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第6章 びくびくお城の招待と新たな仲間?
第027話 幕間 推察とそれぞれの準備
しおりを挟む商工ギルドに立ち寄った為、深夜になって帰宅したビアンカ達はアイリスを除く城に出向いた者達に侍女長のアリーニャを加えて城であった出来事とこれからの動きについて話し合う事になった。
「あの、何故私は椅子に縛り付けられているのでしょう?」
「そうしないとアリアとカチュアの所に行ってしまうでしょう」
「まさか、あの子達はとっくに寝ていますよ? ビアンカ様は会議ですよね? 替わりに私が、ナージャがアイリスちゃんに添い寝してあげるんです!」
「アイリスちゃんならミリアーナの所に行ったらしいわよ」
「あっ、あの痴女の所に!?」
「いや痴女って、何言っているのよ」
「ビアンカ様は未成年で対象外だから被害に遭って無いだけなんですよ! あの女は全裸で寝るしスキンシップ過多だし無類の女好きなんです!! 街でナンパしたり傭兵ギルドで鍛練と称して女漁りしてたりするんですよ!?」
「「「…………」」」
何でそんなのが貴族の屋敷で雇われているのよ。と言いたいビアンカだったがアイリスの仲間だから雇ったので仕方が無いと思い直した。傭兵としてそれなりに優秀なのでそこそこ重宝してしまっているのも始末に悪い。
「……それはそれで問題だけど、それならアイリスちゃんは男なんだから大丈夫でしょ」
なのでビアンカは全うな意見で突き放す。ミリアーナは護衛の傭兵として雇っているだけなのでビアンカの屋敷の人間と言う訳ではない。家にトラブルを持ち込む様なら解雇すれば良いので今論じる事ではないと判断した。
「アイリスちゃんは男の子だけど女の子より女の子っぽいんです! 可愛いんですう! ミリアーナ本人も言ってました! 対象内なんですよおおぉーーーーっ!!」
「…………取り敢えず誰か人をやるからそれで良いでしょ? 貴女は当事者なんだから外さないわよ?」
「うぐぐ……」
ビアンカは絶叫するナージャに若干の不安を覚えて人をやる事にした。今や重要人物になっているアイリスに何かあっては不味いと考えたのだが自分が行けない事にナージャは不満そうだった。
「さて、先ずは城に入ってからの話しをするわね」
城に行ってからマリアンヌに用意された部屋が格に合わない為、精霊王国が気を利かせビアンカと共に部屋に招かれた事、そこでアイリスが熊獣人に気に入られて遊んで貰っていた事。
パーティーでアイリスがカントラス王国の姫2人王子1人と接触があった事。
そして魔剣が暴走して精霊王国の面々と共闘してアイリスが治めた事。その際魔剣がアイリスの持つ剣と同じ形になって精霊剣と言う伝説級の剣になった事。
精霊王国が交渉した結果アイリスがその精霊剣を持つ事になった事。どう言う手段で手に入れたのかアイリスが元々持っていた剣も同じく伝説級の精霊剣である事。
「「「…………」」」
「他にも怪我をした重症者を回復させて回っていたわ。確実に目を付けられたでしょうね」
さてどう対処しましょうか、と笑顔で言うビアンカに全員が青ざめて顔をひきつらせた。
「流石アイリスちゃんですね」
「ナージャ、アイリスが連れ去られても良いのか? 教王国商業王国だけじゃなく精霊王国だって欲しがっているんたぞ?」
そんな中1人誇らしげにしていたナージャにヴェルンが冷や水をぶっかけた。
「さてシルブレット、(ビアンカの)レンリート伯爵邸の警備はどうなっている?」
「ウチから高位の傭兵チームを百名程向かわせたのと、カントラス王国側に近衛兵を付ける様要請した。宰相が乗り気で10名程動かすと言っていたな」
「その人数なら当面はそれで凌げるか? 近衛を動かしたのならこの国の貴族達は多分抑えられると思うが、少し不安だな」
「(商業王国の)冒険者ギルドと(教王国の)教会にも人を張り付けている。人を動かせば事前に分かる様にしてある。これ以上となるとそれこそ飛空挺に直接乗り込める商工ギルドか飛空場に避難して貰うしかなくなるぞダールトン」
難しい顔をするシルブレッドとダールトン、教王国商業王国と表だって対抗出来るのは自分達だけ、ビアンカ達も戦力は保持しているが戦力は極最低限で有事の際には全くの不十分だ。
教王国商業王国も完全に敵対する事になれば王都にしか進出していない自分達ではアデール王国の時の様に飛空挺で逃げるしかないだろう。
「そこまでするかねえ?」
「伝説級の魔武器に愛し子の回復魔法が手に入ればそれぞれ本国での地位が確約された様なものだ。自己顕示欲の塊の様な彼奴等ならこの国を内乱状態にしてでも手に入れ様とするだろうな」
深刻そうに話す2人に熊獣人のラザフォードが疑問を挟んだ。それに対し不機嫌そうに答えるシルブレッドだが、それには皆んなも納得した。実際にアデール王国でそれをやられたのだから当然だ。
「商業王国の持つ伝説級の魔武器は装飾過多で実戦向きじゃないからって本国でお飾りになってるんだっけか?」
「自称な、実際には一段落ちる国宝級だろ」
「教王国の聖剣に対抗して持っている事にしたんだろうよ」
「見栄張っちゃったんだねえ?」
クスクス笑うリグレーシアに苦笑いのラザフォード、この事は教王国と商業王国の極一部が知っている極秘事項だ。教王国の聖剣は正しく伝説級の物だが商業王国の魔剣を伝説級として認める事で自分達の持つ聖剣に手を出されない様にしているのだ。
「思ったより大事になったよ、なあリグレーシア」
「そうね。巫女様が愛し子ちゃんを連れて行く様に言っていたから何か起こるとは思っていたけどね。怪我人が出るくらいの事は考えていたけど、こんな事になるとは思わなかったわ」
「邪素にまみれた呪いの魔剣を精霊剣に変えて、宿っていた精霊に主として認められるなんてな、ベルダートじゃないけど幻想的だったな」
「あの子が来て一気に空気が良くなったものね。ベルダートじゃないけど魅入られたわ」
「何だよそれ」
「「子供好き」」
城に呼ばれていたラージヒルド商業王国の主要メンバーは城を出て直ぐに貴族と冒険者ギルドに呼び掛け人を集めながら魔剣の奪取を話し合っていた。
「教王国もどちらかと言われれば魔剣の方を選ぶだろう。あの回復魔法は確かに欲しいが当人が死ねば終わりだしな」
「ああ、その点あの魔剣なら何百年もその権勢を維持出来る」
「教王国とも争う事になるか、兎に角人を集めなければ話しになるまい」
「冒険者共を集めているが教王国とは共闘はせんのか?」
「伝説級の魔剣の取り合いだ。出来んだろ」
「教王国は教会が抱える神兵だけでそう数は多くない。冒険者ギルドを抱える我等の方が戦力があるんだ。わざわざ成果を分け合う必要もあるまい」
「回復魔法の使い手は惜しいが教王国側に売ってしまう方が政治的には良いだろうな」
「兎に角、教王国よりも先んじて動かなければならん! さっさと動くぞ!!」
その後冒険者達は集まったが、貴族達の方は国王が近衛兵を使ってレンリート伯爵邸を守らせていると言う話しが回って、国に逆らう事は出来ないと全て断られていた。
ルードルシア教王国の者達も同じ様に動いていた。教王国の主要機関は神聖教会、その神聖教会で雇っている自らの兵士達、神兵を集めていた。
「貴族共は動かんか」
「国王が触れを出したからな、忌々しい」
「ルードルシア教王国の教義に逆らうとは何たる不信心! 不敬が過ぎるぞ!」
「貴族が使えればな。王や宰相が近衛兵をレンリート伯爵邸に出している以上おおっぴらに動かせん」
「神聖教会に仇なす罰当たり共が、しかし神兵だけでは少ないが信徒達を使えば数は集まるか。手柄を分け与えずに済む事を考えれば逆に良いかも知れんな」
「裏で精霊王国も動いているだろうが、先ずはルードルシア商業王国よりも先に動かねばな」
レンリート伯爵邸にはダールトンがアーダルベルトとルトルート一行を引き連れて守りについていた。アデール王国副都の迷宮でアイリス達が共にした探索者達だが今は傭兵として集められていたのだ。
2百人程の傭兵達の内アイリス達と特に仲良くしていた一部は屋敷の中に、他は多くが屋敷の庭で待機している。更にアーダルベルトとルトルートと言った主要メンバーはダールトンと共に近衛兵と門前に張り込んでいた。
「はあ、……やっぱこうなるよな」
「黄昏てんなあアーダルベルト、老けんぞ」
「余計なお世話だ。ってか何でお前は元気なんだよ」
「クックッ、まあ国がアデール王国よりはマシなのが救いだよな」
「近衛兵がどれ程使えるかだな。アデール王国と違って向こうに寝返るって心配は無いだろうが」
「話した限りじゃまともそうだったな。国王が動かしたんだ。貴族への牽制にはなるだろうよ」
「まあな」
レンリート伯爵邸の正門前を陣取っている近衛兵を見ると姿勢も良く私語もせず、それなりに鍛えられているのだろう事が分かる。10名と少数だが精鋭と言って良いだろうと言うのが2人の判断だった。
「アデール王国の兵士だったら問答無用で追い返すけど、それで一悶着起きて疲れさせられていただろうな」
「国が敵に回らないだけ有難いってか?」
「トラブルに巻き込まれている時点で有り難くないんだよなあ」
「ははっ、あの嬢ちゃん、っと、坊っちゃんたったか。まああれだけの能力で危機感ゼロだったからな。何かやらかすとは思ってたぜ」
楽しそうに言うルトルートを恨めしそうに見るアーダルベルト。しかし思い返せば迷宮の中だって言うのに確かに危機感が無かった。――と言うか何か浮世離れしていた印象すらある。
真実はリリィの結界魔法や短距離転移魔法等のフォローがあるから呑気に安心しきっていただけなのだが。
「っと、来たなルトルート。先ずは商業王国か」
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