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第20章 獣医と非淑女。
3 獣医と利発な仔犬。
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情報を提供して下さる方の事を、コチラでは一括して原案作家先生、とお呼び致しております。
連載を持つ方で言うと、神宮寺さん。
そして単発の方ですと。
「どうぞ」
「獣医さん、なんですね」
「はい」
郊外に有る、動物も預けられる動物用の診療所。
裏手からは犬や猫、そして時に鳥の鳴き声まで。
「様々な種類を、飼っているのですか?それとも預けでしょうか」
「其々ですね、保護したり、ココに持って来る者も居たりです」
「維持が大変だと聞きますが」
「まぁ、ですが小間使いが居ますから」
「あぁ、ですよね、お1人では大きいですし」
「住まいも兼ねてますから。契約書です、どうぞ」
署名欄には、確かにこの医院と同じ名。
ココを借りるにしても相応の者でなければ貸さない筈、しかも住まいも兼ねているとなれば、本人か旧知の者か。
「では、コチラのお名前で寄付を」
「いえ、同志より、でお願いします」
「分かりました」
そして彼は不意に語り始めた。
「良く有る金持ちの家に男児が生まれたんです、そして少しばかり虚弱気味な故に過保護に育てられ、何不自由無く育った。けれど元が、家系が複雑でした」
再従姉弟同士で結婚、その子供が育ち従兄妹同士で結婚へ至った。
「あの、2代続きは」
「禁じられてはおりませんが、医学界からは避けるべきだとされていますが、それは最近の事。そして再従姉弟からの従兄妹なら、大丈夫だろうと思ったのでしょうね。ですが子が虚弱に産まれた為、彼らは次の子を諦め早々に男児の縁談を決め、許嫁を添えました。ただ、あまりに自分達には分かり難い子供だった為に、小間使いも傍に置かせた」
そうして婚約者を本当の妹の様に接していたある日。
使用人達が立ち話をしている事に気づき、小間使いに許嫁を預け、立ち聞きをする事に。
似た者夫婦も似た者夫婦なのは当然だ、従兄妹同士なのだから、と。
自分達と似た様な年の差の娘を婚約者として宛てがわれていた、その事に酷い落胆と吐き気に襲われ。
以降、許嫁を妹としか見れなくなってしまったのだ、と。
『おーう、お帰りー』
《お疲れ様ー、私直帰するからー、じゃねー》
とても不条理だった。
少しずつ噛み合わせが悪く、果ては人が怪我をした。
元許嫁となった女性は、問題を伏せられたまま、次の婚約者へ。
噂によれば彼女の子供も癇癪持ちで、縁続きにならずに良かった、と。
確かに、直ぐに断らなかった彼に問題が有る様にも思えてしまう。
ただ、悪意無しに、人が嫌がる事を押し進めようとする者も居る。
きっとご両親は、彼が何を言っても縁談を断らなかっただろう。
どうせ、子供の言う事だから、と。
従姉妹同士の結婚は、僕は別に忌避するも何も無かったんですが。
これは、親子の相性と言うか。
『おーい』
「あ、はい、お疲れ様です鈴木さん」
『何だ、また理不尽だけか』
「はぃ」
『それを昇華させるのも仕事だ、誰が適任だと思う』
「きっと、どの先生でも、僕が納得出来る作品を書いて頂けると思うんですけど」
『そんなに制約がない人のか』
「はい、ただ、空気感からして百合作家先生では無いなと」
『なら、だからこそ、明知先生に相談してみたらどうだろうか。もう全然、書けなくなっているんだろ?』
女性不信では無かったものの、件の事件により、すっかり女嫌いになってしまっており。
ただコレは、今までの印象を覆すと言うより、寧ろ。
いや、だからこそ。
「確かにそうですね、百合しか書かないと死なないワケでも無いんですし」
『そうそう、後はコチラが何とかすれば良い』
「ちょっと、行ってきます」
『おう、ホタテでも食ってこい、土産を宜しくなー』
「あ、いえ、大戸川先生の所です」
『あぁ、成程、宜しく伝えておいてくれ』
「はい」
林檎君が頼み事が有る、と。
《ほう、何だろうか》
「百合作家先生が書けなくなってしまって、手解きをお願いしたいんです」
件の事件は、作家達を震え上がらせた。
自分に狂気が向くならばまだ良い、ただ、子だ相手だとなれば別だ。
しかも彼は、彼らはただ愛し。
いや、今は指導について、か。
《私はだね、あまり教えるのは》
「先ずお2人に内容をお聞かせします、そうして出た案の補正をお願いしたいんです」
《共作では無いんだね》
「はい、難産の先生から何かしら産み落として頂いて、畑が違っても出来るのだと自信を持って頂きたいんです」
成程。
私は助産師か。
《うん、構わんよ》
「えっ、でも」
《私もだね、怒りが強い方が良いモノが書けると思っているし、時に後続の手を引くのも先達のすべき事だと思っているし。末娘もとうとう結婚してしまったし、何か新しい事を私もしてみたいんだよ、うん》
「宜しくお願いします」
《うん、早速だ、聞かせておくれ》
そう仰っていたのに。
【成程】
《あー、林檎君、ちょっと良いかね》
「はい、何でしょう?」
《いやね、うん、やっぱり私にも書かせて貰えないかな?》
「えっ」
《あ、いや、本筋では無く脇道だ》
「あ、えっと」
【林檎さん】
「はいはいはい」
【俺が、薔薇を書いても良いんでしょうか】
「勿論です、百合物しか書かないと死ぬワケじゃないんです、ココはハッキリと」
《いや、そこは寧ろ曖昧にすべきだろう、曖昧さこそ時に耽美を生むんだ。肉体関係については無い方が、寧ろ私は良いと思うけどね》
そして僕は電話を奪われ、どんな流れになるのか曖昧なまま。
「あの」
《楽しみにしてなさい林檎君、良いのが出来るよ》
そうして先生方が書き上げたのが、獣医と非淑女、非淑女と配達員。
『読み切りにするつもりだったんですが』
「いえ、勿体無いです、暫く続けましょう」
『書けない俺を見捨てず、ありがとうございます』
「いえいえ、作品自体の蓄えも有りましたし、そもそも誰にでも必ず起きる事ですから。アレです、他の先生は燃料を変えたんだって仰るんです。油から炭に燃料変えした、ちょっと薬品も足したから色が変わっただけだって」
『ですけど俺は百合作家で、また、話題作りだとか』
「話題作り結構、悔しかったら真似してみろ。大丈夫です、面白いんですから、ね?先生」
《あー、僕ね、見せて貰って無いんだよぉ。だから早く出しておくれね?》
「はい!」
そして僕はゲラ刷りを持って、原案先生の所へ。
完全に任せる、と仰って下さったので、だからこそこうして自由に書けたワケですが。
一筆頂いていても、緊張するんですよね、偶に仕上がりに文句を言って掲載を止めると言い出す人も居て。
そう何かしらの意向が有ったなら、最初から、そう言って頂ければ。
『はい、どちら様で』
「あ、松書房の林檎と申しますが」
彼は小間使いさんでらっしゃるのか、それとも。
『あぁ、どうぞ』
「はい、お邪魔します」
『すみませんが、ココで暫くお待ち下さい』
「はい」
そうして暫く玄関先で待っていると。
「どうかされましたか」
彼は車椅子に乗って現れ。
「あ、あの」
「あぁ、お話してませんでしたね、僕は怪我を負った時、半身不随になったんですよ」
先生方が話し合い書いた内容と、酷似してしまっている。
どうしよう、言わなかったと言う事は、書かないで欲しかったと言う事で。
「すみません!偶然、そう書いてしまって」
「ぁあ、ふふふ、まぁ上がって下さい」
「はぃ、失礼しますぅ」
もっと禁止事項の確認をすれば良かったのだろうか、でも、全く僕は気付かなかったし。
いや、でも。
「先ずは読ませてくれませんか」
「あ、はい、どうぞ」
『お茶を淹れてきます、お座りになってお待ち下さい』
「はぃ」
どれだけの時間が経ったのか、全く分からなくなる程。
酷く時間が長く感じ、もう、居ても立っても。
『どうぞ』
「あ、はい、どうも」
「お茶菓子も用意してあげてくれないか」
『はい』
「あ、お構いなく、はぃ」
すみません会長、もしかしたら今月号の発行は。
いや、差し込める作品が無いか先ずは確認を。
「問題無いですよ」
「えっ、でも」
「あぁ、別にそこまで隠していたワケでは無いんですよ、それこそ調べれば分かる事ですし。と言うか、本当にコチラを調べていなかったんですね」
「そんな事をすれば誰かに何かが漏れてしまう可能性が有るので、相当の案件の場合のみ、でして」
「囚人と記者、ですね」
「はい、そうした案件の場合は、ですね。今回は誰も亡くなっていませんし、ただ、かなり特定されてしまう特徴が合致しているのと」
「物語の中の僕らは、犯罪者」
「はぃ」
「別に構いませんよ、コレで困る事は無いですから」
「ですけど、患者さんが」
「その主人公と同じ様に、半ば道楽なんですよ。病院に見せる程に動物へと金を出す者は少ない、精々近くの初等部や中等部の子供達が見学に来る、そんな場所ですから」
「ですが、そうなると」
「良い年をして物語と現実の区別も付かないなんて、アナタに育てられるお子様が可哀想ですね。そうお伝えすれば良いだけですし、見学も善意からタダで受けている事、来なくなっても問題有りませんから」
「そう甘く見て、もし引っ越さなければ」
「パトロンからも慈善活動として援助も受けていますし、そもそも、ウチはそこそこの金持ちですから」
「それでも何か有れば先ずは警察へ、それからウチにも連絡をお願いします、3ヶ月発行停止より1刊だけ回収する方がマシですから」
「ありがとうございます、でも本当に大丈夫ですから、どうか世に出してやって下さい」
「では、念の為にこの裏に、ご署名をお願い致します」
「ふふふ、良いですよ」
そうしてゲラ刷りの裏に署名を頂き、社に戻り、会長に相談した結果。
このまま発行する事になり。
暫く僕はドキドキして、寝付けませんでした。
連載を持つ方で言うと、神宮寺さん。
そして単発の方ですと。
「どうぞ」
「獣医さん、なんですね」
「はい」
郊外に有る、動物も預けられる動物用の診療所。
裏手からは犬や猫、そして時に鳥の鳴き声まで。
「様々な種類を、飼っているのですか?それとも預けでしょうか」
「其々ですね、保護したり、ココに持って来る者も居たりです」
「維持が大変だと聞きますが」
「まぁ、ですが小間使いが居ますから」
「あぁ、ですよね、お1人では大きいですし」
「住まいも兼ねてますから。契約書です、どうぞ」
署名欄には、確かにこの医院と同じ名。
ココを借りるにしても相応の者でなければ貸さない筈、しかも住まいも兼ねているとなれば、本人か旧知の者か。
「では、コチラのお名前で寄付を」
「いえ、同志より、でお願いします」
「分かりました」
そして彼は不意に語り始めた。
「良く有る金持ちの家に男児が生まれたんです、そして少しばかり虚弱気味な故に過保護に育てられ、何不自由無く育った。けれど元が、家系が複雑でした」
再従姉弟同士で結婚、その子供が育ち従兄妹同士で結婚へ至った。
「あの、2代続きは」
「禁じられてはおりませんが、医学界からは避けるべきだとされていますが、それは最近の事。そして再従姉弟からの従兄妹なら、大丈夫だろうと思ったのでしょうね。ですが子が虚弱に産まれた為、彼らは次の子を諦め早々に男児の縁談を決め、許嫁を添えました。ただ、あまりに自分達には分かり難い子供だった為に、小間使いも傍に置かせた」
そうして婚約者を本当の妹の様に接していたある日。
使用人達が立ち話をしている事に気づき、小間使いに許嫁を預け、立ち聞きをする事に。
似た者夫婦も似た者夫婦なのは当然だ、従兄妹同士なのだから、と。
自分達と似た様な年の差の娘を婚約者として宛てがわれていた、その事に酷い落胆と吐き気に襲われ。
以降、許嫁を妹としか見れなくなってしまったのだ、と。
『おーう、お帰りー』
《お疲れ様ー、私直帰するからー、じゃねー》
とても不条理だった。
少しずつ噛み合わせが悪く、果ては人が怪我をした。
元許嫁となった女性は、問題を伏せられたまま、次の婚約者へ。
噂によれば彼女の子供も癇癪持ちで、縁続きにならずに良かった、と。
確かに、直ぐに断らなかった彼に問題が有る様にも思えてしまう。
ただ、悪意無しに、人が嫌がる事を押し進めようとする者も居る。
きっとご両親は、彼が何を言っても縁談を断らなかっただろう。
どうせ、子供の言う事だから、と。
従姉妹同士の結婚は、僕は別に忌避するも何も無かったんですが。
これは、親子の相性と言うか。
『おーい』
「あ、はい、お疲れ様です鈴木さん」
『何だ、また理不尽だけか』
「はぃ」
『それを昇華させるのも仕事だ、誰が適任だと思う』
「きっと、どの先生でも、僕が納得出来る作品を書いて頂けると思うんですけど」
『そんなに制約がない人のか』
「はい、ただ、空気感からして百合作家先生では無いなと」
『なら、だからこそ、明知先生に相談してみたらどうだろうか。もう全然、書けなくなっているんだろ?』
女性不信では無かったものの、件の事件により、すっかり女嫌いになってしまっており。
ただコレは、今までの印象を覆すと言うより、寧ろ。
いや、だからこそ。
「確かにそうですね、百合しか書かないと死なないワケでも無いんですし」
『そうそう、後はコチラが何とかすれば良い』
「ちょっと、行ってきます」
『おう、ホタテでも食ってこい、土産を宜しくなー』
「あ、いえ、大戸川先生の所です」
『あぁ、成程、宜しく伝えておいてくれ』
「はい」
林檎君が頼み事が有る、と。
《ほう、何だろうか》
「百合作家先生が書けなくなってしまって、手解きをお願いしたいんです」
件の事件は、作家達を震え上がらせた。
自分に狂気が向くならばまだ良い、ただ、子だ相手だとなれば別だ。
しかも彼は、彼らはただ愛し。
いや、今は指導について、か。
《私はだね、あまり教えるのは》
「先ずお2人に内容をお聞かせします、そうして出た案の補正をお願いしたいんです」
《共作では無いんだね》
「はい、難産の先生から何かしら産み落として頂いて、畑が違っても出来るのだと自信を持って頂きたいんです」
成程。
私は助産師か。
《うん、構わんよ》
「えっ、でも」
《私もだね、怒りが強い方が良いモノが書けると思っているし、時に後続の手を引くのも先達のすべき事だと思っているし。末娘もとうとう結婚してしまったし、何か新しい事を私もしてみたいんだよ、うん》
「宜しくお願いします」
《うん、早速だ、聞かせておくれ》
そう仰っていたのに。
【成程】
《あー、林檎君、ちょっと良いかね》
「はい、何でしょう?」
《いやね、うん、やっぱり私にも書かせて貰えないかな?》
「えっ」
《あ、いや、本筋では無く脇道だ》
「あ、えっと」
【林檎さん】
「はいはいはい」
【俺が、薔薇を書いても良いんでしょうか】
「勿論です、百合物しか書かないと死ぬワケじゃないんです、ココはハッキリと」
《いや、そこは寧ろ曖昧にすべきだろう、曖昧さこそ時に耽美を生むんだ。肉体関係については無い方が、寧ろ私は良いと思うけどね》
そして僕は電話を奪われ、どんな流れになるのか曖昧なまま。
「あの」
《楽しみにしてなさい林檎君、良いのが出来るよ》
そうして先生方が書き上げたのが、獣医と非淑女、非淑女と配達員。
『読み切りにするつもりだったんですが』
「いえ、勿体無いです、暫く続けましょう」
『書けない俺を見捨てず、ありがとうございます』
「いえいえ、作品自体の蓄えも有りましたし、そもそも誰にでも必ず起きる事ですから。アレです、他の先生は燃料を変えたんだって仰るんです。油から炭に燃料変えした、ちょっと薬品も足したから色が変わっただけだって」
『ですけど俺は百合作家で、また、話題作りだとか』
「話題作り結構、悔しかったら真似してみろ。大丈夫です、面白いんですから、ね?先生」
《あー、僕ね、見せて貰って無いんだよぉ。だから早く出しておくれね?》
「はい!」
そして僕はゲラ刷りを持って、原案先生の所へ。
完全に任せる、と仰って下さったので、だからこそこうして自由に書けたワケですが。
一筆頂いていても、緊張するんですよね、偶に仕上がりに文句を言って掲載を止めると言い出す人も居て。
そう何かしらの意向が有ったなら、最初から、そう言って頂ければ。
『はい、どちら様で』
「あ、松書房の林檎と申しますが」
彼は小間使いさんでらっしゃるのか、それとも。
『あぁ、どうぞ』
「はい、お邪魔します」
『すみませんが、ココで暫くお待ち下さい』
「はい」
そうして暫く玄関先で待っていると。
「どうかされましたか」
彼は車椅子に乗って現れ。
「あ、あの」
「あぁ、お話してませんでしたね、僕は怪我を負った時、半身不随になったんですよ」
先生方が話し合い書いた内容と、酷似してしまっている。
どうしよう、言わなかったと言う事は、書かないで欲しかったと言う事で。
「すみません!偶然、そう書いてしまって」
「ぁあ、ふふふ、まぁ上がって下さい」
「はぃ、失礼しますぅ」
もっと禁止事項の確認をすれば良かったのだろうか、でも、全く僕は気付かなかったし。
いや、でも。
「先ずは読ませてくれませんか」
「あ、はい、どうぞ」
『お茶を淹れてきます、お座りになってお待ち下さい』
「はぃ」
どれだけの時間が経ったのか、全く分からなくなる程。
酷く時間が長く感じ、もう、居ても立っても。
『どうぞ』
「あ、はい、どうも」
「お茶菓子も用意してあげてくれないか」
『はい』
「あ、お構いなく、はぃ」
すみません会長、もしかしたら今月号の発行は。
いや、差し込める作品が無いか先ずは確認を。
「問題無いですよ」
「えっ、でも」
「あぁ、別にそこまで隠していたワケでは無いんですよ、それこそ調べれば分かる事ですし。と言うか、本当にコチラを調べていなかったんですね」
「そんな事をすれば誰かに何かが漏れてしまう可能性が有るので、相当の案件の場合のみ、でして」
「囚人と記者、ですね」
「はい、そうした案件の場合は、ですね。今回は誰も亡くなっていませんし、ただ、かなり特定されてしまう特徴が合致しているのと」
「物語の中の僕らは、犯罪者」
「はぃ」
「別に構いませんよ、コレで困る事は無いですから」
「ですけど、患者さんが」
「その主人公と同じ様に、半ば道楽なんですよ。病院に見せる程に動物へと金を出す者は少ない、精々近くの初等部や中等部の子供達が見学に来る、そんな場所ですから」
「ですが、そうなると」
「良い年をして物語と現実の区別も付かないなんて、アナタに育てられるお子様が可哀想ですね。そうお伝えすれば良いだけですし、見学も善意からタダで受けている事、来なくなっても問題有りませんから」
「そう甘く見て、もし引っ越さなければ」
「パトロンからも慈善活動として援助も受けていますし、そもそも、ウチはそこそこの金持ちですから」
「それでも何か有れば先ずは警察へ、それからウチにも連絡をお願いします、3ヶ月発行停止より1刊だけ回収する方がマシですから」
「ありがとうございます、でも本当に大丈夫ですから、どうか世に出してやって下さい」
「では、念の為にこの裏に、ご署名をお願い致します」
「ふふふ、良いですよ」
そうしてゲラ刷りの裏に署名を頂き、社に戻り、会長に相談した結果。
このまま発行する事になり。
暫く僕はドキドキして、寝付けませんでした。
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