11 / 16
CASE3:西本圭の場合 三
しおりを挟む
どうやら彼女は、俺が置き物を動かしたことに、すぐに気づいたらしい。
そしてそれに気づいた瞬間、彼女は驚愕の表情をした。
当然のことながら、詳細は企業秘密なので明かせないが、俺はその彼女の表情、また感情を、まるで隣に立って見ているかのように、はっきり感じとることができた。
『これが、『ストーカー』という『職業』の、喜びなのか…。
ともかく、ストーカー冥利につきる。』
俺はこの時、心の中でそう思った。(そして、俺は先に、
「俺は一般的なストーカーではない。」
などと言って散々カッコつけてきたが、結局はごく普通の、気持ち悪いストーカーと同じことをしている、と自覚した。まあ人からそう言われても、最初の頃のようにそれを否定はできないだろう。)
次に、彼女がとる行動は…、ずっと彼女を見てきた俺は、それをいとも簡単に予測することができた。彼女はプライドが高いナルシストだ。それに加えて、彼女は思い込みが激しく、また彼女には「思い立ったら即行動」という信念も、ある。と、いうことは…、
案の定、彼女は警察署に向かった。
「私、ストーカー被害に遭っているんです。このままだと私、殺されるかもしれません…。すみません、何とか犯人、逮捕してくれませんか?」
その時、俺は彼女の次の行動・次の一手を読みきった満足感で、悦に入っていた。また、これも企業秘密だが、俺は警察署内でも、彼女の一挙手一投足を、的確に読み取ることができた。(「日本の警察は優秀だ。」とよく聞くが、俺には叶わないな、俺はその時、そんな優越感も持ち合わせていた。)
「すみませんが、あなたが被害に遭っているという、証拠は?」
―「と言われましても、それだけで証拠とするのは、ねえ…。」
…やはり、警察は重い腰を上げないようだ。まあ、実際に彼女がストーカー被害に遭っているのは、ここにその犯人がいるので事実だが、単に「置き物が動いた」というだけでは、証拠としては弱いのだろう。
そして当の彼女は、そんな警察の対応に、苛立ちを隠せない様子であった。俺は、そんな彼女を見て、彼女を自分の手の中で自在に操っている、そんな感覚を持った。(例えばプロ野球の監督なら、自分の作戦が成功した時には、こんな感覚に浸るのであろうか?いや、監督は俺とは違い、「悪意」はないので、そんなことはないのだろうか?ちなみに、俺は彼女が、大のプロ野球ファンであることも、知っている。)
また俺は、彼女のストーカーとして活動している最中から、彼女をさらに動かしたい、また、彼女を恐怖に陥れたい、彼女に自分の存在を知って欲しい、彼女を意のままに操りたい―、という、様々な思いにとらわれた。
『彼女への関わりを、もっとエスカレートさせるか…!』
俺は、彼女が警察に行く前から、いやもっと前から、そう決めていた。
そして彼女は、大きな不満を抱えながら、警察署を出て行った。
「はじめまして。
みかさんのストーカーより。」
俺は、それがいつかは具体的には明かせないがとある時間帯に、彼女の家の浴槽に、殴り書きの紙を置いた。
ちなみに、それをなぜ浴槽に置いたかというと、彼女の寝ている部屋では、それは直接的すぎると思ったからだ。
『俺は、彼女に徐々に恐怖を与えたい。そのために、まずは彼女の部屋の置き物を、動かした。そして次は、彼女の部屋からは離れた所にメッセージを置いて、彼女に直接的かつ強すぎない恐怖を、与えるんだ!』
これが、俺の戦略である。
(ちなみに、メッセージを殴り書きにしたのは、より彼女に恐怖を与えるためだ。俺はこの時、自分の彼女に対するストーキング行為への絶妙なさじ加減に、酔っていた。)
案の定、彼女は置き物の時と比べ、もっと強い恐怖に、怯えているようであった。
『いいぞいいぞ!』
俺はその時、彼女の不幸を喜ぶストーカーに、完全に成り下がっていた。(また、俺は巷によくいる、「卑猥なストーカー」にも、この時既になっていたかもしれない。)
そして彼女はもう1度、警察署へ向かった。
そしてそれに気づいた瞬間、彼女は驚愕の表情をした。
当然のことながら、詳細は企業秘密なので明かせないが、俺はその彼女の表情、また感情を、まるで隣に立って見ているかのように、はっきり感じとることができた。
『これが、『ストーカー』という『職業』の、喜びなのか…。
ともかく、ストーカー冥利につきる。』
俺はこの時、心の中でそう思った。(そして、俺は先に、
「俺は一般的なストーカーではない。」
などと言って散々カッコつけてきたが、結局はごく普通の、気持ち悪いストーカーと同じことをしている、と自覚した。まあ人からそう言われても、最初の頃のようにそれを否定はできないだろう。)
次に、彼女がとる行動は…、ずっと彼女を見てきた俺は、それをいとも簡単に予測することができた。彼女はプライドが高いナルシストだ。それに加えて、彼女は思い込みが激しく、また彼女には「思い立ったら即行動」という信念も、ある。と、いうことは…、
案の定、彼女は警察署に向かった。
「私、ストーカー被害に遭っているんです。このままだと私、殺されるかもしれません…。すみません、何とか犯人、逮捕してくれませんか?」
その時、俺は彼女の次の行動・次の一手を読みきった満足感で、悦に入っていた。また、これも企業秘密だが、俺は警察署内でも、彼女の一挙手一投足を、的確に読み取ることができた。(「日本の警察は優秀だ。」とよく聞くが、俺には叶わないな、俺はその時、そんな優越感も持ち合わせていた。)
「すみませんが、あなたが被害に遭っているという、証拠は?」
―「と言われましても、それだけで証拠とするのは、ねえ…。」
…やはり、警察は重い腰を上げないようだ。まあ、実際に彼女がストーカー被害に遭っているのは、ここにその犯人がいるので事実だが、単に「置き物が動いた」というだけでは、証拠としては弱いのだろう。
そして当の彼女は、そんな警察の対応に、苛立ちを隠せない様子であった。俺は、そんな彼女を見て、彼女を自分の手の中で自在に操っている、そんな感覚を持った。(例えばプロ野球の監督なら、自分の作戦が成功した時には、こんな感覚に浸るのであろうか?いや、監督は俺とは違い、「悪意」はないので、そんなことはないのだろうか?ちなみに、俺は彼女が、大のプロ野球ファンであることも、知っている。)
また俺は、彼女のストーカーとして活動している最中から、彼女をさらに動かしたい、また、彼女を恐怖に陥れたい、彼女に自分の存在を知って欲しい、彼女を意のままに操りたい―、という、様々な思いにとらわれた。
『彼女への関わりを、もっとエスカレートさせるか…!』
俺は、彼女が警察に行く前から、いやもっと前から、そう決めていた。
そして彼女は、大きな不満を抱えながら、警察署を出て行った。
「はじめまして。
みかさんのストーカーより。」
俺は、それがいつかは具体的には明かせないがとある時間帯に、彼女の家の浴槽に、殴り書きの紙を置いた。
ちなみに、それをなぜ浴槽に置いたかというと、彼女の寝ている部屋では、それは直接的すぎると思ったからだ。
『俺は、彼女に徐々に恐怖を与えたい。そのために、まずは彼女の部屋の置き物を、動かした。そして次は、彼女の部屋からは離れた所にメッセージを置いて、彼女に直接的かつ強すぎない恐怖を、与えるんだ!』
これが、俺の戦略である。
(ちなみに、メッセージを殴り書きにしたのは、より彼女に恐怖を与えるためだ。俺はこの時、自分の彼女に対するストーキング行為への絶妙なさじ加減に、酔っていた。)
案の定、彼女は置き物の時と比べ、もっと強い恐怖に、怯えているようであった。
『いいぞいいぞ!』
俺はその時、彼女の不幸を喜ぶストーカーに、完全に成り下がっていた。(また、俺は巷によくいる、「卑猥なストーカー」にも、この時既になっていたかもしれない。)
そして彼女はもう1度、警察署へ向かった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
✿ 私は夫のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる