いじめ

夜碧ひな

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第4殺 #4

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日も昇りきった正午。
私は都会の高層ビルに居た。
今日のターゲットは女4人。
上野、小林、長岸、畑下。

この4人はいつも私の陰口を叩いていた。
私のことを舐め回すように見つめ、なにかに気づいては私を見て笑う。
してもいないようなことを噂で流したのもこいつらだ。
まず最初は 上野 杏(うえの あん)。職はクリエイター。
都会のビルでパソコンと睨めっこ生活だとか。
わざわざ隠れて殺る必要もない。
今日は時間が無い。
デスクの下に身を潜め、心臓狙って胸を刺した。
辺りは騒然とした。
私の姿が見えていなければ尚更だ。
すぐにその場から立ち、オフィスを後にした。


次は小林 真奈(こばやし まな)。職はメイクアップアーティスト。
奴が務める会社は化粧品開発もしているとか。
「いいなぁ。。」
看板を目にした私は、声が不自然に漏れた。
馬鹿なことを言うな。自分で自分が恐ろしい。
羨んでどうする。私は死んでいる。
不意に出た自分の感情が、まだ人間じみていることが醜い。もう何人も殺ってきた。後には戻れない。
奴のオフィスに入り、ターゲットを探した。
メイク道具を広げ、これから仕事を始めるような雰囲気だった。誰もいない部屋で奴に狙いを定め、首をナイフで切った。綺麗な鏡と、メイク道具には大量の血が付着した。
血に染った鏡で自分の姿を見る。
昔はセーラー服に赤いリボンが目立っていたのに、今ではリボンを付けているのか分からないほど赤く染まっていた。私はそのまま奴を置いてその場を去った。


次は長岸 零(ながぎし れい)。職は社長。
王手家電メーカーの若女社長だとか。
社長室は高層ビルの最上階で、部屋の前には警備員が2,3人いた。
彼らに罪を被せてしまうのは少々気が引けるが、今の私にそんな余裕はない。
私は奴の顔面目掛けてナイフを振った。
跡形もなく崩れたその顔は、なんとも気味の悪いものだった。
血の垂れるナイフを近くにあったタオルで拭き、そのまま部屋を出た。


最後は畑下 笑舞(はたした えま)。職はカウンセラー。
「カウンセラー、、」
いじめっ子がカウンセラー。笑わせる。
私は奴の務める小さな街の相談所に向かった。
奴は唯一地元で仕事をしていた。
私は来たことがなかったが、街の雰囲気は優しかった。
奴を発見した時には、もう帰る準備をしていた。
周りに人はいない。ナイフを構えてゆっくりと背後から近づく。
「誰っ!?」
突然大声で叫びこちらを向いた。
「愛唯ちゃん...?」
愛唯ちゃんだと?下の名前で呼び合うほどの仲にいつなったのか。それともずっとそう呼んでいたのか。
いずれにせよ、奴が私の姿を確認していることは確かだった。
「どうして、あなたがここに...?」
「お前を殺りにきた。」
奴は動揺しているようだった。
まぁ無理もないか。死人がナイフを持って自分に迫ってくる。普通に考えれば恐怖でしかないだろう。
「私、恨まれるようなことした?」
「陰口。」
「そんなことで...?」
そんなこと。カウンセラーがそんな言葉を放っていいのだろうか。
「どうでもういい。お前を殺す。」
「私は確かに陰口を言うグループにいた!けど、、
私はあなたのこと、悪く言ったことなんか1度もないわ!!」
「だからなんだ。」
「え...?」
「くだらない。例え自分がやってなくとも、例え自分が無実でも、一緒にいたら同罪だ。罪を防がなければ、守らなければ、同じだ。」
「そんな...」
奴は絶望を絵に書いたような表情をした。私は構わず奴の胸を刺した。
奴は憐れむような目で私を見た。例え、手を汚していなかったとしても、見え方によっては同罪なんだ。
私は、何故かどこからか沸いた罪の意識を感じた。
必要のない感情を必死に消そうと手に力が入る。
その手で少し開いて閉じなくなった奴の目をそっと閉じた。
例え、私のすることが誰かにとっての悪だとしても、自分が信じる正義のために奴らを殺す。復讐心だけではない。
今は、ただ、、今を。。



「なのに、誰も寄り添わない。助けてくれない。」



必要とされない人間は、誰かの影となって生きていくしかない。誰かがそう言っていた。でも違う。
誰にも必要とされないから、みんなの希望となれる。自分の道が開ける。たった1人で、好きなことが出来る。
私の人生は壮絶だ。良くも悪くも。
それでも、こうやって戦っている。
何物でもない、自分自身と。
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