か微笑まれて頭を撫でられて抱き締められ背中をポンポンされた。この人銀髪色白で冷たい印象があるけど今はそんなに怖く感じない。身長差からか時折り子供扱いされているような気はするが。
『正しくそれなのじゃ。お主が泣きそうな顔でシャルロッテを見つめておったからあやされたのじゃ』
マジかよ。羞恥で顔が赤くなってるのが分かる。ヤバい、他の事を考えよう。
そう言えばこの人他に見た事無いくらい凄い巨乳なんだよな。ミリアーナもデカいけどその2周りはデカい、俺の顔くらいある。背の高さから俺の顔の上にあるけどを埋める形で抱き締められたら窒息するんじゃないかな?
『………………何を考えとるんじゃ?』呆れ顔
どうでも良い事を考えて羞恥心を紛らわせていたら何時の間にかギルド長室に着いていた。
『中にいるのは大人の男4人に少女1人じゃな。戦う雰囲気ではないのじゃ』
リリィが中を探ってくれた。他人には見えないからこう言う時に偵察に役に立つな。
「シャルロッテ様、アイリス様をお連れしました」
「入れ」
シャルロッテさんに手を引かれて中に入ると偉そうな格好したおっさん等がいた。なるべく関わりたくないからシャルロッテさんの影に隠れておくか。
『(臆病な幼子のようなのじゃ。どうして此奴はこうなのじゃ?)』ジト目
「お久しぶりですレンリート伯爵」
伯爵うぅーー!? 何で此処に伯爵が?? 準男爵じゃねえのかよ。思わず身を固くしてシャルロッテさんに抱き付いちゃったよ。
「うむ、久しいなシャル……ロッテ、だよな? 若返ってないか!??」
「ふふっ、そうですかね」
伯爵っぽい人が驚いている。そうなんだよなぁ、31歳って話しだけど今は20前半くらいには見えてるらしいんだよ? 何か道中自重しないでやってくれって言われたからやったけど。
「――はぁ、俺が来ていて驚かそうと思ってたんだが逆に驚かされたぞ。しかし俺が来るのを分かっていた訳ではあるまい?」
「ふふ、ザイガス準男爵ならこの街にある屋敷に招くでしょう? それに伯爵は今回のライハルト子爵領の件で早く動きたい筈、此処まで来ている可能性はあるかと」
「ああ確かに……、しかし準男爵の屋敷に招いても断られると思ったのでな」
「それは正解ですね。招待を受ける振りをして逃げたでしょうね」
「私の招待は受けられないと?」
「まだ完全に安全とは言えない状況ですので、伯爵の依頼を優先させなければならないでしょう?」
準男爵は不服そうにシャルロッテさんに尋ねたけどシャルロッテさんはにこやかに返した。レンリート伯爵もシャルロッテさんを驚かせられずに少し不満そうだ。
「ですが流石にビアンカ様がいらっしゃるとは思いませんでしたわ」
「ふふっ、そうでしょう? やっぱり私が付いて来たのは正解でしたね? シャルロッテを驚かす事が出来ましてよお父様?」
「それとこれとは別だ。全く、誰に似たのかお転婆に育ってしまったな。我が娘は」
部屋に入った時にチラッとお嬢様風の、10代くらいの女の子がいたのが見えたけど伯爵の娘なのか。お転婆そうで余り関わりたくないな。
「そんな事よりシャルロッテ、その見た目の変化については教えてくれないのかしら?」
「ふふ、聖女様と言われる方のお力を知って頂こうと思いまして」
「そちらにいるのがその聖女様? 顔を見せて下さる?」
うぐ、振られたくなかったのに……。けど権力者に言われたら顔を見せるくらいは仕方ないか。シャルロッテさんの影から顔だけちょっと見せてやる。
「きゃー、かぁわいいっ! 何この子、欲しいわ!!」
ぎゃあっ!? 顔を出した瞬間有無を言わせず引っ張り出され皆んなの前に晒されてしまった。伯爵に準男爵に知らない街のギルド長、誰が誰か分からんが権力者は苦手なんだよー!
「あう、~あうぅ……」涙目
「ビアンカ、そ奴は俺と歳は大して変わらん男だ。年頃の娘がはしたない真似をするな」
「ええー!? 全然そんな風に見えないわ。私より年下に見えるわよ??」
ぐはっ! お前が幾つか知らんが行っても14、5って所だろ。俺が年下な訳無いだろ何言ってんだコイツは。貴族だから言わないけどな!
「ビアンカ様、申し訳ありません。この子は人見知りするもので」
ビアンカ様がキラキラした瞳で迫って来るなか何故か伯爵らしいのが俺を睨んで来る。真っ青になっているとシャルロッテさんに手を引かれ抱き締めてフォローしてくれた。此処の安全圏はシャルロッテさんのトコだけだな。
『(そのシャルロッテに引きずり出されて来たのを忘れたのかの?)』ジト目
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