放課後、僕は先輩と××する

半熟紳士

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先輩と部活勧誘

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「ねえ君。ちょっと話があるんだが、いいかい?」

 高校の入学式の翌日のこと。
 次々と押し寄せる先輩方の部活勧誘をすり抜け、家路につこうとした僕の鼓膜に凜とした声が響いた。

「キョロキョロするんじゃあない。君のことを言っているんだぜ」

 他にも生徒はちらほらいるけど、声の主に一番近いのは恐らく僕だ。

「そうそう君だよ。そこにいる没個性が人の形をして歩いているような見てくれの君のことだ」

 意地でも振り向いてやるもんかと心に決める。
 しかし時既に遅く、声の主は僕の目の前に回り込んでいた。

「――君はどの部活に入るか決まったかい?」

 初対面にしてはいやに馴れ馴れしい口調で、先輩は言った。。
 腰まで達しているロングヘアが印象的な彼女の名は玖珂彩華くがさいか
 ロクに話したことがないのにも関わらず名前を知っているのは僕が彼女のストーカーだからではない。
 先輩は我が校きっての変人だからである。
 高嶺の花で近寄りがたいのではない。
 人食い花にノコノコと近づいていくマヌケはいないのだ。

「実は私が所属する文芸部が存続の危機に陥っていてね」

 それはそれはお気の毒に。
 だが僕にとっては関係の無い話ですはいさいなら。

「待て待て話を最後まで聞きたまえ。世の中、話すことより聞くことの方が大事なんだぜ」

 まるで人の話を聞いていない先輩は、僕の目の前に一枚の紙を突き出してきた。
 入部届と書かれている。

「入ってくれないかい? 学校に頼み込んで、あと一人入部してくれれば我が部は存続できるんだ」

 本を読むのは好きだが、書くのは趣味ではない。

「……む、断るというのかい。私が頭を下げて頼んでいるのに?」

 ちなみに先輩は一ミリも下げていない。
 活字だからって誤魔化せると思ったら大間違いだ。

「ふむ……質問を変えよう。君はどの部活ならば入るんだい?」

 別にそこまでガチガチに打ち込む気はないが、友人から写真部に誘われているのでそこに入部しようとは思っている。

「なるほど。写真部ね……ならこれならどうだい」

 入部届がいつの間にか写真部のものになっていた。

「せっかくだから今ここで書いてくれないか? その後私が職員室に持っていってあげよう」

 ……怪しい。
 書いたら後で文芸部に書き換えるんじゃないだろうな。

「そんなことはしないよ。神に誓おう」

 念のために消えないタイプのボールペンでクラスと名前を書いて先輩に返す。

「ありがとう。感謝するよ……おやなんてことだ。どう言うわけか入部届が二枚重ねになってるぞ」

 ……はい?

「ややっ、しかもその間にカーボン用紙が挟まっているじゃあないか。下にあった入部届にも君の名前が書かれてしまっているね」

 カーボン用紙によって写された入部届にはちゃっかり文芸部と書かれていた。
 こ、この女、謀ったな……!

「感謝するよ後輩君。君のお陰で文芸部は安泰だ。まさしく英雄的行為だよ。これは私が全責任を持って職員室に届けるともではさらば」

 はーっはっはっは、と笑いながら、先輩は去って行った。
 以上が僕が文芸部に所属することになった顛末であり、先輩とのファーストコンタクトだった。
 みんな、詐欺紛いの部活の勧誘には気を付けよう。
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