34 / 40
第1章
30 止まった時間。
しおりを挟む
《わぁ、懐かしい名前、ほら》
『あぁ、学園に出向しているのか、ガブリエラは』
「ガブリエラ?知り合い?」
《後輩、男装の令嬢なんだけど》
『どう見ても男にしか見えないんだ』
「へー、じゃあ僕と真逆?」
《そうだね、確かに》
『生まれる場所を互いに間違えたのかも知れないな』
《だね》
「居るんだ、僕の真逆、会ってみたかったなぁ」
《惚れちゃうかもね、凄い強いし》
『技術を凌駕する力技だったからな、今は近衛の班長だ』
「へー、本当に真逆だ」
《んー、そうなると会わせたくないかも、中身も潔い男みたいな子だし》
『子女にモテる程にな』
「そのモテモテさんからの手紙なの?」
《ううん、もういつでも事故死して良いよって》
『補佐に回ってくれる役だ』
「あぁ、成程ね。任せるよ、いつでも良いよ」
《良いの?魔道具が無くてもイーライには戻れないんだよ?》
「せめて使い勝手の良い状態で居たいんだ、前のままだと、しがらみが多過ぎるし」
『友人にも、イーライとしては会えなくなるんだが』
「ケントの事は少し気になるけど、僕の事を気に病んで死ぬ様なヤツじゃないし、アイツには友達だって居るし。まぁ、大丈夫でしょう」
《ごめんね、辛い覚悟をさせて》
「いや、そこは本当に周りを信じてるし、いざとなればどうにかしてくれるでしょ?」
『あぁ、出来る限り何とかする』
「うん、信じてる、だから3人で幸せになろうね」
まだ魔道具は見付かって無いし、神様にも会えて無い。
けど、イーライはココで死ぬ。
この覚悟が対価になれば良いんだけど、受け取って貰えるかな。
《ガブリエラ騎士爵って、様々な通り名が有るそうですけれど》
「猛獣、動く肉壁、喋って動く肉壁。男女、化け物、百合の似合わない天使。どれの事が聞きたいのかな?」
《まぁ、凄い》
「遠慮しないで良いんだよ、それともリンゴを砕いてみせようか?」
「それ勿体無くないっすか?」
「ケント君、そこはこう、お皿に」
《あの、失礼致しますわね》
「逃げられてやんの」
「君が逃がしたんだろうに」
「そら俺の株を上げる為っすよ」
「はいはい、賢い賢い」
「またそうやって余裕ぶっこいて、ライアン図書委員長、ローズ嬢に取られちゃうかもですよ?」
「凄い奇跡が起きる事も有るんだな、祝福するよ」
「えー、好きじゃないんすか?」
「なら、君の言う好きとは何なんだろうか、ケント君」
「性欲以外で?」
「だな、お友達のダブルハンドビッグキャビンの事は除外して、だな」
「好きって、何なんすかね?」
「お前が答えないなら答えないぞ、あははははは」
ライアン先輩は悪いヤツじゃないし、だから少しは水を向けようかなと思ったんだけど。
クッソ最悪なタイミングで、とんでもない所を見ちゃって、さすがのガブリエラさんも固まっちゃって。
「あ、いやアレは何かの間違いで」
「いや、か弱い方が女はモテるもんだ、仕方無い」
メリッサめ、何でライアン先輩に泣き付いてんだよアイツ。
クソが、後で問い詰めてやる。
《何でしょう》
「今度はライアン先輩狙い?節操無さ過ぎじゃね?」
《あ、いいえ、アレは。少し庇って頂いただけで、好意の現れ等では》
「どうだか、つかさ、あの場面俺とガブリエラさんで見ちゃったんだよね」
《説明に行って参りますので、失礼致し》
「いや待てよ、どうしたらあんな風になるワケ?」
《歩きながらご説明させて頂きます》
「まぁ、本当の事なら良いけど」
《突き飛ばされたんです、先輩方に、その先にライアン子爵令息がいらっしゃって、足を捻ってしまい》
「じゃあそんな早く歩くなって」
《嫌なんです、私は応援していたんです、なのに私が障害になるだなんて絶対に嫌なんです》
「イーライの時は無視してたクセに」
《止めて聞くと思いますか?!ローズ嬢に取り入ろうとする者、逆に排除しようとする者が殴り合いをしている様な中で。兎に角、今回は直接お話出来る方なんです、絶対に誤解を解かなくては》
「もし本当に誤解なら、仲を進展させられるかもよ」
《それ、イーライ様の時にも言われましたので却下です》
「いやマジでさ、ちょっと固まってたもんガブリエラさん」
《なら邪魔しないで頂けますかね》
「もう少し後でにしね?ほら医務室も直ぐそこだし、診て貰って包帯巻いて行った方が説得力も増すんじゃね?」
《アナタは誰の味方なんですかね》
「両方、ガブリエラさんと先輩の両方、マジで」
《裏切ったら、家の前で焼身自殺してやりますからね》
「おう、裏切らない」
本当に裏切ったら死んでやる。
本当に、私にはライアン先輩に好意は無いし、本当に転けただけなのに。
最悪、何て日だろう。
『捻挫ね、どうしたの?』
《押されました》
「相手は見て無いんすけど、ライアン先輩が知ってるかも?」
《いえ、走り去る3人が見えただけだそうで、私も後ろから押されただけで見ていません》
『もう男装はしていないのに、酷い嫌がらせね』
《はい、本当に困ります》
「俺、ちょっとガブリエラさんも呼んで来るわ」
《余計な事をしないで下さい、私が行きます》
『ベッドに横になって暫く冷やさせて欲しいのだけれど?』
「マジで余計な事は言わないからさ、な?」
《絶対、ですよ》
「はいはい」
『じゃあベッドへ行きましょうね』
ガブリエラさんには、絶対に誤解されたくなかったのに。
何で、どうしてこんな事に。
「あぁ、そうだったんだね、ごめんよ気が付かなくて」
《本当に信じてくれますか?》
「勿論、そもそも捻挫が本当なのだし、ライアン君は良い男だから寧ろ逆に落とす材料になるのに、何も無いと言っているんだし。ライアン君も見たと言っているんだし、大丈夫。その3人を、どうしてやろうか」
《今回は私の不注意も少し含みますので、次は厳罰化を望みます》
「なら、安静にしているんだよ、こうした怪我はクセになるからね」
《はぃ》
「よし、送っていこう、抱えても良いかな?」
《はい》
「なら、抱える前に。次に何か有ったら、コレを吹くんだよ」
《はい、ありがとうございます》
正直、以降のやり取りについても、良く覚えていない。
ケント君から、もしかしたら誤解されているかも知れない、と言われ。
一瞬、何の事だか分からず。
そしてメリッサ嬢の事だと言われ。
「よし、送って来たよライアン君」
『あ、あぁ、はい』
「何故、彼女を医務室に送ってあげなかったのかな」
『僕と居ると変な注意を引いてしまうと言われ、図書室に戻りました。今となっては、他の者に頼むべきだったと思います』
「物凄く腑抜けている様だけど、何か問題でも有ったんだろうか」
『まだ、少し、整理が難しい事で』
「そう、じゃ、気を付けて」
偽装結婚についても、職についても正式な書簡は貰っている。
けれど、彼女の事がどうしても。
《ライアン図書委員長?》
『あぁ、ローズ嬢』
《どうかなさいましたか?》
『いや、いや、少し良いだろうか。個人的な、婚約について聞きたい』
真正面から、こうして尋ねられた事は初めてで。
それに、何だか少し切羽詰まっていらっしゃる様な、困っていらっしゃる様で。
ライアン様なら身分も確かですし、評判も悪くは無い。
しかも婚約のお悩みなら、お相手は。
《分かりました、ですが少し、場所を移動しても?》
『あぁ、そうだね、構わないよ』
ココは女子寮の前ですから。
《それで、何を》
『どうして、何故、君はあんな態度だったんだろうか』
《コレは、半ば無意識に、無自覚にも不安を感じ誤魔化していた。その事を前提に聞いて頂けますでしょうか》
『分かった』
《私、最初から好きだったんです、とても》
可愛らしい、愛らしいイーライ。
最初は単に照れ屋なのだと。
けれども気が無い事は直ぐに分かってしまいました、あんまりにも私が高飛車だから。
けれども、もし、高飛車では無くなり素直に相対した時。
その時も、同じ態度なら。
もう、そうした事すらも考える事を拒絶し、高慢な態度を押し通すしか無かった。
好かれていない、そんな事を認めてしまえば、私は壊れてしまう。
それ程、好きだった。
所有出来ているだけで満足すれば良いものを、本当に心まで欲しくて。
『好いていたんだね』
《ですが、焦燥感の方が勝ってしまい、全くイーライには寄り添えてはいませんでした》
『もし君が素直に』
《私は素直になれない気持ちも含め、彼の事を好きなのだと思っていました。何度考えても、あの日の私は素直になれる事は無い、それ程に舞い上がっていたのです。こんなに可愛い方と婚約出来るなんて、なんて私は幸せなんだろう、運が良いのだろう。そう思うのが私でもありますから、例え他の道が有ったとしても、きっと結末は同じかと》
『君は、何を学んだのだろうか』
《素直さ、受け入れる事。受け入れて貰う事ばかりを考えず、先ずは真正面から受け入れ、曲解しない。当たり前な事ですが、好意が絡んでしまうと、とても、とても難しくなってしまうのです》
またいつか、誰かを好いた時。
私は同じ轍を踏むかも知れない。
また、誰かを酷く扱ってしまうかも知れない。
だからこそ、もう。
『好意とは、扱いが難しいものだね』
《ですね》
『すまない、ガブリエラとの事で悩んでいるんだ』
《少なくとも、私にはとても良い方ですわ。こんな私の相談に乗って頂けますし、気配りも優しさも持っていらっしゃいますから、幸せになって頂きたいと思っております》
『ありがとう』
《いえ、では、失礼致します》
『あ、それからメリッサ嬢の事も、もし何か有れば』
《承知致しました、では》
ライアン様は、迷っていらっしゃるのでしょうか。
それなら一体、何を、迷ってらっしゃるのでしょう。
本当にガブリエラ様は良い方なのに。
『あぁ、学園に出向しているのか、ガブリエラは』
「ガブリエラ?知り合い?」
《後輩、男装の令嬢なんだけど》
『どう見ても男にしか見えないんだ』
「へー、じゃあ僕と真逆?」
《そうだね、確かに》
『生まれる場所を互いに間違えたのかも知れないな』
《だね》
「居るんだ、僕の真逆、会ってみたかったなぁ」
《惚れちゃうかもね、凄い強いし》
『技術を凌駕する力技だったからな、今は近衛の班長だ』
「へー、本当に真逆だ」
《んー、そうなると会わせたくないかも、中身も潔い男みたいな子だし》
『子女にモテる程にな』
「そのモテモテさんからの手紙なの?」
《ううん、もういつでも事故死して良いよって》
『補佐に回ってくれる役だ』
「あぁ、成程ね。任せるよ、いつでも良いよ」
《良いの?魔道具が無くてもイーライには戻れないんだよ?》
「せめて使い勝手の良い状態で居たいんだ、前のままだと、しがらみが多過ぎるし」
『友人にも、イーライとしては会えなくなるんだが』
「ケントの事は少し気になるけど、僕の事を気に病んで死ぬ様なヤツじゃないし、アイツには友達だって居るし。まぁ、大丈夫でしょう」
《ごめんね、辛い覚悟をさせて》
「いや、そこは本当に周りを信じてるし、いざとなればどうにかしてくれるでしょ?」
『あぁ、出来る限り何とかする』
「うん、信じてる、だから3人で幸せになろうね」
まだ魔道具は見付かって無いし、神様にも会えて無い。
けど、イーライはココで死ぬ。
この覚悟が対価になれば良いんだけど、受け取って貰えるかな。
《ガブリエラ騎士爵って、様々な通り名が有るそうですけれど》
「猛獣、動く肉壁、喋って動く肉壁。男女、化け物、百合の似合わない天使。どれの事が聞きたいのかな?」
《まぁ、凄い》
「遠慮しないで良いんだよ、それともリンゴを砕いてみせようか?」
「それ勿体無くないっすか?」
「ケント君、そこはこう、お皿に」
《あの、失礼致しますわね》
「逃げられてやんの」
「君が逃がしたんだろうに」
「そら俺の株を上げる為っすよ」
「はいはい、賢い賢い」
「またそうやって余裕ぶっこいて、ライアン図書委員長、ローズ嬢に取られちゃうかもですよ?」
「凄い奇跡が起きる事も有るんだな、祝福するよ」
「えー、好きじゃないんすか?」
「なら、君の言う好きとは何なんだろうか、ケント君」
「性欲以外で?」
「だな、お友達のダブルハンドビッグキャビンの事は除外して、だな」
「好きって、何なんすかね?」
「お前が答えないなら答えないぞ、あははははは」
ライアン先輩は悪いヤツじゃないし、だから少しは水を向けようかなと思ったんだけど。
クッソ最悪なタイミングで、とんでもない所を見ちゃって、さすがのガブリエラさんも固まっちゃって。
「あ、いやアレは何かの間違いで」
「いや、か弱い方が女はモテるもんだ、仕方無い」
メリッサめ、何でライアン先輩に泣き付いてんだよアイツ。
クソが、後で問い詰めてやる。
《何でしょう》
「今度はライアン先輩狙い?節操無さ過ぎじゃね?」
《あ、いいえ、アレは。少し庇って頂いただけで、好意の現れ等では》
「どうだか、つかさ、あの場面俺とガブリエラさんで見ちゃったんだよね」
《説明に行って参りますので、失礼致し》
「いや待てよ、どうしたらあんな風になるワケ?」
《歩きながらご説明させて頂きます》
「まぁ、本当の事なら良いけど」
《突き飛ばされたんです、先輩方に、その先にライアン子爵令息がいらっしゃって、足を捻ってしまい》
「じゃあそんな早く歩くなって」
《嫌なんです、私は応援していたんです、なのに私が障害になるだなんて絶対に嫌なんです》
「イーライの時は無視してたクセに」
《止めて聞くと思いますか?!ローズ嬢に取り入ろうとする者、逆に排除しようとする者が殴り合いをしている様な中で。兎に角、今回は直接お話出来る方なんです、絶対に誤解を解かなくては》
「もし本当に誤解なら、仲を進展させられるかもよ」
《それ、イーライ様の時にも言われましたので却下です》
「いやマジでさ、ちょっと固まってたもんガブリエラさん」
《なら邪魔しないで頂けますかね》
「もう少し後でにしね?ほら医務室も直ぐそこだし、診て貰って包帯巻いて行った方が説得力も増すんじゃね?」
《アナタは誰の味方なんですかね》
「両方、ガブリエラさんと先輩の両方、マジで」
《裏切ったら、家の前で焼身自殺してやりますからね》
「おう、裏切らない」
本当に裏切ったら死んでやる。
本当に、私にはライアン先輩に好意は無いし、本当に転けただけなのに。
最悪、何て日だろう。
『捻挫ね、どうしたの?』
《押されました》
「相手は見て無いんすけど、ライアン先輩が知ってるかも?」
《いえ、走り去る3人が見えただけだそうで、私も後ろから押されただけで見ていません》
『もう男装はしていないのに、酷い嫌がらせね』
《はい、本当に困ります》
「俺、ちょっとガブリエラさんも呼んで来るわ」
《余計な事をしないで下さい、私が行きます》
『ベッドに横になって暫く冷やさせて欲しいのだけれど?』
「マジで余計な事は言わないからさ、な?」
《絶対、ですよ》
「はいはい」
『じゃあベッドへ行きましょうね』
ガブリエラさんには、絶対に誤解されたくなかったのに。
何で、どうしてこんな事に。
「あぁ、そうだったんだね、ごめんよ気が付かなくて」
《本当に信じてくれますか?》
「勿論、そもそも捻挫が本当なのだし、ライアン君は良い男だから寧ろ逆に落とす材料になるのに、何も無いと言っているんだし。ライアン君も見たと言っているんだし、大丈夫。その3人を、どうしてやろうか」
《今回は私の不注意も少し含みますので、次は厳罰化を望みます》
「なら、安静にしているんだよ、こうした怪我はクセになるからね」
《はぃ》
「よし、送っていこう、抱えても良いかな?」
《はい》
「なら、抱える前に。次に何か有ったら、コレを吹くんだよ」
《はい、ありがとうございます》
正直、以降のやり取りについても、良く覚えていない。
ケント君から、もしかしたら誤解されているかも知れない、と言われ。
一瞬、何の事だか分からず。
そしてメリッサ嬢の事だと言われ。
「よし、送って来たよライアン君」
『あ、あぁ、はい』
「何故、彼女を医務室に送ってあげなかったのかな」
『僕と居ると変な注意を引いてしまうと言われ、図書室に戻りました。今となっては、他の者に頼むべきだったと思います』
「物凄く腑抜けている様だけど、何か問題でも有ったんだろうか」
『まだ、少し、整理が難しい事で』
「そう、じゃ、気を付けて」
偽装結婚についても、職についても正式な書簡は貰っている。
けれど、彼女の事がどうしても。
《ライアン図書委員長?》
『あぁ、ローズ嬢』
《どうかなさいましたか?》
『いや、いや、少し良いだろうか。個人的な、婚約について聞きたい』
真正面から、こうして尋ねられた事は初めてで。
それに、何だか少し切羽詰まっていらっしゃる様な、困っていらっしゃる様で。
ライアン様なら身分も確かですし、評判も悪くは無い。
しかも婚約のお悩みなら、お相手は。
《分かりました、ですが少し、場所を移動しても?》
『あぁ、そうだね、構わないよ』
ココは女子寮の前ですから。
《それで、何を》
『どうして、何故、君はあんな態度だったんだろうか』
《コレは、半ば無意識に、無自覚にも不安を感じ誤魔化していた。その事を前提に聞いて頂けますでしょうか》
『分かった』
《私、最初から好きだったんです、とても》
可愛らしい、愛らしいイーライ。
最初は単に照れ屋なのだと。
けれども気が無い事は直ぐに分かってしまいました、あんまりにも私が高飛車だから。
けれども、もし、高飛車では無くなり素直に相対した時。
その時も、同じ態度なら。
もう、そうした事すらも考える事を拒絶し、高慢な態度を押し通すしか無かった。
好かれていない、そんな事を認めてしまえば、私は壊れてしまう。
それ程、好きだった。
所有出来ているだけで満足すれば良いものを、本当に心まで欲しくて。
『好いていたんだね』
《ですが、焦燥感の方が勝ってしまい、全くイーライには寄り添えてはいませんでした》
『もし君が素直に』
《私は素直になれない気持ちも含め、彼の事を好きなのだと思っていました。何度考えても、あの日の私は素直になれる事は無い、それ程に舞い上がっていたのです。こんなに可愛い方と婚約出来るなんて、なんて私は幸せなんだろう、運が良いのだろう。そう思うのが私でもありますから、例え他の道が有ったとしても、きっと結末は同じかと》
『君は、何を学んだのだろうか』
《素直さ、受け入れる事。受け入れて貰う事ばかりを考えず、先ずは真正面から受け入れ、曲解しない。当たり前な事ですが、好意が絡んでしまうと、とても、とても難しくなってしまうのです》
またいつか、誰かを好いた時。
私は同じ轍を踏むかも知れない。
また、誰かを酷く扱ってしまうかも知れない。
だからこそ、もう。
『好意とは、扱いが難しいものだね』
《ですね》
『すまない、ガブリエラとの事で悩んでいるんだ』
《少なくとも、私にはとても良い方ですわ。こんな私の相談に乗って頂けますし、気配りも優しさも持っていらっしゃいますから、幸せになって頂きたいと思っております》
『ありがとう』
《いえ、では、失礼致します》
『あ、それからメリッサ嬢の事も、もし何か有れば』
《承知致しました、では》
ライアン様は、迷っていらっしゃるのでしょうか。
それなら一体、何を、迷ってらっしゃるのでしょう。
本当にガブリエラ様は良い方なのに。
0
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる