ナミは何でもあり

チャロコロ

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天敵はオヤジ

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 「ただいまー」
 家中に響く大きな声で帰宅したことを告げる。
 私の行く先にはお父さんが腕を組んで待ち受けている。
 「奈美、お前お父さんの大福……うわっ」
 ドロップキックをかます。
 お父さんの説教に構っているほど今時の中学生は暇じゃない。
 倒れたお父さんの上に乗ると、胸倉を掴んで身体を思い切り揺らす。
 「今はそれどころじゃないわ。生霊の出し方を教えなさい、早く」
 「えっ?あ?」
 お父さんは理解していないようだ。
 言い忘れていたが、ウチは小さい寺をやっている。
 お父さんは住職だ。
 家にいるからと言ってニートではない。
 「い、き、りょ、う!」
 私の質問の意図をようやく理解したようだ。
 お父さんは下から応戦しながら私の魂の叫びに一所懸命答える。
 「生霊というのは、生きている人間の霊魂が体外に出て動き回るものだ。詳しくはお
 父さんが書いた『生霊のすべて』を読め!」
 そうだった。
 お父さんはくだらない本をたくさん書いているんだった。
 「あちがとうお父さん、少しは参考になるかも!」
 さっそくお父さんの書斎に入る。
 四畳半の壁にびっしりと本が並んでいる。その中から一冊の本を手に取る。
 生霊の歴史について読んでみる。
 『源氏物語』では、源氏の愛人が生霊となって源氏の子を身籠った女性を呪い殺す話が有名らしい。
 古典文学では、憎らしい相手に生霊がとり憑くという話が多いらしいが、好きな相手にとり憑く話もあるらしい。
 「なるほど、なるほど」
 ページをめくりながら読み進めていくが、どこにも生霊を出す方法が書かれていない。
 「一番肝心なことが書いてないじゃない!」
 お父さんに期待した私がばかだった。
 「お父さんのバカー!嘘つきー!」
 大声で叫ぶと、宝石のように綺麗な涙が頬につたう。
 奥からはお父さんが「なっ、何だ?」という声が聞こえる。
 しかし何度も読むうちに生霊が夜にでることが多いことが分かった。
 夜なら霊魂を対外に出すことができるかも知れない。
 「……やるしかないな」
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