DEEP FRENCH KISS

名古屋ゆりあ

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プラリネの行方

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砂糖を熱してカラメル状にして、ローストしたアーモンドやヘーゼルナッツを混ぜあわせて、すりつぶしてペースト状にしたものを溶かしたチョコレートに混ぜたものがプラリネである。

ドイツ語では1粒チョコレート、フランス語はボンボン・オ・ショコラと称されている。


いつものように仕事を終わらせると、私はプラリネを手土産にして松本さんの自宅を訪ねた。

松本さんに処分検討中が出されて、今日で2日目を迎えた。

処分が決まるまでの間は自宅待機と言うことなので、当然のことながら松本さんは会社に出社しなかった。

「松本さん、大丈夫かな?」

手土産に選んだプラリネは『キルリア』の商品である。

ピンポーンとチャイムを鳴らすと、
「はーい」

声が聞こえたのと同時に、ガチャッとドアが開いた。

「どうも」

ドアから顔を出した松本さんに私はあいさつをした。

「片山さん…」

私がきたことに、松本さんは驚いたようだ。

「こんにちは」

あいさつをした私に、
「入っていいですよ」

松本さんは部屋の中へと案内してくれた。

「これ、もしよろしかったら…」

部屋の中に入ると、私は松本さんに手土産のプラリネを差し出した。

「ありがとうございます」

松本さんはお礼を言うと、私の手からプラリネを受け取った。

「フフッ、チョコレートか…。

片山さんらしいと言えば、片山さんらしいですね」

松本さんが笑ってくれたことに、私はホッと胸をなで下ろした。

「よろしかったら、食べませんか?」

そう聞いた私に、
「いいんですか?」

松本さんが聞き返してきたので、私は首を縦に振ってうなずいた。

プラリネの箱から1粒だけ取り出すと、松本さんはそれを口の中に放り込んだ。

その様子をジッと見つめていたら、
「――美味しい…」

松本さんは呟いて、また笑った。

「笑ってくれてよかったです」

手土産にチョコレートを選んでよかったと思いながら、私は言った。

「片山さんもどうですか?」

そう言って、松本さんは箱を差し出してきた。

「じゃあ、お言葉に甘えて」

私はそう言って1粒つまむと、口の中に入れた。

うん、美味しい。

口の中で広がるチョコレートの味を感じていたら、松本さんが私を見ていることに気づいた。

「あっ…」

ハッと我に返った私に、
「美味しそうに食べるなって思って。

本当に、片山さんとチョコレートは切っても切れない関係なんですね」

松本さんはそう言ってクスクスと笑ったのだった。

「…そうですね」

私は呟くように返事をした。

「みっちゃん、元気だった?」

そう聞いてきた松本さんに、
「えっ?」

私は訳がわからなくて聞き返した。

と言うか、“みっちゃん”って誰なんだ?

「社長秘書の外山光彦(トヤマミツヒコ)」

「ああ、そうなんですか」

“光彦”だから“みっちゃん”なのか。

「わからないです、顔自体もわからないので」

呟くように答えた私に、
「そうか、仕方がないね…」

松本さんは呟いて、フフッ…と悲しそうに笑った。

「幼なじみ、なんですよね?」

「うん、子供の頃から仲がよかった。

父親同士が外交官で、年齢も近かったから、いつもみっちゃんと仲良くしてた。

みっちゃん、同い年なのにとてもしっかりしててね、お兄ちゃんみたいにいつも私を守ってくれたの。

そんなみっちゃんを男として意識し始めるのは、そんなにも時間がかからなかった」

松本さんはそこで話を切ると、
「ところで、どうして私とみっちゃんが幼なじみだって言うことを知ってるの?」

気づいたと言うように聞いてきた。

あっ、しまった!

そう思ったのは一瞬だけで、
「えっと、噂です」

まだごまかしは聞くと思い、私は質問に答えた。

「噂…ああ、なるほどね」

松本さんは納得したと言うように首を縦に振ってうなずいた。

我ながらうまくごまかした…。

「周りに黙っていたのは、全て松本さんを守るためだったんですよね?」

そう言った私に、
「それも噂で流れているんだ。

まあ、隠す必要もなくなったからいいけど」

松本さんは呟くように返事をした。

「社内恋愛が禁止されているって言う訳じゃないけれど、つきあっていることは黙ってたの。

その方がお互いにとってもやりやすいからいいかな、なんて」

松本さんはフッと笑うと、
「でも、結果的にはこうなっちゃったんだけどね…」
と、呟いた。

「大丈夫ですよ」

そんな松本さんに、私は声をかけた。

「外山さん、松本さんのことを守ってくれます」

「…ずいぶんと、自信のある言い方をするのね」

松本さんがジロリと私を見つめてきたかと思ったら、
「もしかして、片山さんにもおつきあいをしている人がいるんですか?」
と、聞いてきた。

その質問に、ビクリと心臓が跳ねた。

「い、いないですよ、私はチョコレートが恋人ですから」

この間の昼休みと同じようにエヘヘと笑いながら、私は質問に答えた。

「そう…まあ、言いたくないんだったら別にいいですけれど」

…これって、バレていますよね?

プイッと横を向いた松本さんの顔を見ながら、私は選択肢を間違えたと思った。

「あの…もしもの話ですけれども、私におつきあいをしている人がいたらどうなるんですか?」

「えっ、いるの?」

「もしも、です!」

私は首を横に振りながら、“もしも”のところを強調した。

もし私が社長とつきあっていると言ったら、松本さんはどう言う反応をするのだろうか?

「どうなるかは、片山さんがつきあっている相手にもよるけれども…それで、本当につきあっている人がいるの?」

「もしも、ですってば…」

何だか自分でもよくわからない展開になってしまった。

そもそも私が選択肢を間違えなければこんなことにならなかったのに…。

そんな私をおもしろいと思っているのか、松本さんはクスクスと笑っていた。

「何か元気が出ちゃったな」

松本さんはそう言うと、プラリネを口の中に入れた。

「片山さんと話をしたら気が晴れた。

みっちゃんとの関係が会社にバレて、処分検討中で自宅待機だなんて言われて…私、誰かと話がしたかったんだ」

松本さんは寂しそうに言った後、息を吐いた。

「不安な気持ち、寂しい気持ち――全部、誰かに打ち明けたかった。

家族か友達に打ち明ければいいのかも知れないけど、私の中のプライドが邪魔をして何も言えなかった」

そこまで言うと、松本さんは寂しそうに笑った。

「片山さんがきてくれて、片山さんに打ち明けることができてよかった。

出された処分がどんなものだったとしても、それこそクビを告げられたとしても、もう大丈夫。

どんな事実を突きつけられたとしても受け止める」

そこまで言うと、松本さんは胸を張った。

「でも…みっちゃんと別れろ、と言われるのは嫌かな」

そう言った松本さんに、
「そ、そんなことは言われないと思います」

私は首を横に振った。

「好きな者同士を身勝手な理由で引き裂くなんて、いくら詩文さんでも…」

「詩文さん?」

「あっ…」

しまった!

手で口を塞いでも、時すでに遅しである。

「“詩文さん”って、みっちゃんが秘書をしている飛永詩文社長のことですよね?」

私のバカー!

勢い余ってとは言え、これはいくら何でもなさ過ぎる!

せっかく隠して、上手にごまかしてきたのに、何でこうなった!

「片山さん、もしかして…いや、もしかしなくても…?」

そう問いつめてきた松本さんが怖くて、
「ごめんなさい!」

私は土下座をする勢いで謝ると、彼女に全てを打ち明けたのだった。

「なるほど、そう言うことだったんですね」

全てを打ち明けた後、松本さんは納得したと言うように首を縦に振ってうなずいた。

「隠していたうえに、チョコレートが恋人だなんてウソをついてすみません」

頭を下げて謝った私に、
「いいですよ、私も似たようなものだったから」

松本さんは言い返したのだった。

「でも、どうして今まで黙っていたんですか?

社長とつきあっているならつきあっているって教えてくれてもいいのに」

呆れたような顔をしてきた松本さんに、
「話しあって決めた訳じゃないんです。

ただ、何となくそうなっちゃったと言うか…。

つきあい始めたからと言うのももちろんあるんですけれども、相手は社長で、私は新入社員だからと言う立場的な問題も…」

呟くように、私は言った。

「でも、それでも関係ないって言って愛してくれているんですよね?」

「はい、そうですね」

私が首を縦に振ってうなずいて返事をしたら、
「よかった」

松本さんが言った。

「何がですか?」

言われたその理由がよくわからなくて、私は聞き返した。

何が“よかった”と、松本さんは言っているのだろう?

「片山さんも女の子なんだなって思ったんです。

チョコレートが恋人だなんて言うから、心配してたんですよ?

好きならばともかく、恋人なんて…正直なことを言うと、片山さんは本当にチョコレートと結婚するんじゃないかって思ってたんです」

松本さんはやれやれと息を吐いた。

チョコレートと結婚、ですか…。

「詩文さんと出会う前は、そう思ってました」

そう言った私に、
「ああ、本当なのね…」

松本さんは苦笑いをした。

「でも今は、詩文さんが1番だと思っています。

チョコレートも好きですけど、それと同じ…いえ、それ以上に詩文さんのことが好きです」

私は言った。

「…それ、社長の前で言ってくれますか?

私に言っても無理ですから、ただのノロケにしか聞こえませんから」

松本さんは呆れたように言うと、人差し指で頬をかいた。

「はい、そうします」

「そうしてね、社長も喜ぶと思うから」

そのとたん、何だかおかしくなって私たちは笑い出した。

「片山さんのつきあっている相手には驚いたけど、恋の話が聞けてよかった」

一緒になって笑いあった後で、松本さんが言った。

「私も打ち明けることができてよかったです。

あの、このことは…」

「もちろん、誰にもしゃべりません!」

松本さんは人差し指を自分の唇に当ててウインクをした。

「ありがとうございます」

私はお礼を言った。

「あっ、もうこんな時間。

片山さん、明日も会社じゃないですか?」

松本さんが思いだしたと言うように言ったので、
「あー、そうだった!」

私はポンと手をたたいた。

スマートフォンで時間の確認をすると、8時を過ぎていた。

ヤバい、早く帰らなきゃ!

「それじゃあ、私はこの辺で失礼します」

そう言って腰をあげた私に、
「気をつけて帰ってくださいね」

松本さんが言った。

「はい、お邪魔しました」

玄関の方に行くと、私の後ろを松本さんがついてきた。

見送りをしてくれるようだ。

「お邪魔しました」

そう言った私に、
「また片山さんの恋の話、聞かせてくださいね」

松本さんはパチリとウインクをした。

「はい、松本さんも聞かせてくださいね。

外山さんとつきあうことになったきっかけとか聞きたいので」

「たいしたことじゃないけれども…まあ、機会があったらね?」

私たちはフフッと笑いあうと、
「それじゃあ、また」

私はドアを開けた。

「さようなら」

そう言った松本さんに、
「さようなら」

私は返事をすると、外に出たのだった。

大通りに出てすぐにタクシーを拾うと、それに乗って自宅へと向かった。

松本さんを励ますつもりが社長とつきあっていると言う秘密を打ち明ける結果となってしまったけれど、それでもいいかと思った。

後は…社長がどう言う処分を松本さんに下すのか、と言う結果だけだ。

その結果がいいものであることを、移り変わる景色を見ながら私は願った。

結果が出たのは翌朝のことだった。

「辞めなくていい、と言うことですか?」

森田さんから結果を聞いた私は、彼女に聞き返した。

「辞めなくていいんだそうですよ、松本さんも社長秘書も」

森田さんはフフンと、得意そうに笑った。

「よかった…」

数日間待った末に出てきたその結果に、私はホッと胸をなで下ろした。

「そもそも不倫してた訳じゃないですしね。

ただラブホから出てきただけですもんね」

そう言って森田さんは両手を胸の高さまであげた。

「そうですよね」

フフッと笑った私に、森田さんも一緒になって笑った。

「聞くところによると、社長が“好きな者同士を周りの身勝手な理由で引き裂くのはよくない”って言って重役たちを説得したみたいですよ」

「へえ、そうなんですか」

社長、かっこいいです。

「社長がそう言うってことは、もしかしたら社長もおつきあいをしている人がいるのかな?」

そう言って腕を組んだ森田さんに、私の躰がギクッと震えた。

「でも、松本さんが辞めなくてよかったです。

また明日から松本さんと一緒に仕事ができるんだと思ったら嬉しいです」

半ば強引に話を変えた私だったが、
「松本さんがくるのは来週からですよ。

と言うか、明日から休みですよね?」

森田さんが言い返した。

「ああ、そう言えば…」

曜日の感覚がわからなくなってきたなあ…。
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