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真実 2
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「じゃあ、あの時遥を助けたっていうのは……」
「それは本当だ。俺が遥ちゃんを助けた後に彼女が集中治療室で手術を受けていたのは
伊吹も覚えているよな?遥ちゃんはその後突然転校してしまった。驚いた俺達はせめて
遥ちゃんと最後の挨拶だけでもしたいと思い、猛ダッシュで病院に行ったけど結局間に
合わず、彼女に逢うことはできなかった」
その時の記憶は鮮明に覚えている。遥を守ると約束しておきながら、彼女を助けるどころか何もすることができなかった無力感は今でも心に重くのしかかっている。
「俺も後から知ったことなんだが、遥ちゃんはあの時既に植物状態だったんだ。彼女の
親族は転校という形で遥ちゃんを違う病院に転院させたんだ。借金苦や無理心中が表沙
汰になったら田舎では暮らしていけないと考えたんだろうな」
「死んでたんなら、学校で話があったはずだろ?」
「遥ちゃんが亡くなったのは事故から二年後のことだ。急に体調が急変して、そのまま
病院で息を引き取ったそうだ」
「お前は遥が死んだことをいつ知ったんだ?」
「八年前、……遥ちゃんが亡くなった時だ」
「じゃあどうして、何で今まで黙ってたんだ!」
「すまん……。伊吹が遥ちゃんと別れてからずっと気に病んでいたことは知っていた。
永遠に彼女のことを忘れることができないってことも。だから、時間の経過と共に彼女
を忘れさてくれるくらい存在感のある女が現れてくれることを期待していた。
過去の思い出がどんどん美化されて、一歩も前に進んでいない伊吹に遥ちゃんが死ん
だなんてことを言ったら、お前は永遠に遥ちゃんの世界から抜け出せなくなる。
当たり前だけど、死んだ人は戻ってこないんだ。
その意味で、現実を生きていかなければならない人間は、死んだ人間には勝てないんだ」
私はかつて身近にいた月野姉妹を二人とも失ってしまったということか。琴音が彼女の妹と知らなかったとはいえ、私は同じ過ちを二度も犯してしまったんだ。
琴音と出逢った時、この人とだったら永遠に付き合っていけると感じていたはずだ。
でなければ、私の性格から考えてプロポーズをする訳がない。
それほど琴音は魅力的であり、彼女から本能的に遥の面影を感じとっていたのかも知れない。
「だから伊吹が社会人になってからようやく彼女ができたって訊いた時には嬉しかった
よ。しかも婚約までしたって」
「その時、俺が婚約相手として出した名前が月野遥だったって訳か。驚くのも当然だな」
「まあな、俺は咄嗟に伊吹に合わせてしまったんだ。だけど、お前が見せてくれた水
族館でのデート写真を見て更にビックリしたよ。そこには成長した遥ちゃんに似ている
女の人が隣りに写っていたんだからな。琴音ちゃんだと知った時は納得したけど」
佐々木の話を訊きながら、心音が次第に大きくなっていく。その音が大きくなりすぎて佐々木の声が訊きとりづらくなったところで、その理由に気付いた。
隣りから強い視線を感じる。ゆっくり、ゆっくりと視線を感じた相手に眼を向ける。彼女は私を真っ直ぐ見上げていた。その眼は明らかに私を見ているが、どこか茫然としているようで判然としない。だがそれが一層不気味に見えた。
ある日突然私のマンションに入り込み、私に『遥』と呼ばれてそれを受け入れ、今も隣で『月野遥』として私と生活を共にしようとしたこの女は誰なんだ?
この女は何者なんだ?目的は何なんだ……。
「君は……、君は誰なんだ?」
「私は月野遥・琴音の親戚になります」
「それは本当だ。俺が遥ちゃんを助けた後に彼女が集中治療室で手術を受けていたのは
伊吹も覚えているよな?遥ちゃんはその後突然転校してしまった。驚いた俺達はせめて
遥ちゃんと最後の挨拶だけでもしたいと思い、猛ダッシュで病院に行ったけど結局間に
合わず、彼女に逢うことはできなかった」
その時の記憶は鮮明に覚えている。遥を守ると約束しておきながら、彼女を助けるどころか何もすることができなかった無力感は今でも心に重くのしかかっている。
「俺も後から知ったことなんだが、遥ちゃんはあの時既に植物状態だったんだ。彼女の
親族は転校という形で遥ちゃんを違う病院に転院させたんだ。借金苦や無理心中が表沙
汰になったら田舎では暮らしていけないと考えたんだろうな」
「死んでたんなら、学校で話があったはずだろ?」
「遥ちゃんが亡くなったのは事故から二年後のことだ。急に体調が急変して、そのまま
病院で息を引き取ったそうだ」
「お前は遥が死んだことをいつ知ったんだ?」
「八年前、……遥ちゃんが亡くなった時だ」
「じゃあどうして、何で今まで黙ってたんだ!」
「すまん……。伊吹が遥ちゃんと別れてからずっと気に病んでいたことは知っていた。
永遠に彼女のことを忘れることができないってことも。だから、時間の経過と共に彼女
を忘れさてくれるくらい存在感のある女が現れてくれることを期待していた。
過去の思い出がどんどん美化されて、一歩も前に進んでいない伊吹に遥ちゃんが死ん
だなんてことを言ったら、お前は永遠に遥ちゃんの世界から抜け出せなくなる。
当たり前だけど、死んだ人は戻ってこないんだ。
その意味で、現実を生きていかなければならない人間は、死んだ人間には勝てないんだ」
私はかつて身近にいた月野姉妹を二人とも失ってしまったということか。琴音が彼女の妹と知らなかったとはいえ、私は同じ過ちを二度も犯してしまったんだ。
琴音と出逢った時、この人とだったら永遠に付き合っていけると感じていたはずだ。
でなければ、私の性格から考えてプロポーズをする訳がない。
それほど琴音は魅力的であり、彼女から本能的に遥の面影を感じとっていたのかも知れない。
「だから伊吹が社会人になってからようやく彼女ができたって訊いた時には嬉しかった
よ。しかも婚約までしたって」
「その時、俺が婚約相手として出した名前が月野遥だったって訳か。驚くのも当然だな」
「まあな、俺は咄嗟に伊吹に合わせてしまったんだ。だけど、お前が見せてくれた水
族館でのデート写真を見て更にビックリしたよ。そこには成長した遥ちゃんに似ている
女の人が隣りに写っていたんだからな。琴音ちゃんだと知った時は納得したけど」
佐々木の話を訊きながら、心音が次第に大きくなっていく。その音が大きくなりすぎて佐々木の声が訊きとりづらくなったところで、その理由に気付いた。
隣りから強い視線を感じる。ゆっくり、ゆっくりと視線を感じた相手に眼を向ける。彼女は私を真っ直ぐ見上げていた。その眼は明らかに私を見ているが、どこか茫然としているようで判然としない。だがそれが一層不気味に見えた。
ある日突然私のマンションに入り込み、私に『遥』と呼ばれてそれを受け入れ、今も隣で『月野遥』として私と生活を共にしようとしたこの女は誰なんだ?
この女は何者なんだ?目的は何なんだ……。
「君は……、君は誰なんだ?」
「私は月野遥・琴音の親戚になります」
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