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第十五話,イグニSide その一
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俺たちは二週間程入院し、国の治療を受けた後、自分達の屋敷へ戻っていた。皇帝陛下が用意してくれただけあって、この家は豪華で住みやすく、街の中心部にあるから便利も良い。
(だから……だから、今も気分良く休暇を楽しんでいるハズだった。なのに……なのに!)
「何でだよっ! 何であんな弱い魔物にこの俺たちが負けたんだ!?」
(何かが可笑しい。あのお荷物のルカが居て、上手く戦えなかった時ですら、負けなかったというのに)
「イグニ様……」
心配そうに俺を見つめているのは、魔法使いのラミアだ。ラミアの属性は風。俺の火の魔法と相性も良く、ラミアがサポートしてくれることで大きな炎の渦となり、Bランクの魔物が一瞬で灰になる威力もあった。しかし、何故かあの時は上手く発動してくれなかった。
「ラミア、こっちへおいで」
俺が手招きすると、ラミアは左足を引き摺りながら、こちらへ来る。そんな彼女をいつもの様に膝の上に乗せる。
「はい……」
「元気無いな? 無理もないか。ラミアの左足は完治していないからな。けれど、可笑しいよな? いつも、誰が怪我をしても魔法医師であるエマの治癒魔法で一発で治っていたはずなのに」
「そうですね。エマも相当落ち込んでるようです」
エマの方を見ると、窓の外を見つめ溜め息をついていた。そんなエマを見つめていた、俺とラミアに気付いたエマが驚きの発言をした。
「イグニ様……あの……私の力量不足で、ラミアの事もちゃんと治療出来なくて、本当に申し訳ありませんでした」
「エマ、もう気にするな。きっと疲れが出ているだけだ。そのうちまた、能力も戻ってくるよ」
「それなのですが、私たちが崖から突き落としたルカが居なくなってから、力が弱くなった気がして」
「エマ!? おま……お前、今何て言った? ルカが何だって?」
「そ、そうよ! そんなわけっ……」
俺は思わず立ち上がって、エマの肩を摘んで突っかかってしまった。ラミアも立ち上がる。エマが俺を見つめる瞳が潤んでいて、少し震えている。
「も、申し訳ありません! もしかしたらです……けど、そんなはず無いですよね。本当にごめんなさい」
(くそっ! イライラが止まらない。エマが悪いわけじゃないのは分かっている。あれもこれも、ルカのせいだ。あいつは死んでからも亡霊の様に付きまとうのかよっ! はぁ……)
俺はエマも抱き寄せ、頭を撫でる。ふと部屋の入り口に目をやると、魔法戦士のルナがボーゼンと立っていた。
「否、良いんだよ……俺も悪かったな。と、ルナ? そんな所で突っ立ってどうした? そうか! お前もルカに腹が立ってるんだろ? いやー、分かるよ分かる。あのお荷物、お荷物ルカだもんなー。あいつが勇者なわけ……」
「黙れ」
(ルナの奴、今、何て言った?)
「え!?」
「黙れって言ってんの!」
「はぁ? お前、何言っちゃってるんだ? 俺に対して黙れだと!? このパーティーを追放されても良……」
っと、言いかけた時、ルナが俺の胸ぐらを掴む。
「許せない……」
「何がだよっ!」
「嘘、付いたわね。今の話しっかりと聞いたわよ! ルカを崖から突き落としたってどういう事!?」
(そういや……ルカを突き落とした時、ルナはダンジョンの先を調査中で居なかったんだっけか)
「あ、いや、それはな」
「あの時イグニは、急に出てきた魔物に驚いてルカが崖から落ちそうになったけど、その魔物を倒していてルカに手を貸せずにいたら、ルカがそのまま転落して助けようとしたのに出来なかったって! そう言ってたじゃない」
「い、いや、あの……」
(不味い、完全にキレてる)
ルナは大きなため息をつき、今度はエマやラミアの方を向いた。
「二人とも知ってたのね。そっか……皆で騙してたのね」
「ルナさん……」
二人ともかなり気不味そうにしている。ルナは俺をじっと見つめている。
「何だよ! 俺が全部悪いのか!? ルナだって、あのお荷物がいなくなってスッキリしたとか言ってなかったか?」
「あの時は仕方なく言ったのよ。この国では勇者に逆らえないからよ。勇者パーティーに入れてもらう事自体が名誉な事。勇者の言う事は絶対だし、逆らう時はもう、抜ける時しかない。この国では、そう国で決まってるじゃない。それに私は『そうね』とは言ったけど、自分からスッキリしたとかは言ってない! それも仕方なく同調しただけよ!」
「じゃあ、お前は今まで仕方なく俺と居たのか? 俺が好きで居たんじゃないのか……?」
(ルカ含め五人のパーティーだった時、ルカの事は見向きもせず、皆俺についてきてくれたのに……)
ルナはチラリと俺の方を見ると、大きくため息をついた。
「ふぅん、そう思ってたんだ。そりゃそうよね? 勇者様だもんね。けどね、悪いけど私は最初から……いえ、このパーティーに入って直ぐ、貴方の人間性を疑ってたわ。ルカに対しての態度の酷さ。それに、まさか崖から突き落とすなんて思ってもみなかった。私があの場に居たら止めてたわよ! 今まで黙ってたけど、流石に酷すぎるわ!」
「おいっ! ルナ、何だよその言い方!」
「そう、もう良いわ。イグニ、貴方とはやっていけない。貴方は少しやりすぎのところもあるし、自分の力を過信して鍛えようともしない。ルカは確かにお荷物だったかもしれないけど、努力してたわ」
「何でそんなにルカの事を庇うんだよ! あんな奴の事!」
「……さっきも言ったけど、貴方に逆らえないから今までは黙ってただけよ。ルカはもう居ないのよ! もう耐えられない。私は抜けるわ」
「抜けるってお前……っ」
ルナはそう言うと、俺から視線を外しラミアとエマの方を向いた。
「あなた達もこのままリムアと居るかよく考えた方が良いわよ。じゃあ……」
ルナが抜けると言い出し、部屋から出て行こうとした時だった。ドンドンと激しく部屋のドアを叩く音が聞こえた。
(何だよ、こんな時に!)
「皇帝陛下の命により来た! ここを開けろ!」
(は!? 陛下が? 何があったんだ?)
「ルナ、退いてくれ」
「私が開けるわ!」
「良いから! 俺が開ける。陛下の命令だぞ!」
「分かったわよ!」
ルナが渋々ドアの前から離れ、俺が恐る恐る部屋のドアを開けると、陛下の側近の騎士団長、バルディンが居た。
「あ、あの? 何か……」
「勇者イグニとそのパーティーの一員、ラミア、エマ、ルナ! 勇者ルカ様の殺人未遂により、国外追放の刑とする!」
(だから……だから、今も気分良く休暇を楽しんでいるハズだった。なのに……なのに!)
「何でだよっ! 何であんな弱い魔物にこの俺たちが負けたんだ!?」
(何かが可笑しい。あのお荷物のルカが居て、上手く戦えなかった時ですら、負けなかったというのに)
「イグニ様……」
心配そうに俺を見つめているのは、魔法使いのラミアだ。ラミアの属性は風。俺の火の魔法と相性も良く、ラミアがサポートしてくれることで大きな炎の渦となり、Bランクの魔物が一瞬で灰になる威力もあった。しかし、何故かあの時は上手く発動してくれなかった。
「ラミア、こっちへおいで」
俺が手招きすると、ラミアは左足を引き摺りながら、こちらへ来る。そんな彼女をいつもの様に膝の上に乗せる。
「はい……」
「元気無いな? 無理もないか。ラミアの左足は完治していないからな。けれど、可笑しいよな? いつも、誰が怪我をしても魔法医師であるエマの治癒魔法で一発で治っていたはずなのに」
「そうですね。エマも相当落ち込んでるようです」
エマの方を見ると、窓の外を見つめ溜め息をついていた。そんなエマを見つめていた、俺とラミアに気付いたエマが驚きの発言をした。
「イグニ様……あの……私の力量不足で、ラミアの事もちゃんと治療出来なくて、本当に申し訳ありませんでした」
「エマ、もう気にするな。きっと疲れが出ているだけだ。そのうちまた、能力も戻ってくるよ」
「それなのですが、私たちが崖から突き落としたルカが居なくなってから、力が弱くなった気がして」
「エマ!? おま……お前、今何て言った? ルカが何だって?」
「そ、そうよ! そんなわけっ……」
俺は思わず立ち上がって、エマの肩を摘んで突っかかってしまった。ラミアも立ち上がる。エマが俺を見つめる瞳が潤んでいて、少し震えている。
「も、申し訳ありません! もしかしたらです……けど、そんなはず無いですよね。本当にごめんなさい」
(くそっ! イライラが止まらない。エマが悪いわけじゃないのは分かっている。あれもこれも、ルカのせいだ。あいつは死んでからも亡霊の様に付きまとうのかよっ! はぁ……)
俺はエマも抱き寄せ、頭を撫でる。ふと部屋の入り口に目をやると、魔法戦士のルナがボーゼンと立っていた。
「否、良いんだよ……俺も悪かったな。と、ルナ? そんな所で突っ立ってどうした? そうか! お前もルカに腹が立ってるんだろ? いやー、分かるよ分かる。あのお荷物、お荷物ルカだもんなー。あいつが勇者なわけ……」
「黙れ」
(ルナの奴、今、何て言った?)
「え!?」
「黙れって言ってんの!」
「はぁ? お前、何言っちゃってるんだ? 俺に対して黙れだと!? このパーティーを追放されても良……」
っと、言いかけた時、ルナが俺の胸ぐらを掴む。
「許せない……」
「何がだよっ!」
「嘘、付いたわね。今の話しっかりと聞いたわよ! ルカを崖から突き落としたってどういう事!?」
(そういや……ルカを突き落とした時、ルナはダンジョンの先を調査中で居なかったんだっけか)
「あ、いや、それはな」
「あの時イグニは、急に出てきた魔物に驚いてルカが崖から落ちそうになったけど、その魔物を倒していてルカに手を貸せずにいたら、ルカがそのまま転落して助けようとしたのに出来なかったって! そう言ってたじゃない」
「い、いや、あの……」
(不味い、完全にキレてる)
ルナは大きなため息をつき、今度はエマやラミアの方を向いた。
「二人とも知ってたのね。そっか……皆で騙してたのね」
「ルナさん……」
二人ともかなり気不味そうにしている。ルナは俺をじっと見つめている。
「何だよ! 俺が全部悪いのか!? ルナだって、あのお荷物がいなくなってスッキリしたとか言ってなかったか?」
「あの時は仕方なく言ったのよ。この国では勇者に逆らえないからよ。勇者パーティーに入れてもらう事自体が名誉な事。勇者の言う事は絶対だし、逆らう時はもう、抜ける時しかない。この国では、そう国で決まってるじゃない。それに私は『そうね』とは言ったけど、自分からスッキリしたとかは言ってない! それも仕方なく同調しただけよ!」
「じゃあ、お前は今まで仕方なく俺と居たのか? 俺が好きで居たんじゃないのか……?」
(ルカ含め五人のパーティーだった時、ルカの事は見向きもせず、皆俺についてきてくれたのに……)
ルナはチラリと俺の方を見ると、大きくため息をついた。
「ふぅん、そう思ってたんだ。そりゃそうよね? 勇者様だもんね。けどね、悪いけど私は最初から……いえ、このパーティーに入って直ぐ、貴方の人間性を疑ってたわ。ルカに対しての態度の酷さ。それに、まさか崖から突き落とすなんて思ってもみなかった。私があの場に居たら止めてたわよ! 今まで黙ってたけど、流石に酷すぎるわ!」
「おいっ! ルナ、何だよその言い方!」
「そう、もう良いわ。イグニ、貴方とはやっていけない。貴方は少しやりすぎのところもあるし、自分の力を過信して鍛えようともしない。ルカは確かにお荷物だったかもしれないけど、努力してたわ」
「何でそんなにルカの事を庇うんだよ! あんな奴の事!」
「……さっきも言ったけど、貴方に逆らえないから今までは黙ってただけよ。ルカはもう居ないのよ! もう耐えられない。私は抜けるわ」
「抜けるってお前……っ」
ルナはそう言うと、俺から視線を外しラミアとエマの方を向いた。
「あなた達もこのままリムアと居るかよく考えた方が良いわよ。じゃあ……」
ルナが抜けると言い出し、部屋から出て行こうとした時だった。ドンドンと激しく部屋のドアを叩く音が聞こえた。
(何だよ、こんな時に!)
「皇帝陛下の命により来た! ここを開けろ!」
(は!? 陛下が? 何があったんだ?)
「ルナ、退いてくれ」
「私が開けるわ!」
「良いから! 俺が開ける。陛下の命令だぞ!」
「分かったわよ!」
ルナが渋々ドアの前から離れ、俺が恐る恐る部屋のドアを開けると、陛下の側近の騎士団長、バルディンが居た。
「あ、あの? 何か……」
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