conspiracy intrigue plot 〜こんすぺらしーんとりっくぱぁー、って何ですか?〜

中谷 獏天

文字の大きさ
100 / 100

100 最後。

しおりを挟む
『健やかなる時も病める時も、貧する時も富もうとも。かの策略の中に身を置いた時を思い出し、手を取り合い、一生を添い遂げると誓いますか』

「はい」
《はい》

『では指輪の交換を』

 結婚する事になりました。
 帝国領に戻って直ぐ、既に仕立てられたマーメイドドレス、指輪と式場。

 だから2人で帰ってたワケですね、確認の為にもと。

「ちょっ」
《我慢出来無くて》
『では、誓いのキスも済みました事ですし、皆さんお見送りの準備を』

 地味な場所で、出席者が尋常じゃない派手さの結婚式。
 ドレスを着せられた時より、参列者の顔を見た時の方が緊張した。

 皇帝とエル様、悲嘆国からはご姉妹とお子様。
 強欲国はエリザベート陛下と、旦那様。

 地獄ゲヘナからはバティス伯爵とヒナちゃん、虚栄国からは国王とお姫様。
 そして憤怒国と怠惰国のトップ、最重要人物集めて、何をしているのかと。

「怖い、早く解散して頂きたいんですが」
《うん、そうだね》

 ニコニコと、嬉しそうに。

「家はどうするんですか」
《もう建てた》

「は?」
《気に入らなかったら売れば良いんだよ》

「はぁ」
《大丈夫、きっと気に入るから》

 教会前の馬車の中から、家の前の守衛室に転移。

 牧歌的な農村地帯に、飾り気の無い黒い家。
 そして中に抱えられて入ると。

 あまり拘りが無いせいか、全然、気に入ってしまった。

「クソ、いつの間に」
《憤怒国辺りからだね》

「アレだけ拒絶してたと言うのに」
《掃除が楽で、日当たりと風通しが良くて、気密性が有れば何でも良いでしょ?》

「だからって」
《うん、ガラスのピアノ、近隣まで遠いから大丈夫》

 子供が考えた最高の家、みたいなものが目の前に有る。
 猫足バスタブに、天蓋付きの大きなベッド。

「はぁ、あ、つい」
《お預けし続けてたし、式は僕だったから、次はレオンハルトね》

「式は」
《その姿が見られれば良いって、じゃ、後でね》

 帝国領に帰って秒で結婚式させられてるのに、新婚初夜の心の準備を。

『ネネ』
「待って、少しだけ待って」



 家があんなに簡単に建つんですから、そりゃ遊園地なんてあっと言う間ですよ。
 結婚式から3ヶ月後、この世界の最初の遊園地が、帝国領に出来上がりました。

《お姉様!!》
「エル様、おめでとうございます」

《何を仰いますの、私達の、ですわ》
「ありがとうございます」

《さ、参りましょう、ヒナも待ってるの!》

 いつの間にかヒナちゃんとエル様が仲良くなっており、3人で遊園地を回った。
 魔法、凄い。

「何ですか、あの滑らかな加速は」
《ふふふ、秘密ですわ》
『ウチにも欲しいです』

《それは最後になさった方が宜しいですわ、順次開園ですもの、最後こそ最高に仕上がると言うもの》
『確かに、研究せねばなりませんからね』
「気に入って頂けて何よりです」

《お姉様、まだまだですわよ》

 自分がアレンジした音楽が、パレードに使われている。
 恥ずかしいんだか嬉しいんだか、困る、恥ずかしさ勝ちだ。

「後で、それっぽい楽譜をお渡ししますので、定期的な変更をお願いします」
《ふふふ、了解ですわ。さ、次はお食事ですわね》

 メインの噴水広場近くには、妖精のお食事屋さん。

「あ、お久し振りです」
「はい、お久し振りです」

 独り立ちした妖精が、こんな所で労働を。

『可愛い』
《ふふふ、味も美味しいですわよ》

 ハート形ハンバーグに、ハート形の目玉焼き、添えられたパンもハートに盛られ。
 オムライスにパスタ、サンドイッチも有る。

 そして隣りの妖精の喫茶には。
 お花のパンケーキにベリージャム、花びらの砂糖菓子、生クリームは3色のパステルカラー。

「うん、美味しい」
《お飲み物もどうぞ》

 ガラスのティーポットには工芸茶の紅茶、冷たい飲み物は氷入りのバタフライピーティー。
 何処の夢の国だココは。

「全部、叶ってしまうかも知れない」

 子供の頃に、何になりたいと言うより、理想の遊園地を画用紙に描いて遊んでいた。
 チューリップのジュースとバラのケーキだとか、キャベツから生まれてコウノトリに運ばれるアトラクションだとか。

 保育園で発表したら、そんなの有るワケ無いじゃん、と言われて泣いて。
 誰かに言うのは止めた、家族にも、誰にも。

《お姉様?》
「子供の頃、赤いチューリップのジュースとバラのケーキだとか、キャベツから生まれてコウノトリに運ばれる乗り物だとかを思い描いてたんです」
『私もバラのケーキ好きです』

《チューリップのカップに、真っ赤な紅茶で》
『キャベツから飛び出すんですかね?それとも掬われるんでしょうか?』
「掬われるんです、大きなコウノトリの口で」

《それで園内を移動出来ると最高ですわね!》
『チューリップのジュースは?』

《赤いジュースにします、味は今度の試食でお出ししますわね》
『バラのケーキは何色ですか?』
「虹色です」

《目玉になりそうですわね、ふふふ、もっと教えて下さいお姉様》
『あ、ミモザのお花の何かもお願いします、パフェ、パフェの塔!』
「良いですね、パフェの妖精の塔」

『《パフェの妖精の塔》』
「妖精を助けるんです、そして救えたらご褒美はパフェ。毎月、味が変わる」

『ぶどう!』
《イチゴにミモザ、お花のパフェも作らないと!》

 そうだ、こんな友達が欲しかったんだ。
 一緒に妄想してくれる友達。



「あの、黒蛇さん」
《なんだ、とうとう小僧共が嫌になったか》

「もし、気になる方が居るなら」
《残念だが、今の私の興味は、お前の子だ》

「私が産むわけじゃないんですが」
《お前の子の成長を、お前以上に見守っていてやる、それから探しに出掛けるさ》

「運命の相手を逃すかもですよ」
《何だ、生まれ変わりを信じていないのか》

「いえ、寧ろ信じてますけど」
《運命なら、私が合わせれば良い、何せ不死だからな》

「お相手になれず申し訳無い」
《構わんさ、いつか、出逢う時が来る》

 いつか、生まれ変わったなら。
 その時は、流石に相手は私だけだろう。

『アレ、伝わって無いよ?』
《そう伝えたのだから、当然だろう》



 俺も、ネネと一緒に居る事にした。
 人種は目を離すと直ぐに死ぬし、ネネはまだ赤ちゃんも同然だから、離れるのが怖いし。

 世話してやらないと、不安で仕方無い。

『ネネ、もう寝ないとダメだよ』
「まだ私は赤ちゃんですか」

『うん、まだネネは赤ちゃんだよ』
「ふふふ、いつまで経っても赤ちゃんですか」

『うん、か弱い赤ちゃんだから、守らないとね』
「コンちゃんも、いつか家族を作ってね」

『ネネが家族だよ』
「はいはい、良い子良い子」

 また見送る事になるけど、それは見送れるって事。
 レオンハルトはもう死んだし、子供の1人は病気で死んだ。

 ルーイはネネと一緒に死ぬ運命だから、俺達が見守って守ってやらないとね。

『一緒に居てくれてありがとうね』



 子供も孫も、立派に巣立った。

《後はもう、私達だけだな》

『うん』

 ネネはルーイと共に旅立った。
 そして遺言通り、家は子へ、遺骨はレオンハルトと合わせ海へ撒いた。

《家を、探すか》

『うん』

《悲しむな、ネネが悲しむ》

『うん』

 人種は脆く弱い。
 その寿命は獣の様に短い。

 だが忘れえぬ思いを残す。

《悪魔に、ネネが住んでいた向こうの家を再現させようと思うが、来るか》
『うん』

 弱く脆いモノに、私達は弱い。
 きっとまた、人種を助けてしまうだろう。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あまりさんののっぴきならない事情

菱沼あゆ
キャラ文芸
 強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。  充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。 「何故、こんなところに居る? 南条あまり」 「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」 「それ、俺だろ」  そーですね……。  カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

処理中です...