ヴィティスターズ!【ワイン擬人化♂】

独身貴族

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パロミノとトゥリガ

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ヴィティスターズPetite  パロミノとトゥリガ


 《キャスト》
パロミノ
海洋運輸会社フォーティファイド商会ヘレス支部のトップ。海賊まがいのことをしては、目をつけられている。好戦的でめちゃめちゃ強いが、小さな傷で立ち直れなくなるほど、病気や傷に弱い。普段は気だるげに喋る。

トゥリガ・ナショナル
フォーティファイド商会ポート支部のトップ。ポートとマディラの主要品種。
客人の前では懇切丁寧でリップサービスマシマシだが、部下の前では海の男の顔をする。

船員1、2(フランカ、ロリス)
トゥリガの部下。ちょっと暑苦しい。



──────────────以下台本

[Se:波の音]

トゥリガ
「……つまり? 君のとこの帆船が故障で動かせないから、うちの船に積荷を乗せて運んで欲しいって、そういうわけだね?」

パロミノ
「そーゆうこと」

トゥリガ
「別に構わないけれど……、おかしな積荷はないだろうね? 向こうの検閲で引っ掛かると、迷惑するのはウチなんだから」

パロミノ
「……そーゆうのはないから」

トゥリガ
「一応こちらで改めさせてもらうよ。……積荷はこれだけ? いつもご一緒のお二人さんは、今日はいないのかな」

パロミノ
「アレクとペドロは船の修理にかかってる。お留守番さ」

トゥリガ
「なるほど。では、パロミノくん。後のことは我々にお任せいただき、どうぞ、こちらへ」

パロミノ
「なに? もてなしでもしてくれるわけ?」

トゥリガ
「当然だ。うちの船に乗る以上、君はお客人だ。存分にもてなそう」
(後ろの船員を振り返り怒鳴る)
「お前ら!! このお方は大切なお客人だからな! 丁寧に扱えよ!!」

船員1、2
「おう!!」

トゥリガ
「さ、どうぞ、パロミノくん。足元にお気をつけて」

***

(船室にて)

パロミノ
「……って、これはどーいうこと? なんで俺は縛られているわけー?」

トゥリガ
「だって、船が揺れて積荷が転がっては困るでしょ? 縛っておかないと、不安で」

パロミノ
「俺は積荷扱いなわけ? さっき、丁寧にもてなすって言ってなかったー? これのどこがもてなしなの?」

トゥリガ
「前回ウチの船に乗った時、君は大暴れして、樽やら瓶やら破壊しまくったじゃないか。今回は、あんな騒々しいのは困るんで、向こうへ着くまでは、このままで過ごしてもらうよ。窮屈だけど、辛抱してくれ」

パロミノ
「うげー」

トゥリガ(恭しく)
「その代わり、不自由のないよう、要望には細やかにお応えしますよ。腹が空けばすぐ食事を、眠くなればフカフカの毛布をご用意しましょう」

パロミノ
「そんなことより束縛を解くのが先でしょ。この体勢じゃ、寝るのも食べるのも無理だし」

トゥリガ
「ウチの男どもが、誠心誠意をもって、アーンをしてあげます」

パロミノ
「いらねえし」

トゥリガ
「子守唄も歌える」

パロミノ
「悪夢を見そうだな」

トゥリガ
「何か他に必要なものは?」

パロミノ
「……トイレに行きたい」

トゥリガ
「あらま、それは大変。(後ろに怒鳴る)おい、そこのお前、アレを持ってこい!」

船員1
「Si 、船長!」

〔SE:ゴソゴソ]

トゥリガ
「はい、どうぞ。尿瓶です」

パロミノ
「はぁ!? ふざけないでよね! それに、そいつ、シェリーブランデーの空きボトルだろ。何が尿瓶だ、そんなのにするわけないでしょー!?」

トゥリガ
「先ほど、君がウチの敷地にポイ捨てしてったやつだよ。中身を戻すと思えば……」

パロミノ
「ジョークにしては笑えないし。それから、これ、この縛り方、……なんかイケナイ感じで食い込むんだけど。あんたさぁ、結構変態っ気あるよねー」

トゥリガ
「これが一番、逃げられにくい縛り方なんだよ?」

パロミノ
「絶対嘘だね」

トゥリガ
「ふふ。……さてと、僕は仕事があるので、失礼するよ。あとのご用向きは、ウチの男どもに言ってくれ」
(後ろを振り返り怒鳴る)
「お前ら! ちゃんと見張って、窮屈のないようにして差し上げろ。彼は一応、『お客人』なんだからな!」

船員1、2
「Si、船長!」

パロミノ(吐き捨てる)
「何が見張って、だよ。クソ食らえ」

***

パロミノ
「……あのさぁ」

船員1
「なんだ」

パロミノ
「マジでこれ、解いてくれない? 冗談抜きでトイレに行きたいんだけど」

船員1
「はい、尿瓶」

(尿瓶を差し出される)

パロミノ(流石にキレ始める)
「だーかーらー、冗談もほどほどにしろっつってんだよ。なんなの? ここで俺が縛られながら尿瓶に用を足してるの見てて面白い? 俺はすこぶる不愉快なんだけど」

船員2
「縄を解くな、との船長からの命令だ」

パロミノ
「……はー。(呆れのため息)大人しくしてれば図にのっちゃってさー。……わかってる? その瓶の中身は、俺が何時間か前に飲んだやつなの。ブランデーね。俺たち、フォーティファイドはね、アルコール添付して強化されてる間は……」

(縄をブチ切る)

パロミノ
「最強で敵なしなの」

[Se:パロミノが暴れ回り、グラスや物がひっくり返る音]

船員1
「くそ、コイツ──!」

船員2
「大人しくしろ!」

パロミノ
「ハハッ! ザマーミロ」

船員1
「こいつ、マジで強いな……!」

船員2
「俺らじゃ手に負えねぇ……!」

[Se:木の階段を降りてくる]

トゥリガ(呑気に)
「なんだ、なんの騒ぎ──」

パロミノ(回り込んで首にナイフを当てる)
「トゥリガ・ナショナルさぁ。──おたくらの手下どもは、あまりにも客人の扱いがなってないよねー」

トゥリガ(余裕たっぷりに)
「ふん……いいのかい? 君の手の甲、少し切れてるみたいだけど」

パロミノ
「えっ!?」

(ばっと右手を見ると、確かに手に血が滲んでいる。パロミノの顔から血の気が引く)
(ガクッと膝をつくと、神に祈り出す)

パロミノ
「あ……あ……ホントだ、手に傷ができて、血が滲んでる……! あぁ……もうだめだ…………傷口から雑菌が入り込んで……今日こそ俺の命日になるんだ……なんてこった、まだ飲んでないワインも酒もたくさんあるのに……シクシクシクメソメソメソ……」

(それを見て船員たちが、慰め始める)

船員1
「だ,大丈夫だって、この船そんな不衛生じゃないから! 綺麗だから! ほら,埃ひとつないから!」

船員2
「それくらいの怪我大丈夫だって! 俺だって昨日、手に傷を負ったけど、ほらこの通り、ピンピンしてるだろ! 大丈夫、大丈夫!」

船員1
「消毒液持ってきたぞ! 脱脂綿もある!」

船員2
「包帯も巻いてやったぞ! もう大丈夫だ!」

パロミノ
「……ホント? オレ、死なない?」

船員1、2
「「「これくらいでは死なない」」」

(手に巻かれた包帯で,ようやくパロミノは元気を取り戻す)

パロミノ
「……よかった。俺は今日も生き延びました……神よ、感謝します……」

(膝をつき、天に向かって手を合わせて祈るパロミノ)

船員1
「……アレで本当に海賊やっていけてるんですか、船長」

トゥリガ(肩をすくめて)
「さぁ……ね」

***

パロミノ(伸びをしながら)
「さぁ、着いた着いた、長い船旅だったなー。ほら、お前たち、なんでも世話を焼くって言ったよね? テーブル用意して、美味い酒持ってきなよ」

船員1
「Si、パロミノさん」

パロミノ
「っはー。もう金輪際、おたくらの船には乗りたくないね。窮屈極まりないっての。あーあ、肩が凝ってるな~。誰か揉んでくれないかな~」

船員2
「Si、パロミノさん、ただいま」

トゥリガ
「……お言葉だけど、こちらからもご遠慮いただくよ、パロミノくん……」



END
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