54 / 215
第14章 殺生石と神宮寺。
入社当時。
しおりを挟む
《僕と殺生石との出会いはこんな感じだけれど、林檎君はどうなんだい?》
「どう、とは?」
《この出版社との出会いだよ》
「それはもう、普通に入社しただけですね。大手から受けて、ココで受かっただけ、ですから」
《意外だね、ココを狙っていたかと思ったんだけれど》
「出版社同士、面接日が常に被らない様に、順番を毎年入れ替えて行っているんですよ」
《となると、先に面接し合格した者勝ち、なワケだ》
「ですね、そうして僕は見事に落ちて、会長や編集の方々に拾って貰えたワケです。はい、学歴は高くありませんから、妥当だと思います」
《そうか、君は高卒だったね》
「はい、どうしても早く関わりたかったので。大手からの連絡を待つ間は、やっぱり大学へ行っておいた方が良かったな、そう思っていたんですけど」
《そうしたらココに居ないかも知れない》
「ですね、裏を知ってしまうと、やっぱり僕は正しい道を選べていたんだなと思います」
《そうだね、入社当時の事や何かは、覚えているかい》
「勿論ですよ、それなりに挫折して、僕は不向きなのかなと思い悩んだ時期も有りますから」
漫画雑誌の部署に入れて頂いて、一通り覚えた頃。
原稿の持ち込みについて先輩と共に閲覧する事になり、そこで初めて、僕は雑誌社が不向きなのかも知れない。
そう思い悩む事になったんです。
《それで、メモしていたけれど、どうだったよ林檎君》
「はい、先ずは長い歴史を持つ国なのに、随分と体制に不備が有るなと。その意味が分からなかったのと、折角の独自の世界観なのに、ありきたりなパン屋とかばかりで謎だなと思いました」
《ほう、パン屋が謎》
「歴史的に見て、パン屋の元が窯元みたいな状態が原型なんですよね、皆が生地持ち寄って焼いて貰う。それが進化してパン屋、果てはお菓子屋さんと分岐したり、カフェにもなった。なので、敢えて同じ文化文明な事には裏が有るのかな、と」
《君が妥当だと思うパン屋は、どんなものだい》
「そもそもパン屋が無くて、長屋で焼く係が決まっている、そこでいつも任されている。そうすれば平和な感じも出ますし、他の登場人物の紹介もし易いかな、と」
《それと、体制の謎だね》
「はい、歴史上が長く続けられた割に、不備が有っての問題だと思うので不思議だなと。何か、いずれ滅びそうな不安感が有るんですよね」
《ふむ、では続きについて、未来の作家先生に少し尋ねてみようか》
「はい!」
僕の期待とは裏腹に、謎は有りませんでした。
そして深読みし過ぎる為、持ち込みの査定は不適格だと思われたのか、僕は筆の進まない先生の雑用係を任される事になったんです。
『はぁ』
「あの、何か足りない資料が有るなら、どうにかして揃えますよ?」
『じゃあ、奥さんを用意してくれるかな』
「直ぐには難しいので、僕の母の事はどうでしょう?」
『ほう、何か面白い人なのかな』
「いえ、普通の農家の妻ですけど、母の様な奥さんを見付けるのは大変だろうなと思います。母に似たんです、本好き」
『ほうほう、続けて』
そうして先生に根掘り葉掘り話すと、筆が進み始め、暫くすると原稿が仕上がり。
《うん、君はコッチが向いているらしいね》
「本当ですか?」
《仕上がりも良いし、先生がね、暇が有ればまた世話をして欲しいそうだ》
「お世話係でもお役に立てるなら、頑張ります」
《けれど次の構想まで練り上がってるからね、うん、君には他の先生のお世話を頼むよ》
「はい!」
こうして、漫画の持ち込みについては一切触れさせて貰えないまま、3年が経った頃。
《新しい雑誌を立ち上げる事になってね、うん、大半を君に任せるそうだ》
「えっ、でも」
《何、作家先生の大半だよ、ココからも何人か送るから大丈夫。うん》
「良かったぁ、若輩者に任せるなんて、一体どんな裏が有るのかとビックリしましたよ」
《いやね、先生方がまた少し繊細な方々が多くてね、君の様に細やかな子が必要なんだよ》
「僕、大雑把ですよ?」
《けれど本の事ではピカイチだからね、うん、やってくれるかな?》
「あの、持ち込みとかは」
《そこは大丈夫、追々、しっかり勉強して貰うよ》
「はい!頑張ります!」
そして2年後、月刊怪奇実話の刊行となり。
《刊行後1年も経たずに、僕と出逢ってしまったワケだ》
「ですね、しかも事件現場と霊能者、思わず運が尽きてしまうのかと思いましたよ」
《しかも、実際に憑かれて尽きかけたワケだしね》
「不思議ですよね、相変わらず夢とは思えないんですから」
《君が見た、聞いたと脳は思っているからね。でもあまり》
「はいはい、思い出すのは年に2回程度なので、大丈夫ですよね?」
《2回のウチ、今日が1回かな》
「ですね、でも今思うと、薬酒にでも手を出せばよかったんじゃないかと」
《いや、それは危ないから止めておいた方が良い、下手をすればまた向こうに行ってしまうかも知れない。記憶は基板や基礎、あやふやになると魂も離れ易くなる、もしするなら今の様に安定している時が良いんだけれど》
「ごっそり消えそうですよね」
《そうだね、アレは前後をあやふやにする薬酒、らしいしね》
「調合内容って、何処から漏れたんでしょうね?」
《君、分かって聞いているだろう》
「いえいえ、ただ、かも知れないなとは些か疑ってはいます」
正直、俺も山人が漏らしたのだろう、とは思っている。
都会の何も知らないお嬢さんが、薬草について詳しいワケが無い。
しかも、しっかりと効果を発揮させたんなら、配合は完璧だったワケだ。
《生憎と、僕はそうした者や事と関わらない様に、恩師に良く良く言い付けられているんだ》
「ほら、やっぱり山人の関わりなんですね」
《どうだろうね》
「僕、そんなに信用されて無いんですかね?」
《例えばだ、知れば知った責任が生まれる、そう言う事かも知れないよ》
「編集部に幽霊が居るんですけど」
《怖い話なら僕は逃げるよ、今日はもう話したんだしね》
「お仕事が好きな先輩が居て、その人は今でも生きてますし、国会図書館の司書になった方なんですけど」
現場が張り詰めると、その先輩に良く似た背格好の、黒い何かが目端を横切る。
直視すれば何も無い事は明白ですし、仕事で疲れているので見間違いも有りますから、特に最初は誰も気にしていなかったらしいんですけど。
ある日、他の先輩が影と言うか、その黒い何かについて話しました。
すると全員が全員、見た事が有る、と言うんです。
同時に見たかどうかは忙しい中だったので不明なんですが、確かに〇〇君だ、と。
《黒い何かだと言う割に、そう断言するんだね》
「はい、気配だとか何かが、そうなんだそうです」
《まぁ、生霊だろうね》
「部署でもそうなったんだそうで、さして問題は無いだろう、と」
そうして月日が経ち、誰も新人に何も言わなかったんですが。
『何か、変な黒いのが目端に写るんですけど』
その先輩を知らない筈の新人も見る事になり、流石に悪影響が無いかどうか議論する事になったんですが。
寧ろ、結果的には守り神的な何かだろう、となったんですけど。
《そうだね、大丈夫だと思うよ》
「良かった、ですよね。でも、僕、見た事が無いんですよね」
《成程、それが本題だね》
「はい、どうにかして見れませんかね?」
《一時的に、だけ、は流石にね。ずっと見えたままになってしまうかも知れない、それでも良いなら出来る事も有るけれど》
「そこまでは遠慮したいです」
《なら、無理だね、下手をすれば一生無理かも知れないね》
「えー」
《仕事をするには、良い事かも知れないよ、見返してみたら目が合ってしまうかも知れないんだし》
「それ、凄い怖いんですけど、それで憑いて来ちゃうかも知れないんですよね?」
《だね、きっと凄い守護霊が憑いてるのかもよ、君》
「それ良く言われるんですけど、特別に何かした方が良いんですかね?」
《あぁ、言われるんだね》
「はい、でも少し運が良いかな、とかその程度なので」
《まぁ、守護霊と目的が同じ筈だからこそ一緒に居る、だからこそ何も特別な事は必要無いとは聞くよ。合う者同士で一緒に居るからこそ、後ろのは何かを指示はしない、ってね》
「本好きのご先祖様かぁ、居たのかなぁ」
《ほら、蔵が有るって言うのは》
「本がいっぱいでは無かったんですよ、それこそ物置でしたから」
《夢を持って建てていたのかもね、いずれは本でいっぱいにするんだ、ってね》
「あぁ、それなら嬉しいなぁ」
《林檎君、死んだ者に対して何か特別な事をしろと言われたら、先ずは僕か恩師に相談するんだよ》
「勿論ですよ、でもそうした人に出会わないんですよね本当、いきなり本物にお会いしていまった位ですし」
《実は僕は、偽者かも知れないよ?》
「あの件を片付けてそれは無いですよぉ」
《あ、2回目だね》
「もー、今日は意地が悪いですね?何か嫌な事でも有ったんですか?」
《少し、刑務所にね、仕事で行ったんだ》
「へー、有るんですね」
《まぁ、僕と言うより恩師が呼ばれて、僕もって所だね》
「あの、司書の方の事だと勝手に思っておきますね」
《3回目だ》
「コレは良いんです、連続してる様なモノなので」
《じゃあ、話題を変えようか》
「神宮寺さんの恋人を作る方法を教えて下さい」
《話を戻そうか》
「えー、良いじゃないですか、減るもんでもなしに」
《減るね、女性の母数が減ってしまう、つまり僕の損になる》
「神宮寺さん、好みって有るんですか?」
《君が言うかね》
「有りますよ、本好きか本好きに理解が有る女性で、淑女らしい方が良いですね」
《なら、図書館に出入りするのはどうだろう》
「もー」
《あはは、飲みに行こうか、こうした時は喧騒が1番だよ》
「そこが狙いだったんですね、良いですよ、焼き鳥にしますか?」
《そうだねぇ、なら上手いつくねが食いたいな》
「ではでは、参りましょうか先生」
僕の今の禁忌は、司書と図書館。
その事については、後日、別の部署から出版される事になります。
僕が唯一、読めない本。
常世から離れてしまうかも知れない、僕の禁書。
「どう、とは?」
《この出版社との出会いだよ》
「それはもう、普通に入社しただけですね。大手から受けて、ココで受かっただけ、ですから」
《意外だね、ココを狙っていたかと思ったんだけれど》
「出版社同士、面接日が常に被らない様に、順番を毎年入れ替えて行っているんですよ」
《となると、先に面接し合格した者勝ち、なワケだ》
「ですね、そうして僕は見事に落ちて、会長や編集の方々に拾って貰えたワケです。はい、学歴は高くありませんから、妥当だと思います」
《そうか、君は高卒だったね》
「はい、どうしても早く関わりたかったので。大手からの連絡を待つ間は、やっぱり大学へ行っておいた方が良かったな、そう思っていたんですけど」
《そうしたらココに居ないかも知れない》
「ですね、裏を知ってしまうと、やっぱり僕は正しい道を選べていたんだなと思います」
《そうだね、入社当時の事や何かは、覚えているかい》
「勿論ですよ、それなりに挫折して、僕は不向きなのかなと思い悩んだ時期も有りますから」
漫画雑誌の部署に入れて頂いて、一通り覚えた頃。
原稿の持ち込みについて先輩と共に閲覧する事になり、そこで初めて、僕は雑誌社が不向きなのかも知れない。
そう思い悩む事になったんです。
《それで、メモしていたけれど、どうだったよ林檎君》
「はい、先ずは長い歴史を持つ国なのに、随分と体制に不備が有るなと。その意味が分からなかったのと、折角の独自の世界観なのに、ありきたりなパン屋とかばかりで謎だなと思いました」
《ほう、パン屋が謎》
「歴史的に見て、パン屋の元が窯元みたいな状態が原型なんですよね、皆が生地持ち寄って焼いて貰う。それが進化してパン屋、果てはお菓子屋さんと分岐したり、カフェにもなった。なので、敢えて同じ文化文明な事には裏が有るのかな、と」
《君が妥当だと思うパン屋は、どんなものだい》
「そもそもパン屋が無くて、長屋で焼く係が決まっている、そこでいつも任されている。そうすれば平和な感じも出ますし、他の登場人物の紹介もし易いかな、と」
《それと、体制の謎だね》
「はい、歴史上が長く続けられた割に、不備が有っての問題だと思うので不思議だなと。何か、いずれ滅びそうな不安感が有るんですよね」
《ふむ、では続きについて、未来の作家先生に少し尋ねてみようか》
「はい!」
僕の期待とは裏腹に、謎は有りませんでした。
そして深読みし過ぎる為、持ち込みの査定は不適格だと思われたのか、僕は筆の進まない先生の雑用係を任される事になったんです。
『はぁ』
「あの、何か足りない資料が有るなら、どうにかして揃えますよ?」
『じゃあ、奥さんを用意してくれるかな』
「直ぐには難しいので、僕の母の事はどうでしょう?」
『ほう、何か面白い人なのかな』
「いえ、普通の農家の妻ですけど、母の様な奥さんを見付けるのは大変だろうなと思います。母に似たんです、本好き」
『ほうほう、続けて』
そうして先生に根掘り葉掘り話すと、筆が進み始め、暫くすると原稿が仕上がり。
《うん、君はコッチが向いているらしいね》
「本当ですか?」
《仕上がりも良いし、先生がね、暇が有ればまた世話をして欲しいそうだ》
「お世話係でもお役に立てるなら、頑張ります」
《けれど次の構想まで練り上がってるからね、うん、君には他の先生のお世話を頼むよ》
「はい!」
こうして、漫画の持ち込みについては一切触れさせて貰えないまま、3年が経った頃。
《新しい雑誌を立ち上げる事になってね、うん、大半を君に任せるそうだ》
「えっ、でも」
《何、作家先生の大半だよ、ココからも何人か送るから大丈夫。うん》
「良かったぁ、若輩者に任せるなんて、一体どんな裏が有るのかとビックリしましたよ」
《いやね、先生方がまた少し繊細な方々が多くてね、君の様に細やかな子が必要なんだよ》
「僕、大雑把ですよ?」
《けれど本の事ではピカイチだからね、うん、やってくれるかな?》
「あの、持ち込みとかは」
《そこは大丈夫、追々、しっかり勉強して貰うよ》
「はい!頑張ります!」
そして2年後、月刊怪奇実話の刊行となり。
《刊行後1年も経たずに、僕と出逢ってしまったワケだ》
「ですね、しかも事件現場と霊能者、思わず運が尽きてしまうのかと思いましたよ」
《しかも、実際に憑かれて尽きかけたワケだしね》
「不思議ですよね、相変わらず夢とは思えないんですから」
《君が見た、聞いたと脳は思っているからね。でもあまり》
「はいはい、思い出すのは年に2回程度なので、大丈夫ですよね?」
《2回のウチ、今日が1回かな》
「ですね、でも今思うと、薬酒にでも手を出せばよかったんじゃないかと」
《いや、それは危ないから止めておいた方が良い、下手をすればまた向こうに行ってしまうかも知れない。記憶は基板や基礎、あやふやになると魂も離れ易くなる、もしするなら今の様に安定している時が良いんだけれど》
「ごっそり消えそうですよね」
《そうだね、アレは前後をあやふやにする薬酒、らしいしね》
「調合内容って、何処から漏れたんでしょうね?」
《君、分かって聞いているだろう》
「いえいえ、ただ、かも知れないなとは些か疑ってはいます」
正直、俺も山人が漏らしたのだろう、とは思っている。
都会の何も知らないお嬢さんが、薬草について詳しいワケが無い。
しかも、しっかりと効果を発揮させたんなら、配合は完璧だったワケだ。
《生憎と、僕はそうした者や事と関わらない様に、恩師に良く良く言い付けられているんだ》
「ほら、やっぱり山人の関わりなんですね」
《どうだろうね》
「僕、そんなに信用されて無いんですかね?」
《例えばだ、知れば知った責任が生まれる、そう言う事かも知れないよ》
「編集部に幽霊が居るんですけど」
《怖い話なら僕は逃げるよ、今日はもう話したんだしね》
「お仕事が好きな先輩が居て、その人は今でも生きてますし、国会図書館の司書になった方なんですけど」
現場が張り詰めると、その先輩に良く似た背格好の、黒い何かが目端を横切る。
直視すれば何も無い事は明白ですし、仕事で疲れているので見間違いも有りますから、特に最初は誰も気にしていなかったらしいんですけど。
ある日、他の先輩が影と言うか、その黒い何かについて話しました。
すると全員が全員、見た事が有る、と言うんです。
同時に見たかどうかは忙しい中だったので不明なんですが、確かに〇〇君だ、と。
《黒い何かだと言う割に、そう断言するんだね》
「はい、気配だとか何かが、そうなんだそうです」
《まぁ、生霊だろうね》
「部署でもそうなったんだそうで、さして問題は無いだろう、と」
そうして月日が経ち、誰も新人に何も言わなかったんですが。
『何か、変な黒いのが目端に写るんですけど』
その先輩を知らない筈の新人も見る事になり、流石に悪影響が無いかどうか議論する事になったんですが。
寧ろ、結果的には守り神的な何かだろう、となったんですけど。
《そうだね、大丈夫だと思うよ》
「良かった、ですよね。でも、僕、見た事が無いんですよね」
《成程、それが本題だね》
「はい、どうにかして見れませんかね?」
《一時的に、だけ、は流石にね。ずっと見えたままになってしまうかも知れない、それでも良いなら出来る事も有るけれど》
「そこまでは遠慮したいです」
《なら、無理だね、下手をすれば一生無理かも知れないね》
「えー」
《仕事をするには、良い事かも知れないよ、見返してみたら目が合ってしまうかも知れないんだし》
「それ、凄い怖いんですけど、それで憑いて来ちゃうかも知れないんですよね?」
《だね、きっと凄い守護霊が憑いてるのかもよ、君》
「それ良く言われるんですけど、特別に何かした方が良いんですかね?」
《あぁ、言われるんだね》
「はい、でも少し運が良いかな、とかその程度なので」
《まぁ、守護霊と目的が同じ筈だからこそ一緒に居る、だからこそ何も特別な事は必要無いとは聞くよ。合う者同士で一緒に居るからこそ、後ろのは何かを指示はしない、ってね》
「本好きのご先祖様かぁ、居たのかなぁ」
《ほら、蔵が有るって言うのは》
「本がいっぱいでは無かったんですよ、それこそ物置でしたから」
《夢を持って建てていたのかもね、いずれは本でいっぱいにするんだ、ってね》
「あぁ、それなら嬉しいなぁ」
《林檎君、死んだ者に対して何か特別な事をしろと言われたら、先ずは僕か恩師に相談するんだよ》
「勿論ですよ、でもそうした人に出会わないんですよね本当、いきなり本物にお会いしていまった位ですし」
《実は僕は、偽者かも知れないよ?》
「あの件を片付けてそれは無いですよぉ」
《あ、2回目だね》
「もー、今日は意地が悪いですね?何か嫌な事でも有ったんですか?」
《少し、刑務所にね、仕事で行ったんだ》
「へー、有るんですね」
《まぁ、僕と言うより恩師が呼ばれて、僕もって所だね》
「あの、司書の方の事だと勝手に思っておきますね」
《3回目だ》
「コレは良いんです、連続してる様なモノなので」
《じゃあ、話題を変えようか》
「神宮寺さんの恋人を作る方法を教えて下さい」
《話を戻そうか》
「えー、良いじゃないですか、減るもんでもなしに」
《減るね、女性の母数が減ってしまう、つまり僕の損になる》
「神宮寺さん、好みって有るんですか?」
《君が言うかね》
「有りますよ、本好きか本好きに理解が有る女性で、淑女らしい方が良いですね」
《なら、図書館に出入りするのはどうだろう》
「もー」
《あはは、飲みに行こうか、こうした時は喧騒が1番だよ》
「そこが狙いだったんですね、良いですよ、焼き鳥にしますか?」
《そうだねぇ、なら上手いつくねが食いたいな》
「ではでは、参りましょうか先生」
僕の今の禁忌は、司書と図書館。
その事については、後日、別の部署から出版される事になります。
僕が唯一、読めない本。
常世から離れてしまうかも知れない、僕の禁書。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
痩せたがりの姫言(ひめごと)
エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。
姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。
だから「姫言」と書いてひめごと。
別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。
語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる