conspiracy intrigue plot 〜こんすぺらしーんとりっくぱぁー、って何ですか?〜

中谷 獏天

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 その日、地震が起こった。
 そんな中、ネネちゃんは本当に行方不明者の中に入る事になり。
 私は無事な実家へと、数日後に何とか帰って来れた。

『お帰り』

 お兄ちゃんだけ家に居た。

 当たり前なんだけど。
 何か、安心しちゃった。

《馬鹿でごめんね》

『何された、怪我か、頭を打っ』
《ううん、大丈夫、本当に、ごめ、んね》

 お兄ちゃんは家で、株で稼いで生きている。
 勿体無いなと思ってた、ちょっと繊細だけど、悪い人じゃないのにって。

 けど、馬鹿なのは私の方。
 たった数回だけ寝込んだだけだけど、いっぱい分かった事が有った。

 私、本当に無神経だった。

 私は嘘も方便だって思えるけど。
 ネネちゃんもお兄ちゃんも、嘘が嫌いで、嘘が下手。

 良い事なのに、勝手に不器用扱いしてた。

 真面目で誠実で、良い人なだけ。
 だから外は生き辛くて、身を守る為に、閉じ籠もっちゃうだけなのに。

 勝手に、自分の方がマシだって。

『泣くなら上がれ、通報されても困る』
《うん、ごめんね》

『メシは』
《ううん、駅前で食べた》

『じゃあ風呂、荷解き、洗濯』
《うん、荷解き先にする》

『分かった、部屋に居るから、何か有ったら言えよ』
《うん、ありがとう》

 余計な事は言わないし、言う時は本当の事で、正解で。
 だから、もう、ダメなのかな。

 偽ユノはもう消えたし、もう、終わりなのかな。

「あら、ユノちゃん、お目々真っ赤ね」

 洗面所の鏡には。

《ゼパルさん?》
「あー、良かったわ、まだ記憶が有るのね」

《あ、え》
「いずれ消え、死の直前に思い出す、そうして辻褄が合う様になっているの」

《そんな》
「まだ回り足りないものね、後悔ばかりよね」

《うん、けど》
「戻れるわよ異世界へ、けれど、暫く戻って来れない。しかも、記憶を失う事は変えられないわ」

《胸を張って、ココに戻りだがっだ》
「そうね」

《残らなぐでも、頑張りだい》
「ユノちゃん、凄い不細工、ふふふ。じゃあ、良い?」

《宜じぐお願いじまず》



 ココに来た時と、同じ様な不細工顔で女が鏡に吸い込まれると、巻き戻りが起きた。

『成程な、因果律の調整の合間に、歪みを戻したってワケか』
《じゃの、多少の事象のズレは巻き戻しにより修正される》

『けど、捻じれの影響ってワケでも』
《良い塩梅に刺さっておった杭が抜けたんじゃよ、で、再び刺す迄の時間稼ぎによりアレが巻き込まれた》

 不細工女が言っていた、自身の偽
者。
 最凶最悪の、偽ユノ。

『阿呆だなぁ、時期を見極めろっての』
《全くじゃよね、じゃからワシらが生まれてしまうと言うのに》

 最も最悪な時期に、最も最悪な組み合わせで、最も最悪な事が起こり。
 俺達クトゥルフが生まれた。

『アレは、あぁ、そうか』
《消えるのが、1番じゃろ》

 ネネと言う女は、災害時に行方知れずとなり。
 あの腐れ女は。

『あひひひ、ふひっ、ふひひひひ』

 生き返り、地獄の苦しみを味わう事になる。
 何故か病院着で大学をふらふらと歩き回っていた女が、地震により起きた爆発事故で顔を焼かれ、手足も失うが命を取り留め意識も回復する。

 死ねず、顔を搔く事も出来ず、幻肢痛に悩み続け生きる事になる。
 恐喝の犯罪者として。

 正に、生き地獄だ。

《珍妙な笑い方じゃぁ》
『ふひっ、ふひひひっ。あ、夢の中でも追い詰めてやろう。丁度、良いのが居るんだ』

《まぁ、ココの医科学は発達しとるんじゃし、そう発狂はせんじゃろう》
『だよなー』

《はぁ、実に良い趣味じゃよね》

 寝ても覚めても悪夢。
 あぁ、最高だなおい、後50年はココで楽しめるぞ。

 夢の中で手足も顔も取り戻させてやる、幾らでも、何でも与えてやる。
 それから目覚め、絶望しろ。

 良い夢も悪い夢も、予測が付かない様に見せてやる。
 発狂も出来無い世界で、50年は苦しめるんだぞ、恵まれてるなクソ女。

『ひひっ、ふひひひひ』
《ほれ、お主のは暫くワイプじゃワイプ、コッチ見せい》



 酷い夢を見た気がするけど、全く覚えていない。
 ただ、凄い後味が悪いけど安心する様な、本当に変な感じしか残っていない。

 最近まで、全然、夢らしい夢なんて見なかったのに。

《ネネ、勘が馴染み始めたのだろう》

「勘って、馴染むものですかね」
《魔獣や神霊の影響を受けての事だろう、一種の予知夢、或いはシンクロニシティだ》

「あぁ、成程」

 シンクロニシティはユングが提唱した、集合的無意識だとか、霊的繋がりだとかの。

《身支度を整えてやろうか》

 黒蛇さんの女体化。
 凄いエロい、無駄にエロい。

 いや、無駄では無いか、コッチに引っ掛かってくれれば。

『ネネ、準備しないとルーイに突撃されるよ』
「あ、はい」

 コンちゃんの女体化は、可愛い。
 可愛いのに性別不明で凄く可愛い、ダメだ、寝起きの語彙力。

《歯を磨いてやろうか》
「結構です」

 意外とユノちゃんが居なくても大丈夫。
 と言うか、そう魔獣を信用しなかった事もいけない、頼るなら信じないと。



《おはよう御座います、お姉様》
《おはようネネ》

 お姉様、驚いてますわ。
 お城に帰った筈のお兄様が居て、カッと目を見開きましたわ。

「おはよう御座いますエル様、ソレ、どうなさったんでしょう」
《ふふふ、お兄様、この外見で魔獣なんですの。ですから向こうの城内に入れず》
《ココで世話になる事になったんだ、宜しくねネネ》

 お姉様、眉を顰めるのを我慢なさると、こうカッと目を見開きますの。
 動揺を隠そうとするお姉様、実にいじらしいですわ。

「でも、一応は」
《ええ、ある程度の場所は入れますわ、ですけど》
《重要な場所には入れないからね、以降はエルが向こうで過ごす事になったんだ》

《ふふふ、そしてお兄様はお姉様と、諸国を回る》

 私、あまり興味は無いのですけれど、楽しそうな旅路になりそうで。   
 少しだけ羨ましいですわ。

「レオンハルト様も」
『勿論です』

 ほら。



「ご配慮賜りましてまして、誠に感謝致します」

 ネネさんに、正式な爵位が与えられました。
 そしてルーイ殿下が、お父上と別れの挨拶をしている時、彼女が現れた。

『お前の名は』

「わ、私は、私の、名前は」

 いつか現れるだろう、とは聞いていたけれど。
 本当に、タイミングが悪い人。

『お願いしますデバル伯爵、』
「ふふふ、勿論よヒナ様」
《そうだね》

「殿下」
《あぁ、デパル伯爵》

「ふふふ、あの子も私が引き取るわ。アナタの姿、借りるわね」
《では君は僕が、さ、旅支度を》
《ありがとうございます》
『お心遣い、感謝します』

 この世界の人種にとって、悪魔とは優しく真面目で、賢い存在。
 決して、排される様な事は無い。

《あぁ、思い出せないんですか》
「すみません、何か、もしかして頭を打ったのかも知れなくて」

『そうか。では世話を頼むレオン、ルーイ』
『はい』
《はい、仰せのままに》

 この女は散々にユノさんの名を騙った事、そして元からの因果で、地獄を巡り続ける事になる。

《可愛いよ、ネネ》
「ルーイ、でもアナタ、婚約者が」

《君の魅力に負けたんだ、愛してる、受け入れてくれるよね》

「はい」

 反省していたら、少しは手加減してあげたのに。

《ふふふ、やっぱり愚かな来訪者だったんだね、残念だよ。レオン殿下、捕縛で良いですよね》
「えっ」
『失礼する』

「ちょっと待っ」
『何処から来たかも、名も思い出せない、叡智の結晶としての価値は無いと看做して良いだろう。しかも常識も衛生観念も貞操観念も無い、それに良心も、善人なら婚約者が居る相手をしっかり拒絶すべきだ』
《ですよね》

「だって、ルーイがどうしてもって言うから」
『子供が強請れば酒を与えて良いとでも?産む機械にする価値すら無い、去勢させよう』
《ですね》

「待って、名前なら思い出したから」
『もしかして、ユノ・ナダギかな』

「そう、そうなの」
『成程、やはりパブリックドメイン化しているんだな、来訪者ユノの名は』
《前任の来訪者様の言う事は正しかった、ユノの記録に間違いは無いと証明されましたね》

「えっ、ユノが居たの?私、知り合いで」
『そして国を滅ぼす存在、悪しき来訪者、だろう』
《知っているんですよ、コチラに来る前は皇帝を誑かし、皇妃を処刑させ国を滅ぼした。その更に前は妻の居る者を唆し、その妻に刺された》

 見せて貰ったけれど、本当に酷い事になっていた。
 無辜の民が、何度も何度も死を繰り返してしまう世界。

 例え私の事では無くても、コレは許せない、許すべきでは無い。

「違う、それは私じゃ」
《あぁ、でしたら友人を虐めていた方ですかね。コチラには既にユノノートが有るんですよ、さ、お名前をどうぞ》

「何それ、まるでデス」
『有益な事を話せないなら猿ぐつわを噛ませるが』

「言う!言うってば!」

 向こうでは、悪人が居なくなる事は無い。
 けれど、ココでなら減らせる、全滅だって不可能では無い。

『お疲れ様でした、デバル伯爵、』
「いえいえ、寧ろコレからだもの。ふふふ、どうなるのか楽しみだわぁ」
《君に任せるよ、じゃあね》

『何度も死ぬ事になってしまった方々の分も、お願いしますね』
「はい、お任せを」

 悪しき見本は必要。
 それにネネさんと、ユノさんが悲しむだろうから、全滅はさせないけれど。

 私は出来る、出来てしまう。
 私は悪魔の最高位なのだから。
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