職業ガチャで外れ職引いたけど、ダンジョン主に拾われて成り上がります

チャビューヘ

文字の大きさ
57 / 96
【第12章】襲撃前夜

エピソード.57

しおりを挟む
 翌朝。

 拓海は、高瀬の部屋へ向かった。

 昨夜、田中が監禁されていたはずだ。

 扉を開けると。

 椅子に縛られた田中が、ぐったりとしていた。

 猿轡は、まだつけられたまま。

「田中!」

 拓海が駆け寄る。

 縄を、素早く解いていく。

 猿轡を外すと、田中が咳き込んだ。

「ゴホッ……ゴホッ……」

「大丈夫か」

 拓海が田中の背中をさする。

 田中が、苦しそうに答えた。

「す、すまない……拓海……」

「警告……できなくて……」

「いいんだ」

 拓海が首を振る。

「お前が無事でよかった」

 田中が、拓海を見つめた。

 その目には、涙が浮かんでいる。

「俺……また、お前を守れなかった……」

「ダンジョンの時も……」

「今回も……」

 拓海が、田中の肩を叩いた。

「気にするな」

「お前は、精一杯やってくれた」

 田中が、唇を噛んだ。

 悔しさが、込み上げてくる。

 しばらくの沈黙。

 やがて、田中が顔を上げた。

「拓海」

「何だ」

「俺も、戦わせてくれ」

 拓海が驚く。

「え……」

「お前の味方として」

 田中が続ける。

「俺は、ずっと後悔してた」

「お前を見捨てたこと」

「高瀬に従ったこと」

 彼の拳が震える。

「でも、もう迷わない」

「俺は、お前と一緒に戦う」

 拓海が、手を差し伸べた。

「一緒に戦おう」

 田中が、その手を握る。

 二人は、しっかりと握手を交わした。

 長い友情の、再出発。

 拓海が微笑む。

「よろしく頼む」

「ああ」

 田中も、笑顔を返した。

-----

 その日から、三日間。

 拓海は、リリアの指導で魔法を訓練した。

 リリアのダンジョン、訓練室。

 拓海が手を前に突き出す。

 集中する。

 魔力の流れを、感じ取る。

 空間に漂う粒子を、一つ一つ認識する。

 そして、集める。

 手のひらに。

 青白い光が、集まってくる。

 それを、圧縮する。

 形を整える。

 球体に。

 拓海が放つ。

「はあっ!」

 魔力弾が、標的に向かって飛んでいく。

 命中。

 的が、砕け散った。

「よくできたわ」

 リリアが拍手する。

「でも、まだ不安定ね」

「……分かってます」

 拓海が額の汗を拭う。

 魔力制御は、まだ完璧ではない。

 集中力が途切れると、すぐに魔力が散ってしまう。

 戦闘向きの魔法使いには、程遠い。

 リリアが近づいてきた。

「焦らないで」

 彼女が優しく言う。

「あなたは、たった一日で魔力制御を習得した」

「それだけでも、すごいことよ」

「でも……」

「時間をかければ、もっと強くなれる」

 リリアが微笑む。

「今は、できることを精一杯やりましょう」

 拓海が頷いた。

「はい」

-----

 翌日は、連携訓練。

 拓海、美咲、リリア、田中、中村。

 五人が、訓練室に集まった。

 拓海が指示を出す。

「田中、中村は前衛」

「俺と美咲は後衛」

「リリアは全体サポート」

「了解」

 田中と中村が、剣と盾を構える。

 拓海が魔力弾を準備する。

 美咲が浄化魔法を構える。

 リリアが、空間魔法を展開した。

「始めるわよ」

 リリアが合図する。

 訓練用のゴーレムが、現れた。

 三体。

 それぞれが、異なる攻撃パターンを持つ。

「行くぞ!」

 田中が突進する。

 中村が横から支援。

 二人の剣が、ゴーレムを切り裂く。

 しかし、ゴーレムは再生する。

「拓海!」

 田中が叫ぶ。

「分かった!」

 拓海がスキル「傾向分析」を発動。

 ゴーレムの動きを読む。

 再生のパターンを見抜く。

「核は、胸の中央!」

「そこを狙え!」

 田中が、胸部を突く。

 ゴーレムが崩れた。

 しかし、残り二体が攻撃してくる。

 拓海が魔力弾を放つ。

 一体の動きを止める。

 美咲が浄化魔法を放った。

「ピュリファイ!」

 光が、ゴーレムを包む。

 ゴーレムの魔力が、浄化されていく。

 動きが、鈍くなる。

 リリアが空間を歪ませた。

 ゴーレムの足元に、落とし穴が出現する。

 ゴーレムが落ちる。

 中村が、最後の一体を倒した。

 訓練終了。

 五人が、息を整える。

「よかったわ」

 リリアが微笑む。

「連携が、しっかりしてる」

「でも、まだ改善点はある」

 拓海が頷いた。

「もう一度、やりましょう」

 三日間、彼らは訓練を続けた。

 連携を磨く。

 弱点を補う。

 そして、絆を深める。

-----

 決戦前夜。

 拓海、リリア、美咲が、ダンジョンの屋上に立っていた。

 星空が、美しい。

 月が、三人を照らしている。

 美咲が呟いた。

「怖いけど……やるしかないね」

「ああ」

 拓海が答える。

「必ず勝つ」

 リリアが、二人の肩に手を置いた。

「あなたたちなら大丈夫」

 彼女が優しく言う。

「信じてる」

 美咲が、拓海の手を握った。

「一緒に、頑張ろうね」

「ああ」

 拓海が握り返す。

 三人は、しばらく星空を見上げていた。

 静かな時間。

 穏やかな風。

 明日。

 全てが決まる。

 拓海と高瀬の、最後の戦い。

 どちらが勝つのか。

 誰にも、分からない。

 ただ一つ確かなのは。

 彼らは、全力で戦うということ。

 そして、この戦いが未来を決めるということだった。

-----

 一方、独房の高瀬。

 彼は、一人で剣を磨いていた。

 シャッ、シャッ、シャッ。

 規則正しい音。

 剣が、月明かりを反射している。

 高瀬の目は、鋭い。

「明日……」

 彼が呟く。

「全部、終わらせてやる」

 剣を、天に掲げる。

「拓海……」

 憎悪を込めて、その名を呼ぶ。

「お前を殺して」

「俺は、勇者に戻る」

 高瀬の笑い声が、独房に響いた。

 狂気に満ちた、笑い声。

 夜が、更けていく。

 決戦の朝が、近づいている。

 運命の時が、来る。

 拓海と高瀬。

 光と闇。

 希望と絶望。

 全てが、明日決まる。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します

かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。 追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。 恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。 それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。 やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。 鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。 ※小説家になろうにも投稿しています。

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!

よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。 10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。 ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。 同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。 皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。 こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。 そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。 しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。 その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。 そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした! 更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。 これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。 ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました

黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった! これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

処理中です...