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CASE4:東山諒の場合 一
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―ユキさんへ
お誘い、ありがとうございます。
しかし、私はユキさんに、言っておかなければいけないことがあります。
単刀直入に言います。私とユキさんとは、お逢いすることはできません。
本当に申し訳ありませんが、分かってください。
リョウより。―
このメッセージをユキに送った、東山諒(ひがしやまりょう)は、深くため息を吐いた。
『僕は、ユキさんのことが好きだ。ユキさんと、一緒になりたい。
でも、それはできない。できないんだ…。』
諒は心の中でそう思った。そして、自分でも気づかないうちに、諒は涙を流していた。
諒がユキの存在に気づいたのは、今から数年前である。
それは、とある日の夕方。たまたまユキが、街を歩いている時であった。ちなみに、それはユキがその日の勤めを終えて退社し、家へ帰る途中であったということを、諒は後で知ることとなった。
その時、ユキの姿がたまたま近くのブティックのショーウィンドウのガラスに反射し、諒はガラス越しに、ユキの姿を見た。そして、
『何て、綺麗な人なんだろう…。』
これが、諒のユキに対する第一印象であった。
(また、ユキは諒の第一印象に比べて、自己評価が極端に低いことも、諒は後で知ることとなった。)
諒にとって、さらに偶然は続いた。
ユキが出社する前、また外回りで街に出ている時などに、諒は度々、ユキのことを目にする機会があった。そして、そんな偶然が続くと、
『僕と彼女は、運命の赤い糸で結ばれている…。
って言ったら大げさかな?』
と諒は勝手に考え、自分にとって都合のいい妄想の世界に浸ることがあった。
そんなある日、諒は手持ち無沙汰な時間に、特に意味もなく出会い系サイトのページを、開いた。
『こういったサイトに登録する人って、本当にこんな所で出会いがあるって、信じてるんだろうか?
僕は、言ったら悪いけど、こういったタイプのサイトは苦手だな…。
それに僕には、運命の人がいる…、って、それもちょっとイタイか。』
とりあえず、諒はこの手のサイトに対して否定的であったが、暇を持て余していたため、また冷やかし半分で、サイトを少し、覗くことにした。
すると…、
―ユキです。私は読書が趣味で、1人で本屋をぶらぶらすることが多いです。
こんな私ですが、よろしくお願いします。―
1件のプロフィールが、諒の目に留まった。
『ま、まさか、これって…。
あの女性のプロフィールだろうか?』
諒は、何の根拠もなかったが、そのプロフィールが「ユキ」のものであると、思った。
少々思い込みが激しく、また「思い立ったら吉日」という考え方の諒は、その女性、ユキと連絡をとるため、急いで自分のプロフィールを作ることにした。そして、(諒も読書が好きであったため、)
―リョウです。私は読書が好きで、休日は本を読むか、本屋に立ち寄ることが多いです。―
とパソコンに打ち込み、無料登録を済ませて自分のプロフィールを完成させた。
しかし、ここで諒の手が、止まった。
『でも、彼女があの女性、っていう、証拠は何もない。
はっきり言って、それは僕の思い過ごし、っていう可能性の方が、高いな…。
そうだ!とりあえず、僕は彼女と僕との、運命に賭けてみよう!
僕がプロフィールをアップして、それで彼女が僕に対してメッセージを送って来たら、自分たちの運命を信じよう。
それで、もしメッセージが来なかったら…、それは、そこまでの縁、ということだ。
でも何か、彼女からメッセージが来そうな気がする!
とりあえず、気長に待ってみよう…。』
その時の諒は、根拠のない自信に、満ち溢れていた。
―リョウさん、はじめまして。私はユキといいます。
リョウさんのプロフィールを拝見して、勝手に「気が合いそうだな。」と思い、メッセージを送りました。
お返事、気長にお待ちしています。―
そのメッセージを諒が見た時、諒は飛び上がりそうになるほど、喜んだ。
『やった!これは、運命だ!運命に違いない!』
そして、諒は早速、返信をすることにした。
―ユキさんへ
メッセージ、ありがとうございます!嬉しかったです。
ユキさんも読書が好きなんですね。お互い、好きな作家などについて、語り合えたらいいですね!
リョウより。―
このメッセージを送る前、諒は、
『メッセージの文面は、これでいいだろうか?
ちょっと、不安だな…。』
と思い、何度も何度も、まるでプロの作家がそうするように、メッセージを推敲した。
そして、若干緊張で汗ばんだ手で「送信」ボタンを押し、ユキにメッセージを、送ったのである。
するとユキから、それに対する返信のメッセージが、届いた。そして諒とユキは、メッセージのやり取りを、続けた。
この時の諒は幸せの絶頂で、まさか、諒とユキの間には、悲しい、悲しすぎるほどの運命があるとは、思いもしなかった。
お誘い、ありがとうございます。
しかし、私はユキさんに、言っておかなければいけないことがあります。
単刀直入に言います。私とユキさんとは、お逢いすることはできません。
本当に申し訳ありませんが、分かってください。
リョウより。―
このメッセージをユキに送った、東山諒(ひがしやまりょう)は、深くため息を吐いた。
『僕は、ユキさんのことが好きだ。ユキさんと、一緒になりたい。
でも、それはできない。できないんだ…。』
諒は心の中でそう思った。そして、自分でも気づかないうちに、諒は涙を流していた。
諒がユキの存在に気づいたのは、今から数年前である。
それは、とある日の夕方。たまたまユキが、街を歩いている時であった。ちなみに、それはユキがその日の勤めを終えて退社し、家へ帰る途中であったということを、諒は後で知ることとなった。
その時、ユキの姿がたまたま近くのブティックのショーウィンドウのガラスに反射し、諒はガラス越しに、ユキの姿を見た。そして、
『何て、綺麗な人なんだろう…。』
これが、諒のユキに対する第一印象であった。
(また、ユキは諒の第一印象に比べて、自己評価が極端に低いことも、諒は後で知ることとなった。)
諒にとって、さらに偶然は続いた。
ユキが出社する前、また外回りで街に出ている時などに、諒は度々、ユキのことを目にする機会があった。そして、そんな偶然が続くと、
『僕と彼女は、運命の赤い糸で結ばれている…。
って言ったら大げさかな?』
と諒は勝手に考え、自分にとって都合のいい妄想の世界に浸ることがあった。
そんなある日、諒は手持ち無沙汰な時間に、特に意味もなく出会い系サイトのページを、開いた。
『こういったサイトに登録する人って、本当にこんな所で出会いがあるって、信じてるんだろうか?
僕は、言ったら悪いけど、こういったタイプのサイトは苦手だな…。
それに僕には、運命の人がいる…、って、それもちょっとイタイか。』
とりあえず、諒はこの手のサイトに対して否定的であったが、暇を持て余していたため、また冷やかし半分で、サイトを少し、覗くことにした。
すると…、
―ユキです。私は読書が趣味で、1人で本屋をぶらぶらすることが多いです。
こんな私ですが、よろしくお願いします。―
1件のプロフィールが、諒の目に留まった。
『ま、まさか、これって…。
あの女性のプロフィールだろうか?』
諒は、何の根拠もなかったが、そのプロフィールが「ユキ」のものであると、思った。
少々思い込みが激しく、また「思い立ったら吉日」という考え方の諒は、その女性、ユキと連絡をとるため、急いで自分のプロフィールを作ることにした。そして、(諒も読書が好きであったため、)
―リョウです。私は読書が好きで、休日は本を読むか、本屋に立ち寄ることが多いです。―
とパソコンに打ち込み、無料登録を済ませて自分のプロフィールを完成させた。
しかし、ここで諒の手が、止まった。
『でも、彼女があの女性、っていう、証拠は何もない。
はっきり言って、それは僕の思い過ごし、っていう可能性の方が、高いな…。
そうだ!とりあえず、僕は彼女と僕との、運命に賭けてみよう!
僕がプロフィールをアップして、それで彼女が僕に対してメッセージを送って来たら、自分たちの運命を信じよう。
それで、もしメッセージが来なかったら…、それは、そこまでの縁、ということだ。
でも何か、彼女からメッセージが来そうな気がする!
とりあえず、気長に待ってみよう…。』
その時の諒は、根拠のない自信に、満ち溢れていた。
―リョウさん、はじめまして。私はユキといいます。
リョウさんのプロフィールを拝見して、勝手に「気が合いそうだな。」と思い、メッセージを送りました。
お返事、気長にお待ちしています。―
そのメッセージを諒が見た時、諒は飛び上がりそうになるほど、喜んだ。
『やった!これは、運命だ!運命に違いない!』
そして、諒は早速、返信をすることにした。
―ユキさんへ
メッセージ、ありがとうございます!嬉しかったです。
ユキさんも読書が好きなんですね。お互い、好きな作家などについて、語り合えたらいいですね!
リョウより。―
このメッセージを送る前、諒は、
『メッセージの文面は、これでいいだろうか?
ちょっと、不安だな…。』
と思い、何度も何度も、まるでプロの作家がそうするように、メッセージを推敲した。
そして、若干緊張で汗ばんだ手で「送信」ボタンを押し、ユキにメッセージを、送ったのである。
するとユキから、それに対する返信のメッセージが、届いた。そして諒とユキは、メッセージのやり取りを、続けた。
この時の諒は幸せの絶頂で、まさか、諒とユキの間には、悲しい、悲しすぎるほどの運命があるとは、思いもしなかった。
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