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最終話
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「イタタタター」
私と花子が頭を押さえてしゃがみ込んでいると、浅野君も上半身を起こし、周りを伺う。
思わず隠れるが、私達の姿は見えていないようだ。
浅野君は首を傾げると、気のせいか、という顔をして布団の中に戻る。
ふう、と息を吐くと、花子に詰問する。
「どうして浅野君に入れないのよ!」
「私が知るはずないでしょ」
首を回してみるが、問題はなさそうだ。
「家に帰ったら首に湿布貼らないと」
「霊魂だから首は大丈夫じゃない?」
花子は腕組みをしながら、目をつぶる。
「あんた何寝てんのよ?」
花子の態度に腹が立って頭頂部にチョップをかます。
「痛っ!考えてたのよ。可能性としては浅野君に霊感が全くないから体内に入れなかった。あるい は、私達がここに来るまでに力を消費し過ぎて体内に入ることができなかった。そのどちらかじゃ ない?」
「理由はどうでもいいのよっ!」
「え……ごめん」
「でも原因究明は必要なことよ」
「どっちだよ!もう私帰って寝る!」
「ちょ、ちょっと花子」
花子がプリプリ怒りながら帰ろうとするのを引き留めようとする。花子は私の制止を振り切るように壁をすり抜けようとする。
ドンッ!
「うー、痛いよぉ」
勢いよく壁にぶつかったせいで後ろに倒れる。
「ぷっ、は、花子ちゃん大丈夫?」
「……今笑ったでしょ?」
「クク、わ、笑ってないわ。花ちゃんのことが心配で心配で」
「もう絶対とり憑かない」
「花子、無事でよかったわ!私はあなたのためなら何もいらない」
私はキリッとした顔つきで語りかける。内心はおもしろくて仕方ない!
「美奈、心配してくれてありがとう」
「いいのよ、浅野君に夢中で花子の身体をいたわらなかった私が悪かったの」
目に涙を溜める花子の上半身を持ち上げる。
「ううん、私も奈美の気持ちを考えてなかった。ごめんね」
私も思わず涙が溢れてくる。自分のことばかり考えて花子のことを全く考えてなかった。
「これで仲直りだね」
花子が小指を差し出してきたので、小指を絡める。
私達はケンカをしても後腐れがない。いいコンビになるだろう。
痛みがひいてきた花子は目線を移すと、壁をさすりながら呟く。
「どうして壁をすり抜けることができなかったんだろう?」
花子をさりげなく見ていると、身体が少しづつ見えなくなっていく。見えない?透明になっているのか?
花子が私を見つめると、花子は驚愕した顔をする。
「ん、何?」
私の問いに答えようと、花子は口を一所懸命開いているが、声は聞こえてこない。口パク状態だ。そうこうしている間に花子は消えていく。
花子は私の霊魂なので、霊力が弱まったら消えるのは当然だろう。休息すれば元に戻る。
私も体力の衰弱が著しい、早く身体に戻らなければ。
「うわっ!出た」
声のした方に顔を向けると、浅野君がこちらを向いている。
その視線は明らかにこちらを見ている。
浅野君はトランポリンに乗った時のように身体を飛びあがらせて、目を見開いている。
「あっ、浅野君!やだー、まるでオバケを見ているみたい」
自分で言っておきながら冷や汗が出てくる。もしかして浅野君には私が見えてる?
浅野君は「……何かしゃべった」と言いながら後ずさりして壁にへばりついている。
やばい!
急いで机の上にある鏡で顔を確認してみると、私の顔がボヤケながらも映っている。
彼が怖がるのも当然だ。
「まずい!」
思わず声を上げる。
しまった、私としたことがこんなミスをするなんて!
浅野君の前だというのに髪型が乱れている。すぐに手グシで髪を整える。乙女にとって髪型が決まっているかどうかという点は非常に重要だ。
いや、違う。今はそれどころじゃない。
私の顔がばれる前にここから脱出しないといけない。
すぐにクラウチングスタートの姿勢をとると、部屋の扉を開けて階段を下りた。
私は田舎道を走りながら、アニメのヒロインのように満面の笑みをこぼす。
今回の作戦は失敗だったけど、次こそは必ず浅野君のハートをゲットするわ。必ず。
次はどんな作戦を実行しようかな?
これからも正々堂々浅野君にアタックするわ!
思いっきりジャンプをすると、右腕を振り上げた。そして足を捻ってしまった。
私と花子が頭を押さえてしゃがみ込んでいると、浅野君も上半身を起こし、周りを伺う。
思わず隠れるが、私達の姿は見えていないようだ。
浅野君は首を傾げると、気のせいか、という顔をして布団の中に戻る。
ふう、と息を吐くと、花子に詰問する。
「どうして浅野君に入れないのよ!」
「私が知るはずないでしょ」
首を回してみるが、問題はなさそうだ。
「家に帰ったら首に湿布貼らないと」
「霊魂だから首は大丈夫じゃない?」
花子は腕組みをしながら、目をつぶる。
「あんた何寝てんのよ?」
花子の態度に腹が立って頭頂部にチョップをかます。
「痛っ!考えてたのよ。可能性としては浅野君に霊感が全くないから体内に入れなかった。あるい は、私達がここに来るまでに力を消費し過ぎて体内に入ることができなかった。そのどちらかじゃ ない?」
「理由はどうでもいいのよっ!」
「え……ごめん」
「でも原因究明は必要なことよ」
「どっちだよ!もう私帰って寝る!」
「ちょ、ちょっと花子」
花子がプリプリ怒りながら帰ろうとするのを引き留めようとする。花子は私の制止を振り切るように壁をすり抜けようとする。
ドンッ!
「うー、痛いよぉ」
勢いよく壁にぶつかったせいで後ろに倒れる。
「ぷっ、は、花子ちゃん大丈夫?」
「……今笑ったでしょ?」
「クク、わ、笑ってないわ。花ちゃんのことが心配で心配で」
「もう絶対とり憑かない」
「花子、無事でよかったわ!私はあなたのためなら何もいらない」
私はキリッとした顔つきで語りかける。内心はおもしろくて仕方ない!
「美奈、心配してくれてありがとう」
「いいのよ、浅野君に夢中で花子の身体をいたわらなかった私が悪かったの」
目に涙を溜める花子の上半身を持ち上げる。
「ううん、私も奈美の気持ちを考えてなかった。ごめんね」
私も思わず涙が溢れてくる。自分のことばかり考えて花子のことを全く考えてなかった。
「これで仲直りだね」
花子が小指を差し出してきたので、小指を絡める。
私達はケンカをしても後腐れがない。いいコンビになるだろう。
痛みがひいてきた花子は目線を移すと、壁をさすりながら呟く。
「どうして壁をすり抜けることができなかったんだろう?」
花子をさりげなく見ていると、身体が少しづつ見えなくなっていく。見えない?透明になっているのか?
花子が私を見つめると、花子は驚愕した顔をする。
「ん、何?」
私の問いに答えようと、花子は口を一所懸命開いているが、声は聞こえてこない。口パク状態だ。そうこうしている間に花子は消えていく。
花子は私の霊魂なので、霊力が弱まったら消えるのは当然だろう。休息すれば元に戻る。
私も体力の衰弱が著しい、早く身体に戻らなければ。
「うわっ!出た」
声のした方に顔を向けると、浅野君がこちらを向いている。
その視線は明らかにこちらを見ている。
浅野君はトランポリンに乗った時のように身体を飛びあがらせて、目を見開いている。
「あっ、浅野君!やだー、まるでオバケを見ているみたい」
自分で言っておきながら冷や汗が出てくる。もしかして浅野君には私が見えてる?
浅野君は「……何かしゃべった」と言いながら後ずさりして壁にへばりついている。
やばい!
急いで机の上にある鏡で顔を確認してみると、私の顔がボヤケながらも映っている。
彼が怖がるのも当然だ。
「まずい!」
思わず声を上げる。
しまった、私としたことがこんなミスをするなんて!
浅野君の前だというのに髪型が乱れている。すぐに手グシで髪を整える。乙女にとって髪型が決まっているかどうかという点は非常に重要だ。
いや、違う。今はそれどころじゃない。
私の顔がばれる前にここから脱出しないといけない。
すぐにクラウチングスタートの姿勢をとると、部屋の扉を開けて階段を下りた。
私は田舎道を走りながら、アニメのヒロインのように満面の笑みをこぼす。
今回の作戦は失敗だったけど、次こそは必ず浅野君のハートをゲットするわ。必ず。
次はどんな作戦を実行しようかな?
これからも正々堂々浅野君にアタックするわ!
思いっきりジャンプをすると、右腕を振り上げた。そして足を捻ってしまった。
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