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ラウンド2

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 ここはボン=クラー王国
 豊かな大地、恵まれた気候
 そして王国の周りは深い森に囲まれ、近隣各国から狙われにくいという天然の要塞
 人々は平和で豊かな生活を満喫していた

 
 ……ある一部の人間を除いて…
 ある一部の人間、曰くここはだ……と


 私、スミレも平和で豊かな生活を送る人々の一員だったはずなのに、何がどうしてこうなったのかただいま大変な事態に巻き込まれています!

 なぜか学園の卒業式の日にこの国の王子、カイル=ボン=クラー様が私の隣に来て、これまたどうして自分の婚約者と婚約破棄すると騒いでいるのです
 しかも、私と恋仲という身に覚えのない戯れ言を抜かしてくれている
 おい、そこの王子の護衛共! お宅の馬鹿王子が卒業式の邪魔をしていますよ!!
 早く退場させて、卒業式の続きをさせてください…
 そして私と恋仲という、変な妄想癖を一刻も早くお医者さんに診せてあげてよ


 私は王子の護衛の方々を見つめる
 〝早くなんとかしてよ〟 と…

 ………
 おいっ、今、何人か目をそらしたでしょ!!
 ちょっと何人も護衛の人いるのに、誰も私と目を合わせないってどういう事?


 まあ、私としては覇気のないやつれている彼らを避難するのは気の毒すぎるとは思うけど…
 今は私の大ピンチ!!
 私は学園を卒業したら家の領地に戻って、結婚相手を見つけて平和に暮らしていく予定なのに…
 王子と恋仲とか… 
 噂になったら領地で相手を見つけられなくなるじゃない!


 そんな事より、一方的に婚約破棄されたジェニファー様っ!
 私、いじめられてなんかないんですから、王子に説明を!!
 このままでは、身に覚えのない罪で婚約破棄されてしまいますよ

 私は今や渦中の人、ジェニファー様を見た! 助けを求めるように…
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