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第55章 新しい命
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最近、体調がすぐれない。
朝、吐き気がする。
まさか……と思い、医師に診てもらった。
フェルゼンに戻って、一ヶ月が経った。
ヴェルハイムでの技術指導は、無事に終わった。
平和条約も順調に機能している。
両国の関係は、良好だった。
でも、私の体に変化が起きていた。
朝起きると、吐き気がする。
食欲もない。
体が、重い。
最初は、疲れだと思っていた。
ヴェルハイムでの一ヶ月は、忙しかった。
でも、一ヶ月経っても体調は戻らない。
むしろ、悪化している。
マリアが、心配そうに見ている。
「お嬢様、顔色が悪いです」
私は、微笑もうとした。
「大丈夫よ。少し疲れているだけ」
マリアは、首を横に振った。
「いいえ。医師を呼びます」
私は、止めようとした。
でも、マリアはもう走り出していた。
部屋に、医師が来た。
フェルゼンの医師、アルフレッド先生。
白い髪に眼鏡をかけた、穏やかな表情の男性だった。
「エリナ様、具合が悪いと聞きました」
私は、頷いた。
「はい。吐き気と、体のだるさが」
医師は、私の脈を取った。
その手が、温かい。
そして、瞳を見る。
お腹を触診する。
しばらく、沈黙が続いた。
そして、医師が微笑んだ。
「おめでとうございます、奥様」
私は、きょとんとした。
「え……?」
医師の目が、優しく細められる。
「ご懐妊です」
その言葉が、頭の中で響いた。
懐妊。
赤ちゃん。
私の中に、新しい命が。
息ができなくなった。
心臓が、激しく鳴る。
涙が、頬を伝う。
「本当に……ですか?」
医師は、頷いた。
「はい。間違いありません」
「おそらく、二ヶ月ほどです」
マリアが、泣いていた。
「お嬢様……おめでとうございます!」
その声が、遠くに聞こえる。
私は、自分のお腹に手を当てた。
まだ、膨らんでいない。
でも、そこに命がある。
私と、カイルの子供が。
涙が止まらなかった。
「私……お母さんになるんですね」
医師が、優しく微笑む。
「はい。大切になさってください」
「無理は禁物です」
私は、何度も頷いた。
医師が去った後、私は一人でベッドに座っていた。
お腹に手を当てたまま。
そこに、小さな命がある。
まだ見ぬ我が子。
前世を、思い出した。
一周目。
私は、リオンに婚約破棄された後、孤独に死んだ。
子供を持つことなど、考えもしなかった。
二周目。
私は、経済改革に成功したが、一人だった。
誰とも深い関係を築けず、孤独だった。
子供など、夢のまた夢。
でも、三周目。
カイルと出会い、愛し合い、結婚した。
そして今、子供ができた。
奇跡のような、幸せ。
涙が、また溢れた。
でも、今度は嬉しい涙。
私は、笑っていた。
カイルに、知らせなければ。
彼は、今日は王都にいる。
財務大臣としての仕事で。
でも、夕方には戻ってくる予定だった。
私は、待つことにした。
大切な話だから。
直接、顔を見て伝えたい。
マリアが、お茶を淹れてくれた。
「お嬢様、カイル閣下はお喜びになりますよ」
私は、微笑んだ。
「そうね。きっと……」
カイルの顔が、浮かぶ。
驚いて、そして喜んでくれるだろうか。
胸が高鳴る。
夕方になった。
馬車の音が聞こえる。
カイルが、戻ってきた。
私は、玄関まで走った。
カイルが、馬車から降りてくる。
その顔を見た瞬間、涙が溢れそうになった。
カイルが、私に気づいた。
「エリナ、どうした?」
心配そうな声。
私は、首を横に振った。
「大丈夫です。大切な話があるんです」
カイルの目が、真剣になる。
「分かった。部屋に行こう」
私たちは、応接室に入った。
二人きりになる。
カイルが、私の手を取った。
「何があった?体調が悪いと聞いたが」
私は、深呼吸をした。
そして、カイルの目を見つめた。
「カイル、大切な話があります」
カイルが、頷く。
「何でも、話してくれ」
私は、もう一度深呼吸をした。
そして、言った。
「私……赤ちゃんができました」
カイルが、固まった。
その目が、大きく見開かれる。
口が、わずかに開いている。
時間が、止まったようだった。
そして、カイルがゆっくりと言葉を紡ぐ。
「……本当に?」
私は、頷いた。
「はい。医師に診てもらいました」
「二ヶ月ほどだそうです」
カイルの手が、震え始めた。
その目に、涙が浮かぶ。
「エリナ……」
カイルが、私を抱きしめた。
強く、強く。
その腕の中で、私も泣いていた。
「ありがとう……ありがとう……」
カイルの声が、震えている。
その肩が、揺れている。
彼も、泣いているのだ。
「私たちの……子供が……」
私も、カイルの背中に手を回した。
「ええ。私たちの子供です」
どれくらい、そうしていただろう。
二人とも、涙を流し続けた。
嬉しくて、嬉しくて。
幸せすぎて、言葉にならなかった。
やがて、カイルが顔を上げた。
その目は、赤く腫れている。
でも、笑顔だった。
今まで見た中で、一番の笑顔。
「男の子かな?女の子かな?」
カイルの声が、弾んでいる。
私は、微笑んだ。
「どちらでも、嬉しいです」
カイルが、私のお腹に手を当てる。
まだ、膨らんでいない。
でも、そこに命がある。
カイルの顔が、優しい。
「名前は……もう決めてある」
私は、驚いた。
「もう?」
カイルが、頷く。
「ああ。ずっと考えていたんだ」
「男の子なら、父の名前をつけたい」
「ルドルフだ」
私の胸が、温かくなった。
カイルの父。
もう亡くなられた、優しい人だったと聞いた。
「女の子なら、君の母の名前を」
私は、息を呑んだ。
母。
私が幼い頃に亡くなった、母。
優しくて、美しい人だった。
「エレナ」
カイルが、微笑む。
「エレナ。美しい名前だ」
私は、もう涙が止まらなかった。
「カイル……ありがとう……」
カイルが、私をまた抱きしめる。
「これから、三人だ」
「私たちの家族が、増える」
私は、カイルの胸で頷いた。
「ええ。家族……」
その言葉が、どれだけ嬉しいか。
前世では、持てなかった家族。
今、私にはある。
カイルと、そしてお腹の中の子供。
翌日。
妊娠の知らせは、すぐに領中に広まった。
住民たちが、領主館に押し寄せてくる。
「お嬢様、おめでとうございます!」
「世継ぎの誕生だ!」
「フェルゼンの未来が、明るい!」
みんな、喜んでくれている。
グレンも、オスカーも、ディーターも。
マリアは、ずっと泣きっぱなしだった。
「お嬢様……本当に、本当に……」
私は、みんなに感謝を伝えた。
「ありがとう。みんなのおかげです」
住民たちが、祝福の言葉を次々と。
子供「赤ちゃん、楽しみ!」
母親「私が作った服、着せてくださいね」
老人「生まれるまで、健康でいてください」
カイルが、住民たちに宣言した。
「私の子供が、この領地で生まれる」
「エリナと共に、この子を立派に育てます」
「そして、この子に幸せな世界を残します」
住民たちが、歓声を上げた。
拍手が、鳴り響く。
私は、カイルの隣に立っていた。
お腹に、そっと手を当てる。
そこに、小さな命がある。
まだ会ったことのない、我が子。
でも、もう愛おしい。
この子のために、より良い世界を作りたい。
そう思った。
夜。
二人で、夜空を見上げていた。
星が、美しく輝いている。
カイルが、私の肩を抱く。
「これからは、無理をするな」
私は、カイルを見上げた。
「でも、仕事は……」
カイルが、首を横に振る。
「仕事より、君と子供が大切だ」
「王国改革は、私が代わりに進める」
「君は、体を大事にしてくれ」
私の目に、涙が浮かぶ。
カイルの優しさが、嬉しい。
「ありがとう、カイル」
カイルが、微笑む。
「当然だ。君は、私の全てだから」
私は、もう一度お腹に手を当てた。
そして、心の中で語りかける。
「こんにちは、赤ちゃん」
「私は、あなたのお母さんになる人」
「あなたのお父さんは、とても優しい人」
「二人で、あなたを大切に育てるから」
「生まれてくるのを、楽しみに待っているね」
風が、優しく吹く。
星が、またひとつ輝いた。
私は、幸せだった。
前世では、考えられなかった幸せ。
一周目も、二周目も、こんな未来は想像できなかった。
でも、三周目。
私はカイルと出会い、愛し合い、家族を持った。
これから、新しい命が生まれる。
私たちの子供が。
カイルが、私の手を握る。
「これから、もっと幸せになろう」
私は、頷いた。
「ええ。三人で」
カイルが、優しく微笑む。
その横顔が、星明かりに照らされている。
私は、この瞬間を忘れないと思った。
幸せすぎて、夢のような瞬間。
でも、これは現実。
私の、新しい人生。
そして、新しい命の始まり。
私たちの家族の、物語の始まり。
遠くで、フェルゼンの街が輝いている。
住民たちの家々から、明かりが見える。
みんな、幸せそうに暮らしている。
私が作った、この領地。
私とカイルが守る、この場所。
そして、これから生まれる子供。
その子も、この場所で育つ。
幸せな、温かい場所で。
私は、決意した。
この子のために、もっと頑張ろう。
もっと、この領地を良くしよう。
子供たちが笑顔で暮らせる場所を作ろう。
そう、心に誓った。
カイルが、私を見つめている。
その目が、優しい。
「愛している、エリナ」
私も、カイルを見つめ返す。
「私も、愛しています」
そして、お腹に手を当てたまま、微笑んだ。
「三人で、ずっと一緒ね」
カイルが、頷く。
「ああ。ずっと」
星空の下、私たちは抱き合った。
新しい命と共に。
幸せな未来へ向かって。
【完】
────────────────────────
【あとがき】
この作品をお読みいただき、ありがとうございました。
────────────────────────
朝、吐き気がする。
まさか……と思い、医師に診てもらった。
フェルゼンに戻って、一ヶ月が経った。
ヴェルハイムでの技術指導は、無事に終わった。
平和条約も順調に機能している。
両国の関係は、良好だった。
でも、私の体に変化が起きていた。
朝起きると、吐き気がする。
食欲もない。
体が、重い。
最初は、疲れだと思っていた。
ヴェルハイムでの一ヶ月は、忙しかった。
でも、一ヶ月経っても体調は戻らない。
むしろ、悪化している。
マリアが、心配そうに見ている。
「お嬢様、顔色が悪いです」
私は、微笑もうとした。
「大丈夫よ。少し疲れているだけ」
マリアは、首を横に振った。
「いいえ。医師を呼びます」
私は、止めようとした。
でも、マリアはもう走り出していた。
部屋に、医師が来た。
フェルゼンの医師、アルフレッド先生。
白い髪に眼鏡をかけた、穏やかな表情の男性だった。
「エリナ様、具合が悪いと聞きました」
私は、頷いた。
「はい。吐き気と、体のだるさが」
医師は、私の脈を取った。
その手が、温かい。
そして、瞳を見る。
お腹を触診する。
しばらく、沈黙が続いた。
そして、医師が微笑んだ。
「おめでとうございます、奥様」
私は、きょとんとした。
「え……?」
医師の目が、優しく細められる。
「ご懐妊です」
その言葉が、頭の中で響いた。
懐妊。
赤ちゃん。
私の中に、新しい命が。
息ができなくなった。
心臓が、激しく鳴る。
涙が、頬を伝う。
「本当に……ですか?」
医師は、頷いた。
「はい。間違いありません」
「おそらく、二ヶ月ほどです」
マリアが、泣いていた。
「お嬢様……おめでとうございます!」
その声が、遠くに聞こえる。
私は、自分のお腹に手を当てた。
まだ、膨らんでいない。
でも、そこに命がある。
私と、カイルの子供が。
涙が止まらなかった。
「私……お母さんになるんですね」
医師が、優しく微笑む。
「はい。大切になさってください」
「無理は禁物です」
私は、何度も頷いた。
医師が去った後、私は一人でベッドに座っていた。
お腹に手を当てたまま。
そこに、小さな命がある。
まだ見ぬ我が子。
前世を、思い出した。
一周目。
私は、リオンに婚約破棄された後、孤独に死んだ。
子供を持つことなど、考えもしなかった。
二周目。
私は、経済改革に成功したが、一人だった。
誰とも深い関係を築けず、孤独だった。
子供など、夢のまた夢。
でも、三周目。
カイルと出会い、愛し合い、結婚した。
そして今、子供ができた。
奇跡のような、幸せ。
涙が、また溢れた。
でも、今度は嬉しい涙。
私は、笑っていた。
カイルに、知らせなければ。
彼は、今日は王都にいる。
財務大臣としての仕事で。
でも、夕方には戻ってくる予定だった。
私は、待つことにした。
大切な話だから。
直接、顔を見て伝えたい。
マリアが、お茶を淹れてくれた。
「お嬢様、カイル閣下はお喜びになりますよ」
私は、微笑んだ。
「そうね。きっと……」
カイルの顔が、浮かぶ。
驚いて、そして喜んでくれるだろうか。
胸が高鳴る。
夕方になった。
馬車の音が聞こえる。
カイルが、戻ってきた。
私は、玄関まで走った。
カイルが、馬車から降りてくる。
その顔を見た瞬間、涙が溢れそうになった。
カイルが、私に気づいた。
「エリナ、どうした?」
心配そうな声。
私は、首を横に振った。
「大丈夫です。大切な話があるんです」
カイルの目が、真剣になる。
「分かった。部屋に行こう」
私たちは、応接室に入った。
二人きりになる。
カイルが、私の手を取った。
「何があった?体調が悪いと聞いたが」
私は、深呼吸をした。
そして、カイルの目を見つめた。
「カイル、大切な話があります」
カイルが、頷く。
「何でも、話してくれ」
私は、もう一度深呼吸をした。
そして、言った。
「私……赤ちゃんができました」
カイルが、固まった。
その目が、大きく見開かれる。
口が、わずかに開いている。
時間が、止まったようだった。
そして、カイルがゆっくりと言葉を紡ぐ。
「……本当に?」
私は、頷いた。
「はい。医師に診てもらいました」
「二ヶ月ほどだそうです」
カイルの手が、震え始めた。
その目に、涙が浮かぶ。
「エリナ……」
カイルが、私を抱きしめた。
強く、強く。
その腕の中で、私も泣いていた。
「ありがとう……ありがとう……」
カイルの声が、震えている。
その肩が、揺れている。
彼も、泣いているのだ。
「私たちの……子供が……」
私も、カイルの背中に手を回した。
「ええ。私たちの子供です」
どれくらい、そうしていただろう。
二人とも、涙を流し続けた。
嬉しくて、嬉しくて。
幸せすぎて、言葉にならなかった。
やがて、カイルが顔を上げた。
その目は、赤く腫れている。
でも、笑顔だった。
今まで見た中で、一番の笑顔。
「男の子かな?女の子かな?」
カイルの声が、弾んでいる。
私は、微笑んだ。
「どちらでも、嬉しいです」
カイルが、私のお腹に手を当てる。
まだ、膨らんでいない。
でも、そこに命がある。
カイルの顔が、優しい。
「名前は……もう決めてある」
私は、驚いた。
「もう?」
カイルが、頷く。
「ああ。ずっと考えていたんだ」
「男の子なら、父の名前をつけたい」
「ルドルフだ」
私の胸が、温かくなった。
カイルの父。
もう亡くなられた、優しい人だったと聞いた。
「女の子なら、君の母の名前を」
私は、息を呑んだ。
母。
私が幼い頃に亡くなった、母。
優しくて、美しい人だった。
「エレナ」
カイルが、微笑む。
「エレナ。美しい名前だ」
私は、もう涙が止まらなかった。
「カイル……ありがとう……」
カイルが、私をまた抱きしめる。
「これから、三人だ」
「私たちの家族が、増える」
私は、カイルの胸で頷いた。
「ええ。家族……」
その言葉が、どれだけ嬉しいか。
前世では、持てなかった家族。
今、私にはある。
カイルと、そしてお腹の中の子供。
翌日。
妊娠の知らせは、すぐに領中に広まった。
住民たちが、領主館に押し寄せてくる。
「お嬢様、おめでとうございます!」
「世継ぎの誕生だ!」
「フェルゼンの未来が、明るい!」
みんな、喜んでくれている。
グレンも、オスカーも、ディーターも。
マリアは、ずっと泣きっぱなしだった。
「お嬢様……本当に、本当に……」
私は、みんなに感謝を伝えた。
「ありがとう。みんなのおかげです」
住民たちが、祝福の言葉を次々と。
子供「赤ちゃん、楽しみ!」
母親「私が作った服、着せてくださいね」
老人「生まれるまで、健康でいてください」
カイルが、住民たちに宣言した。
「私の子供が、この領地で生まれる」
「エリナと共に、この子を立派に育てます」
「そして、この子に幸せな世界を残します」
住民たちが、歓声を上げた。
拍手が、鳴り響く。
私は、カイルの隣に立っていた。
お腹に、そっと手を当てる。
そこに、小さな命がある。
まだ会ったことのない、我が子。
でも、もう愛おしい。
この子のために、より良い世界を作りたい。
そう思った。
夜。
二人で、夜空を見上げていた。
星が、美しく輝いている。
カイルが、私の肩を抱く。
「これからは、無理をするな」
私は、カイルを見上げた。
「でも、仕事は……」
カイルが、首を横に振る。
「仕事より、君と子供が大切だ」
「王国改革は、私が代わりに進める」
「君は、体を大事にしてくれ」
私の目に、涙が浮かぶ。
カイルの優しさが、嬉しい。
「ありがとう、カイル」
カイルが、微笑む。
「当然だ。君は、私の全てだから」
私は、もう一度お腹に手を当てた。
そして、心の中で語りかける。
「こんにちは、赤ちゃん」
「私は、あなたのお母さんになる人」
「あなたのお父さんは、とても優しい人」
「二人で、あなたを大切に育てるから」
「生まれてくるのを、楽しみに待っているね」
風が、優しく吹く。
星が、またひとつ輝いた。
私は、幸せだった。
前世では、考えられなかった幸せ。
一周目も、二周目も、こんな未来は想像できなかった。
でも、三周目。
私はカイルと出会い、愛し合い、家族を持った。
これから、新しい命が生まれる。
私たちの子供が。
カイルが、私の手を握る。
「これから、もっと幸せになろう」
私は、頷いた。
「ええ。三人で」
カイルが、優しく微笑む。
その横顔が、星明かりに照らされている。
私は、この瞬間を忘れないと思った。
幸せすぎて、夢のような瞬間。
でも、これは現実。
私の、新しい人生。
そして、新しい命の始まり。
私たちの家族の、物語の始まり。
遠くで、フェルゼンの街が輝いている。
住民たちの家々から、明かりが見える。
みんな、幸せそうに暮らしている。
私が作った、この領地。
私とカイルが守る、この場所。
そして、これから生まれる子供。
その子も、この場所で育つ。
幸せな、温かい場所で。
私は、決意した。
この子のために、もっと頑張ろう。
もっと、この領地を良くしよう。
子供たちが笑顔で暮らせる場所を作ろう。
そう、心に誓った。
カイルが、私を見つめている。
その目が、優しい。
「愛している、エリナ」
私も、カイルを見つめ返す。
「私も、愛しています」
そして、お腹に手を当てたまま、微笑んだ。
「三人で、ずっと一緒ね」
カイルが、頷く。
「ああ。ずっと」
星空の下、私たちは抱き合った。
新しい命と共に。
幸せな未来へ向かって。
【完】
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【あとがき】
この作品をお読みいただき、ありがとうございました。
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