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「今日は僕の家に来ない?」

 今、付き合っている彼にそう誘われたので

「いいわよ…」

 特に何も考えずに了承した…

 場所はどこでもやる事は変わらないから…

 今の彼はあの人の手、特に指先が似ていると思い声をかけた


 私はずっとあの人と似ている彼らに声をかけている……
 いつかあの人の替わりになる人を見つける為に



~~~~~~~~~~~~~

「あっ… んっ……」

 彼はあの人にそっくりな手で私の身体中を弄る

 上から下に…

 胸から太股までゆっくりと…

 時には激しく!

 今もゆっくりと胸を揉みほぐしている

 時間をかけねっとり絡み付くように…

 でも、なかなか敏感な部分には触れずに焦らしてくる

 どの位焦らされているのか…

 触れられてもいないのに乳首は固く、身体の中心は疼いてくる…

「ハァ……………」

 早く触って……!

 早く絶頂を迎えたくて自らの指を乳首と下腹部に伸ばそうとしたけれど、彼に両手を押さえられてしまった…

「駄目だよ!
 すぐに1人で気持ち良くなろうとしたら……」

 彼は笑いながら私の両腕を広げ、ベッドに縛り付けていく

「ちょっと、なんで縛って……
 ああっ!!」

 散々焦らされてきた熱を持った敏感な所を激しく攻められる
 
「あっ、ああっ~」

「こんなに乳首を固くして! 下はトロトロだし
 君はなんて淫乱なんだろうね」

 彼は乳首を舐めながら、私の中に指を入れていく

「1本…… 2本……!!
 凄いねぇ~ 
 どんどん入っていくよ!
 3本目も余裕だね」

 グチュ……

 私の中で3本の指先を蠢かす

「~~~っ」

 ビクッ!!!

 私の身体が反応すると彼は目ざとく、楽しそうに笑う

「ここが君のいい所なんだね
じゃあ、もっと良くしてあげるよ」

 ニヤリとその部分を激しく攻め立ててくる

「~~~~っ」

 激しい攻め立てに息も出来ず、両手を拘束されている為身じろぐ事すら出来ずに、彼のされるがままになっている
 もうすぐ絶頂になるっ!

「!?」

 いきなり彼は指先を私の中から引き抜いてトロトロの液体の付いた指先を見ながら

「まだまだイカせないよ……」

 その後も彼はニヤニヤと笑いながら私の中に指を入れて、イキそうになるたびに指を引き抜いて私を絶望させる

 もう何度目か……

 彼は指先を増やしていき、すでに5本目を私は咥え込んでいる

「凄いや、このまま腕まで入っていきそうな勢いだね」
 

「……もう、もうイカせて~~」

 私は身体を震わせながら彼に嘆願する

 なかなかイカせてもらえず、おかしくなりそう……
 

「そうだねぇ~ さすがに辛そうだし…」

 その言葉にようやくホッとする

「じゃあ、指と本物どっちでイキたい?」

「えっ?」

 もう何度も絶頂寸前で止められ朦朧としながら私はこう答える

「指がいい………」

 朦朧としながらも私は自分の欲に忠実だ……

 だって私は…
 彼の指が、あの人の指と似ているから付き合ったんだもん
 このままあの人にイカされた気持ちになりたい


「あっ、ああっ、あ~」

 彼は私の願い通り、指先で私の中を犯していく

 クチュクチュ! グチュり!!

「~~~~~っ」 

 大きく息を吸い、私は絶頂を迎えた……

 危うくあの人の名前を叫びそうになってしまった

 危ない危ない、さすがに彼とのセックス中にあの人の名前を呼ぶわけにはいかないし
 あの人の事を思いながら絶頂の余韻に浸っていると、彼が再び私の上にのし掛かかってきた

「えっ?ちょっと待って……!
 まだイッたばかり、休ませてよ!!」

「うーん、君ばっかり気持ち良くなっちゃって、僕も気持ち良くしてよ」

「あっ」

 クチュ……

 彼は私の中に強引に入ってくる…

 イッたばかりで愛液の溢れたそこは苦もなく彼を受け入れる…

「あっ… あっ……!」
 
「うっ、出るっ」

「あーー」

 激しいピストン運動後、彼は私の中で果てた

「………」

「……………」

 2人共肩で息をしていた為しばらく沈黙が続く

 

「そろそろ帰りたいから腕を解いて……」

 息も整ってきたし、シャワーを借りてそろそろ帰りたい……

 あまり遅くなるとあの人が心配するかもしれないしーーー

 ーーーむしろ心配してほしい、私の事だけを考えて欲しい……

 無理な事だとわかっていてもつい考えてしまう


「………………
 
 ………君は僕を見ていて何か気付かないのかい?」

 不意に彼が問いかける

「えっ? 何の事?」

 気付く? 何の事だろう?


「君は今まで何人の男と付き合ってきたんだろうね……
 男の名前も顔も興味ないのかな……?」

 彼は私の顔を見ながら尋ねてくる

「何を言っているの?」

 確かに私は付き合ってきた彼等にそんなに興味ない……
 
 だって私が欲しいのはあの人だけだもの!

 あの人に似ている人を探し、やっぱり違う! と何度も別れているけれど………

「小鳥遊 優二(たかなし ゆうじ)僕の名前だよ」

 彼は一体何が言いたいのだろう?

「じゃあ 小鳥遊 優一(たかなし ゆういち)は?」

「!!」
 

「覚えてない?結構珍しい名字だし、名前も顔も似ているって言われるんだけど」

「えっ?もしかして……!?」

 その名前には覚えがある……

「優一は僕の兄だよ」

「えっ?」

 優一……

 私が初めて付き合った人…
 あの人の声と指が似ていたから確かに付き合った事はあるけど

 あいつは最低の男だ…

 あいつは無理やり私を……!



「弟がいたなんて……」

 彼はため息をつきながら

「すぐに気が付くかと思っていたけど、全然気付かなかったね?」


「ひどいな~ あんなに愛し合っていたのにいきなり別れるなんてさ」

 いきなり部屋のドアが開いた

「優一!?」

 そこにはかつて付き合っていた男がいた………

 言われてみれば兄と弟 よく似ている
 
「何で優一がここに……?」

 私は慌てて身体を隠そうとする
 
 元彼とはいえ、こんな姿を見られたくはない…… が、両手を縛られているので身動きがとれずにいる
 


「うーん、男をとっかえひっかえしている淫乱女さんに楽しんでもらおうと思って色々……ね!」

 にやーっと私の身体を見ながら意味深に笑う優一

「兄さん、そろそろだよ!!」

「そうか……!」

 ニヤニヤと笑う兄と弟……
 嫌な予感がする

「そんな不安そうな顔しなくても大丈夫だよ!」 

「そう、皆で愉しもうぜ 皆で、ね」

 彼等は意味深に笑う………
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