エイトゲヘナ~出会って秒で食べられました、けど今は凄く幸せです~

中谷 獏天

文字の大きさ
33 / 255

32 快気祝いで祝賀会。

しおりを挟む
『もう大丈夫ですか』
《うん、ありがとう》

 いつもより、ギュが強くて長いです。
 そんなに大変なんですね、知恵熱は。

「この飾り付けは」
「全て、ヒナ様がされました」
『頑張りました、最初はネネさんの頑張ったね会だったんですが、今回はユノさんも頑張った会にしました』
《私、何もしてないけど、ありがとう》

 何だかユノさんの胸がチクチクしてる。

『何か有りましたか』
《まぁ、うん、色々ね。でも先ずは、ネネちゃん頑張ったね会を開こう、後でちゃんと話すよ》
「では、乾杯の音頭を、ネネ様に」
「えっ、私がですか」

「いえ、冗談です。どうぞ、ヒナ様」
『はい、本日はお集まり頂き、誠にありがとうございます。私は良く知りませんが、ネネさんが頑張ったので、お祝いします。おめでとうございます!』

「ありがとうございます」
『続きましてユノさんです、私は知恵熱はまだなので良く分かりませんが、元気になってくれて安心しました。おめでとうございます!』
《ありがとう》

 ネネさんもハグが長いから、多分、2人共凄く大変だったんだと思う。

「お食事もご用意しておりますので、お席へどうぞ」
『ネームプレートとか言うのも作りました』
《おぉ、この黄色い花はミモザかな?》

『はい、ミモザを頑張って書きました。ネネさんのはスズランです』
「ありがとうございます、お料理も楽しみにしてます」

『あ、それからお品書きもつくりました、コレです』
「ヒナ様、お席へ」

『あ、はい』
《ヒナちゃんのお好みおせちプレート?》

『お祝いとかにおせちを食べるって言ってました、それと好きなものを乗せました』
「成程、合理的ですね」
《どれどれ》
「少しお待ちを、直ぐご用意致します」



 ユノちゃんのメランコリックにヒナちゃんが引きずられそうでしたが、何とか持ち直し、ヒナちゃんはウキウキとお料理を紹介してくれました。

『エビフライとハンバーグです、海の物と山の物をコレからもずっと食べられる様にです』
「成程」

『キノコグラタンは生命力です、何も無くても山に生えるって聞いたので、生命力がいっぱいになる様にです』
「確かに、キノコの生命力は凄いですからね」

『はい。次は黒豆です、豆々しくは良く分かりませんが、美味しかったし縁起が良いと聞いたので入れました』
「うん、良い箸休めですね」

『それとワカメスープは骨を使ってると聞いたので、骨が丈夫になって怪我をしない様にです』
「気に入りましたか」

『はい、気に入りました』
「ゴハンを入れ、最近の朝食にしてらっしゃいます」
「成程」

『後は、もう、書いて有るので食べましょう』
「ですね、頂きます」
《頂きます》

 ユノちゃん、まさかのメランコリック期ですか。



「ご馳走様でした」
《ご馳走様でした》
『ご馳走様でした、まだ具合が悪いですか?』

《ネネちゃんの発表の後に、色々と分かって知恵熱を出しちゃったんだ。それがね、凄く、申し訳無くて》
「どうやら気弱を引きずっているみたいなんです」
『心細かったですか』

《何か、情けないなと思って》
『皆出すんだそうですが』
「ユノちゃん向こうだと凄く元気だったから、病弱な人の気持ちが分かって、申し訳無くなっちゃったんだそうです」

『私、多分ですが、熱を出した事は有ります。でも、良く覚えてません』

《そっか、あまり具合が悪くならなかったんだね》
『はい、良く痒かったりしましたけど、ココで良くお風呂に入ったらならなくなりました』
「大きくなったらサウナに入りましょうね」

『サウナ』
「蒸し風呂」

『蒸し風呂は大人専用ですか』
「もう少し、大きくなったら、ですね」

『もう少し』
《アチアチになっちゃうから、執事君より、少し小さい位かな》
「遊園地も身長制限が有りますからね」

『もっと牛乳飲まないと』
「もしかして、その為に」

『はい、学校では牛乳を飲んでます』
「ココでもお出ししていたんですが、無限に飲んでしまうので」
《毎日、少しずつじゃないと、お膝が痛くなるんだよ?》
「私はなりませんでしたが、兄と妹がなってましたね」

《私無かったんだよねぇ》
『痛いより痛くない方が良いです』
「あ、胸も成長痛が有るって本当ですか」

『有るんですか、おっぱいが痛くなる事』

《まぁ、少し》
「それすら羨ましい、何を主食にしてたんですか」
『どうしたら背が伸びますか』

《バランスの良い食事と、適度な運動》
「してたんですが、家族で下から2番目に小さいんですが」

《胸が?》
「胸もです」

《よしよし》
『ネネさんは気にしてますか、小さい事』
「胸が、ですね」

《けどモテモテじゃん?》
『あ、どうなりましたか』
「先送りにする事にしました」

『良いんですか』
「まぁ、デザートでは無いので腐りませんし」
「ですが、生き物には寿命が有るかと」
《お、執事君、もしかして私が居ない間に何か話してた?》

「はい、お選びになるかどうかについてですね」
『両方選べないかもって聞きました』
《そんな事は無い筈だけど?》
「いや、私は不器用なので」

《自分、不器用ですか》
「いや器用で無い事はご存知かと」

《大丈夫大丈夫、向こうが器用そうだし》
「そこが懸念点なんですが」
『何かに例えて下さい』
「頭が良過ぎる王か、それなりの王なら、それなりの王で良いのでは」

《但し体力が凄そう》
「あぁ」
「あぁって」

「ヒナ様、どうやらかなり大人の問題の様です、僕らには分からない領分ですね」
『そうなんですね』
「1番は、私に度胸が無い事かも知れませんが、はい」
《まぁ、ネネちゃんが誰かとくっ付くか、ヒナちゃんの背が伸びるか競争だね》

「そうですね、切磋琢磨して頂いた方が、ヒナ様のご心配も減りますから」
『番う特性なら番うべきですから』

「はい、良き伴侶を見付けられる様に、努力します」
『はい、お互いに頑張りましょう』

 我は猫の魔獣です。
 我々魔獣は知恵は有っても、言葉だけ、欠落しています。

 言葉と共に知恵が形となり、個体独自の叡智を形成し、個性を発揮します。

 そうです、ヒナと同じなのです。
 単語だけ、知恵だけでは個は成り立たない。

 知恵を認識し、活用し、身にしてこそ叡智となり。
 個性となる。

 言葉は引き金です。
 良き言葉は良い引き金となりますが、悪しき言葉は悪しき引き金となる。

 ココには良き言葉が溢れています。
 我が言葉を挟む必要が無い程、良き関係、良き環境なのです。

ね、そうでしょうニャー
ですなニャー

「鳴いた、初めて鳴きましたよ」
『ウチの子もです』

 ね、ほら、コレで十分なんですから。
 お喋りなんて、必要無いんですよ。



《ごめんね、ありがとう》

「胸の事ですか、王子達の事をバラした事ですか?」
《それはほら、率直な意見って大切じゃん?》

「率直過ぎてぐぬぬさせられたんですが」
《私の居ぬ間にぐぬぬさせられちゃったのぉ?》

「ミルクを準備して頂いてた時です」
《あぁ、アレね》

「今日もですよ、執事君の機転がなかったらどうなっていたか」
《何か冗談も言ってくれてたし、何か雰囲気変わったよね》

「もしかすれば、ヒナちゃんが良い方向へ向かう方法が分かったのかも知れませんね」
《あぁ、確かに》

「ユノちゃんは十分に優しいです、器用だから少し雑になっただけで、そんな事は誰にだって有ります」

《ありがとう、本当に泣きそうになっちゃったよ、お品書き》
「アレは効きましたね、久し振りに血反吐が口から溢れるかと思いました」

《少しでも落ち込んでる時はダメだね、うん、コッチのメンタル保って無いとマジでダメだ》
「血反吐仲間」

《凄い病弱っぽい》
「健康で結構、人其々、それなりの苦労が有るんです。気付いたか帳消し、無い無いしましょう」

《謝れたら捨てる》
「じゃあ端に置いておきましょう、何重かにして、弱味にならない様に」

《うん》

 昔は、我々は随分と重宝されたが。
 今やただの、撫でられるだけの愛玩魔獣だ。

 気は楽だが、些か張り合いに欠けると言うか。
 コレで良いものかと、幾ばくか悩んでしまうが。

《ニャー》

《あぁ、癒し》
「ですよね」

 こう撫でられてしまうとな。
 何だか、どうでも良くなってしまう。

 なんせ、猫は愛される動物。
 愛される為の動物。

 実に容易い生き物なのだよ。

《ニャー》
《きゃわわ》
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?

山咲莉亜
ファンタジー
 ある日、高校二年生だった桜井渚は魔法を扱うことができ、世界最強とされる精霊王に転生した。家族で海に遊びに行ったが遊んでいる最中に溺れた幼い弟を助け、代わりに自分が死んでしまったのだ。  だけど正直、俺は精霊王の立場に興味はない。精霊らしく、のんびり気楽に生きてみせるよ。  趣味の寝ることと読書だけをしてマイペースに生きるつもりだったナギサだが、優しく仲間思いな性格が災いして次々とトラブルに巻き込まれていく。果たしてナギサはそれらを乗り越えていくことができるのか。そして彼の行動原理とは……?  ロマンス、コメディ、シリアス───これは物語が進むにつれて露わになるナギサの闇やトラブルを共に乗り越えていく仲間達の物語。 ※HOT男性ランキング最高6位でした。ありがとうございました!

病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~

アトハ
ファンタジー
【短いあらすじ】 普通を勘違いした魔界育ちの少女が、王都に旅立ちうっかり無双してしまう話(前世は病院少女なので、本人は「超健康な身体すごい!!」と無邪気に喜んでます) 【まじめなあらすじ】  主人公のフィアナは、前世では一生を病院で過ごした病弱少女であったが……、 「健康な身体って凄い! 神さま、ありがとう!(ドラゴンをワンパンしながら)」  転生して、超健康な身体(最強!)を手に入れてしまう。  魔界で育ったフィアナには、この世界の普通が分からない。  友達を作るため、王都の学園へと旅立つことになるのだが……、 「なるほど! 王都では、ドラゴンを狩るには許可が必要なんですね!」 「「「違う、そうじゃない!!」」」  これは魔界で育った超健康な少女が、うっかり無双してしまうお話である。 ※他サイトにも投稿中 ※旧タイトル 病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】

きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
【毎週火木土更新】 自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。 その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ! 約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。 ――― 当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。 なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

処理中です...