職業ガチャで外れ職引いたけど、ダンジョン主に拾われて成り上がります

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【第13章】決闘開始

エピソード.59

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 相沢が、両手を前に突き出した。

 詠唱が始まる。

「炎よ、燃え上がれ……ファイアボール!」

 巨大な火球が、拓海たちに向かって飛んでくる。

 熱波が、空気を歪ませる。

 リリアが前に出た。

「防御障壁!」

 紫色の魔法陣が展開される。

 火球が障壁に激突した。

 ゴオオオォッ!

 爆発。

 炎が四散する。

 しかし、障壁は持ちこたえた。

 美咲が、すかさず動く。

「クレンジング!」

 白い光が放たれる。

 炎の魔力が、浄化されていく。

 残った火の粉が、消えていった。

「美咲、ナイス!」

 中村が叫ぶ。

 拓海が、魔力弾を準備する。

 狙いは、相沢。

 魔法使いを先に無力化する。

 それが、拓海の戦略だった。

-----

 拓海が、連続で魔力弾を放つ。

 一発、二発、三発。

 青白い光が、相沢に向かって飛んでいく。

 相沢が慌てて避ける。

「きゃあっ!」

 一発目は外れた。

 二発目も、かろうじて避ける。

 しかし、三発目。

 それは、相沢の肩に命中した。

 爆発。

 相沢が吹き飛ばされる。

「相沢!」

 佐藤が叫んだ。

 僧侶の佐藤が、相沢に駆け寄る。

 回復魔法を唱え始める。

 しかし。

 リリアが、それを許さなかった。

-----

「空間歪曲」

 リリアが指を鳴らす。

 佐藤の足元の空間が、歪み始めた。

 穴が開く。

 佐藤が悲鳴を上げる。

「いやあああ!」

 落下。

 深さ三メートルほどの穴に、佐藤が落ちた。

 怪我はないが、すぐには這い上がれない。

 高瀬陣営の回復役が、無力化された。

 高瀬が、歯ぎしりする。

「くそ……!」

 拓海が、冷静に状況を分析していた。

 高瀬陣営、残り三人。

 高瀬、相沢、山田。

 こちらは、全員無傷。

 数的有利は、こちらにある。

 しかし。

 高瀬の力は、まだ底を見せていない。

 油断はできない。

-----

 拓海が、後退を始めた。

「田中、中村、下がれ」

「え?」

 田中が戸惑う。

「いいから、下がれ」

 拓海の声には、有無を言わせぬ力があった。

 田中と中村が、後退する。

 高瀬が、それを見て笑った。

「逃げるのか?拓海!」

「いや」

 拓海が答える。

「お前を、誘い込んでるんだ」

 高瀬の顔が歪む。

「なに……?」

 その瞬間。

 拓海が、特定の位置まで後退した。

 そして、合図を送る。

 リリアが頷いた。

-----

「発動」

 リリアが呟く。

 高瀬の周囲に、魔法陣が浮かび上がった。

 事前に仕掛けておいた、罠。

 束縛の魔法陣。

 光の鎖が、高瀬の手足に絡みつく。

「なっ……!」

 高瀬が動けなくなる。

 拓海が叫んだ。

「全員、集中攻撃!」

 田中が突進する。

 中村が横から斬りかかる。

 美咲が浄化魔法を放つ。

 リリアが魔力弾を撃つ。

 拓海も、連続で魔力弾を放った。

 全ての攻撃が、高瀬に集中する。

 爆発。

 煙が上がる。

 衝撃波が、闘技場を揺らした。

-----

 煙が晴れる。

 高瀬が、膝をついていた。

 全身、傷だらけ。

 鎧は砕け、剣を支えにして立っている。

 息が、荒い。

 血が、地面に滴っていた。

「高瀬……」

 拓海が、ゆっくりと近づく。

 そして、手を差し伸べた。

「もうやめろ」

 拓海が静かに言う。

「お前の負けだ」

 高瀬が、その手を見つめる。

 拓海の目は、真剣だった。

 憐れみではない。

 ただ、これ以上傷つくのを見たくないという。

 そんな目だった。

「お前は、もう十分戦った」

 拓海が続ける。

「だから……」

-----

 しかし。

 高瀬は、その手を払いのけた。

 バシッ。

 拓海の手が、弾かれる。

「ふざけるな……」

 高瀬が、低く呟く。

 その声は、震えていた。

「まだだ……まだ終わってない……」

 高瀬が、立ち上がる。

 ふらつきながら、剣を握り直す。

 拓海が、眉をひそめた。

「高瀬、お前……」

「黙れ!」

 高瀬が叫ぶ。

 その瞬間。

 高瀬の体から、異様な魔力が溢れ始めた。

 黒い霧のような、不吉な魔力。

 それが、高瀬の全身を包み込む。

-----

 リリアの顔色が変わる。

「危ない!」

 彼女が叫んだ。

「魔力暴走よ!」

 観客席も、どよめいた。

 ゼノスが立ち上がる。

「まずい……」

 バルトスも、緊張した表情だ。

「あの状態は……」

 高瀬が、咆哮する。

「力を……もっと力を!」

 黒い魔力が、激しく渦巻く。

 高瀬の目が、赤く光った。

 そして。

 勇者のスキルが、暴走を始める。

 高瀬の体が、膨れ上がっていく。

 筋肉が膨張し、身長が伸びる。

 二メートル。

 二メートル半。

 三メートル。

 巨大化していく、高瀬の姿。

 その目からは、理性の光が消えていた。

-----

 拓海が、後ずさる。

「くそ……まさか……」

 美咲が震える。

「拓海くん……あれ……」

「魔力暴走だ」

 リリアが厳しい声で言った。

「制御を失った魔力が、体を支配している」

「止められるのか?」

 田中が尋ねる。

 リリアが首を振った。

「分からない。でも、このままだと……」

 その言葉を、高瀬の咆哮が遮る。

「ウオオオオオオ!」

 巨大化した高瀬が、拓海たちに襲いかかった。

 地面が揺れる。

 一歩ごとに、亀裂が走る。

 拓海が叫ぶ。

「散開しろ!」

 五人が、四方に飛び散った。

 高瀬の拳が、地面を叩く。

 ドゴォン!

 爆発のような衝撃。

 地面に、巨大なクレーターができた。

 観客席が、悲鳴を上げる。

 決闘は、予想を超える展開を迎えていた。
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