15 / 16
CASE4:東山諒の場合 三
しおりを挟む
そんなある日、諒は、ある夢を見た。その夢の中で、諒は地元の、スクランブル交差点を歩いていた。
そして、その日は6月ということもあり、曇り空から、雨がぽつぽつと降り始める、そんな天気であった。
しかし、準備のいい諒は、慌てることなく、持っていたカバンから折りたたみ傘を取り出し、差した。
諒がそうやって、スクランブル交差点を渡りきろうとした時に、前方から、雨が降り出したことに慌てたのか、1人の女性が下を向きながら小走りに走って来た。
その女性は、諒より背がかなり低く、女性と諒がぶつかった瞬間、その女性は少し驚いた様子で諒の方を見上げた。
そして、その女性は意外にも、諒とこんなやり取りをした。
「ありがとうございます!」
「いえいえ。怪我がなくて、本当に良かったです。」
「それで…、いきなりこんなことを訊いて、申し訳ありませんが、あなたは―、
リョウさんですか?」
『そうですユキさん。僕が、あなたとメッセージのやり取りをしている、リョウです。そして、あなたのことが大好きな、リョウです…。』
諒はそのことを、自分の本当の気持ちを、ユキに伝えようとした。そして、諒がそれを言おうとした瞬間―、
諒は、夢から覚めた。
『何だ、今のは夢だったのか…。
でも、冷静に考えてみればそうだ。僕たちは、さっきの夢みたいに、偶然逢うことすらままならない。
でも、僕はユキさんに、最後まで自分の気持ちを、伝えたかった…。
さっきのが、正夢になってくれたら…。』
諒はそう思ったが、それはどうしようもないことであった。
諒とユキとの間にある、悲しい運命を諒が知ってしまった時、諒は落ち込み、一時は自ら命を断つことすら、考えた。しかし、そんなことをしてしまったら、周りの人間に迷惑がかかるし、何といってもユキのためにも良くない、と諒は考え直し、思いとどまった。
そして、諒は気分転換に、夜の街を歩いた。諒の住む街は大都会ではないので、夜はそんなに賑わってはいない。しかし、田舎と呼ぶには街は発展しているので、例えばコンビニの光など、街には明るい光もあった。
そして、諒はそのコンビニに吸い寄せられるように、入っていった。そこには、諒の大好きな、唐揚げセットが売られていた。そして諒は、
『この時間に物を食べると、確実に太るな…。』
と思ったが、
『今は、やけ食いでもしないとやってられない…。
お酒に走るよりは、マシだろう。』
と思い、その唐揚げセットを購入して、自宅に戻って食べることにした。
そして諒は自宅に戻った後、ユキとのメッセージのやり取りを、思い返した。
―ユキさんへ
ユキさんの好きな食べ物は、何ですか?―
―リョウさんへ
私は、唐揚げが好きです!
すみません、可愛げのない答えで。もちろん、私は女の子が好きそうな、スイーツ類も好きですが、やっぱり1番は、唐揚げです!―
―偶然ですね!僕も唐揚げが、1番好きです!
何か、嬉しいです!―
―ありがとうございます!私も、嬉しいです!―
『思えばあの頃が、1番幸せだったかもしれない。今の僕は…、』
諒は、昔の甘美な思い出に浸り、泣きそうになった。
『でも、泣いてばかりもいられない。
…そうだ!ユキさんに、プレゼントを買おう!
…このプレゼントなら、ユキさんも喜んでくれるだろう。そして、僕のことを、少しだけ、本当に少しだけでいいから、覚えていてくれたら…。』
諒はそう思いながら、インターネットを使い、とある「プレゼント」を検索し、どれがいいか選び始めた。
『ユキさんは、どういったタイプの物が好きなんだろう?
…これなんかどうかな?』
諒はプレゼントの品定めを終え、ユキにメッセージを送った。
―PS
あと、僕からユキさんに、プレゼントがあります。
ちょっと僕も色々あって、直接渡せるかどうか分からないので、そのプレゼントは、ショップに預けておきます。
後で、そのショップの名前と住所、メッセージで送りますね。
では、逢える日を楽しみにしています!
リョウより。―
―由紀は、そのリョウからのメッセージを見た時、意外な表情をした。
『私はリョウさんのことが好きだけど、初対面の人に、こんなプレゼントって…、
大丈夫なんだろうか?
それに、直接渡せないって、どういうこと?
これから、リョウさんと逢う予定なのに…。』
由紀はそう思ったが、それでもリョウからのプレゼントを喜ぶ気持ちの方が勝り、由紀は嬉しくなった。
―リョウさんへ
プレゼント、ありがとうございます。
私も、リョウさんと逢えるのを、楽しみにしています。
ユキより。―
由紀はそうメッセージを送り、その日は眠りに就いた。
―諒が由紀に贈ろうとした、プレゼントとは―。
そして、その日は6月ということもあり、曇り空から、雨がぽつぽつと降り始める、そんな天気であった。
しかし、準備のいい諒は、慌てることなく、持っていたカバンから折りたたみ傘を取り出し、差した。
諒がそうやって、スクランブル交差点を渡りきろうとした時に、前方から、雨が降り出したことに慌てたのか、1人の女性が下を向きながら小走りに走って来た。
その女性は、諒より背がかなり低く、女性と諒がぶつかった瞬間、その女性は少し驚いた様子で諒の方を見上げた。
そして、その女性は意外にも、諒とこんなやり取りをした。
「ありがとうございます!」
「いえいえ。怪我がなくて、本当に良かったです。」
「それで…、いきなりこんなことを訊いて、申し訳ありませんが、あなたは―、
リョウさんですか?」
『そうですユキさん。僕が、あなたとメッセージのやり取りをしている、リョウです。そして、あなたのことが大好きな、リョウです…。』
諒はそのことを、自分の本当の気持ちを、ユキに伝えようとした。そして、諒がそれを言おうとした瞬間―、
諒は、夢から覚めた。
『何だ、今のは夢だったのか…。
でも、冷静に考えてみればそうだ。僕たちは、さっきの夢みたいに、偶然逢うことすらままならない。
でも、僕はユキさんに、最後まで自分の気持ちを、伝えたかった…。
さっきのが、正夢になってくれたら…。』
諒はそう思ったが、それはどうしようもないことであった。
諒とユキとの間にある、悲しい運命を諒が知ってしまった時、諒は落ち込み、一時は自ら命を断つことすら、考えた。しかし、そんなことをしてしまったら、周りの人間に迷惑がかかるし、何といってもユキのためにも良くない、と諒は考え直し、思いとどまった。
そして、諒は気分転換に、夜の街を歩いた。諒の住む街は大都会ではないので、夜はそんなに賑わってはいない。しかし、田舎と呼ぶには街は発展しているので、例えばコンビニの光など、街には明るい光もあった。
そして、諒はそのコンビニに吸い寄せられるように、入っていった。そこには、諒の大好きな、唐揚げセットが売られていた。そして諒は、
『この時間に物を食べると、確実に太るな…。』
と思ったが、
『今は、やけ食いでもしないとやってられない…。
お酒に走るよりは、マシだろう。』
と思い、その唐揚げセットを購入して、自宅に戻って食べることにした。
そして諒は自宅に戻った後、ユキとのメッセージのやり取りを、思い返した。
―ユキさんへ
ユキさんの好きな食べ物は、何ですか?―
―リョウさんへ
私は、唐揚げが好きです!
すみません、可愛げのない答えで。もちろん、私は女の子が好きそうな、スイーツ類も好きですが、やっぱり1番は、唐揚げです!―
―偶然ですね!僕も唐揚げが、1番好きです!
何か、嬉しいです!―
―ありがとうございます!私も、嬉しいです!―
『思えばあの頃が、1番幸せだったかもしれない。今の僕は…、』
諒は、昔の甘美な思い出に浸り、泣きそうになった。
『でも、泣いてばかりもいられない。
…そうだ!ユキさんに、プレゼントを買おう!
…このプレゼントなら、ユキさんも喜んでくれるだろう。そして、僕のことを、少しだけ、本当に少しだけでいいから、覚えていてくれたら…。』
諒はそう思いながら、インターネットを使い、とある「プレゼント」を検索し、どれがいいか選び始めた。
『ユキさんは、どういったタイプの物が好きなんだろう?
…これなんかどうかな?』
諒はプレゼントの品定めを終え、ユキにメッセージを送った。
―PS
あと、僕からユキさんに、プレゼントがあります。
ちょっと僕も色々あって、直接渡せるかどうか分からないので、そのプレゼントは、ショップに預けておきます。
後で、そのショップの名前と住所、メッセージで送りますね。
では、逢える日を楽しみにしています!
リョウより。―
―由紀は、そのリョウからのメッセージを見た時、意外な表情をした。
『私はリョウさんのことが好きだけど、初対面の人に、こんなプレゼントって…、
大丈夫なんだろうか?
それに、直接渡せないって、どういうこと?
これから、リョウさんと逢う予定なのに…。』
由紀はそう思ったが、それでもリョウからのプレゼントを喜ぶ気持ちの方が勝り、由紀は嬉しくなった。
―リョウさんへ
プレゼント、ありがとうございます。
私も、リョウさんと逢えるのを、楽しみにしています。
ユキより。―
由紀はそうメッセージを送り、その日は眠りに就いた。
―諒が由紀に贈ろうとした、プレゼントとは―。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
✿ 私は夫のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる