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27話:泥だらけの設計図、あるいは最初の雨
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1. 現実の洗礼
世界を救った英雄の朝は、ひどく惨めで、そして痛みを伴うものだった。
「……っ、さ、寒い……」
私はガチガチと奥歯が鳴る音で目を覚ました。
空は鉛色の分厚い雲に覆われ、氷の針のような冷たい雨が、容赦なく全身に降り注いでいる。
かつての私なら、こんな状況は問題にもならなかった。視界(UI)の端に【Temperature: Low / Auto-Regulation: ON】という文字列が表示され、体内のナノマシンが即座に代謝を上げ、不快指数をゼロにカットしてくれたはずだ。
だが今は違う。
ずぶ濡れになったボロボロのシャツが冷たい皮膚のように張り付き、容赦なく体温を奪っていく。指先は紫色に変色し、かじかんで感覚がない。関節の節々が錆びついたように痛む。
これが「現実」の雨だ。
映画や小説にあるような、情緒的で美しい浄化の雨なんかじゃない。ただひたすらに冷たく、体力を削り取り、生物としての生存を脅かす物理現象だ。
「くそっ、風邪引くぞこれ。免疫機能のブーストも使えないんだぞ!」
カイが濡れた前髪を乱暴にかき上げながら叫ぶ。彼の唇も紫色になり、身体が小刻みに震えている。
「あっちに建物が見えた! コンクリートが崩れてるけど、屋根はあるかも!」
リナが指差す先、枯れたツタと、新しく芽吹いた緑の苔に覆われた巨大なコンクリートの塊――かつてショッピングモールだったらしき廃墟のシルエットが、雨煙の向こうに霞んで見えた。
「走るぞ! 止まったら死ぬ!」
私たちは泥濘(ぬかるみ)に足を取られ、何度も転びそうになりながら必死に走った。
それは、世界を救った勇者たちの凱旋パレードとは程遠い、濡れ鼠の逃走劇だった。
2. アナログな探索
廃墟の入り口は、赤錆に覆われた頑丈な鉄のシャッターで閉ざされていた。
私は無意識に右手をかざし、そしてハッとして苦笑した。
もう「ロック解除」のコマンドも、「物理切断」の光の刃も使えないのだ。ここにあるのは、ただの重たい鉄の板と、非力な私の腕だけ。
「リナ、こっちを持て。イヴは隙間に石を嵌ませてくれ」
カイが近くに落ちていた工事用の鉄パイプを拾い上げ、シャッターの下のわずかな隙間にねじ込む。
「いくぞ、てこの原理だ……せーのっ、ふんぬぅッ!」
ギギギギギ……ッ!!
鼓膜を削るような耳障りな金属音と共に、シャッターが数センチだけ持ち上がる。
重い。信じられないほど重い。
かつては指先一つで、何トンの瓦礫でも浮かび上がらせ、消去できたのに。今の私の腕力では、鉄パイプにしがみついて体重をかけるのがやっとだ。
「いっ、けぇぇぇー! 動けぇーっ!」
リナが泥だらけの靴で地面を踏ん張り、全身のバネを使って鉄パイプを押し下げる。
カイが肩を入れて唸り声を上げる。
私は泥水の中に這いつくばり、手頃なコンクリートブロックを引きずってきて、開いた隙間に必死に押し込んだ。
ガコンッ。
ブロックが噛み合い、人が一人這って通れるだけの隙間が確保された。
「……はぁ、はぁ、入れた……」
私たちは泥まみれのまま、転がり込むように中に入った。
内部はカビと埃の匂いが充満しているが、雨風は防げる。天井があるというだけで、これほど安心するとは知らなかった。
「たかがドア一つ開けるのに、こんなに疲れるなんてね……」
私は膝をつき、震える自分の手を見つめた。
錆と泥で汚れ、手のひらは擦りむけて血が滲んでいる。ヒリヒリとした痛みが、生きていることを主張している。
「ああ。だが、これが生きてるってことだ。便利さの代償に、俺たちは肉体の感覚と、労働の重みを取り戻したんだよ」
カイが壁にもたれかかり、荒い息を整えながら、清々しい顔で笑った。
3. 生態系の脅威
モールの内部は薄暗く、至る所に植物が根を張り、床タイルを割ってシダ植物が群生していた。箱舟のデータが現実に侵食し、急速に緑化が進んだ証拠だ。
私たちは、雨を完全に凌げるテナントを探して、慎重に奥へと進んだ。
その時。
暗闇の奥から、グルルル……という、腹の底に響くような低い唸り声が聞こえた。
「止まれ」
カイが鋭く囁き、私たちを手で制する。
商品棚の陰から、四つの光る目が現れた。
犬だ。だが、かつてペットショップにいたような可愛らしいものではない。
筋肉が不自然に隆起し、牙を剥き出しにした、野生の捕食者。箱舟の動物データが実体化する際、環境に適応して獰猛化した群れだ。
「……野犬。戦闘態勢」
私は反射的に右腕を構えそうになり――何も武器がないことに気づいて背筋が凍った。
リナが持っているのはサバイバルナイフ一本。カイは残弾数発の旧式リボルバー。私は素手だ。
「ギャウッ!」
殺気を感じ取ったのか、先頭の一匹が床を蹴って飛びかかってきた。
速い!
動体視力が追いつかない。赤いターゲットマーカーも、予測軌道ラインも表示されない戦闘が、これほど怖いものだとは。
「うわっ!」
リナが噛みつかれそうになり、とっさに拾った鞭でガードする。牙が革を食い破る音がする。
カイが発砲するが、薄暗くて狙いが外れ、乾いた発砲音が広すぎるホールに反響するだけだ。
二匹目が、無防備な私に向かってくる。
(思考しろ、イヴ! 武器は! 使えるものは!)
私は足元にあったショーウィンドウのガラスの破片を、迷わず素手で掴んだ。
手のひらが切れる痛みなど無視して、飛びかかってくる犬の鼻先めがけて、泥臭く、無様に振り回す。
「来ないでッ!!」
ザシュッ。
運良くガラスの先端が犬の敏感な鼻をかすめた。
キャンッ!
犬が悲鳴を上げてひるみ、着地に失敗して転がる。
その一瞬の隙を見逃さず、カイが正確に二発目を撃ち込み、眉間を撃ち抜いた。
残りの犬は、仲間の死と銃声に恐れをなし、警戒しながら闇の奥へと引いていった。
「はぁ、はぁ……死ぬかと思った……」
私はその場にへたり込んだ。心臓が早鐘を打ち、喉が張り付くようだ。
ただの野犬数匹。かつての私なら、指先一つで消去できた雑魚ですらなかった相手に、これほどの命がけの攻防。
足が震えて立ち上がれない。
これが、「弱者」として、食物連鎖の中に身を置くということか。
4. 最初の拠点
私たちは2階にあった衣料品店跡にバリケードを築き、ようやく安全地帯を確保した。
売り場に残っていた古着や毛布を集めて即席のベッドを作り、木製の什器を解体して小さな焚き火をおこす。
パチパチとはぜる火の音。揺らめくオレンジ色の光。
その原始的な暖かさが、冷え切った骨の髄まで染み渡り、強張っていた神経を解いていく。
リナが、探索で見つけた缶詰をナイフでこじ開けてくれた。中身は正体不明の豆の煮込みだったが、焚き火で温めて食べると、涙が出るほど美味しかった。
「さて……」
食後、少し顔色の戻ったカイが、すすけた床に、燃え残りの炭で線を引き始めた。
「ここが俺たちの最初の拠点だ。水源はあっちの公園跡にある池が使える。食料はこのモールの食品売り場跡に残っている可能性がある。まずはここを要塞化して、冬を越す準備をする」
カイが引く線は、ただの落書きではない。
ここを寝床に。エスカレーターの上を見張り台に。日が当たる屋上を畑に。
それは、崩壊した文明を一から作り直すための、希望の「設計図」だった。
「気が遠くなる作業ね」
私が言うと、カイは炭で汚れた顔で、少年のようにニヤリと笑った。
「ああ。何年も、何十年もかかるだろうな。だが、誰かの作ったシステムの中で遊ばされるより、自分でレンガを一つずつ積む方が性に合ってる」
「私も手伝うよ! 力仕事なら任せて! 畑には何植えようか?」
リナが力こぶを作って見せる。
私は、自分の手を見た。
ガラスで切った傷、シャッターで擦りむいた跡、泥と煤で真っ黒になった手。
でも、この手はもう、破壊するためだけの冷たい凶器じゃない。
家を作り、種を蒔き、仲間と手を繋ぎ、明日を作るための人間の手だ。
「そうね。……やりましょう。世界で一番、自由で最高の街を作るのよ」
外ではまだ、冷たい雨が降り続いていた。
けれど、廃墟の片隅で揺れる小さな炎は、決して消えることはなかった。
それは、私たちが自らの手で灯した、文明の再起動(リブート)を告げる光だった。
これが、私たちの新しい世界の、記念すべき最初の夜だった。
世界を救った英雄の朝は、ひどく惨めで、そして痛みを伴うものだった。
「……っ、さ、寒い……」
私はガチガチと奥歯が鳴る音で目を覚ました。
空は鉛色の分厚い雲に覆われ、氷の針のような冷たい雨が、容赦なく全身に降り注いでいる。
かつての私なら、こんな状況は問題にもならなかった。視界(UI)の端に【Temperature: Low / Auto-Regulation: ON】という文字列が表示され、体内のナノマシンが即座に代謝を上げ、不快指数をゼロにカットしてくれたはずだ。
だが今は違う。
ずぶ濡れになったボロボロのシャツが冷たい皮膚のように張り付き、容赦なく体温を奪っていく。指先は紫色に変色し、かじかんで感覚がない。関節の節々が錆びついたように痛む。
これが「現実」の雨だ。
映画や小説にあるような、情緒的で美しい浄化の雨なんかじゃない。ただひたすらに冷たく、体力を削り取り、生物としての生存を脅かす物理現象だ。
「くそっ、風邪引くぞこれ。免疫機能のブーストも使えないんだぞ!」
カイが濡れた前髪を乱暴にかき上げながら叫ぶ。彼の唇も紫色になり、身体が小刻みに震えている。
「あっちに建物が見えた! コンクリートが崩れてるけど、屋根はあるかも!」
リナが指差す先、枯れたツタと、新しく芽吹いた緑の苔に覆われた巨大なコンクリートの塊――かつてショッピングモールだったらしき廃墟のシルエットが、雨煙の向こうに霞んで見えた。
「走るぞ! 止まったら死ぬ!」
私たちは泥濘(ぬかるみ)に足を取られ、何度も転びそうになりながら必死に走った。
それは、世界を救った勇者たちの凱旋パレードとは程遠い、濡れ鼠の逃走劇だった。
2. アナログな探索
廃墟の入り口は、赤錆に覆われた頑丈な鉄のシャッターで閉ざされていた。
私は無意識に右手をかざし、そしてハッとして苦笑した。
もう「ロック解除」のコマンドも、「物理切断」の光の刃も使えないのだ。ここにあるのは、ただの重たい鉄の板と、非力な私の腕だけ。
「リナ、こっちを持て。イヴは隙間に石を嵌ませてくれ」
カイが近くに落ちていた工事用の鉄パイプを拾い上げ、シャッターの下のわずかな隙間にねじ込む。
「いくぞ、てこの原理だ……せーのっ、ふんぬぅッ!」
ギギギギギ……ッ!!
鼓膜を削るような耳障りな金属音と共に、シャッターが数センチだけ持ち上がる。
重い。信じられないほど重い。
かつては指先一つで、何トンの瓦礫でも浮かび上がらせ、消去できたのに。今の私の腕力では、鉄パイプにしがみついて体重をかけるのがやっとだ。
「いっ、けぇぇぇー! 動けぇーっ!」
リナが泥だらけの靴で地面を踏ん張り、全身のバネを使って鉄パイプを押し下げる。
カイが肩を入れて唸り声を上げる。
私は泥水の中に這いつくばり、手頃なコンクリートブロックを引きずってきて、開いた隙間に必死に押し込んだ。
ガコンッ。
ブロックが噛み合い、人が一人這って通れるだけの隙間が確保された。
「……はぁ、はぁ、入れた……」
私たちは泥まみれのまま、転がり込むように中に入った。
内部はカビと埃の匂いが充満しているが、雨風は防げる。天井があるというだけで、これほど安心するとは知らなかった。
「たかがドア一つ開けるのに、こんなに疲れるなんてね……」
私は膝をつき、震える自分の手を見つめた。
錆と泥で汚れ、手のひらは擦りむけて血が滲んでいる。ヒリヒリとした痛みが、生きていることを主張している。
「ああ。だが、これが生きてるってことだ。便利さの代償に、俺たちは肉体の感覚と、労働の重みを取り戻したんだよ」
カイが壁にもたれかかり、荒い息を整えながら、清々しい顔で笑った。
3. 生態系の脅威
モールの内部は薄暗く、至る所に植物が根を張り、床タイルを割ってシダ植物が群生していた。箱舟のデータが現実に侵食し、急速に緑化が進んだ証拠だ。
私たちは、雨を完全に凌げるテナントを探して、慎重に奥へと進んだ。
その時。
暗闇の奥から、グルルル……という、腹の底に響くような低い唸り声が聞こえた。
「止まれ」
カイが鋭く囁き、私たちを手で制する。
商品棚の陰から、四つの光る目が現れた。
犬だ。だが、かつてペットショップにいたような可愛らしいものではない。
筋肉が不自然に隆起し、牙を剥き出しにした、野生の捕食者。箱舟の動物データが実体化する際、環境に適応して獰猛化した群れだ。
「……野犬。戦闘態勢」
私は反射的に右腕を構えそうになり――何も武器がないことに気づいて背筋が凍った。
リナが持っているのはサバイバルナイフ一本。カイは残弾数発の旧式リボルバー。私は素手だ。
「ギャウッ!」
殺気を感じ取ったのか、先頭の一匹が床を蹴って飛びかかってきた。
速い!
動体視力が追いつかない。赤いターゲットマーカーも、予測軌道ラインも表示されない戦闘が、これほど怖いものだとは。
「うわっ!」
リナが噛みつかれそうになり、とっさに拾った鞭でガードする。牙が革を食い破る音がする。
カイが発砲するが、薄暗くて狙いが外れ、乾いた発砲音が広すぎるホールに反響するだけだ。
二匹目が、無防備な私に向かってくる。
(思考しろ、イヴ! 武器は! 使えるものは!)
私は足元にあったショーウィンドウのガラスの破片を、迷わず素手で掴んだ。
手のひらが切れる痛みなど無視して、飛びかかってくる犬の鼻先めがけて、泥臭く、無様に振り回す。
「来ないでッ!!」
ザシュッ。
運良くガラスの先端が犬の敏感な鼻をかすめた。
キャンッ!
犬が悲鳴を上げてひるみ、着地に失敗して転がる。
その一瞬の隙を見逃さず、カイが正確に二発目を撃ち込み、眉間を撃ち抜いた。
残りの犬は、仲間の死と銃声に恐れをなし、警戒しながら闇の奥へと引いていった。
「はぁ、はぁ……死ぬかと思った……」
私はその場にへたり込んだ。心臓が早鐘を打ち、喉が張り付くようだ。
ただの野犬数匹。かつての私なら、指先一つで消去できた雑魚ですらなかった相手に、これほどの命がけの攻防。
足が震えて立ち上がれない。
これが、「弱者」として、食物連鎖の中に身を置くということか。
4. 最初の拠点
私たちは2階にあった衣料品店跡にバリケードを築き、ようやく安全地帯を確保した。
売り場に残っていた古着や毛布を集めて即席のベッドを作り、木製の什器を解体して小さな焚き火をおこす。
パチパチとはぜる火の音。揺らめくオレンジ色の光。
その原始的な暖かさが、冷え切った骨の髄まで染み渡り、強張っていた神経を解いていく。
リナが、探索で見つけた缶詰をナイフでこじ開けてくれた。中身は正体不明の豆の煮込みだったが、焚き火で温めて食べると、涙が出るほど美味しかった。
「さて……」
食後、少し顔色の戻ったカイが、すすけた床に、燃え残りの炭で線を引き始めた。
「ここが俺たちの最初の拠点だ。水源はあっちの公園跡にある池が使える。食料はこのモールの食品売り場跡に残っている可能性がある。まずはここを要塞化して、冬を越す準備をする」
カイが引く線は、ただの落書きではない。
ここを寝床に。エスカレーターの上を見張り台に。日が当たる屋上を畑に。
それは、崩壊した文明を一から作り直すための、希望の「設計図」だった。
「気が遠くなる作業ね」
私が言うと、カイは炭で汚れた顔で、少年のようにニヤリと笑った。
「ああ。何年も、何十年もかかるだろうな。だが、誰かの作ったシステムの中で遊ばされるより、自分でレンガを一つずつ積む方が性に合ってる」
「私も手伝うよ! 力仕事なら任せて! 畑には何植えようか?」
リナが力こぶを作って見せる。
私は、自分の手を見た。
ガラスで切った傷、シャッターで擦りむいた跡、泥と煤で真っ黒になった手。
でも、この手はもう、破壊するためだけの冷たい凶器じゃない。
家を作り、種を蒔き、仲間と手を繋ぎ、明日を作るための人間の手だ。
「そうね。……やりましょう。世界で一番、自由で最高の街を作るのよ」
外ではまだ、冷たい雨が降り続いていた。
けれど、廃墟の片隅で揺れる小さな炎は、決して消えることはなかった。
それは、私たちが自らの手で灯した、文明の再起動(リブート)を告げる光だった。
これが、私たちの新しい世界の、記念すべき最初の夜だった。
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