136 / 255
134 農家の子。1
しおりを挟む
『わはね、気が付いたらココの森に居たんずよ』
「ココの、ですか」
『んだ』
わいはー、たげ大きい木さ目一杯生えてらーって驚いて、ピンと来たんずよ。
白神山地さ入ってまったって。
けんど、わの家、八戸なんずよ。
「あぁ、海沿いの」
『んだんだ』
したっけ、先ずは誘拐さされてまったんだべかなって。
けど、わの家に大したじぇんこさ無いはんで、間違って誘拐されて放置されたんだべかねってもうグルングルン考えてた所さ。
妖精さんがね、来たんずよ。
「成程、妖精さんが」
『んだね』
「失礼ですが、やはりご実家も、農家で?」
『んだ、お米と林檎、後桜の選定も手伝ったりしてらね』
「あぁ、お掘りの桜、林檎の手法だって聞いた事が有ります」
『んだね、弘前方式さ言うんずよ。でわは庭師さんさなりたかったんだけんど、多分ね、トラックさ轢かれて死んでまったんずよ』
母国語の訛りって、翻訳されないんですね。
辛うじて聞き取れる単語で、何とか会話が出来ているんですが。
同じ国の中でも、敢えて英語を使う場合が有ると聞いてはいましたが。
成程、コレか、と。
「申し訳無いです、私、両親も関東の者で聞き慣れず」
『“ですよねぇ、コッチで話しましょうコッチで、私の訛りは随分とキツいと言われていますから”』
「“すみません、助かります”」
『“いえいえ、それよりどうですか、貴族の暮らしって大変そうですけど。困った事は無いですかね?”』
優しい、ちょっと同郷でヤバいのとかも見てきたので、優しさが染みる。
「“はい、あ、妙さんは東の国には行かれましたか?”」
『“いえいえ、けどお醤油は欠かせませから、村の方に買って来て貰ってます”』
「“分かります、冷奴にはガルムよりお醤油”」
『“うんうん、トウモロコシにガルムだと少し違う、やっぱりお醤油じゃないと”』
「“ですよねぇ、本当に、作って頂いてる方に感謝しか有りません”」
『“あー、お料理する方ですか”』
「“向こうではあまりして無かったんですけど、ココでかなり好きになりました。食べるのも、作るのも”」
『“羨ましい限りです、ウチの家は家庭料理ばっかりで、外の味に慣れて無いし知らないしで。外食は冒険ですよ”』
「あ、では、雇ってみては?あ」
『“ふふふ、このままにしましょう、私は慣れてますから”』
「すみません、ありがとうございます」
『“いえいえ、それで雇うとは、どう言う事ですかね?”』
「紹介所はご存知ですか?」
『“いいえ、どんな所です?”』
「黒蛇さん」
《地獄にしか無いが》
『わぁ、たげめんこいねぇ、はあ』
「あの、地獄は名前が怖いだけで、何も怖くない場所ですから。一緒に行ってみませんか?」
『“綺麗なドレスが無くても行けますか?”』
「勿論です」
そうして早速、農園を貸して下さった同郷を連れて行こうとしていたのですが。
邪魔が入りました。
《何で俺が何も教えなかったか、分からないワケ?》
あんまり向こうの人種を近付けたく無かったのに、この女が来て、会って話したいって。
しかも、連れ出そうとしてる。
「全く分かりません」
《好きだからなの、何で邪魔するんだよ》
「アナタ、悪霊種ですか?」
《は、違うし、タエを助けた妖精だし》
「幼稚」
《仕方無いだろ、蛍の妖精で、精霊とも殆ど繋がって無いんだから》
「えっ、では短命なんですか?」
《違うけど、人種と殆ど関わらなかった、関わるなって掟だから》
「あ、じゃあココの開墾は、流石にマズいのでは」
《別に、水源からは離れてるし、蛍の住処から遠いから問題無いけど。って言うか何で邪魔するんだよ、都会に行って戻って来なかったら、どうしてくれるんだよ》
近くの村の人種は、大きい街に行ったっきり戻って来ない事も有る。
だから、俺は行かせたく無かったのに。
「そこは、配慮不足でした。ですが、何も教えず囲うのは軟禁や飼うのと同じです、好きなら相手の為になる事をしなさい」
《でも》
「飼いたいんですか」
《それは違うけれど》
「では向こうに行く間、ウチの黒蛇を貸しますから色々と教えて貰って学んで下さい、話はそれからです」
俺は弱いから。
多分、逆らうと消される。
《分かった》
「出来るだけ異性には関わらせませんし、もし心配なら告白しておいて下さい」
《したいけど、蛍の成長前は、人種はあんまり好きじゃないって聞いてるし。もう、村の方に、好きなのが居るかもだし》
「妙さんの好みは知りませんけど、アナタの羽は綺麗ですし、お顔も可愛いんですから。一先ずは言うか諦めるかです、流石にもう急に中止は無理ですよ、食事って本当に重要なんですから」
《水しか飲まないから分からないけど、そんなに大事なのか?》
「大事です」
『おーい、準備出来ましたけどー、コレで良いかなー?』
「大丈夫ですよー。言うなら今です、直ぐに受け入れて貰えなかったら、その時は黒蛇に幾つか方法を教えて貰って下さい」
コイツ、良いヤツなのか何なのか分からない。
けど、悪いヤツじゃないのは分かる。
けど。
でも。
黒蛇には、勝てる気がしない。
《分かった》
「ほら、先に行って下さい」
《うん》
妖精さんが私を好き、だとは。
全く、気付きませんでした。
『私の何が良いんです?』
《全部、優しいし、蛍を嫌がらないし》
蛍の妖精の長老さんから聞いたんですけど、守る為に、敢えて人種は蛍が嫌いだって教えてるそうで。
なのでコレ、どうしたもんかと。
『私は全然、少なくとも今の妖精さんの姿は好きですよ。でも、ネネさんも嫌がって無かったんですし、先ずはそこを長老と相談してみて下さいますかね?』
《ちゃんと、戻って来てくれるよな?》
『勿論ですよ、遊びに行くだけなんですから。大丈夫ですって、人種がいっぱいは苦手なので、だからココに住んでるんですから』
《本当に帰って来るんだな》
『はい、勿論』
《俺も人種の事、ちゃんと勉強するから、俺が好きだって事忘れるなよ》
『はい、ちゃんと考えておきます』
《分かった》
『はい、では行ってきますね』
《うん》
妖精さんが親切だとは思っていましたけど、まさか、好かれているとは。
しかも、ネネさんを巻き込んじゃって。
「すみません、今さっき引き止められた理由はコレだったんです」
『コチラこそすみませんね、何だか巻き込んでしまって』
「いえいえ、どうしますか?地獄」
『勿論、行きます、料理人かレシピが必要なので』
「では、行きましょう」
『はい』
何で、私なんでしょうね。
優しくて嫌わない人種なんて、何処にでも居るでしょうに。
『あぁ、いらっしゃいませ』
「私の同郷なんです、地獄の案内の最中なので、ご案内させて頂きました」
『凄い、ココに香水って有ったんですねぇ』
『好きな香りも作れるから、もし何か有れば』
『アレ、有りますかね、石鹸の匂い』
『有りますよ、マリオット38かな』
『そうですそうです』
「分かります、私も好きな石鹸なんですよ」
『アレ良いですよねぇ、上品で清潔な、石鹼らしい石鹼の香り』
「ですけどコチラの方には不人気なんだそうです、なんだ石鹸か、そんな匂いなんだそうです」
『あー、濃いの付けてそうですもんねぇ』
『そこは少し誤解しないで欲しいな。折角の香水なんだから、もっと複雑で、自分らしい香りが良い。とされているだけなんだよ』
『アレ混ぜて、良い匂いになります?』
『勿論、具体的な好きな香りでも良いし、イメージでも構わないよ』
『あぁ、でも、高いのはあんまり』
「では私からのプレゼントで、代わりに家庭料理のレシピを教えて下さい」
『えー、いや本当に、田舎の家庭料理ですよ?』
「本当に嫌味じゃないんですが、両親共に都会育ちで、本当に田舎の家庭料理に全く馴染みが無いんです」
『じゃあ、試しに作るんで、見て食べて覚えてくれるなら。目分量なんですよ、作るの』
「素晴らしいです、私、まだ計量しないと作れません。あ、補佐も一緒で良いですか、料理上手な子が居るんです」
『おぉ、まぁ、でもやっぱり半額は出させて下さいよ。コレ、結構しますし』
『そこは僕の割引で、僕も向こうから来たんだ、宜しくね』
『わー、凄い、ココらにはいっぱい居るんですねぇ』
「あぁ、レンズの事も話したんですよ、良い事だけを」
『あら、もしかして悪い男ですかねぇ』
『かもねぇ、ふふふ、お茶はもうしてきたかな?』
「いいえ、実はそれも狙って来ました」
『成程、じゃあお茶にしようか』
「ありがとうございます」
彼女達は、同郷の筈なのに。
それからもずっと、コチラの言葉だけで話していた。
気遣いなんだろうか。
それとも。
『君達の言葉で話してしても、僕は気にしないよ』
『ふふっ、私、訛りがキツいんですよ。凄く』
『そう、成程』
「生憎と、はい、聞き取りはギリギリでした」
『良いの良いの、向こうでも地方の方に随分と驚かれたもの』
「あぁ、西の方って逆に驚きそう」
『そうそう、自分達だって凄い訛ってるのにねぇ』
「あぁ、しかも頑なに直さない」
『アレ何なんですかねぇ?』
「やっぱりプライド、ですかねぇ」
『ふふふ、不思議だね、同じ国なのに違う言語の様なんだね』
「いや南も凄いですからね」
『うんうん、アレは本当に何も分からない。ウチのは短く省略してるだけ、かなり規則性が有るからね?』
「ですよね、お陰でギリギリいけました」
『でしょ~、お兄さんの方は有るの?訛り』
『どうかなぁ、ネットも殆ど使ってなかったし、そう遠くまで行った事が無いから』
『あぁ、なら私と一緒だ、私も殆ど出た事無いもの』
「マジですか」
『1回行って、混んでるわ人が多いわでもう、ダメだったんだよねぇ』
「分かります、住んでても嫌になる」
『そんなに?』
「もう、この中庭いっぱいに人がみっしり」
『けど乗り物だから出るに出られない、アレは本当に、死ぬかと思った』
「本当、定期的に倒れてる子を見掛けましたよ」
『やっぱりねぇ』
『凄い、小さい国だって聞いてたけど、そんなに大変なんだね』
「まぁ、インドの方よりはマシかと」
『アレね、凄いよね本当、乗り物の外に飛び出てるからね』
『本当に?』
『本当』
「本当です」
『凄い、ふふふ』
『でしょー』
「ですよねー」
同郷と、こんな風に話せるなんて思わなかった。
大概は首輪付きで、僕を侮蔑する様な目で見るか、全く気にしないか。
あぁ、やっぱり外を見た方が良い。
僕も毒花ばかり目にしていたせいか、期待が薄い。
『偶には同郷と話せるのも良いね』
『うんうん、あんまり説明しないで済むのは楽だねぇ』
「ですねぇ」
『だね』
もう少し、僕も外と関わってみよう。
「ココの、ですか」
『んだ』
わいはー、たげ大きい木さ目一杯生えてらーって驚いて、ピンと来たんずよ。
白神山地さ入ってまったって。
けんど、わの家、八戸なんずよ。
「あぁ、海沿いの」
『んだんだ』
したっけ、先ずは誘拐さされてまったんだべかなって。
けど、わの家に大したじぇんこさ無いはんで、間違って誘拐されて放置されたんだべかねってもうグルングルン考えてた所さ。
妖精さんがね、来たんずよ。
「成程、妖精さんが」
『んだね』
「失礼ですが、やはりご実家も、農家で?」
『んだ、お米と林檎、後桜の選定も手伝ったりしてらね』
「あぁ、お掘りの桜、林檎の手法だって聞いた事が有ります」
『んだね、弘前方式さ言うんずよ。でわは庭師さんさなりたかったんだけんど、多分ね、トラックさ轢かれて死んでまったんずよ』
母国語の訛りって、翻訳されないんですね。
辛うじて聞き取れる単語で、何とか会話が出来ているんですが。
同じ国の中でも、敢えて英語を使う場合が有ると聞いてはいましたが。
成程、コレか、と。
「申し訳無いです、私、両親も関東の者で聞き慣れず」
『“ですよねぇ、コッチで話しましょうコッチで、私の訛りは随分とキツいと言われていますから”』
「“すみません、助かります”」
『“いえいえ、それよりどうですか、貴族の暮らしって大変そうですけど。困った事は無いですかね?”』
優しい、ちょっと同郷でヤバいのとかも見てきたので、優しさが染みる。
「“はい、あ、妙さんは東の国には行かれましたか?”」
『“いえいえ、けどお醤油は欠かせませから、村の方に買って来て貰ってます”』
「“分かります、冷奴にはガルムよりお醤油”」
『“うんうん、トウモロコシにガルムだと少し違う、やっぱりお醤油じゃないと”』
「“ですよねぇ、本当に、作って頂いてる方に感謝しか有りません”」
『“あー、お料理する方ですか”』
「“向こうではあまりして無かったんですけど、ココでかなり好きになりました。食べるのも、作るのも”」
『“羨ましい限りです、ウチの家は家庭料理ばっかりで、外の味に慣れて無いし知らないしで。外食は冒険ですよ”』
「あ、では、雇ってみては?あ」
『“ふふふ、このままにしましょう、私は慣れてますから”』
「すみません、ありがとうございます」
『“いえいえ、それで雇うとは、どう言う事ですかね?”』
「紹介所はご存知ですか?」
『“いいえ、どんな所です?”』
「黒蛇さん」
《地獄にしか無いが》
『わぁ、たげめんこいねぇ、はあ』
「あの、地獄は名前が怖いだけで、何も怖くない場所ですから。一緒に行ってみませんか?」
『“綺麗なドレスが無くても行けますか?”』
「勿論です」
そうして早速、農園を貸して下さった同郷を連れて行こうとしていたのですが。
邪魔が入りました。
《何で俺が何も教えなかったか、分からないワケ?》
あんまり向こうの人種を近付けたく無かったのに、この女が来て、会って話したいって。
しかも、連れ出そうとしてる。
「全く分かりません」
《好きだからなの、何で邪魔するんだよ》
「アナタ、悪霊種ですか?」
《は、違うし、タエを助けた妖精だし》
「幼稚」
《仕方無いだろ、蛍の妖精で、精霊とも殆ど繋がって無いんだから》
「えっ、では短命なんですか?」
《違うけど、人種と殆ど関わらなかった、関わるなって掟だから》
「あ、じゃあココの開墾は、流石にマズいのでは」
《別に、水源からは離れてるし、蛍の住処から遠いから問題無いけど。って言うか何で邪魔するんだよ、都会に行って戻って来なかったら、どうしてくれるんだよ》
近くの村の人種は、大きい街に行ったっきり戻って来ない事も有る。
だから、俺は行かせたく無かったのに。
「そこは、配慮不足でした。ですが、何も教えず囲うのは軟禁や飼うのと同じです、好きなら相手の為になる事をしなさい」
《でも》
「飼いたいんですか」
《それは違うけれど》
「では向こうに行く間、ウチの黒蛇を貸しますから色々と教えて貰って学んで下さい、話はそれからです」
俺は弱いから。
多分、逆らうと消される。
《分かった》
「出来るだけ異性には関わらせませんし、もし心配なら告白しておいて下さい」
《したいけど、蛍の成長前は、人種はあんまり好きじゃないって聞いてるし。もう、村の方に、好きなのが居るかもだし》
「妙さんの好みは知りませんけど、アナタの羽は綺麗ですし、お顔も可愛いんですから。一先ずは言うか諦めるかです、流石にもう急に中止は無理ですよ、食事って本当に重要なんですから」
《水しか飲まないから分からないけど、そんなに大事なのか?》
「大事です」
『おーい、準備出来ましたけどー、コレで良いかなー?』
「大丈夫ですよー。言うなら今です、直ぐに受け入れて貰えなかったら、その時は黒蛇に幾つか方法を教えて貰って下さい」
コイツ、良いヤツなのか何なのか分からない。
けど、悪いヤツじゃないのは分かる。
けど。
でも。
黒蛇には、勝てる気がしない。
《分かった》
「ほら、先に行って下さい」
《うん》
妖精さんが私を好き、だとは。
全く、気付きませんでした。
『私の何が良いんです?』
《全部、優しいし、蛍を嫌がらないし》
蛍の妖精の長老さんから聞いたんですけど、守る為に、敢えて人種は蛍が嫌いだって教えてるそうで。
なのでコレ、どうしたもんかと。
『私は全然、少なくとも今の妖精さんの姿は好きですよ。でも、ネネさんも嫌がって無かったんですし、先ずはそこを長老と相談してみて下さいますかね?』
《ちゃんと、戻って来てくれるよな?》
『勿論ですよ、遊びに行くだけなんですから。大丈夫ですって、人種がいっぱいは苦手なので、だからココに住んでるんですから』
《本当に帰って来るんだな》
『はい、勿論』
《俺も人種の事、ちゃんと勉強するから、俺が好きだって事忘れるなよ》
『はい、ちゃんと考えておきます』
《分かった》
『はい、では行ってきますね』
《うん》
妖精さんが親切だとは思っていましたけど、まさか、好かれているとは。
しかも、ネネさんを巻き込んじゃって。
「すみません、今さっき引き止められた理由はコレだったんです」
『コチラこそすみませんね、何だか巻き込んでしまって』
「いえいえ、どうしますか?地獄」
『勿論、行きます、料理人かレシピが必要なので』
「では、行きましょう」
『はい』
何で、私なんでしょうね。
優しくて嫌わない人種なんて、何処にでも居るでしょうに。
『あぁ、いらっしゃいませ』
「私の同郷なんです、地獄の案内の最中なので、ご案内させて頂きました」
『凄い、ココに香水って有ったんですねぇ』
『好きな香りも作れるから、もし何か有れば』
『アレ、有りますかね、石鹸の匂い』
『有りますよ、マリオット38かな』
『そうですそうです』
「分かります、私も好きな石鹸なんですよ」
『アレ良いですよねぇ、上品で清潔な、石鹼らしい石鹼の香り』
「ですけどコチラの方には不人気なんだそうです、なんだ石鹸か、そんな匂いなんだそうです」
『あー、濃いの付けてそうですもんねぇ』
『そこは少し誤解しないで欲しいな。折角の香水なんだから、もっと複雑で、自分らしい香りが良い。とされているだけなんだよ』
『アレ混ぜて、良い匂いになります?』
『勿論、具体的な好きな香りでも良いし、イメージでも構わないよ』
『あぁ、でも、高いのはあんまり』
「では私からのプレゼントで、代わりに家庭料理のレシピを教えて下さい」
『えー、いや本当に、田舎の家庭料理ですよ?』
「本当に嫌味じゃないんですが、両親共に都会育ちで、本当に田舎の家庭料理に全く馴染みが無いんです」
『じゃあ、試しに作るんで、見て食べて覚えてくれるなら。目分量なんですよ、作るの』
「素晴らしいです、私、まだ計量しないと作れません。あ、補佐も一緒で良いですか、料理上手な子が居るんです」
『おぉ、まぁ、でもやっぱり半額は出させて下さいよ。コレ、結構しますし』
『そこは僕の割引で、僕も向こうから来たんだ、宜しくね』
『わー、凄い、ココらにはいっぱい居るんですねぇ』
「あぁ、レンズの事も話したんですよ、良い事だけを」
『あら、もしかして悪い男ですかねぇ』
『かもねぇ、ふふふ、お茶はもうしてきたかな?』
「いいえ、実はそれも狙って来ました」
『成程、じゃあお茶にしようか』
「ありがとうございます」
彼女達は、同郷の筈なのに。
それからもずっと、コチラの言葉だけで話していた。
気遣いなんだろうか。
それとも。
『君達の言葉で話してしても、僕は気にしないよ』
『ふふっ、私、訛りがキツいんですよ。凄く』
『そう、成程』
「生憎と、はい、聞き取りはギリギリでした」
『良いの良いの、向こうでも地方の方に随分と驚かれたもの』
「あぁ、西の方って逆に驚きそう」
『そうそう、自分達だって凄い訛ってるのにねぇ』
「あぁ、しかも頑なに直さない」
『アレ何なんですかねぇ?』
「やっぱりプライド、ですかねぇ」
『ふふふ、不思議だね、同じ国なのに違う言語の様なんだね』
「いや南も凄いですからね」
『うんうん、アレは本当に何も分からない。ウチのは短く省略してるだけ、かなり規則性が有るからね?』
「ですよね、お陰でギリギリいけました」
『でしょ~、お兄さんの方は有るの?訛り』
『どうかなぁ、ネットも殆ど使ってなかったし、そう遠くまで行った事が無いから』
『あぁ、なら私と一緒だ、私も殆ど出た事無いもの』
「マジですか」
『1回行って、混んでるわ人が多いわでもう、ダメだったんだよねぇ』
「分かります、住んでても嫌になる」
『そんなに?』
「もう、この中庭いっぱいに人がみっしり」
『けど乗り物だから出るに出られない、アレは本当に、死ぬかと思った』
「本当、定期的に倒れてる子を見掛けましたよ」
『やっぱりねぇ』
『凄い、小さい国だって聞いてたけど、そんなに大変なんだね』
「まぁ、インドの方よりはマシかと」
『アレね、凄いよね本当、乗り物の外に飛び出てるからね』
『本当に?』
『本当』
「本当です」
『凄い、ふふふ』
『でしょー』
「ですよねー」
同郷と、こんな風に話せるなんて思わなかった。
大概は首輪付きで、僕を侮蔑する様な目で見るか、全く気にしないか。
あぁ、やっぱり外を見た方が良い。
僕も毒花ばかり目にしていたせいか、期待が薄い。
『偶には同郷と話せるのも良いね』
『うんうん、あんまり説明しないで済むのは楽だねぇ』
「ですねぇ」
『だね』
もう少し、僕も外と関わってみよう。
0
あなたにおすすめの小説
【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?
山咲莉亜
ファンタジー
ある日、高校二年生だった桜井渚は魔法を扱うことができ、世界最強とされる精霊王に転生した。家族で海に遊びに行ったが遊んでいる最中に溺れた幼い弟を助け、代わりに自分が死んでしまったのだ。
だけど正直、俺は精霊王の立場に興味はない。精霊らしく、のんびり気楽に生きてみせるよ。
趣味の寝ることと読書だけをしてマイペースに生きるつもりだったナギサだが、優しく仲間思いな性格が災いして次々とトラブルに巻き込まれていく。果たしてナギサはそれらを乗り越えていくことができるのか。そして彼の行動原理とは……?
ロマンス、コメディ、シリアス───これは物語が進むにつれて露わになるナギサの闇やトラブルを共に乗り越えていく仲間達の物語。
※HOT男性ランキング最高6位でした。ありがとうございました!
病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~
アトハ
ファンタジー
【短いあらすじ】
普通を勘違いした魔界育ちの少女が、王都に旅立ちうっかり無双してしまう話(前世は病院少女なので、本人は「超健康な身体すごい!!」と無邪気に喜んでます)
【まじめなあらすじ】
主人公のフィアナは、前世では一生を病院で過ごした病弱少女であったが……、
「健康な身体って凄い! 神さま、ありがとう!(ドラゴンをワンパンしながら)」
転生して、超健康な身体(最強!)を手に入れてしまう。
魔界で育ったフィアナには、この世界の普通が分からない。
友達を作るため、王都の学園へと旅立つことになるのだが……、
「なるほど! 王都では、ドラゴンを狩るには許可が必要なんですね!」
「「「違う、そうじゃない!!」」」
これは魔界で育った超健康な少女が、うっかり無双してしまうお話である。
※他サイトにも投稿中
※旧タイトル
病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
執事なんかやってられるか!!! 生きたいように生きる転生者のスローライフ?
Gai
ファンタジー
不慮の事故で亡くなった中学生、朝霧詠無。
彼の魂はそのまま天国へ……行くことはなく、異世界の住人に転生。
ゲームや漫画といった娯楽はないが、それでも男であれば心が躍るファンタジーな世界。
転生した世界の詳細を知った詠無改め、バドムス・ディアラも例に漏れず、心が躍った。
しかし……彼が生まれた家系は、代々ある貴族に仕える歴史を持つ。
男であれば執事、女であればメイド。
「いや……ふざけんな!!! やってられるか!!!!!」
如何にして異世界を楽しむか。
バドムスは執事という敷かれた将来へのレールを蹴り飛ばし、生きたいように生きると決めた。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】
きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
【毎週火木土更新】
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。
その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ!
約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。
―――
当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。
なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる